何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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チラチラ

「さて、何か言い分ある?」

 

 ディープスローターは目の前で正座する二人の顔隠しプレイヤーの前で仁王立ちし弁解があるかと問うた。

 

 トットリはエルフの皆とこちらを昼ドラを見るようなテンションで見ていた。

 

「いや、やっぱ誰だお前」

「そのくだりさっきいっぱいしたじゃん」

 

 あのナッツクラッカーがまともな恋愛()をしているだと…?とサンラクの頭には疑問が一杯。

 

 ちょこっと未来の記憶のあるサイガ-0もあのサンラク君への執着から一体何が…?と脳裏にフレーメン反応キャット。

 

「とりあえずここ最近サンラク君をネットで探し回ったのは謝る、ごめんなさい」

「あ、はい」

 

「特にこれと言ってこれ以上サンラク君に用はないけど、何かあったら……そう、サイガ-0さん経由でお願いしようかな。フレンド登録してもらえる?」

「は、ハイ」

 

 二人はなんだこいつら、なんて目線を向けられていることにひどく抗議したい気持ちであったが事実上特に言及する要素がないため、おとなしく聞いた。

 

 サイガ-0は目の前の穏やかな女性があのディープスローターと一致しないと混乱しながら目の前に現れたフレンド申請の承認ボタンを押した。

 

「まったく、こんな絶叫浴びたの久しぶりだよぉ」

 

 彼ピに余計な虫近づいて不機嫌になるのは分かるけどさぁ。

 

 

 目的達成、お疲れ様、じゃね。とその場で使い捨て魔術媒体(マジック スクロール)を開いて去るディープスローターをサイガ-0とサンラクは呆然と正座のままポカンとした。

 

 

「えっと……とりあえずさっき避難させた王族とエルフのとこ行こうぜ」

 

 

 5分ほど経っても一向に動かない二人にトットリは遠慮がちに提案した。

 

 

 

 〇

 

 

 新大陸の一角。

 

 ラビッツにて。

 

「聞いてよダーリーン!」

「よしよーしどうしたー」

 

 アヴァロンから出てきたキリトはディプスロのタックルを食らった。

 

「あの創流道場一回しか挑戦できないの?」

「スキル作成時にノーミスならもう一回遊べるドン」

「そう言うことかぁ…」

 

 キリトはディプスロの話を聞くと、因縁にリベンジ果たしたのだがどうにも自分が勝負に負けたよりも大きな悔しがり方をして気に食わなかったので創流おじさんの道場に行ったという。

 

 そこではオールドレトロゲームの様に「キミは君の流派を磨くと良い!」と固定セリフしか返ってこないという。

 

 再挑戦して難易度ゲロ上げしたかったよぉ!とわんわと泣く婚約者(仮)の頭を撫でながら、俺が挑んでくるスキル増やしておくから、と慰めた。

 

 ――なお、キリトが挑み成功すると難易度上がったのか?とリィンがextendの戦闘目当てで挑むようになるためどんどんとインフレしていくことになる。

 

「……と言うかよく来れたなココ」

「え、うん。ちょっと前にデカいの切ってたらしゃべるヴォーパルバニーに会ってね」

 

 曰く、大剣引きずるヴォーパルバニーからドロップした致命の剣で新大陸産のデカい奴にその武器オンリーで挑んでクリティカルいっぱい出して楽しくなったそうだ。

 

 で、拠点エリアで回復アイテム買いあさってたらしゃべるヴォーパルバニーに会ってこちらに。

 

「ここの闘技場でレアモンスと戦えて楽しかったよぉ」

 

 ラビッツ名誉国民の称号を得て度々こちらに遊びに来るらしい。

 

 そこで爆睡している兎がサンラクのエムルポジションの様なものなのだろうか。

 

「あ、彼がジーグル。ドラゴンマニア」

「……こう、アイルー装備付けたい感じだな」

「わかるぅ」

 

 どことなくふてぶてしいヘソ天して寝ている姿にある種の大物感を感じ、装備職を取るのも面白いかもしれない。

 

「あ、これ見てよ」

「ん?―――懐かしいな」

「まさかこうなるとは思わなかったよぉ」

 

 致命の剣にその時吹き飛ばした大きな鳥の素材と、ヴァッシュが取り出した謎の鉱物にて真化した姿だという。

 

