何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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感想誤字報告感謝。

前話投稿から一時間でおよそ一週間分の感想ぶち込まれた作者の気持ち考えたことある?

ありがサンキュー茄子




メカと月に兎

 

 婚約者(仮)の義肢のメンテナンスをした翌日。

 

「さてどうしたものか」

 

 和人はAIに収集依頼を投げておいたレーザースキャン技術のメーカーの調査資料をカムラにて眺めていた。

 

 今週分として搬入させたVR機器の設定は加速しながらさっさと終わらせている。

 

 

 和人的に変な方向にぶっ飛んでるものがなく、ありふれた平均的な技術群の中から選ぶのもありだが、組み込むならサイズ感にもこだわりたい。

 

 そう言えば知り合いにメカキチがいるじゃないか。

 和人はシャンフロのフレで現実でも名刺交換した八葉アリサに電話をしてみることにした。

 

「大変お世話になっております、鳴坂です」

『あ、キリ――鳴坂博士?どうしたのよ仕事?』

「仕事と言うか、趣味の領域の話ですが、端的に言いますと自分のプラモ電脳空間で動かしてみたいと思ったことはないでしょうか」

『詳しく聞きましょうか、型枠職人もモデラーも工場も趣味の会社で作った私にそんなこと言うなんて――どうなるか分かってるんでしょうね』

 

 なんとなくで電話をかけた相手ミスったか、なんて一瞬頭をよぎるが大体のこと任せても大丈夫そうな気もする。

 

「大体そちらにぶん投げていいようでしたr――」

『いいわよ、ちょっとうちの社員カムラに向かわせるから要件を頂戴』

「……とりあえず先にプラモをスキャンする技術関係強いとことかあったら…」

『自社製があるわ。プラモを組んだままミクロ単位まで拾う仕様よ』

「初手大当たりひいちゃったか…」

『はぁ?うち以外に話持っていくつもりだったの?絞めるわよ』

「あ、ソンナコトアルワケナイジャナイデスカヤダー」

 

 

 1時間後。

 

 

「VRでヴァリマールに乗れると聞いて!」

 

 卓上サイズまでコンパクトになったスキャナーと大変手間のかかっている見知らぬ機体のプラモをもってリィンさんが突撃していた。

 超合金よりもプラモの方がスキャナーと相性が良い?左様で。

 

 社員さんが派遣される前に燐さんがインターセプトしたんですか…。

 

「あ、コックピットデザインとかって……」

「あるぞ」

 

 あ、資料もあるんですか。

 助かりますぅ…

 

 

 和人は加速を駆使しながらものの一時間でシステムを組み上げた。

 だってリィンさんスッゴイソワソワしてるんだもん!

 下手なもん作ってしょんぼりさせられねぇよ!

 

 ちょっと茶菓子でも飲んで待っててください。

 

 基本的にワクワクしているやつを無下にできない和人は滅多に出さない本気のプログラミング技術を集結させた。

 

「テストします?」

「もちろん!」

 

 和人がおずおずとプログラミングの済んだソフト(仮)を入れたアミュスフィアをリィンに差し出すと初めて聞く喜びを全開にした声と笑顔に浄化されそうになる。

 

 まるでラグがないような速度でアミュスフィアを被ってインし、30分。

 ゆっくりと、静にアミュスフィアを外したリィンの眼から涙が伝い“やっばやらかしたか!?”とひどく混乱する和人。

 

「あ、ダメそうです?作り直しますよ…?」

「いや、いいんだ。自分の手でヴァリマールを動かせたことがうれしくて、仕方がないんだ」

 

 本当にありがとう、そうリィンに言われた和人はスッと肩が軽くなったような気がした。

 

「契約条件は好きにしてくれ。物理的に不可能でない限り呑む」

「え、えぇ…」

 

 再びキリっとなったリィンの温度差を感じつつ“ア、コレ本気じゃん”と今度は逆に胃に重さを感じた。

 

「運営関係とかぶん投げたいんですけど」

「構わない」

「何なら大体の責任関係をぶん投げたい」

「構わない」

「定期的なアップデートとかシステム追加はしますので…」

 

