何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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観戦

 

 シノンの転移門により案内された闘技場にて決闘が始まり、その観戦だ。

 

 なんでもトップクランの黒狼と旅狼と言う2つのクラン間で争いが始まり、それの見届け人、と言うか別の同盟を組むだの混沌とした中で、言い分通すのにとりあえず決闘しているらしい。

 

 ユージオたちのクランもその集まりに声掛けされ、とりあえず戦力確認してから決めるね、とこの場に来たという。

 

 キリトは闘技場に向かう直前で嫌な予感がしたので適当に弓使いっぽい装備に切り替えた。

 その際のあまりの手際のいい装備変更を各人に見られていなかったため、あれいつのまに!?とのリアクションを頂いた。

 アヴァロンにいる際に、アインスとの会話でインベントリアの拡張機能が使えるようになればドレッセリアの様な装備切り替えもできるようになるらしいと聞いたが……。

 

 

「何あのロボぉ」

 

「流石に俺も知ら……規格外戦術機、普通のタイプはああなのか」

「知ってるじゃん!?」

 

 

 いざ始まった黒狼と旅狼の試合。

 黒剣からは†武閃陰蝕†(スラッシュシャドウ)

 表示される名前から“むせんいんしょく”と読んでしまったキリトを責めるものは誰もいないだろう。

 

 こんなこてこての地雷ネームこの時代に生きていたのか、なんてキリトは別種の感動的なモノを覚えた。

 

 旅狼側からはオイカッツォ。

 追い鰹からの鈍りだとは思うのだが、WSS失恋系多言語話者の大学の知人との翻訳機プログラムの監修協力をして貰った時に、どこまで日本語表記でスケベな表現が誤魔化せるかと言う議題を扱ったことがあるので邪推してしまうが、某ヨーロッパ系の言葉でナニを指す言葉なので……彼女はそこらへんがオープンなのか…?

 

 旅狼側に見知った顔であるサンラクがいたし、彼女のことをくん付きで旅狼のリーダーらしい人が呼んでいたので、おそらく女性アバターを男性が操作している可能性が挙げられる。

 もしかすると中の人は大変ヤバい奴なのかもしれない。推定バイかホモだ。

 キリトは変装的な意味合いでこんなアバターをしているが、それなりに変な癖を吊り上げるアバターだと言うことは理解している。

 

 もしかしたら完全に誤解かもしれないが、キリトは推定数え役満の彼に極力近づかないことを決めた。

 

 

 そしてお出しされたのが[規格外戦術機:白虎]

 特定の装備を装着することで規格外戦術機と合体できるらしい。

 

 キリトの保有するルビーとは違うプロセスだったため、謎の関心がある。

 ユニークモンスターの悪乗りの結晶だから奴が例外中の例外説の方が強い。

 

 [規格外戦術機:白虎]は空気を吸い取って吐き出す勢いで一気に†武閃陰蝕†(スラッシュシャドウ)の顎に一撃決めた。

 

 ……あれくらいの速度なら俺でも対応できそうだな。

 一直線に来られるなら楽にカウンター決められそうだけど見た所急加速と急停止の繰り返しで軌道を変えられそうだ。

 言い方は悪いが片側のブレーキ抑えることで旋回する耕運機みたいだな…いや速度は全くの別物なんだけど。

 

 次の刀使いは秒殺されて特に言うことなし。

 

「見せ場なかったね彼」

「抜刀術使いがあのような速度では即天誅だろう」

「そうですねー」

「え、このゆるふわ幕末脳こわいんだけど」

「アリスさんやユウキはともかく私は違いますよーリアル剣道少女なだけですから」

 

 こっちのクランはこっちのクランで混沌としていらっしゃる。

 

 

 そしてその次がリベ、リベリオスとか言うすんごい噛ませ犬の風格を漂わせた男性だ。

 

「すっごい噛ませ臭。受けね」

「はいはい、掛け算は後にしましょうねー」

「彼は黒狼のサブリーダーだね。何やら最近黒狼の中でリーダー派とサブリーダー派の内紛が起きているらしくて、もしかしたらこの決闘はそれに絡んでくるかもしれないね」

「サンキューwikiジオ」

 

 ……シノンさんは腐女子と言うやつなのだろうか。

 キリトはそこら辺の文化にあまり詳しくないが、受けと攻めが逆転すると怒り狂う人種がいると言うのは紗音から聞いたことがある。

 

 

 何やら[規格外戦術機:白虎]はエネルギーがそろそろ尽きる模様。

 燃費悪いなー、いや2人倒したから十分なのか?

