何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
そろそろ除夜ゲロの季節ですね(震え声)
『おーい、とんでもない劇物作った
「応答一言目がそれでいいのか…?」
一応社会人、平日の日中は仕事をしている。
いつものようにレクトのオーダー品をサクッと片づけて、オーグマーの改修アプリケーション開発を進める。
チマチマ進めていると電話がかかって来た。
八葉アリサだ。
『あのストーリーモードについて弁解ある?』
「楽しくなった」
『楽しくなった結果なんで宇宙世紀再現してコロニー落としまでやってんのよ!?』
「遊びやすいようにチャプター分けしてあるじゃろ」
『違うそうじゃない』
GBNリスペクトで作成したのだがアカンかったか。
「おけ、今度消しとく」
『違うそうじゃない』
…?
『……電話越しにアホ面晒してるのは分かったわ』
「失礼でない?」
『後チャプター分けしてあるお陰で社員をVRから引っぺがすのが大変楽。ありがとう』
「どういたしまして」
『って、そうじゃなくて完全にあなたのオリジナルであろう番外の方よ』
「ああ、そっち」
対戦やビジュアルを楽しむのがメイン機能ではあるものの、ゲームとして発売するのだからとストーリーモードの作成を行った。
自分の機体でその世界に入り込む方式
その世界観の機体を徐々に構築していく方式の2パターンだ。
メインストーリーのエピソード:1として一年戦争あたりのストーリーをチャプター分けして実装した。68-83くらいまで。
ボッチにも優しい仕様。
グランドクエストとして【VSアムロ・レイ】【VSシャア・アズナブル】等も実装予定。
で、ツッコミを食らったのが番外。
和人が「色んなロボと戦いたいやろ」の精神で色んな作品のロボとパイロットAIをショートストーリーでまとめたものだ。
機体はだいぶ違う物で言わばバースが違うから無茶しても良いだろうという思考でとんでもないものが出来上がっていた。
『あの機体とか見たことないんだけど!?』
「ビジュ、良いだろう?」
『ええ、とてもね!』
お陰でそのプラモキットだせーと社員に突き上げを食らっているという。
「あー、Fシリーズ以外は良いんじゃないか」
『そのFシリーズに集中砲火食らってるのよ』
Fシリーズ、正式名称エフュールシリーズ。
シャングリラフロンティア内のNPC、エフュールの作成したSD風味のドールを和人がフルスケール解釈をしたものになる。
著作権の関係は、現状AIの作成した物の利権はその大本のシステムの利権者に帰属している。
そのため、シャングリラフロンティアを運営するUESの頭こと継久理創世に問い合わせを行った結果「え、別に好きにして頂戴。それを作った子が納得してるなら私から、UESからは何も言わないわ」とのこと。
なので、エフュールに問い合わせた所「別にいいどすえ?おおもとキリトはんのデザインやし」と、許可が下りている。
「でもプラモ化すると、色々なフレーバーテキストが厚くなるので…」
『……作家でもする?』
「これ以上仕事増えたら爆散しちゃう」
やろうと思えばできるが、家庭を持った身なので!
STL的加速で作れ?
STL結構疲れるねん…。
『まぁ、世界観設定を守りたいのは分かるわ。とりあえずフルスクラッチしておきなさいと言っておくわ』
「助かります」
フルスクラッチで営利目的に使用しないのならまぁ?
ないなら作れはオタクの嗜みみたいなところあるし。
前世のアイデアパクって構成している身では何も言いませんとも。
『あと、スッゴイうちに都合よさそうなドーム建設プロジェクトが進行してるの知ってる?』
「知らん知らん」
和人はそこまで言い切って脳裏にふと一つの可能性が湧く。
『あの大蔵グループが静岡の沿岸部の一部の土地の買収に動いてるらしくて、どうにもその規模観がドーム建設っぽいの』
「……シラネ」
あんにゃろうやりやがった!?
ファイターズ的な不思議粒子はないんですけど、うちが作ってるのダイバーズ的な方面なんですけど!?
プラフスキー的な粒子見つかってませんからね?!
