何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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アヴァロン・ドラゴン

「……運び方と言う物があるんじゃないですか?」

「私の知ったことではないわ」

 

 キリトは一つの茶番(・・)を終わらせ、アヴァロンへ訪れていた。

 ……確実に手に入れられないもののためにちょっと面倒なことをした気がしないでもないが、墓守のウェザエモンに勝利したのは彼らだけだから仕方あるまい。

 まぁ、こちらのウェザエモン情報は流さないがな。

 これくらいの仕返しは許されるだろう。

 

 いつものようにラビッツの開けた広場からのインである。

 

 アヴァロンに入った瞬間闇に飲まれリュカオーンの影にパクッと食われて吐き出されたら本体の前だ。

 

 

「えーっと、また……ですか」

「まぁ、そんな感じ。遊びよ」

 

 

 随分と消費カロリーの高い遊びですね(半ギレ)

 

 

 今回はリュカオーン本体によるリュカオーン影の操作方法講習会。

 そんな講習を受講したお陰か小型犬サイズのミニオーンを召喚できるようになった。

 ……黄色のアレと紛らわしいな。

 

 

 本体と剣戟繰り広げながらミニオーンをまるでドックランのコースを走らせるように操縦という鬼畜練習である。

 マルチタスク必須じゃねぇか。

 

 第二段階でミニオーンでリュカオーンの攻撃を避けながらこちらの攻撃も避けて反撃。

 ……両手で三角と丸を別々に書く動きで並行思考を鍛えようみたいなのをいつだか見た記憶があるが今は左手でRX-78、右手でシャアザク書いてるような気分。

 

 第一段階はまだピカチュウとニャース同時に書いてるくらいの気分だったのにこれはひどい。

 

 俺の利点は高速思考であって並列思考じゃねぇんだわ。

 ちょっと加速の応用で片方づつ進めるを超高速で切り替えてやってるだけなんですよ!

 

 紗音のほうがこういうの得意だと思うの。

 

「下手ねぇ…」

「並列思考苦手やねん!」

「の割には器用にこなすから一周回ってキモイわ」

「ひどい言われよう」

 

 必死こいて攻撃を避けていたらこの言われようである。

 

「はい、侍の“大時化”」

「久々に見ました!?」

 

 リュカオーンの背後の闇から無数の狼の腕が現れて大時化を放ってくる。

 

 えー、ユニークモンスターがユニークモンスターの技使うのズルくない?

 アヴァロン暇すぎて技術交流会がたまにある?

 

 なにそのおっかないの!

 

 ……えーっと、とりあえずウェザエモンが少し手加減してくれたのは知っていたが、さらにヤバいの持ってる訳?

 

「そうそう、あの侍は機械使い始めてから本番よ」

「oh……」

 

 やっべーなにそれめっちゃ楽しそう。

 

 ちょっとSTLにいる間の4年モンスターバッサバッサ切って来たけど、知ってる敵の強化形態って心躍るよね。

 

 テンション上がって来たなぁ!

 

「じゃ、今日の最後のお遊び、捕食よ」

 

 そんなテンションのあがったキリトを見て何を思ったのか。

 

 そう言ってリュカオーンが手遊びで動物の顔の様なものを作り、大きく食べるモーションをすると、キリトの半身は消し飛んだ。

 

 

 それを認識するとキリトはステータス的に幸運で僅かに残ったHPが消える前に『こんなイメージか』と手でもぎ取る様に、空の手を閉じた。

 

「やるじゃない、じゃオマケ」

 

 自身の後ろ髪の一部をバッサリと飛ばされたリュカオーンはもう一度大きく食べるモーションを取り、キリトはデスった。

 

 

「起きましたかマスター」

「あー、おう」

 

 さりげなくアヴァロンでの初デスである。

 

 通常状態の男の姿に戻っているのを確認すると上体を起こす。

 なんかナチュラルにでてきているアインスに膝枕をされていた。

 

「ここは…」

「アヴァロンに入って来た初期位置になります。ここでHP全損すると初期位置に戻されるだけで大きな損失は無いのでご安心ください」 

「この状態は?」

「なんとなくですね」

 

 ……紗音チェッカー発動しませんように!

 

 そう願うと再度周囲が闇に。

 

「グルゥ」

「ども…」

 

 キリトはまた食べられて本体の前にポイされて、リュカオーンの小夜を貰った。

 

「お前の番に使うなり好きにすると良いわ」

「……お、おう」

「情報源これね」

「ども!」

 

 キリトは二の句を告げられないまま、外にポイされた。

 

 ……やっぱコイツ自由度高すぎない?

 アヴァロンで長い事とびまわっていたとしても、だ。

 

「……ルビー俺そろそろ怒っても良いかな」

「えー?奥様のケモミミ見たくないんですかぁ?」

「見たい―――ㇵッ?!」

「これが天才の仕事ってやつです」

 

 やっぱ自由過ぎるだろ。

 

「アインス、とりあえずルビー捕獲しておいてくれ」

「らじゃー」

「え、あ、ちょっとマスター!?」

 

 ……これで安心か?

 

 

 〇

 

 

「だろ!」

「ふむ、その者に会えぬことが残念だが実に良い勇者だ」

「すっごい生き生きしてますね」

 

 キリトはその次に向かった【守護者のジークヴルム】と大変盛り上がっていた。

 

 初手、英雄トークしよぜ(意訳)だったのでキリトはノンストップで語った。

 …3時間くらい。

 

 とても楽しかったです()

 

 ではそれに見合った〈魔王〉でなくてはな、と実力テストとして龍法律(ノートリアス)と言う特殊状態下で魔王ムーブをすることに。

 

 ええ、ちょっとテンション高いまま魔王をやりましたとも。

 

 結果?