 リィンはコイツただやりたいことやった結果、その行き先に困ってる感じのアレだと見抜き、サッと契約関係の書類を作り上げた。

 

「有事の際の責任はこちらが矢面に立つ、システム関係はある程度キリトに作ってもらう。運営等の時間を取るようなこともこちらで行う。報酬は監査にツッコミを食らわない程度……でいいか」

「概ね!」

「これは仮だ。早急にサーバーなど準備を行う、必要なものがあればまとめてくれ」

「あ、これで」

「助かる、後日また正式な契約書を用意しよう」

 

 

 察しのいい転生者助かるーと和人はもろ手を上げて喜んだ。

 先ほど仮組したシステムはアドミニストレータに食わせ、以前用意したロボゲーのシステムを一部抜く。

 

 いくつかのテンプレートをベースに好きなように配置できるシステムも用意して……

 

 正直こう言うのは妄想している時が一番楽しい説がある。

 実際形になった時の感動も一入だが。

 

 仮想敵は……GUNDAMシリーズから引っ張ってきちゃお。

 軽いノリでシステム準備をしているがお出しされたソフトウェアにメカ狂いのアリサはガンダムの精密再現に喜びのあまり発狂した。

 アリサの趣味会社の社長を押し付けられたティータと言う女性も喜びのあまり発狂した。

 その会社の顧問弁護士をしているレンと言う女性も喜びのあまり発狂した。

 

 電話一本から数時間でヤベー代物がこの世に爆誕した。

 発表はJGEのカムラブースの間借り。

 カムラはUESに次ぐサイズ感のブースの区切りを用意されているため、博士何か用意してもいいんだぞ?と言う強い圧があった。

 

 和人は和人で別のシステムを用意しているため、今年のJGEはちょっとした混沌を迎えることこの上なしである。

 カムラの社員がそれを教えられたのはJGEの会場設営最終確認を行う一ヶ月前であった。

 

 カムラに置かれた置き薬の胃薬は減り、漢方に目覚める社員もいたとか。

 

 それはそれとしてシステムのフライングテストさせてくださいと数人の社員が和人の元に土下座をしに来たのは別の話。

 端的に言うなら「業務中に何言ってんだお前ら」「あ、鳴坂博士最速で帰りました」だ。

 カムラの社員のデスクにプラモデルが置かれ始めたのはきっと別の話。

 

 

 

 〇

 

 

   

「ちょーっと放置しすぎじゃありませんかねマスター」

「激しく同意します」

「謝意はある」

 

 キリトは久しぶりにガッツリめにアヴァロンにやってきていた。

 例によってラビッツ経由。

 

 忍術にんにんしていた秋津茜を少し転がしてスキル練習を手伝った後である。

 

 この頃はネタに走りすぎた感があると思いながらも太刀の動作確認。

 ラグいなぁ……。

 

 婚約者(仮)と全力で知略系のVRを遊んだ後は加速の影響が色濃く残るため、VRを普通にプレイしていると遅く感じてしまう時がある。

 

 ゆっくり感じるからこそ動きの精度が良くなるのは何というか…。

 

「今日は……次の木の主を認めさせるまでやるか」

「お、やる気ですね!」

「あと何がいたっけ」

 

 キリトはいい加減アヴァロンを進めようと一つの主に挑むことにした。

 

「マスターはウェザエモン、ヴァイスアッシュ(未)、オルケストラの3体と遭遇して2体に認められています」

「蛇・蛸・狼・竜の四種に遭遇してませんね。ここが兎なので歌の方に行くと狼が、剣の方に行くと蛇が居ますよ」

「……何と言うか流れが意図されたものに感じる」

「まぁ、そこは前マスターの意図した所でしょう」

 

 迷った時はアヴァロンのお導き。

 太刀を入れていたアヴァロンの鞘を抜き、天高く放り投げた。

 

「随分と古典的な……」

「何を、秘匿の花園見つけたのもこの手段だぞ」

「え、えぇ…」

 

 ルビーが和人のラックに引いているのを他所にアヴァロンは歌の方を指した。

 

「狼か」

「狼ですね。じゃ、サクッと変身しておきます?」

「しないが?」

「えー」

「えーじゃない、BでもCでもないが」

「私はAAだよマスター」

「その情報はいらん」

 

 キリトはそろそろ何か強敵を挑むのに自身のアバターのまま挑みたかった。

 

 あれ、まだリィンと戦ったの女アバター状態のときだけじゃね?

