何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
無事これが投稿されるとき、私は今年の仕事納めの準備をしていることでしょう。
……なんで年の瀬の最終週に急に仕事が増えるんですか(半ギレ)
結婚生活5日目。
月曜日の段階で正式受理が確認された婚姻届けではあるが、婚姻関係を結んだと判断されるのは婚姻届けを役所に提出した日曜日になる。
これと言って大きく日常が変わる、と言う訳でもないくらいには紗音はあっさり馴染んだ。
今日から毎朝みそ汁作るぜ、とか気負う訳でもなく作ってくれる人が要るなら安定してていいよねーと門河女中に流れるように炊事等の家事を投げている。
流石に門河女中に有休等を与える際は頑張るとのこと。
まぁ、アンダーワールド時代に色々やったしなぁ。
基本はイベントごとやたまに腕が鈍らない程度に夜食と称して料理をする方向だという。
無理をしないのが一番で、それを叶えるだけの収入はあるからヨシ。
ベットは一つで良いよねーと寝室共同、趣味部屋別スタイルを取ってる。
……空いてる部屋あるからいいけどさ。
現在マンションの角部屋の和人宅ではあるが隣の部屋は空き部屋である。
と言うかそのワンフロア自体空きなんですけども。
そこに門河親子に住んでもらって、勤務時間内と非常時にこちらに来てもらう形を取っている。
まぁ、金があったのでマンション買い上げちゃえと言う精神でこの建物自体が和人の所有物だったりする。
まぁ、誰に言う訳でもないんだが。
そこから家賃収入だのなんだのがある訳だが、そこらへんは専門の方雇用してぶん投げている。管理?彬茅関係の不動産部門の方。
まぁ、マンション買った方が情報の保護的な面で難癖付けづらいからって言うのもある。
彬茅義父からの結婚祝いもマンション一棟だった時は金持ち怖いとしか言えなくなりましたね。
俺も金持ちの部類なのに。
普通部屋を押さえておいたよ!と言われたらどう頑張っても最上階ワンフロアとかのオチだと思うじゃん。
一棟だよ……財閥こわ。
総工費とか聞きたくない大変ご立派なマンションデス。
ワンフロア気軽にサーバールームにできる?怖いからしないですぅ…。
数年住んで一戸建て立てるか…?
今考えても仕方あるまい。
その時一番いいのを考えよう。
そう考えると今の状態で安定すれば大変過ごしやすい。
……ワンフロアぶち抜くか?
なんてことを考えながら「美人さんの体を私の料理で作れる…!」と謎の方向に楽しんでる門河女中の作った朝食を取る訳だ。
……普通に美味い上に栄養バランス言う事ねぇから何も言えねぇな。
「あ、明日の夕方真登香ちゃんこっち泊まるってさぁ」
「兄より先に義姉に連絡か」
慣れるの早すぎない?
紗音から、和人くん今忙しいからってこっちに来ただけだよぉとフォローが入る。
「門河の料理浴びせる前に私の手料理で餌付けしなきゃ」
「ほどほどにな。そう言う訳で門河さん明日の夕食なんだけど」
「買い出しのアッシーはお任せください」
「……紗音、予定は立てておいてくれ」
「はーい」
だ、大丈夫だよな?
〇
木曜と言うことで在宅ワークのハズなのだが、やる仕事はゼムリアにあるので車でビュン。
門河さんが送りますよ、とウキウキで申し出てくれたが運転中は仕事のことを一旦脇におけるんで、とやんわり断った。
…並列思考の練習がてらやろうと思えばできなくはないが危険なので自動運転に乗ってる時以外はしない。
紗音が酒飲める年になったらお願いすることが増えるかもしれません、と告げておいた。
門河さんはお嬢様ももうそんなお年に……これからは奥様とお呼びしないといけませんな、と涙ぐんでた。
ゼムリアに着くと、もはや顔パス。
入館証どころか管理キー渡されているほどである。
……それでいいのかゼムリア。
ま、二重認証なんですけどね。
「ティオさんおはようございます」
「おはようございます博士。UI関係の整備もだいぶ進んでいます」
「それは良かった。あ、ストーリーモードの番外的なノリでちょっとしたもん作ったんですけど……やりまs――」
「やります」
食い気味ィ。
ティオさんこと水橋小鞠さんともだいぶコミュニケーションが取れるようになってきた。
ロボ全般がめちゃくちゃ好きだという。
と言うかゼムリアの社員は大体メカか戦闘が好きだという。
格ゲー的なの用意した方がいいだろうか?
プロジェクト:プラモが落ち着いたら聞いてみるかな。
〇
「はい、本題ですが。正式名称となりましたプロジェクト:プラモのPR動画を作ります」
「……俺いる?」
『要る』
午前中、ゼムリア社員が間を見つけては遊び倒しているゲームデータから改善できそうなところのフィードバックを進め、なんか慣れてきた食堂で蕎麦をすすり、午後一会議室に呼び出されてこれである。
社長の安賀多ティータ、広報部エースの鈴傘夕菜、役員の八葉アリサ他数名に囲まれつつ和人はボソリとつぶやいたら全力で要る判定を食らう。
「と言う訳で、皆さんこれよりP:PのPRコンペを開催します!」
コンペに強制参加って訳さ!
