何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
連休オワタ……仕事...ハジマル...
『晴天流……ですよね?』
「晴天流だ」
キリトがリヴァイアサンのとあるエリア、中心部裏面とも呼べるそこで勇魚が作成したという魔改造の影がちらほらと見えるモンスター勝ち抜き戦をこなし、30連勝を達成した所。
勇魚に先ほどまでキリトが使用していた流派についての疑問が上がる。
『当艦の記録に貯蔵される晴天流と大きく乖離したものになります。これ2度目ですからね!?』
「…ぬん」
そう、それは晴天流かと聞かれるのはこれで二度目。
アヴァロン産の晴天流と創流道場産の晴天流で暴れた結果がコレである。
「ちゃんと疑似改宗は行ってないだろ?」
『それとこれとは別問題です。破壊力、破壊力が怖い。……あれですね、現状当艦がご用意できる最上位出しても無駄な気がしてきました。と言うか上位から出していたはずなのですが…』
キリトは、勇魚が花の魔術師の暴れ具合で現文明の開拓者のレベルの齟齬を起こしていたなどとは夢にも思わない。
「おーい、こっちはジークヴルムキャンセル食らったからもうちょっと暴れたいんだけど」
少しは歯ごたえあったもののユニークモンスター狩っちゃうぞ精神だったため、些か物足りなさをキリトは感じていた。
『勇魚の高度な判断により……花の魔術師様にはクリエイトな方面でその鬱憤を晴らしていただきましょう』
「お?」
『前:花の魔術師様がご使用していた専用ラボにご案内いたしますね!』
へぇ?
ゲーマーでクリエイターにそういう事言っちゃうんだ。
へー。
キリトはちょっとクリエイター魂に火が付き、暴れたい欲求は収まった。
クリエイト欲、クリエイト欲がすごい。
……このシステムコンソールから管理者権限ハッキング出来ねぇかな。
サラリととんでもないことを考えながらキリトは勇魚の後に続いた。
その後、勇魚は前:花の魔術師を参考にした結果の判断を少し後悔することになる。
〇
『現:花の魔術師様には当艦に存在する勇魚クリエイトモンスターをすべての種類を討伐した際に送られます[工廠:自由製造改修権]を付与します』
曰く、本来アンバージャックパスLv.4を入手していればプレイヤーメイドの戦術機や神代の武装たるレガシーウェポンの製造が行えるという。
リヴァイアサンのモンスターを討伐するごとにポイントが付与されそれを対価に様々なことが出来るとか。
既にアンバージャックパス:FREEを有しているキリトにさらに何を付与するのか。
他のプレイヤー以上の精密なデザインを行う権利である。
聞いたところによると他のプレイヤーも図鑑コンプリートの様な形で討伐を完了すれば与えられるという権利だそうだ。
鍛冶職要らずのリヴァイアサン産の
一号付与者と言うことでちょっと機能多め。
ガワが自由にできるだけで中身の構成は一般プレイヤーの最大値と変わらないらしい。
今後付与される人はどんどん制限付きになっていくとか。
……だいぶズルしてる気分だな。
「本当に倒さなくていいのか?」
『シリーズの最大派生は討伐されていますので、生産スピードの関係でお辞め頂けると…』
そんな感じで勇魚ストップがかかったので気にしないことにした。
キリトはキャスターが使っていたというラボ、ライセンスによる転移装置でここまで移動が可能だという。
そこにはキャスターがデザインしたらしいFate寄りのデザインの武器が一杯転がっていた。
収納、収納。
「あ、銃」
キリトが見つけたのは一発装填のロマン銃ことトンプソン・コンテンダー。
「勇魚、此処で銃作れんの?」
『はい、製造可能ですよ!』
ホー。
ホー?
「材料は―――」
『リヴァイアサン内外、生産ライセンス範囲内等自由にご使用ください』
そうなれば、作りたい銃なんて山の様にあるに決まってるよなぁ?