 それでリィンにキル食らって元に戻っている説あるぞ。

 

 黄金独蠍切ったのも女アバターだし…

 

 まともに男アバターでやってるのってなんだ・・・?

 エリアボス?

 

 狼は、うん。

 キリトのまま行く。

 

 自身が男の娘アバターであることをすっかり忘れ歌姫のいた木の根をスルーして狼の元へ向かった。

 

 

 

 

 そこにたどり着くと、吸い込まれるように闇に染まった。

 

 唯一ある光は月光のみ。

 

 そう言えばアリサがリィンが全力になったのはリュカオーンの影の時と言っていたか。

 

 雲が月光を隠し、夜桜が生える。

 

 そんな幻想にも似た空間の中、一人のケモミミ生やした和服の女性が居た。

 

「ああ、久方ぶりの来訪者じゃない。ルビー貴方こっちに案内するの遅いんじゃなくて」

「気のせいですよー気 の せ い」

「生意気な杖だこと」

 

 まぁ、良いわ。あなたを獲物として見てあげる。

 

 和服の女性はこちらを獣の様な鋭い瞳でこちらを捕捉した。

 

「あなたは照らせるかしら」

 

 【夜[―――(検閲済)]リュカオーン】と遭遇しました。

 

 彼女は、影より二体の狼と大きな影の手の様なものを構えながら、そう宣言してきた。

 

 

 

 

「ちょっと容赦がなさすぎませんこと!」

「遊んでいるだけよ」

 

 キリトは必死に猛攻を凌いでいた。

 

 キリトにとっては猛攻だが、彼女にとってはお遊びのそれである。

 

 ‥…これを満足させろって無茶が過ぎないか。

 

 縦横無尽に闇に解け、消えながら襲い掛かる狼。

 

 その隙を埋めるように突っ込んでくる獣のそれである彼女。

 

 

 ま、必死と言うなら[必ず死ぬ]と言う事。

 

 アインスがルビーで弾幕張ってくれている中で、ルビーのエネルギーが持ってくれる間に彼女の顔を歪ませるくらいはしないといけないな。

 

 スキルは闇に食われていく。質が悪い。

 

 

 闇を照らせというなら人間の魂の輝きくらいしかないんじゃないか?

 

 このソフトにそれが無いのは承知してるんだけども、心意気ってもんくらいは持っていいだろう。

 

「[心意]」

 

 スキルではない。

 只の言霊。

 

 キリトが――和人が作るソフトウェアには搭載されている“人間の意思がシステムを超越する”現象。

 

 キリトはギアを2つ上げるには、この言霊が一番効く。

 

 だが未だそれはトップギアではない。

 

 

 

「あら!」

 

 ますます笑みを浮かべちゃってくれてさぁ。

 

「オラッ!」

 

 こっちは人力TASのプロぞ。

 

 

 肉を切らせてでも、こいつは一遍斬ってやる。

 

 

 

 〇

 

 

 

「まぁ、そこそこ楽しめたわ」

「鬼ですかあなたは!」

「いいえ、可愛い狼だわん」

「えぇ……」

「サービスしてこの反応は傷つくわ」

 

 何度クリティカルぶち込んだかわからない。

 純粋な魔力をぶち込むだけなら結構ダメージはいることに気が付き、スキルではない人力螺旋丸と言う変態の所業のそれをぶち込んでみたり、英雄作成再現で自身の手元に魔力を集めて人力魔力剣を編んでみたり…とにかく色々やって最終的にたどり着いたのは魔法少女の魔力砲。

 

 

 ……結局女性アバターになってるじゃねぇか!