まぁ、作るだけなら好きだからいいんだけども。
と言う訳で和人もだいぶ悪乗りをしつつ、10分前後の尺に収まるように作って来た。
ゲーム内機能で録画機能作ろうぜ!と言う話になってコレである。
まぁ、元からJGEのスペースが決まった時から流すようなものを作らないといけないからいいんだけども。
……あれ、これ運営の仕事じゃねぇの?
「え、本職?」
「メインはVR機器開発ですよー」
なんか、トリに回された和人が作成してきたPR動画を再生したらこのリアクションである。
「と言うかナレーションやたら声のバリエーション豊か過ぎない…?」
CVが特定しきれない悔しい、とアリサがつぶやく。
転生者CV特定しようとしがちになるのわかるけども。
「ナレーションは妻がノリノリでやってくれました」
「そっかそっか、妻かぁ―――妻ァ!?」
「あ、そういえば言ってませんでした。えー私、鳴坂和人数日前に入籍しました」
「いやいやいや、そう言うのはもっと早く言いなさいよ!?」
流石に新婚ホヤホヤに振り分けるのはちょっとためらう仕事量、と言われる。
「まぁ、妻もJGE関係で忙しいのは承知の上での入籍でしたのであまり気にしないでください。中途半端になる方が嫌ですので」
「そ、そう?」
それにしても……あれ、婚約者の誕生日プレゼント考える話からまだ一ヶ月くらいじゃ…?アリサは訝しんだが幸せそうなので野暮なことは言うまいと決めた。
「じゃ、遠慮なくどんどん仕事進めましょうか。仕事の話に戻るけど…PR動画、博士のクオリティーがやばいので会場ではこれ流しましょうか」
「あ、妻は一般人なのでナレーション差し替えはお願いします」
「承知したわ。この会社、良い声の人多いから大丈夫よ」
広報のユウナとか原作時空だとピンク髪にCV.〇山とか言う最強コンボよ、とアリサはウキウキで告げた。
……何だろう、こう…CVからあふれ出る負けヒロインフラグ(失礼)
「ちょ、アリサさん髪色今は関係ないですよねっ!」
「ごめんなさい、こうCV的にピンク髪が合わさるとどうしてもセットで言いたくなってしまうのよ、この現象…」
わかるわ…(CV)
「それはともかく弊社の広報では実際にPR動画で実際にナレーションを行っている人もいますのでご安心くださいね」
「安心しておきます」
「それはそれとしてクオリティが高いので食堂で流しますね」
「!?」
……安賀多さん、急に刺すやん。
「冗談です。――他のPR動画、特に2‐4も悪くはないのでもう少し画角に拘って再撮影で良いでしょうか。同一動画を流し続けるのもありだとは思いますが列がえげつない事が予想されますし、複数パターン用意しましょう」
『異議なし』
ちゃんとまとめてくれるやん。
「あとショート尺も作りましょうか。流石に博士に過重なことさせられませんので……あ、博士コンテあります?」
「あるけど」
「ください」
「はい」
周囲からむしろ何ができないんだ?との声が聞こえてくるけどスルーだスルー。
できないこともたくさんあるんだからな!?
「……もしかして録画機能後からアングル編集とか需要有る?」
「え、寧ろ作れるの?」
「と言うかこのPV作るのにあったら便利だから作ってあるから実装できるけど」
「お願いします!」
「ただ、一回そのエリアの情報を切り取って保存するような形だから戦闘時の撮影機能として実装はデータ容量莫大になるのがネックなんだけど…」
「神かな?」
「違うが?」
VRのデータだからできる無茶振りである。
記憶領域拡張の部品発注リストも用意しておく。
「よく仕事できるって言われない?」
「ゼムリアの資本力が強いからできる提案なだけですよ」
自分でやらなくていい工程をひとに投げつけるに慣れているだけです。
……この流れもしかして、制作中にいくつか作った超限定的機能も需要有ったりする?
