何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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ご都合主義!
ご都合主義ですわ!

なので唐突に修正してもゆるしてクレメンス。

誤字報告感謝です
これは意図的やねんってもの以外は反映させていただいてます

ここすき機能を(ほう、そういうのが好きなのね)と作品の方向性探るため活用されますのでよろしければやってやってください。

本日の予約投稿分1/3


兎のドン

 

 翌日は在宅ワークデー。

 朝食時に真登香からシャンフロにはメール同期サービスがあることを聞き、さっそく設定をし、プレイを開始した。

 情報の機密性はしっかりしているようなのでまぁ、いいか。

 和人はそこらへんで怒られたらさっさと隠遁してしまおう。

 そのくらい緩いノリがこの男である。

 

 

「リィンさんとの約束は週末だし、次の町へ探さk―――」

 

 キリトの脳裏に一筋の電流がはしる。

 

「……上空開けたとこ見つかってねぇじゃん」

 

 いよいよドン詰まりになるまでwikiは見ない主義のキリトはついに手を出すことになってしまうのか…?

 

 そのときふと閃いた。

 昨日の行商人なら何か便利な地理的なことを知っているかもしれない。

 NPCだしそこらへん言いふらしたりしないだろう。

 

 そんな軽いノリで昨日の行商人とエンカウント。

 開幕ライブスタイドサーモンをあげてご機嫌を取り、聞いてみた。

 聞いてみただけのはずだった。

 

「お、昨日のお客さん。また来てくれたん?」

「ああ、さっそく釣って来たよライブスタイドサーモン」

「……はやない?」

「気のせい気のせい。鮮度は良い方がおいしいだろ?」

「ま、ええわ。ライブスタイドサーモンと引き換えに何が欲しいん?」

「開拓者の眼につかない上空が開けたとこってない?」

「はぁ、随分とマニアックな条件や」

「ちょっとアヴァロンに移動するのにね」

「アヴァロンな……アヴァ!?」

「はい、お口にチャック」

 

 まだ朝の9時前ではあるが人通りは決して少なくない。

 こそこそと会話をしていたと言うのに、大声でもあげられれば面倒だと口をすぐに手でふさいだ。

 落ち着くまで塞いでいると

 

「あ、あああんちゃん!わてを殺す気か!」

「大声で情報漏洩されそうになったから」

「―――スゥ、商人に有るまじき態度やったわ。でも聞き逃せへん単語を聞いてしもうたからにはちょっと着いて来てもらおか」

 

 露天商は急いで荷物を片付け、手招きするように路地裏へ。

 後をついていくと一回二回、三回と路地を曲がり、行き止まりにたどり着いた。

 

「こっから先がわてらのラビッツや」

 

 そういう彼が壁に手を着くと扉が現れた。

 

 ……Whyラビッツ?

 

「こんな流れでラビッツに呼ぶんはあんちゃんが初めてや」

 

 彼が半身扉の中に入るとポンと可愛らしい効果音を放ちながら急激に小さくなった。

 ぼさっとしてないでついて来い、と言わんばかりに手招きする彼の後ろを追った。

 

 

 

 扉の先は兎の国でした。

 全体的に高さの小さな建物がその先にはあった。

 どこもかしこも兎のマークに、致命兎程尖ったオーラのウサギは見えない。

 兎たちが平和に暮らしている所。

 行商人の彼が言うような“兎の国”なのだろう。  

 

「ここが兎御殿。開拓者でここに足踏み入れたんは2人目やで」

 

 後数日早ければあんちゃんが初めてやったけど、なんて言われながら先導する彼の後ろをついていく。

 この兎御殿と呼ばれた建物だけやたらと大きい。

 まるで人間が住んでいるかと思うようなサイズ感だ。

 

「ここや。―――お父ちゃん客連れてきたでぇ!」

 

 武家屋敷、神社の様な風格の廊下を歩き続けると一つの扉の前で行商人が止まった。

 ……やべぇものが祀られていたりしないだろうか。

 

 お父ちゃん―――彼はこのラビッツのお偉いさんの子、王子的なものなのだろうか。

 そう考えると趣味に生き、旅する行商人をしている放浪王子。

 NPCのキャラ立ちは完璧だ。

 

「――入りな」

 

 なんて想像を飛ばす低く、威厳のある声がした。

 段ボールに眼帯の似合いそうな声で、気のいい王の様な声だ。

 

 行商人の彼が襖を開けるとドン兎。

 

 任侠を重んじる風格がビシバシと感じる姿の大兎が居た。

 

「で、おめえさんは何もんだ」

「失礼、私はキリトと言う者です。自分も仔細を把握しておりませんが行商人の彼に上空の開けた開拓者の眼のない所を伺った際に目的として“アヴァロン”へ移動するため、と答えここに連れてこられました」

「――おめぇさんそれに偽りは、ねぇんだな」

 

 鋭い眼光に一瞬気おされそうになる。

 この威圧はウェザエモンと剣を交わした最後の一撃の時と同格のそれだ。

 

「はい偽りはございません、現在証明できそうなものと申しますとアヴァロンの鞘くらいの物でしょうか」

「出しな」

「多くの諍いにならぬよう【格納鍵インベントリア】に入れていますので一度失礼し――」

 