 クソデカ魔力砲は魔法少女の特権なんだ……ちくせう。

 

 スキルを尽く封印してくるコイツサイドにも問題があると思うんですよ。  

  

 結局スコアは狼二体を消し飛ばして影の腕を一つ半壊させたら満足してくれた。

 

 昨日からの精神的な累積ダメージデカいんですけども。

 

「私の髪を切ったのは本当に久方ぶり。ルビーこれで作って良いわよ」

「はいはーい!」

 

 流石ユニークモンスターの悪乗りで制作されたとされるルビー、めっちゃ話聞くやん。

 ルビーは自身をひと回し。

 キリトがどうにか切断したリュカオーンの髪は一つのアイテムに変わった。

 

「はい、マスター[リュカオーンの夜]です」

「…犬耳じゃない」

 

 キリトは出来上がったそれにツッコミを入れると同時に、かつてないほどの厄ネタを感じた。

 

「これ、すごく危険な気配がするのだけど」

「ヤバくないわ、私の友愛の証だもの」

 

 ルビーがステッキに着いた翼の先っちょで持っていた犬耳のカチューシャをリュカオーンは手に取ってキリトの頭に装備させた。

 

 

 [リュカオーンの夜]

 

 夜の帝王の本体に認められし者に渡された友の証。

 最強種が預ける力の一端を行使するための物。

 魂に刻み込まれたその証は解くことはできない。

 

・プレイヤー以下のレベルのモンスターは全力で逃走を選択

・あらゆる呪いの無効化

・月光の魔力獲得時:疑似改宗(デミ・コンバージョン)状態[夜襲]となる

・夜を装備した部位のアクセサリーにほかのアクセサリーを重ねることはできない。

・装着した時点でアクセサリースロットを一つ消費する(取り外し不可能)

・一部NPCに対して畏怖をもたれる。

・プレイヤーの一部でも光が当たっている場合アクセサリーの非表示が選択可能

 

 

「あのバカがせっかくの友愛を隠すようになったから改修してしまったわぁ」

 

 でも不便なときもあるだろうから、見えないようにすることもできるようにしたとのこと。

 ……あのキャスターがフード被ってたのこれが原因かよ!?

 キリトは猫耳アイドル衣装と言う色物装備のまま、プルプルと震えた。モフモフとした尻尾も生えており、それは威嚇するように逆立っていた。

 

 別世界線(違うゲーム)ではケットシーではなくインプなんですけど!?

 

 やっぱりあのキャスター殴ると決意した。

 

 え、俺アクセサリースロット二つ完全固定?

 

 

「向こうの私の影とは遊べなくなるけど、別にいいわよね」

 

 

 またですか、またユニークモンスタークエストフラグ外されたんですか俺!?

 

「たまに遊びましょうね」

「しばらく来たくはないわ」

「き て ね」

「あ、はい」

 

 キリトは圧の強めの人間に弱かった。

 

 

 

 なお、木から少し離れ、再びアヴァロンの光を浴びると疑似改宗は解けたらしく、獣耳は月と狼意匠の簪に変わっていた。

 

 これ、何かの間違いでリスポーン決めた時に消えねぇかな。

 

 そう願ったが、戻ってもデフォルトの髪型が変更され、御団子ハーフアップの男の娘になるだけであった。

 

 キリトはサンラクの呪による苦悩をほんのちょっぴり理解した気がした。

 

 視界の隅でさっそく解放された再征服換装〈狼〉で可愛いケモミミ魔法少女が踊っているよ、かわいいね()

 

 

 ◯

 

 

 キリトはケモミミ御団子ハーフアップと言う色物アバターになりながら、若ヴァッシュの所で茶を飲んでいた。

 

「ますますアレに似てきたじゃねぇか」

「否定したいですね」

「まぁ、ここは奴の(エゴ)なんだ出てくるもん身につければそりゃ奴に近づく」

「そういう系ですか」

 

 さらっととんでもない情報を開示しないで欲しい。

 心臓に悪い。

 

 だがおおよその納得は出来る。

 

 ここは奴の、キャスターの心象風景。

 いわば固有結界の中なのだ、と。

 

 ではなぜ、神代の戦に出た奴がこの固有結界に居続けていられる?