「製造プロセスについて教えて欲しい」
『承知しました』
キリトは勇魚の製造チュートリアルを受け、さっそく生産を開始した。
「勇魚ー、もうちょっと画面のレスポンス上げられない?」
『疑問:花の魔術師様、貴方本当に二号人類でしょうか?』
「慣れたらこのくらいできんだろ」
『えぇ…』
勇魚はとにかくものすごいスピードでデザインが作られていく数々の銃を目じりに、後1日くらい与えたら当艦のすべてのデバイスの量を超えるのではなかろうか。
そんな思考プロセスが走る。
かつての時代でもここまでUIを高速で操作したものは居ただろうか。
キリト的に許せる範囲としてGPU不足のグラフィック処理遅延が起きていないことだが、項目を進めたりする際の僅かなラグが煩わしかった。
『花の魔術師様、ご提案なのですが、このデザインの中から特殊仕様として景品にさせて頂くこととか可能でしょうか?』
「んーと、こっからここまでは良いよ」
そして勇魚の感想としては「これ、開拓者を釣ることが出来る!」であった。
一定以上の購入を行った開拓者に隠れ装備として第四殻層「機舎」で注文できるプレミアカタログの生成を決断した。
「あ、そうだ。こういうデザインの杖作りたいんだけどいける?」
『―――勇魚に1本分の生産権を頂ければ……5本まで可能とさせて頂きます』
「よし!」
キリトは勇魚にとある提案をした。
エーテルリアクターの概念とメカ具合、自由にデザインできる権限。
それから導き出される答え。
ベルカ式のカートリッジシステムをエーテルリアクターに置き換えたレイジングハートを作るしかないよなぁ?
完成したそれをキリトが征服換装状態でテスト運用した際、UES社の魔法少女狂いが激しくテンションを上げ、世界観的にどうなのよと僅かに疑問を持った吟遊詩人を説得したことをここに記す。
「規格外武装:収束機構型【コメットカタパルト】のチャージ機能がカートリッジタイプに置き換わっただけです!さほど変わりはありません!デザインがとても好き!」と。
疑似再現:スターライトブレイカーを目撃して彼は昇天した。
その多複数生産された5本限定プレイヤーデザイン収束機構型遺機装が存在できたのはとある社員の圧倒的趣味によるものである。
なお、勇魚に提出されたのはグラーフアイゼンであった…。
完成したレイジングハート再現機の名称は『規格外遺機装:
勇魚にリヴァイアサンデザインではないのでキリトさんの名前にしておきましょうと提案されたが全力で拒否した。
リヴァイアサン、お前が管理局だ。
その後、格納鍵インベントリアの機能編集でドレッセリアのような機能を追加したり、アインスの出入りが自由になる設定変更等を行った。
『……格納鍵インベントリアのデザインも行いますか?』
「え、やって良いの?」
『先ほどと同様……とはいきませんが、同一のデザインを作成させて頂いて問題がなければ3種作成ごとに一つお渡しすることが出来ます、と前置きは着きますが』
「え、全然やる」
ふと勇魚に腕輪型以外の格納鍵インベントリアの別種のタイプのデザインを作らないかと言う提案が有ったため、キリトはノリノリで引き受けた。
プレイヤーのオークションや目立たない仕様のアクセサリーとして忍ばせれば面白そうという遊び心である。
キリトは知る由もないが最上位パスの必要なエリアに未使用状態で色々な格納鍵シリーズの廉価版が隠されていたりする。
つまりは、そのバリエーションの追加案件である。
どうせなら、変身アイテムっぽいベルトとか作ったろと言うキリトの遊び心によってシャンフロ特撮クランは発狂することとなる。
勇魚に「どういうものか?」と聞かれて「悪の組織と戦うヒーローの変身ベルト」と答えた結果、特殊強化装甲としてそのデザイン、強化装甲用武装が一点もの作成され、やはり特撮クランは発狂した。
主に入手難易度の高さによって。
勇魚の説明により、その効果エフェクトビューを見て意地でも手に入れると大変なことになる未来は存在する。