 [兎雪【黄昏】]

 

 それは奇しくも向こう(アンダーワールド)で紗音が愛用していたその剣にひどく酷似していた。

 

「相棒感がたまらないよぉ」

 

 その剣にディプスロが頬擦りを始めたのでキリトはふとあることを思いだす。

 

「そういや俺のとあるバフで武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)行けそうだぞ」

「え、何それ!やりたいやりたい!」

「大技ブッパしても大丈夫そうで人目につかなそうな所……海上?」

 

「海、上?」

 

 とりあえず人力TASのお時間だ。

 

 ディプスロは頭に疑問符を浮かべながら近くのジーグルの鼻提灯をつついて破り、新大陸へ飛んだ。

 

 

 

 〇

 

 

 

「あの時の私は馬鹿だったかもしれない」

「なんて?」

「なんでもないよ」

 

 新大陸の人気のない適当な崖を降りて海上数キロ地点に来た二人は少し暴れて遊ぼう、なんてテンションで海上に出ていた。

 

 キリトが新大陸に来た時に教えてもらったシステム外スキルの水上移動方法をあっさりと習得したディプスロは、少しもたついていればスケートリンクで指導してもらう時の様なイチャイチャが出来ていたかもしれないと少し過去を憂いた。

 

 長時間このシステム外スキルを利用していたせいかディプスロがレベルアップした時にはこれがスキルになっていた。

 人力で行うよりはMPの消費は緩やかであるものの、回復アイテムを有していなければまともに運用は出来そうにない。

 

「と言うか体のそれって?」

「疑似改宗と言うやつだ。MP消費なしで海辺の自由な行動ができる」

「……ちなみにどうやって獲得したのかなぁ?」

「フィフティシアから新大陸に向かっている時にクターニッドのユニーククエストが発生してそれをクリアしたらもらえた」

「…ほんと規格外だよねぇ」

 

 ふと彼の姿を見る。

 

 煌彩幻奏覇道(ルミノ)装備と彼が呼称したその一式装備はプレイヤーメイドらしい。

 大きなジップパーカー、またはブルゾンか、とにかくオーバーサイズの上着の正面を半分開いてオフショルの様に。

 なのにしっかり首元は隠している。

 

 中にはクロスネックの推定背中をがっつり出しているシンプルな黒インナー。

 ラインの蛍光カラーが特徴的。へそ出し。

 

 そして下。

 

 何そのスケベなほとんど機能していないズボン……と言うかソックスカバーをガーターの様なもので吊っているような感じである。

 

 彼曰く友人の悪乗り、とのこと。

 

 ……キリト君の友人みんなへそ出しさせるじゃん。最高。もっとやって。

 

「あの好きで足出し、へそ出している訳じゃないから。スペックとビジュアル検討した結果これが一番均等取れてただけだから」

 

 ‥…公式イラストレーターが名義が違うだけで同一人物なのでそこからFGO衣装を作るのが楽しかった、とのこと。

 

 なんで全部女性鯖よりの意匠になった!?アレキサンダーもへそ出しだしよぉ!とキリト君はその友人にキレたらしいけど。

 

 なお、作成者の反論は「リアルが忙しいけどツイ捗った。反省は微塵もしていない。素材の後悔はちょっとしてるからプレイヤークエストよろしく」である。

 

 内約はFGO、BUNBUN鯖のなんか面白そうなの片っ端から。

 

 謎のヒロインX通常が一番まともとかバグだろ、と当然の様にキリトはツッコミを入れた。

 ヒロインXXが喧嘩売ってるだろ。「ロボ部分は無理だったのでパーカーと水着だぜ!」……殴りたい衝動がすごかった。

 

「……他も、見たいなー」

「俺の尊厳が消えるのでダメです」

「えー」

「どれも尽くフトモモかヘソがでてるのでダメです。征服換装時ならともかく……」

「ん?いまなんて?」

 

「あ」

 

 そのこぼれた言葉をディプスロは聞き逃さなかった。

 

 言葉の辻褄を照合させるとするなら、彼は性別変更可能な何かを有している。

 

 それは最近ちらほら観測され始めた征服人形に関わることだろうか。

 

 そこから導き出される答えは。

 

「―――つまり女体化アイドル!?」

 

「なーんでこんな時はいつもの三倍くらい思考速度が速いんだよ」

 

 今日の本筋に関係ないのでダメです。

 素気無く断られたが随分と素敵な情報隠し持ってたな?