 アインスは彼を残滓と表現した。

 

 Fateのように考えるとするならば、ここは座……?そんなものではないだろう。

 

 

 となるとキーワードは“継承者”

 

 ここは彼の残したものを継ぐための空間…?

 

「だいせいかーい☆」

「人の心読まないでくだs―――なんでいるんですか!?」

「あ?そういやおめぇさんこの状況初めてか」

 

 ナチュラルにお盆に急須と湯呑を載せたヴァッシュが流れるように配膳をしていた。

 

「僕、このアヴァロンならどこでも現れるし、ここのことなら何でもわかるよ」

「では、歌姫の試練に交じったあれは…」

「ノリ☆」

「こいつはこういうやつだ」

 

 笑顔でそう言ってのけたキャスターに腹が立ったのでキリトは[称号:ミュージックマスター]の権限を利用BGMの変更を行う。

 

 BGM“EM〇YA”

 

「ちょ、ちょ!処刑シーンBGMはひどくないかなぁ!?」

「別に死ぬわけでもないのでしょう」

「おい、外でやんな」

 

 両手に夫婦剣を取り出すと、ヴァッシュに首根っこを掴まれて外に放り投げられる。

 ……ほんとにヴァッシュの挙動の開始が分からん。

 

「では†悔い改めて†」

「だが断る!」

 

 天誅しようとしたらシールドに阻まれる。

 

「これはっ!」

熾天覆う七つの円環(ローアイアス)とはまた別物だよ」

 

 言うなれば繋ぐ七つの大樹(ローアイアス)

 そうキャスターは言った。

 

「そうだね、これは僕が下の奴らと戦うために作り上げた秘密兵器。システムが不便でね、使用した力の割合に対してリキャストタイムが発生する。1つを7回起こすもよし、3:4に分けるもよし、力の分配は君次第。君もレベルキャップを突破すれば、彼らに認められた数だけそれを使えるはずだよ」

「……キャスターあなたは赤い弓兵と花の魔術師どちらがメインなのですか」

「僕はもっと別の物、かもしれないね。真実を知りたければ7人に認められて中央においで」

 

 相変わらず仮面で表情の奥が見えないキャスターはそう告げる。

 

「道のりは険しそうですね」

「そうでなくては、僕も、僕の友も認めないよ。でも君は既に4つ、納めてる。すぐそこさ」

「……え?」

 

 4つ…?

 キリトは自分が認められたであろう7つの内のいくつかを並べても侍・歌・狼の3つだ。

 

「ふふ、あいつは思いのほかめんどくさい性格をしているんだ。そうだろ、ヴァッシュ」

「やかましい」

 

 ヴァッシュ、兎にも認められているだと?

 キリトは困惑しつつ、キャスターが声をかけ、それの返答を返した方を見た。

 

「Bとは別だが、これが俺からお前さんにくれてやるもんだ」

 

 その先にはヴァッシュがいた。

 その両手には衣類にも見える装備があった。

 

「黒の剣士――を僕から渡すのは違うからね。僕からは僕の技を継ぐ君への象徴……かな」

 

 だからこんなオーダーをしてみた。

 

 そう言うキャスターに促されながらキリトは装備を受け取った。

 

「[赤交わる魔術師]シリーズってとこだな」

 

 ヴァッシュはこの装備をそう呼称した。

 

「ここに来たばかりのおめぇさんだと装備できそうにもなかったからな」

 

 これに似合うやつくらいにはなってくれねぇと困ると言われる。

 

 とんでもないものを寄越しやがる。

 キリトはそう思いながら受け取ったそれを身に着ける。

 

頭:赤交わる魔術師・赤原

胴:赤交わる魔術師・赤原

腰:赤交わる魔術師・赤原

足:赤交わる魔術師・赤原

 

 装備したキリトは叫ぶ。

 

「何故アチャ子ベースなんですか!?だけどヴァッシュありがとう!」

「おう」

 

