何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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感想誤字報告感謝茄子

・このルートは紗音ちゃん大勝利ルートだから、とだいぶ好き勝手し始めてます…ユルしてクレメンス。


10/7(1)

 10月6日

 

 和人がユートピア社から帰宅したのは日付が変わる少し前。

 

 午後3時頃にユートピア社にお邪魔して随分と長い事話をしていたことになる。

 

 そう考えると少し腹が減って家までの道中、マックでドライブスルーに寄ってビックマックを齧りながら帰宅した。

 

 健康に悪いなぁ…。

 

 

 家の玄関を開けると、何やかんや見慣れてきた女性用の靴。

 彬茅紗音の物で、バランスの関係からハイヒールを履けない訳ではないが安全を考えるとローファーかブーツに落ち着くと言っていて、可変式だから靴のサイズに困らないのは利点、なんて言っていたか。

 

 個人的には安全性求めるなら車椅子とかでも問題ないと思うのだが「あなたの横を歩くなら立っていたい」なんて言われたらこちらからは何も言えん。

 

 できることと言えば安全性のアップグレードだろうか。

 

 前提として大体のことを器用にこなすから、下手な補助機能は邪魔とさえ言われる。

 

「何とも頼もしい事で」

 

 マックの空き袋をキッチンのゴミ箱に投げ、シャワーを浴びて雑に髪を乾かして部屋に向かった。

 

 どうしてこうも技術の進歩が進んでも髪を乾かすのが楽にならんのか。

 

 個人的にはスキンヘッドが一番面倒じゃないと感じるのだが、紗音にギャン泣きされて程々の短さを維持している。

 

 何なら理容師の資格でも取ろうかなんて言っていた。

 冗談に聞こえないってふっしぎー。

 

 和人君相手にやる分には資格要らないからいっかなーなんて言ってやめてたけども。

 

 一時期は研究室に引きこもってたからだいぶもさもさになっていた時もだったな。

 年の割にやや幼い顔立ちは少し気にはしているんだがな。

 髭が殆ど生えてこないのは面倒くさがり屋にとっては利点かもしれない。

 

 脱衣所に常に着替えを置いている訳ではなく、精々洗濯機から上がった下着くらい。

 

 裸族の気はないんだが。

 

 

 自室のドアを開けると真っ暗な部屋の中に丸く丸まった布団。

 

「帰ったぞ」

 

 その言葉に反応してか、布団が少し動いたので起きていると見ていいだろう。

 電気を付けながら布団を引っぺがす。

 

「ぷ、プレゼントは私…的n―――既に戦闘態勢!?腹筋割れてりゅ!?」

「アホなこと言ってんなぁ…」

 

 布団を引っぺがすと何を企んでいたのかだいぶきわどい姿の紗音が居た。

 

 ……ネグリジェの下で器用に秘所を隠してリボンを巻いているような何というか二次元でしかその発想はないだろう、なんて光景に直面した時人は思いのほか冷静になれるらしい。

 

 和人は半裸なことを忘れ、普通に対面してしまった為か、それともスタンバイしたは良いものの引っ込みがつかなくなって羞恥に見舞われたかのどちらかだろうが顔どころか全身が赤い。

 後[坊]はまだ起動してないんだが。

 

 プチサーバーを含めた電子機器だらけなので和人宅は常に空調が効いているとはいえ、風邪をひく時はひくんだが。

 

「据え膳と言われればやぶさかではないけど、明日遊ぶのに支障が出るから次の夜に頼む」

「――ヒェ」

 

 数時間前に聞いたおっさんの驚嘆とは比較にならないほどの可愛らしい声が聞こえた。

 

「俺の誕生日を祝ってくれるんだろう?」

「ひゃい!」

「バカな男に免じてあったかい格好してこい、今日は抱きしめて寝るから」

「き、着換えましゅ…」

 

 なんでこの婚約者は時々自分から攻めてくるのにこうもあっさり返り討ちにあうのか。

 

「悪いな。あとただいま」

 

 そう言ってまるで癖のないサラサラした髪を撫でながら自身も着替えるためにウォークインクローゼットに向かう。

 

「お、お帰りなさい」

 

 蚊の鳴くような声で絞り出されたそのことがやけに胸をあったかくした。

 

 

 〇

 

 

 

