何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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あけおめ

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竜よ.4

 

「鳴坂博士、こう……パワードスーツとかそういった方面はどのようにお考えでしょうか」

「あー、今作ではあまり考えてなかったかな」

 

 翌日、和人は最近訪れる回数の多いゼムリア社を訪れると八葉アリサに責任をぶん投げられた人こと安賀多ティータに笑顔で詰められていた。

 

 パワードスーツ、大雑把に言えば生身に機械を取り付けて機動力やパワーを手に入れる生身の人間に近い状態の物だ。

 

 確かにそこにも一定以上の需要はあるだろう。

 

 腕にごっついアーム付けてレーザーキャノンとか、クソデカいメカメカしい機械振り回したいとか。

 

「シャンフロにもパワードスーツあるし、作れそうな施設示唆されてるんですよねぇ」

「ですが自由度ではこちらの方が圧倒的有利ではありませんか?」

「せやな」

 

 俺が作ればの話だがなぁ!

 

「まぁ、一応プロジェクト:プラモでもパワードスーツで動き回ったり鑑賞楽しんだりは出来ますが…」

 

 一応、プロジェクト:プラモ内でも美少女プラモと呼ばれるカテゴリーに対応するためのシステムは組み込まれている。

 

 ただ世界観とパワーバランス的に個人設定エリア内では戦闘ができるようにはしているものの、公式大会や企画での拡張性の狭さが安賀多社長的には御不満らしい。

 

「美少女プラモばっかり優遇して!私だって自分のアバターでパワードスーツや小型規格のロボット動かしてバトルしたいんですよぉ!」

 

「あーそっち」

 

「雑!あまりにも雑!」

 

 美少女プラモ売った金でゾイド作る企業とか自社コンテンツプラモ(アイドルマスター)化企業とか、そっち系の需要を優先しまくったなぁ…。

 

「欲しい感じですか」

 

「すっごい欲しいです」

 

「サーバー、増やしてください。これ以上現状の内部コンテンツ増やし過ぎるとプレイヤーの枠が死にます。ただでさえ現状プレイヤー数100万人程度の縛りにしてるんですから、クレームが大変なことになりますよ」

「くっ、先行投資費銀行から……いや、プラモ屋からもぎとり……そうなるとなんか変な優先権寄越せとか言ってきそうですし…」

 

 現状、クソデカサーバーや各地の土地確保の関係で会社を存続させる類いの金はだいぶ枯渇気味らしい。

 

「……個人的な宛てとして、と言うかJGE終わってからにしてくれと釘を刺している化け物みたいな金持ちが居るにはいるんですけど、変な勘繰りとか投資界隈から謎の注目受けそうなんで現状は止めています。一応システムの方は作っておくので実装はそれ以降ですかねぇ」

「え、何それ怖い」

「本人は金を出しても口は出さないタイプで純粋にゲームをしたいタイプの人間なので多分大丈夫です」

 

 まぁ……クオリティに問題があれば詰めてくるだろうが、現状中々の仕上がりになってきている。

 大丈夫なはず、ハズなんだ。

 

「……では、システムの作成は進めてください。うちも周辺の土地もうちょっと買っておくので」

「……UESレベルのクソデカサーバー建てる気ですか?」

「3000万人とは言わないけど最低でも500万人くらいはいける…はずだから!」

 

 さらっと博打しようとしてるやんけ。

 

 集まるかなぁ、そんだけの規模。

 

 そうなると店舗大変なことにならん?

 

 まぁ、ゼムリア社の領分だから知らね(責任転嫁)

 

 

 

 〇

 

 

 

 紗音は昨日の無念を晴らすようにGGOにて殺戮者(スローター)しに行ったのでキリトはあのヤベードラゴン一撃で吹き飛ばせるような必殺技欲しいなぁとシャンフロを散策していた。

 

 キリトは連続技を多段ヒットさせているような戦闘スタイルのため、重い一撃と言う物と相性が悪かった。

 

 心意システムが有ればゴリ押しできたのになぁ…。

 

 そんなことを考えていると青い鳥アタマと遭遇した。

 

「……何その正座」

 

 遭遇直後に滑らかな正座をされた。

 一緒についてきたらしいエムルちゃんも正座…は難しいようなのでお行儀よく座った。

 

「質問です!」

 

 正座からの綺麗な挙手で質問と言われる。

 ……アバターの動きからなんとなく若そうだなぁとは思ったがここまでこの動きが様になると彼は学生、高校生くらいだろうか。

 