 

 キリトもルビーの燃費問題は少し考えたことがあるが、こちらはアヴァロン系のスキルで回復できるしなと他人事である。

 

 昏い氷河(コキュートス)と言う魔剣をリベリオスは所有しているらしい。

 ……そもそも名前の響きで選んだ説はあるがリベリオスって反抗的とか、言うことを聞かないみたいなMMOには不向きな名前だよなぁ…。

 

 もしかしてこの後コイツ、ポイされるざまぁ展開があったりするのだろうか。

 

 まさかそんなネタバレが多すぎるファンタジーゲームみたいなことあるわけないですよね。

 

 完全にとばっちりだが、単純にリオレウスみたいな強キャラ雰囲気出してくる名前なのがキリト的にはなんか気に食わなかった。

 

 

 

 素手を扱うジョブらしく[規格外戦術機:白虎]を解除した後でもオイカッツォは動きが上手い。

 

 格ゲーがメインゲーみたいな動き方してる。

 ファンタジーなこのゲームでも対人に強い奴はいると日頃リィンにコロコロされてるキリトは知ってはいたが、素手のあの距離感の巧さはプレイヤースキル上位の上澄みなのではなかろうか。

 あれ、この間合いのとり方最近見たことある気がするな。

 

「うっわ、距離の詰め方いやらしい」

「十中八九武器種で間合いをすぐに切り替えられるタイプだろうな」

「さっきのロボットもそうだけど近接戦が上手いねオイカッツォ。でも破壊者(デストロイヤー)は流石に変態の所業」

「アレに遠距離決めたら気持ちよさそぉ」

 

 ……こわ。

 キリトは横で戦闘狂のような思考回路のユージオらのクランメンバーを見てすこし引いた。

 

 三人抜きしたオイカッツォ。

 シンプルにプレイヤースキルが高かった。

 

「でも次は無理かなぁー」

「修正前剣聖だからな」

「アレを倒せたらド変態PSと呼称してやるわ」

「…?」

 

 こちら側のクランがオイカッツォ負けたな、と声を上げる。

 まったくもってその理由を理解していないキリトは首をかしげるばかりである。

 

「次に出てくるサイガ-100は通称修正前剣聖。剣聖と言うジョブはシンプルに対人能力が強い事を証明するように、剣闘大会で10回優勝することで発生するクエストをクリアしないとなれないジョブなんだ。今は条件が緩和されたけど、彼女の圧倒的なPSは驚異そのもの。見栄えもするしで彼女のファンは沢山いるんだ」

「サンキューwikiジオ」

「ついでに言うなら従剣劇(ソーヴァント)って言う複数の剣をファンネルしてくる固有魔法を有していて、その剣の効果をすべて通常使用時と同じ効果として使用できるから厄介なのよね」

「サンキューwikiノン」

「私も修正前剣聖なんだけどシンプルに所有している魔剣の質に左右されるのもポイントかなぁ。あとMPめっちゃ食う」

「サンキューwikiファ」

「ファンネルはオート、マニュアルの切り替えが可能で【指揮剣】と展開して遠隔操作する【従剣】に分かれ【従剣劇】の熟練度で使用できる数が増えていく。一定の本数マニュアル操作できると変態の領域と呼ばれるぞ」

「サンキューwikiス」

 

 とりあえず変態的性能と言うことは理解したキリトは瞬殺されたオイカッツォを見ながらやべぇな、とつぶやいた。

 

 次がアーサーペンシルゴンと言う女性。

 へそ出し流行ってるの?

 いや、俺にも羞恥心くらいあるが?あるから着替えてるんだが?