 和人は割としっかり寝間着に着替えるタイプだ。

 

 在宅ワークで家にいることも比較的多いため、自宅でもオンとオフの切り替えに適していると何かの雑誌で見たような気がしてそれ以降は気分の切り替えも含めてしっかり着替えるようにしている。

 この服装の時は気を抜いていてもよい。そういう切り替えだ。

 

 それが結構長い事やっている習慣であるためか、寝間着になるとだいぶ気が抜ける。

 

 再び自室に戻るとまた布団に籠った塊が。

 

 和人は特にためらうことなく再度布団を剥ぐ。

 

「……俺にも理性と言う物がだな」

「今日は着替えこれしか持ってこなかったの!」

 

 ネグリジェの下がリボンからちょっと攻めた下着に変わっただけで、大きな変化はなかった。

 

「なら風邪ひかないようにあっためないとな」

 

 和人は紗音をぐっと引き寄せ抱きしめると流れるように布団に倒れるように、寝た。

 

「(……ここでお預けはないでしょ!?)」

 

 流れるように寝に入った和人に紗音はここまで来て?!と言う心境と、ここまでお疲れになるくらいお仕事頑張ったんだな、と言う感情がごっちゃになった。

 

 少なくとも現実で彼が抱くと明確な意思表示をしたのは今回が初めてだったと思う。

 VR、と言うかSTLシステム内ではまぁそれなりの年頃的な行為はした訳だが。

 偏に紗音自身が過度な耳年魔で当時は性癖がだいぶ荒ぶっていたこともその主因かもしれない。

 

 あれは攻略した報酬の一環、そう。そう言うことにしておかないと私が只の淫乱になってしまう。

 

 ……現実に戻ってからはだいぶ健全なお付き合いである。

 まぁ、紗音自身の肉体上の健康問題とか色々なことがあったから仕方はないのだけども。

 中身が少しやんちゃなところもあるが基本的には冷静で堅物なところがあるのである程度の形式的な進行度がなければ手を出さないのは目に見えていたけども。

 

 つまり、彼はしっかりと形式の進行を考えてくれている、と言うことになる。

 

 ……あの時の様な事になったら私の体は耐えられるのだろうか。

 否、耐えられるような体になるようにだいぶ調整してるから大丈夫、な、ハズ…。

 

 本人曰く、健康的にゲームをするために最低限鍛えているだけ、と言う肉体は本人の申告とはだいぶ異なるしっかりとした体つきだ。

 本格的に体を鍛えているような競技者のそれではないが、腹筋がしっかりと見えるほど引き締まっている。

 

 少なくともあの時よりベッドヤクザ度も進行していそうである。

 

 今日は明日に……すでに今日かも知れないがそれに備えるためにしっかり寝る選択肢しかないことを悟る。

 寝心地のよさそうなポジションに移動しようと少し身じろぎしつつ、彼の心音が聞こえる位置に移動すると、自分でも驚くほどあっさりと眠りについた。

 

 

 〇

 

 

 朝、和人が目を覚ますと腕の中には紗音。

 

 位置的には胸のあたりに紗音の頭頂部が見える。

 

 ……昨夜、酔って帰った覚えはないが少し記憶が怪しい。

 

 だいぶ疲れていたのだろうか。

 これに関してはアクセルリングの確認……あぁ、装備してねぇわ。

 

 まぁ、大丈夫だろう。

 

 起き上がるにも腹あたりに手を回されているので彼女が起きるまでは二度寝かな。

 

 ……この状態だと寝顔が見れないのがちょっと悔しいな。

 

 

 

 程よい温度を感じながら、少しばかり幸せを噛みしめた。

 

 大体アクセルリングを付けていない時は無意識にベッドボードの上に置いているので見ることもなく適当に動かしていると、あった。

 

 首に嵌め、昨日の出来事を思い返すとシャンフロのだいぶ濃い話を聞いた。

 物語に関わりそうなことはシャットアウトしたから大丈夫なはずだけども。

 

 継久里からメールが来ていたようだ。

 要件と言えば昨日の去り際の鉄の城の話について。

 表に出す気になったら色々と聞いてみたい、と。

 

 表に出すようになることあんのかなぁ…。

 

 俺の勇者が、紗音がクリアした鉄の城はアンダーワールドにAIの暴走で出現させたある種別物で、ある種本当に作りたかった世界でもある。

 