 

「見たい見たぃ!」

「……海上で器用なシステム外スキルの無駄使い…」

 

 海上で駄々っ子の上にじたばたするディプスロを見てキリトはぼそりとつぶやく。

 

「女体化旦那様見たいぃ!」

「パワーワードが過ぎる」

 

 キリトは大きくため息をはいて「スキルブッパはどうするの」と言うとディプスロは「後日で!」と今日一番の大声で回答した。

 

 キリトは格納鍵インベントリアのウィンドウを表示させてルビーを取り出した。

 

「ヒャッハーシャバですねぇ!」

「それ出るたびにノルマあるの?」

「え、無いです。……って、そこでスッゴイ器用なことしてる方は?」

 

「嫁です!」

「……婚約者(仮)だ」

 

  ディプスロの元気な返事記録更新。

 え、どっち――変わりませんね。とりあえずマスターの番と言うことで記録します。

 

 

「キリトくぅん、それって明らかに…その、魔法少女のステッキだよねぇ?」

「へい!ルビーちゃんは規格外戦術機の特異製造法で生成された特殊品ですよ!マスターを魔法少女マジカル☆キリコにするのもお手の物!」

「ヨシ――やっちゃえルビーちゃん!」

 

「何がヨシなんだ、なにもよくはn――ちょ、なっ!なにをするだァーッゆるさんッ!」

 

 キリトは一向に修正されない誤植ネタの様に必死に回避しようとしたが、抵抗空しく征服換装。

 

 ルビー使用時の初期状態に移行した。

 

「抱いていい?」

「ディプスロさんっていつもそうですね…!私のことなんだと思ってるんですか!?」

「え、やば、かわ…」

 

 光に包まれ、変身したキリトが現れるとディプスロは条件反射の様にセクハラしたが、余りにも可愛いリアクションを取られたので情緒がどっかいきそうになった。

 

 へそ出しだァ!

 

「……冗談はここら辺にしておきましょうか。これがご要望の魔法少女形態です」

「もしかして口調補正がデフォ?」

「そうですね。リスポーンするまでこの状態なので積極的には使いたくない、と言った所でしょうか」

 

 え、一ミリも冗談は言ってないんだけど、とディプスロが思い浮かべながらも清楚な口調になったキリトに質問を投げると、正の返答が帰って来た。

 

「つまり、ルビーちゃんその状態解除できる?」

「了解でーす」

「何故この一瞬の間に仕様を把握しているんですか。ちょっとした恐怖です…」

 

 再度パッと光に包まれ、キリトは女性アバターのまま先ほどのパーカー装備に変わった。

 

「髪型も結構変わって何度でもおいしい……」

「…逆に考えてください。今全部味わったら後の楽しみがないな、と」

「――はッ!」

 

 あ、このままだとシャンフロでお着換えコースが発生すると察したキリトは、あほな理由でそれを阻止しようとする。

 

「ぐぬ、ぐぬぬぬぬぬ―――」

 

 そのアホなセリフはディプスロにだいぶ効いた。

 

 

「せめて、せめて一番エッチなの見せて!」

 

「見せる訳がないでしょ」

 

 おそらく一番きわどいヒロインXXの第三再臨衣装は彼女に見せることはねえな、とキリトはため息をはいた。

 

 黒竜双剋Ⅰ(クロス:1)装備で妥協してもらった。

 妥協してセーラー服とは…?

 




・イラストレーター同じならええやろ理論。

 ヒロインX系 j・P作
 Xオルタ系  イーオン作

 名称は宝具由来。
 再臨によって見た目が変わるものはナンバー表記。

 XXの初期及び第二再臨のがっつりメカ以外はBUNBUN鯖の衣装は高水準でお出しされた。
 流石にヴォーパル魂要求されるものよりはやや劣るが、プレイヤーメイドに恥じないスペック。
 再臨が上がるにつれて性能もよくなるのでキリトはぐぬってる。

 要望のキャスター衣装?

 トネリコ衣装が用意されました。
 あとアルキャスの最終再臨イラスト由来の奴。

「オーダー通り露出は下がっただろう」
「せめて第一なら受け入れられたッ!」

 やっぱり悔しいレベルで性能はいい。
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