まぁ、聞かれない限りそっと封印するんですけど。
なお、この人たちJGEまでマジで動画投稿サイトにゲームの情報漏らすとか全くしない。
〇
「ん、確かに持ってるが」
「流石、ちょっと準備出来たら刷りたいものがあってさ」
ド深夜なら人に遭遇しないがモンスターには遭遇するちょうどいい時間帯なため、ちょっと隣でGGOにドはまりして居る妻を置いてシャンフロにインするとイーオンがインしていたので『印刷所持ってる?』とドストレートに伝書鳥を送ってみると、こっちこいと言われたのでニーネスヒルに飛んだ。
「―――スゥ、爆弾ボックスか貴様は」
「違うが?」
で、目的を言ったらコレである。
「で、いつ発表だ。管理会社が必要か?用意しよう」
「しないが?」
こいつ揺すったら無限にゲームとか憧れの機能零しそうだなオイ。
イーオンは静かに震えた。
流石に友とは言えそこまでのことはしない。
本人がゲロったらすかさず拾う程度だ。
「まあいい、既に個人で遊ぶように記憶にある限りは刷ってある。青眼は3枚だけとかと言うネタはなく……そうだな、とりあえず全種8枚づつ送り付ければいいか?」
「総重量何キロやねん」
「少なくともトン単位だな」
「置き場ァ…」
さらっと金あるオタクのイーオンは既に刷ってました。
「それはそれとして、ソリッドビジョンは欲しい。カムラか?」
「俺個人の玩具システムですぅ……」
「そうか、手が空いたら頼む。個人的な遊び場として遊戯王会館がある、そこに設置してほしい」
「会、館?」
さらっとヤベー金持ち発言が零れ落ちてきた。
まぁ、今すぐじゃなくていいならやるけども。
キリトはやはり今まで出会った中の金持ちの中でも確実に上から数えた方が早いタイプの金持ちだと察した。
「気が付いたときにはパチ☆戯☆王がTCGとして出回っていたからな。乗っ取るのも面倒だから知り合いの転生者や身内で遊ぶ用に建てた」
「あーやっぱりそう言うのあるよね。俺もVRポケモン作ったら既に世にパチモン出ててさ権利関係めんどくさくて戸棚行になったし」
「さらっととんでもない爆弾を落とすな」
……超人気コンテンツ出てきた、え、さも当然の様に覇権取れるクオリティだろ?
俺あのパチモンですっごいがっかりした覚えあるもん。
イーオンは天を仰ぐがシミ一つない天井しか見えない。
「今ではAR空間で妹をブイズで埋めるくらいにしか使われてないけどね」
「何つう贅沢空間」
「VRの方が毛並み拘ってるが?」
「やはり貴様を爆弾ボックスと呼ぶのは間違いではない」
「ラノベ風に言うなや」
俺だってガブリアスのサメ肌撫でて出血してぇよ。
イーオンはパチモンのコレジャナイ感を思い出し、嫉妬で血涙を漏らしそうなほどである。
まぁ、そんなものあったらポケ廃の血がうずいてリアルが大変なことになるので隠居の段取りが付いたら頼み込むとしよう。
「と言うかキリトお前あのARスポーツはなんだ」
「シガラミ☆案件」
「身内に要るのかアレ関係者」
「居ないが?さっさと出て来いよさすおにと何度も切れながら作った。と言うかなんで知ってんの」
「学校法人関係者」
「金持ちつおい」
まぁ、あれだけ魔法科高校の劣等生内の競技がまとまっていればそんなことの一つは言いたくなるだろうよ。
「柵でもなければ表に出す性格でもなかろうに」
「奥さん娶るのに分家とか親戚筋関係がねぇ……利益で殴って黙らせたけど」
「……なんだ、貴様ついに結婚か」
イーオンはさっと記憶を漁る。
確かに嫁に貰うより婿行する方がよっぽど現実味ある相手である。
「と言うか数日前に入籍しました」
「…新婚でよくこの時間にゲームができるな?」
いくつかの含みがあるが“あのディープスローターを娶ってこの元気、だと!?”がメインである。
原作知識のあるイーオンとしては√入りしたら即
夜のスターバーストストリーム(意訳)しているとでもいうのか!?
「妻は隣でGGOエンジョイ中」
「何!?どこだ、どこでリリースされている。RwH6ではこう、物足りなくて弾道予測線を浴びたい、と言うかライトセーバーもとい光剣振りたい」
「あ、我が家のローカルゲーなんだ。すまない」
「なんだその豪華すぎるローカルゲー」
クッソうらやましい。
イーオンが女だったのなら押しかけ女房も辞さないレベルだ。
まぁ、今世では普通に奥さんが居るのでそんなことはしないが。
「と言うか、あれだ。結婚おめでとう」
「ありがとう」
「結婚祝い何がいい、大体用意できるぞ」
「金持ちこわぁ…」
「貴様も金持ちの部類だからな?」
「根っこは中流階級やぞ」
キリトは“欲しいもんは基本自分で手に入れる主義だからなぁ”とあまりにも強い発言をくらうが、確かに正直わかるとイーオンも強くうなずいた。
「あ、そうだ。ランナーデータぶち込めば出力できる家庭用プラモ製造機を制作したがそれでいいか」
「……アレ、作ったの?マジか」
「と言っても光造形の速度と精度を突き詰めただけだがな。パッケージングまでは出来んが、ランナー状態まではできるし、サイズ感もVRチェアとさほど変わらん」
「神か」
「貴様ほどではない」
放っておけば自分で作り出しそうなものだが。
まぁ、この交友に置いてこの程度安いプレゼントだろうに。
宝石渡したら自分で指輪作りそうな気配すらある。
こうしてイーオンは家庭用ソリッドビジョンを。
キリトは家庭用プラモ製造機と莫大な数のカードを手に入れることとなった。
株式会社ゼムリア
社員のあだ名洋風になりがち