え、ファイターズ的ARシステムも作らなきゃダメ?
流石に直動かしは出来ないけどARとVR合わせたMR的表現は出来るから(震え声)
突貫仕事にならないように準備するかぁ。
『間があったわね』
「多分JGE終わったらスポンサーとか協賛で名乗り上げてくると思うから…」
『やったな?』
「大蔵の上の方の人がロボ作品の原作掲載出版社の株握っとるだけやで」
『あーそこから漏れた感じかー』
……すみません、俺の口からポロりしました。
一番口が軽いの俺説ない?
『ま、一般に情報が流れてないならいいわ。目ざとい趣味人はそういう事するし』
「お、おう」
カムラの営業から風の噂程度に聞いたんだがスワローズネストとUESがなんやってるらしいんだよなー。
時期的にネフィリムホロウ2関係なんだろうけど、MR被りとか勘弁してほしいぞ?
まぁ?技術力勝負と聞いたらさらに上の物だすが?
〇
ふと仕事をしながらそう言えばとなんやかんや忘れていたことを思い出した。
「アインクラッド、既に世に出てるゲームだったらどうしましょうか」
既に上位グレード()を作成した上に、昔作成したSAOはシャンフロに比べて0.5世代は表現が落ちてしまうので今更出してもなぁ感は正直否めない。
それでも、自身の誕生日に起きたSTLダイブを経て少しは表に出すのもありかも?と思っている所。
カテゴリ的に、今ではレトロゲームを楽しんでいたおっさん世代がニッコリな感じになってしまうしなぁ。
シャンフロ慣れした今の人達にスキルに引っ張られることとか、硬直時間とか受け入れられるのだろうか。
っと、それは置いておいてシャングリラフロンティアに存在するユージオが所属しているクラン:アインクラッド攻略組。
名称的にソードアートオンラインが舞台になったのが原作説が出てきた所でもある。
AIに資料収集補助を行わせながらちょっと調べた。
「アーガス社、ソードアートオンライン。約5年前のVR世代のゲーム…か」
アーガス社の代表:茅場晶彦が世に送り出したが激動の時代に埋もれて行った作品。
フルダイブが世に知れ渡り始める中、フルダイブ以前のVRシステムで作り上げた100層のダンジョンを攻略するゲーム……。
「完全に被ってる。世に出したら訴えられるのわかりきっとるやん」
よし。SAO封印!
シャンフロ内でキリトを釣るためにつけられたアインクラッド攻略組と言う名称は、奇しくもSAO開発者茅場の存在を認知する結果となったものの、既に世に出とるやんけと和人に認識される要因となった。クラン名をKOBにしておけばこうはならなかったかもしれない。
なお、アーガスによって世に出されているSAOはフルダイブが加速し始めている中で出された既存のVRとして一瞬にして埋もれていったゲームであり、アーガスは今もフルダイブ技術のバグゲーにならないようにフルリメイクとして世に出そうと頑張っている。
旧式VRのSAOが世に出される頃、それは和人がフルダイブSAOを完成させていた頃でもある。
また、重村教授経由でライブ関係のシステムを依頼しているのもアーガスであることも和人はまだ知らなかった。
後にこの酷いすれ違いを知った茅場は泣いた。
〇
「ひと狩り行かない?」
「それは……何で?」
「シャンフロに真なる竜種とやらがいるみたいでねぇ?海上を特定の人数のパーティーで移動しているとランダムエンカするんだってさぁ」
「よし、行こう」
「ここに便利な盾もいますが」
「海上を歩けるようになってから。話はそれからだよ」
「くっ」
自宅で夕食を取っていると、紗音にそんな提案を切り出された。
へぇ、俺でも狩りにいけそうなドラゴン、居るんだ。
その提案に秒で乗った和人。
それにつられるように声をかけてきた門河女中。
門河女中、シャンフロしていたので?
普段は聖女ちゃん親衛隊に属している?
左様で。
断絶の大海にてドラゴン狩りと洒落込むことになった。
……海上なら大技ブッパしてもいいよね?