 ……何と言うか、とんがってた頃の紗音を丸くしたような邪悪な笑い方をしていらっしゃる…あ、負けた。

 アレが勇者武器か。

 

 次に出てきた京極(キョウ・アルティメット)と言う少女の頭に生えた耳に謎の共通項を感じた。

 

「デカ、メロン!?リーファもどっこいでは」

「シノンさん、女性同士でもセクハラは成立しますからね」

 

「ノーコメント」

「ユージオはその理論で行くと農家だからな」

「ノーコメンツ!!!」

 

 番外戦術はいかがなものか。

 キリトはあえてレトロゲーで挑んできた紗音に同じ類の妨害を食らったことを思い出し頭を抱えた。

 

 

 盤外戦術空しく京極は敗れた。

 

「いや、私は壊したことないから」

「えぇほんとにござるかぁ~」

 

 ……従妹がセクハラされてる光景を俺はどんな顔で見ればいいのでしょう。

 これが彼らのいつもなのだろうが、キリトにはちょっと気まずかった。

 

 

 〇

 

 

「うわ、ツチノコハシビロコウだ」

「なんて?」

 

 なんとなく文字ズラからサンラクを指している言葉だとは思うのだが、あまりの奇抜さにその名前を挙げたシノンにツッコミを入れてしまう。

 

「彼、サンラクってプレイヤー。特徴的な変態スタイルに初期装備のはずの凝視の仮面使い続けてる上で、あまりにも目撃情報が少ないせいで捜索スレが立つほど。それでついたあだ名がツチノコよ」

「こないだユージオもめっちゃ探されてるプレイヤーって言ってたな…」

 

 なんて会話をしているとサンラクとサイガ-100の戦闘が始まった。

 

「上空奇襲式袋叩天誅とは」

「その名の通りだ」

 

 あー彼幕末もプレイしているのか。

 そんなことを感じながら彼がとあるロールをしていることに気が付く。

 

「富岳スタイル?」

「知っているのかキリト」

「アレは、アレだな。おそらく【龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極】の裏モードを攻略したことのあるプレイヤーに身に着くやつだ」

「え、かz――キリト君あれクリアできたの!?」

「現実ならともかくVRならできるだろ」

 

 サンラクの反射速度がやばい動きにキリトはそう反応した。

 リーファは察しがついているようだが、他の皆は分からないようなので簡単な説明。

 

 アレ、VRでもギリギリ苦勝が限界として設定されてるのに身につくわけないだろとリーファは引いた。

 逆説的に言えば、あのサンラクも裏モードを普通にクリアできるレベルと言える。

 

「えー、あのインベントリ操作できる?」

「必要に駆られればできなくはないですね」

「私は無理よ」

「私はドレッセリア頼みだな」

「ブラインド操作は耐久ゲーしてる時必須では?」

 

 ユージオの質問に対してリーファ、シノン、アリス、キリトの順で答えた。

 ユージオとシノンはえぇ…と気持ち引くような目でこちらを見る。

 

 ……え、寧ろ武器の耐久値足りなくなりがちな序盤に格上に挑むときどうするの?

 一合確殺できなかったとき武器の耐久値管理のため切り替えは必須技能では?

 

「対岸めっちゃ盛り上がってるね」

「せやな」

 

「えー、無尽のゴルドゥニーネ。覚えがあるかなキリト」

「ラビッツへの侵攻を続ける致命兎(ヴォーパルバニー)の宿敵」

「んーここに爆弾いるの忘れてたなぁ」

 

「焼き魚…」

「ハシビロコウ以外のマスクあったんだ」

「後眼鏡があるぞ」

「なんでキリト君知ってるの?!」

「俺がやった」

「えぇ……」

「眼鏡いるか?」

「いつからキリト君が眼鏡の回し者に…」

 

 エマさんが定期的にくれるんだから仕方ない。

 あの人は割と本気でシャンプロプレイヤー眼鏡化計画持ってるからな。

 

「あの詠唱めっちゃ、その、ユニークっぽくない?」

「ユニークシナリオタイトルあたりじゃないか」

「で、どうなんでしょうキリト氏」

「しらん」

 

「なんで5回も食いしばれるの、こわぁ…」

「いや、勝ったことに驚こうよ」

 

 

「あ、いやな予感するから俺撤収するわ」

「おつかれー」

「……厄介ごとってマ?」

「私たちも帰りましょうか」

 

 見るもんだけ見てキリトたちはさっさと撤収していった。

 




サンラク押し付け失敗!

アインクラッド攻略組、SAOに繋がる単語の言及失敗!

なおこの後ユージオだけ取り残されてアインクラッド攻略組も連盟の端っこに名を連ねた模様。
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