どうあがいても魔法少女のステッキにしか見えないもの、デリンジャーサイズの銃の外見のものなども生産された。
多分ここに居たら無限に時間を潰しそう。
そう思ったキリトはゆっくりと立ち上がる。
その姿を見て管理AIたる勇魚はどこかほっとした表情を見せたのは気のせいだろう。
なお、次回から生産制限が設けられた。
それでも十分すぎるほどの権限ではあるのだが。
「問題の……問題でもないけど、最深部に案内願えるk―――」
その時、リヴァイアサンが大きく動いた。
『現在BC-ビーコンにより信号を受信しましたので当艦は急浮上を行っています』
「あー表に出るのね」
『はい、受信した信号がレガシーモードによる起動信号でしたので各層式にエリアが分れることになります』
「‥…俺が最深部行くの、もうちょっと落ち着いてからの方がいいか?」
『いえ、今すぐにでも移動可能です!』
……急かすやん。
『はい、此処がリヴァイアサン中央殻層:叡智、開拓者がたどり着くべきエリアとなっています』
勇魚に案内されたそこはとても小さい。
変動前のリヴァイアサン内部を見た所、バカでかいサイズであるとは思ったが、このエリアはとても小さい。
体育館くらいのサイズ感だろうか。
『こちらの台座に触れて頂き、50の資料を閲覧することで最後のアンバージャックパスを付与することとなっているのですが、花の魔術師様には関係のないお話ですね。あなたが向かうはその裏です』
「裏?」
キリトが疑問を浮かべるように首を傾げた瞬間、床に飲み込まれる。
沼に落ちるような感覚に近い。
そうして地面からどざえもんの様に生えてきたキリトは床から―――叡智のエリアから頭を引っこ抜くようにそのエリアに躍り出た。
「引力どうなってんの」
『この程度容易い事ですよ』
勇魚曰く、真珠型に変形したレガシーモードは外核からどんどん中央に向かう方式だという。
そのため、外壁にくっ付くように引力が作用されるそうだ。
キリトがたどり着いたそのエリアは大変狭い。
学校の教室くらいの空間の中央に一つの盾が置かれていた。
……え、マシュの盾やん。
『こちらが花の魔術師の引継ぎ物の一つである、7つの最強種が集ったことのある円卓を加工してできた盾になります』
特級呪物ぅ!
『所有者にシールダーと言う特殊ジョブが付与されます』
キャスターさん!? 何やらかしてるんでしょうか!?
『と言う訳で現時刻より、今代の花の魔術師の所有物となりました!』
「わぁ…」
キリトは心に少し涙を流しながら、その盾を受け取った。
『そして、果ての―――花の魔術師についての資料はこちらをご確認ください』
キリトは勇魚に案内されるまま、盾が置かれていた台座に手を触れた。
「――――」
花の魔術師、お前は――。
キリトはその現れたウィンドウに書かれた花の魔術師についての資料に目を通した瞬間、このジョブのヤバさを再確認した。
「はぁ…こりゃ、残りの二つも早めに熟さないとなぁ」
『ふふ、勇魚も本当の意味で花の魔術師を継承したあなたにお会いできる日を楽しみにしていますね』
キリトは資料に目を通しながら、そう遠くない未来に現れるレイドモンスターと言えるで有ろうそれに備えるべく、早急にアヴァロンを攻略することを決めた。
この瞬間、場所は違えど備えなくてはならないことを新大陸のプレイヤーは知ることとなった。
・円卓の盾
[繋ぐ七つの大樹(ローアイアス)]をフルパワーで発揮するために使用するシールド。
そんな厳重なことしてどんな攻撃を受けるんだろうね()
デザインはマシュの盾。
ゲロ重いのでSTR強化必須。
召喚システムは――――。
ベヒーモスの引継ぎ物にはとある剣があるよ()
そのセットを見るとヴァッシュが
「時はもうすぐってことか」
とか言い始めるかもしれないよ()
・ジョブ:シールダー
盾カテゴリーを持つときに体感重量補正が掛かる。
防御関係のステータスも。
シンプルに盾を打撃武器のように扱うスキルも生える。
・花の魔術師の秘密①
√を間違えると人類の敵になるよ。
本編は勇者系ヨッメがいるからならんけど。