 その時は鉄の城の雲の下にはたまたまアンダーワールドがあっただけ。

 

 

 今もALOとアインクラッドの結合や、そこらへんにGGOの銃文明を突っ込むのも破天荒感あるお祭りゲーの様な気分で悪くはない、なんてシャンフロをプレイするようになってからそう感じるようになった。

 

 妖精が重火器振り回して魔法で現代兵器を防ぎきったり、ファンタジー物質をSFの塊で切ってみたり、なんて。

 

 そんなもんを作ろうと考えるとゲームソフトの内部を最大限広くしても物足りなさがあるのでサーバーを用意する必要があるんですねぇ…。

 

 お陰でゼムリアに発注して組んでもらったサーバーに似たスペックのサイズダウンサーバー設計してミニエモンのおいてある家に作っちまった。

 

 部品発注は最小限、ところどころ自分で削り出したり、基盤のラインの通電排熱効率の設計してみたりしてるからまだ誰にもバレてない、ハズ。

 

 設定調整の企画はベースエンジンが同じだからさほど苦ではないのだけど、シャンフロのAI見てると、やりたくなっちゃうじゃん、新規システムAI。

 

 パワーバランス考えると、とかAIをうまく使うシステムの組み込み考えると0から始めたくなっちゃって……ゲームの種とは別規格のエンジンが出来上がった。

 ゲームの種が3DSだとすると、新しいエンジンはPS5くらいのデータの重さになったけどだいぶ自由度上がったんだよねぇ…。

 ある程度の互換性はあるからちょこちょことした情報構築はゲームの種で作るんだけど。

 新しいエンジンに名前を付けるなら、Floraシステムと言った所かな。

 ガーデンだとアヴァロンが脳裏をよぎるから、植物群の意。

 

 自分でもだいぶ馬鹿なことをやっている自覚はある。

 

 楽しいし、誰にも迷惑かける訳じゃないからええやろの精神。

 

 頑張って守ってくれよ[家守のミニエモン]。

 ま、知らん奴がつついたらその瞬間自壊するようにできてるんだけども。

 

 プロジェクト:プラモはFloraシステムのプロトタイプ系型落ち版、と言った所。

 あのままロボットビュンビュンだとちょっと処理に問題起きそうだから仕方ないネ。

 

 この間ゲームの種システムから一瞬でゴロっと変えちゃったけど拡張性と処理能力上がっただけで基本変わってないから平気……だよな?メンテと言ってがっつり作業止めた状態だったし、セキュリティも強化したし。

 

 色々ストーリーモード(仮)でその機体のエピソード絡めたモノ、いくつか作ったからあとでこんなんどうっすかーしに行くかなぁ。

 唐突にゲーム一本分のソフトぶち込んでも受け止めてくれる。

 それがFloraシステム。

 

 

「おはよう」

「お、おはよ…」

 

 

 ゲームの種でファンタジーチックな重火器を作成していると腕の中がもぞもぞと動き出し始めたので、挨拶をする。

 

 ちょっと寝起きのたれ目気味な目が可愛いなおい。




・お祭りゲー
 高度に発展した重火器ヒャッハーな大陸と魔法と妖精の大陸がなんか行き来できるようになったみたいだ ▽
 その大陸の上空には150層の鉄の城が浮かんでいるね ▽
 各層の直径が倍になってるからサイズ感狂い過ぎて空から生えてるようにも見えるよ ▽

Q.自慢の城が壊れたらどうする?
A.強化版が出る。


・Floraシステム
 初期名称:ガーデン機関。
 ゲームの種で作成したゲームをシームレスに結合を行う事が可能。
 NPCのAI性能がゲロ上がり。必要なサーバー処理能力もゲロ上がり。
 UW産の物の性能を落とさずオンゲー規格に落とし込んだヤベー代物。
 流石に色々と制限は掛かっているけども。
 プロジェクトプラモAIは自重されているがシャンフロNPCとさほど変わらないくらいのリアクションは取ってくれる。
 勝手になんかいい感じのゲームバランスにしたりイベントが生えてくるよ()

 今の所、完成品のFloraシステムお披露目の機会はない。
 STLと従来のVR切り替えが可能とか言ってのける。

 なんでこんなものが…?
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