「質問による」

「あの道場ってほんとに攻略できるのでしょうか!」

「回答としては出来る。こないだの金曜日もクリアしたからそれは確実」

 

 サンラクから飛んできた質問は以前、旅狼と顔を合わせる起点となった際に出した情報である創流おじさん道場の話。

 

「……コツとかぁ」

「しっかり正確な動きを……と言うかEXの方か?」

「そっちの方です」

 

 そっちか。

 

「端的に言うと、EXはクリア者が増えれば増えるほど難易度が上がる」

「その仕様、初耳なんですけど」

「特に聞かれなかったからな」

「あ゛ぁ゛ああああああああ!?道理で挑むたびになんか知らない挙動すると思った!と言うことはアレか?作ったスキルをいいとこどりして連発してくるクソボスってことか?!」

「概ねそうだな」

 

 クソクエじゃねぇか!

 

 サンラクはシャンフロを始めて何度も口にしたワードを大きな声で吠えた。

 

「――いや待て、キリト氏アレ、クリアできるの?」

「ああ。作るスキルをメタ目線と使用しやすいスキルで考えれば割と簡単だぞ」

「それが出来ないんじゃい!」

 

 …?

 

 できるかできないかだとできる話なのに、とキリトが首をかしげるとサンラクはキレた。

 

「これがアレか“空飛びたいです”“大胸筋を鍛えましょう”案件か!?」

「ちょっと何言ってるかわからない」

 

 こうもサンラクはブチギレで居るが律儀に正座はしたままである。

 

「プレイヤースキルを磨きましょう。話はそれからだ」

「……え、裏技的なモノとかないの!?」

「そこになければないですね」

 

 そんなぁ!欲しいスキルを手に入れることが出来るはずなのに手に入れられる気がしないこのもどかしさと言ったら……。

 そんなことを考えているとサンラクの脳裏に電流走る―!

 

「―――欲しいスキルをキリト氏に代打で作ってもらうにはどれくらい積めばいいでしょうか!」

 

 何も自分で作らなくても作れる人が居るなら頼めばいいじゃないか、と。

 

「え、メリットないからやだ」

「そこを何とかぁ!」

 

「残念ながら好感度が足りません」

「ピザ案件かよぉ!」

 

 キリト氏攻略とか無理ゲーでは?サンラクは訝しんだ。

 

 当のキリトはピザ…?と首を傾げた。

 

 それはさて置き、泣き伏せるサンラクを放置してキリトは火力探しの旅を始めた。

 

 

 〇

 

 

 一つ、たどり着いたのはスキルの練度を上げてレベルアップしてスキルを進化させること。

 

 それをするにはとにかくスキルを使いまくって熟練度を上げなくてはならない。

 

 ……またあの無限モンスター製造マシーンを探さないといけない感じ?

 

 キリトは半月ほど前に海底都市のコロッセオ的な所で遭遇した、ボスキャラが適宜頭おかしい攻撃をしてくるが慣れればそこまで苦ではない、あのモンスターを思い出していた。

 

 キリトの保有スキルは[バフ]が殆ど。バッファーだからね。

 スキルレベルが上がるタイプのスキルは殆どない。

 

 なのでスキル結合しても大きな戦果は考えられないなぁ…。

 

 となると、花を集めよう。

 

 【ウィンズ・オブ・アヴァロン】

 

 キリトがレベルキャップを開放した際に生えてきた、花の魔術師の固有スキルと思われるスキルだ。

 

 人類が存在し続ける限り存在するアヴァロン、その地へ運ぶ花探し。

 

 その効果は自身の手でアヴァロンに持ち込んだ花の数だけ倍率の変わるバフ。

 

 神代以降に生えてきた惑星ユートピアに自生する花であることが重要だ。

 

「ひとまずサードレマか」

 

 ペンシルゴンよりまとめられた花に関するクエスト群を思い返し―――

 

 

「あ、そうだ。ウェザエモンに相談しよう」

 

 

 最初に花を手にすることとなった秘密の花園、そこからウェザエモンにたどり着く。

 

 一撃一撃が即死レベルの火力の鬼であるウェザエモンに、なんかいい感じの手段がないかを聞いてみることにシフトチェンジした。

 

 花は、後で探そう。

 

 この男の悪い所は割と急に違う方向のことに注力することかもしれない。




今年は緩い更新頻度でやっていくぜ…()
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