 [ジークヴルムの天]

 またアクセサリースロットが埋まった()

 レベルキャップ開放したからまたエフュールのとこ行けば増えないかなー。

 

 [ジークヴルムの天]

 

 覇天と語り合いし者に渡された友の証。

 最強種が預ける力の一端を行使するための物。

 魂に刻み込まれたその証は解くことはできない。

 

・勇者的行動を取るものは積極的に戦闘を選択する。

 

・天候:晴れの時:疑似改宗状態[天覇]となる。

 

・装着した時点でアクセサリースロットを一つ消費する(取り外し不可能)

 

・一部NPCに対して畏怖をもたれる。

 

・疑似改宗状態[天覇]ではない時このアクセサリーは耳飾りとなる。

 

 

 疑似改宗状態[天覇]時に龍法律[激突](ノートリアス・ノヴァ)を使用することが出来る。

 

 効果時間5分:相手は可能ならば必ずブロックする。

 

 要はそのまま攻撃を受けるか、防具もしくは武器で受けるか、パリィするかを選択させられる。

 回避殺しのひどい効果である。

 

 

 他には、龍法律[勇傑](ノートリアス・ブレイブ)

 

 効果時間15分:[英雄作成]の効果時間の延長、効果拡大。

 

 ……ぶっ壊れかな?

 魔王、魔王ポジなのに勇者求めてやがるぅ…。

 

 

 龍法律[魔ゐ](ノートリアス・ヴルム)

 

 ……そのうち使う時があれば……ないと良いな(希望的観測)

 

 

「向こうの我とは戦えぬがまぁ、良いだろう」

 

 英雄ではなく魔王だしな、とさらっとまたユニークシナリオに絡めない発言を受け、キリトは膝を着いた。

 

 まぁ、それだけの恩恵受けてますけど!?

 

 でも挑めねぇのは悔しいので。

 

「ジークヴルム、それはそれとして強敵には挑みたいから受けてくれるだろ」

「――よかろう」

 

 ひとまず、こちらのジークヴルムと本気でやり逢うことにした。

 

 

 〇

 

 

 キリトは現状後一つしか空きのないアクセサリースロットをどうにかできないか兎御殿のエフュールの元へ訪れた。

 

「あらぁ、不思議な霊穴できてはりますなぁ」

「不思議…?」

「キリトはんの食いつぶされ取る霊穴の脇に小っちゃいのがあるんよぉ」

 

 曰く、殻を破った開拓者には6つ目の霊穴が現れるというが、キリトは大体食いつぶしている影響か、何か特殊なマナの流れをしている関係で食いつぶした霊穴の脇に0.5霊穴とも呼べるものが現れているという。

 つまり現在潰している霊穴は4か所

・格納鍵インベントリア

・リュカオーンの夜

・クターニッドの環

・ジークブルムの天

 

 6つ目の霊穴と4か所分の0.5で3つ増えた。

 

 5つ目の霊穴と6つ目の霊穴と追加の3つ、つまり後5つ装備できると言うことだな。

 

 増えたぜやったね!

 

「ちっさい霊穴整えるんものすごぉく大変なんよぉ」

「ここに色んなモンスターの素材と4億マーニあるんだけど、お願いできる?」

 

 エフュールが遠回しな催促をしてきたので、当然の様に物量でキリトは押し切った。

 

「あらぁ~これは頑張らなあきまへんなぁ」

 

 キリトの物量に目を一瞬点にしたエフュールはすぐにニコニコと眼鏡をかけて霊穴を整えてくれた。

 

「でもぁ流石に貰い過ぎてしもうたわぁ」

「多分、と言うか想像したくはないけどまたアクセサリースロット潰しそうな予感がするからその時、少しサービスしてくれるとありがたい。今日の所は持ってってくれるかい」

「そうですかぁ?そう言われたら断れへんわぁ」

 

 そう言うとエフュールはキリトの出したものを店の奥にしまい、ひとつのドールを持ってきた。

 

「よぉしてくれはるお得意さんに、サービスどすぅ」

 

 こないだオーダーしてくれたんちょっと面白くてなぁ、自分でもそれっぽいものつくってみたんよぉとなんか未知のイケてるSDロボのドールをくれた。

 

「こちらの名前は?」

「そうどすなぁ……[ランスロット・シフル]とでもしておきましょかぁ」

「すっごく良い!最高!」

「そう褒められると気分いいわぁ」

 

 まさかこんな所で未知の発想に出会えるとは思わなかったなぁ!

 

 フルスケールモデリングしたいなコレ。

 

 キリトは何も言わずに一億マーニをエフュールの前に積んだ。

 

 なお彼女は混乱したが、これ系の作ればええんどすなぁと解釈した。

 

 

 NPCによるデザインから派生したボスロボット[Fシリーズ]が作成されることが決められた瞬間である。

 




・Fシリーズ

 エフュールデザインのSDロボを和人がフルスケール解釈して作成されたロボット。
 
 プロジェクト:プラモのストーリーモードに登場が検討されている。

 後に継久理に確認を行うが雑に「え、いいんじゃない?」と許可が下りたとかなんとか。
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