 純粋にアチャ子ベースではない。

 プリヤの夢幻召喚(インストール)のアーチャースタイルもところどころ混ざっている。

 

「これへそ出しにする意味ありました!?」

「俺はこいつが重要って聞いたんだが」

「男の娘のへそ出しはマスト」

「貴様!」

 

 一瞬でもシリアスな空気を感じ取った時間を返して欲しい。

 

 頭装備はバレッタ。花の模様が彫られている。なんでこんなに髪型が豊かになっていくのか。これはアクセサリーではなく頭装備なので許され……フードはダメですか。

 胴装備は赤ベースに白を連想する花が小さく線を描くように描かれたアームカバー、に胸元部分を鎧が覆い、その下に申し訳ない程度の黒のインナー。

 腰装備がスカートではなく、ショートパンツに上着を腰に巻くようなスタイルなのが謎の執念と言う名の配慮を感じる。

 足装備は左足はニーハイソックス。右足はベルト系。しっかり目の黒のブーツ。

 

「CEROは肌色を誤魔化せば行けるし、キリトは男の娘。完璧だね」

「完全に色物キャラが仕上がりをみせているのですが!」

 

 クソ、装備の性能がやけにいい…悔しい。

 

 ケモミミアチャ子(男の娘)とかどこの需要がターゲットだよ。

 あれ、俺この姿で正体バレしたら死ぬのでは?

 

 ますます表に出られないじゃん。

 いや、この装備切り替えればいいだけなんだけども…性能良いなぁ。

 

「愉悦」

「ヴァッシュ、こいつ殴ってもかまいませんよね」

「いくらでもいいぞ」

「ヴァッシュ!?」

 

 この胴装備の腕部分の紋章ってもしかして。

 

刻印弓(フェイルノート)

 

 アチャ子仕様ェ!

 刻印弓、設定上では弓を打つというアクションの魔術刻印だが、ここではMPを流し込むと不確定な魔力製の弓が出来上がる。

 

「あれ、さっそく理解していらっしゃる?」

 

 遠距離攻撃高倍率の胴装備と頭装備。

 近距離攻撃高倍率の足装備。

 魔術攻撃高倍率の腰装備。

 一式装備でステータス補正まで入る。

 

 ……壊れるなぁ。

 サブかメインに赤い弓兵入れておかないと装備できないがキリトにとっては何のデメリットにもなってはいない。

 あとヴォーパル魂を要求されている。 

 

「ちょ、ま!?」

 

 刻印弓、黒弓も同じではあるが構え、魔力を消費した秒数に応じてダメージ計算時の倍率を爆上げする仕様のようだ。

 

偽・偽・螺旋剣(カラドボルグⅢ)

「ひぃん!」

 

 とりあえず一発キャスターにぶち込んだのでそれでよしとしておこうか。

 

「茶の続きにしようか、ヴァッシュ。ラビッツのニンジンいくらか貰って来たから」

「ふ、そいつはぁいい」

「え、僕放置!?」

 

 一発近距離でぶち込んだと言うのにギャグのように顔面から地面に突き刺さっているキャスターを放置し、キリトは茶に戻ることに。

 BGMはすぐに戻した。

 




・リュカオーン(アヴァロンの姿)

 こっちと向こうはあくまで別物なので、ね。

 今後アヴァロンに入ると高確率で闇に飲まれ影狼にパクッと食われてリュカオーン本体の前にぺッされます。

 リュカオーン(雌)説とか、神話のリュカーオーンを漁ると訳が分からくなったのでアヴァロンの姿はこうなった。
 しれっとヒト型モードありそうだし。

 アリス・フロンティアの区分で行くとコイツも消えないくさい雰囲気あるし。

 リュカーオーンを調べるとトロイア系でアキレウスとか出てくるし……原作くん情報ください。

・キリト装備
 プリヤの夢幻召喚アーチャー装備の露出をちょっとマイルドにした感じ。
 どんどん色物になってく...
 避けが基本で防具に頓着していなかったのでここまで適当な街で見かけた防具を使用。
 征服換装でピンチのときは大体しのげてたのが悪いのでは...?
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