 

 首筋に刃が添えられた。

 

 入り口から仮称:ドン兎との会話ができる程度の位置に膝を着いた。

 少なくともちょっと腕を伸ばした程度では届かない。

 そんな距離感に居たはずなのに音もなく、まともに感知もできずに首筋に刃が添えられたことへの驚愕を覚えるが、ここで表情を崩すのは違うだろう。

 

 彼がこの動きをしたのはインベントリアのイヤリングを見せてからだ。

 

「おめえさん、わりぃがちょいと気が立ってんだ――そいつぁ俺のダチ公のもんだ、どこで手に入れた」

「――大英雄ウェザエモンより託されました」

 

 ああ、これは一度でもドン兎から目を逸らした瞬間に首がスパン、だろう。

 ジッとドン兎の眼を見ながら簡潔にそう告げた。

 

「奴は、なんて言った」

「運命だ、と」

 

 そう告げるとドン兎は首に添えた刃をゆっくりと下ろした。

 

「――悪かったな」

「いえ、この【格納鍵インベントリア】の前の持ち主にこうも心強い友が居たことに、人望の厚さに身の引き締まる思いです」

「そう言ってもらえると助かる」

 

 ドン兎は改めて上段の間へ腰へ下ろした。

 

「まだ名も名乗っていなかったな。俺はヴァイスアッシュ、このラビッツで頭張ってるモンだ。気軽にヴァッシュと呼びな」

「この度は突然の来訪失礼いたしました。改めてキリトと申します」

「構いやしねぇよ。そこのバカ息子がロクな説明もなく突然つれて来たのがそもそもの原因だ」

「いやいやいや、アヴァロンの単語聞いたら連れて来い言ったんお父ちゃんやろ!?」

「あ゛?」

「……はい、以後気をつけます」

「ちったぁ俺にも心の準備ってもんをさせな」

 

 ドン兎改めヴァイスアッシュとようやく平和な話が始まった。

 よかったくびつながってるぅ

 

 ヴァッシュは行商人の彼(ピーツと呼ぶらしい)を下がらせ、二人きりとなった。

 

「さて、良けりゃそいつを手に入れるようになった経緯を教えてもらえるかい」

 

 いつの間にやら茶菓子、の様な雰囲気を装って茶とニンジンが出てきた。

 ……突然茶会始まったな?

 

「はい、きっかけとしまして【アヴァロンの鞘】が偽装された姿である【ユグドラシルの枝】をひょんなことから手にしたことから始まります」

 

 そうして、フラワーマスターを目指すことになったこと。

 導かれるまま満月の夜に秘匿の花園へ導かれたこと。

 秘匿の花園の亡霊の女性と瓜二つな女性にアヴァロンへ導かれたこと。

 ウェザエモンと剣を交わし、双剣使いであることを見抜かれたこと。

 彼にインベントリアを託され、自分も弓で剣を飛ばすと言えば大きく笑われたことを話した。

 

「そうかい、そいつぁ……本当に運命ってやつなのかも知れねぇな」

「かもしれません。継いだからには腐らせぬよう精進します」

「奴は――ダチ公はちゃらんぽらんで突拍子もない事をしでかす大馬鹿野郎だった。だからそれを継いだってんならそんな堅苦しい面持ちは辞めにしな」

「わかりまし――わかった」

「それでいい」

 

 少し気を抜き――と言うか真面目モード疲れた。

 めっちゃ気を抜いた。

 

「―――おめぇ、やっぱダチ公の継承者だ」

「失敬、一定時間気を張ると反動が出る病気で」

「そんな病はねぇ」

 

 そう言ってヴァッシュは初めて笑った。

 

「で、上空の開けた開拓者の眼のない所だったな」

「ああ、ウェザエモンと戦った後に愉快型魔術礼s――愉快型戦術機でアヴァロンを出たはいいものの次の日秘匿の花園行こうとしたら入れなくて途方に暮れてた」

「ああ、あれにはもう会ってたのか」

 

 ヴァッシュは懐かしむようにそう言う。

 愉快型戦術機で通じるんだ…

 

 と言うか愉快型戦術機は彼とその仲間たちの悪乗りによって模倣されたもの、と言っていた。

 つまり…?

 

「愉快型戦術機は彼とその仲間たちの悪乗りによって模倣されたもの、とそれは言っていたがもしかして」

「ん、ああ。大部分は俺等が作ったもんだ」

 

 主犯じゃねーか!

 

「まぁ、中身は別の奴だ。8割蛸がやった」

「よーしその蛸絶対ボコす」

「今のおめぇじゃ返り討ちにされるのが目に見えてる」

 

 青の蛸はダチ公とは別の意味で遊び好きだからな、なんてヴァッシュは言う。 

 

「そうさなぁ、さっきの詫び含めていいもんやる。その後にうちの広いとこに案内してやる」

「ありがとう」

「ああ。ついてきな」

 

 ほんとに一度気を抜いたらダチ公にそっくりだ、なんて言いながら動き出したヴァッシュの後ろをついて案内されていく。

 

 ついたそこは蔵のようなところ。

 

「こん中に人を入れるのは初めてだ」

 

 そう言いながら蔵を開けたヴァッシュの後を続くと、中にはいくつかの木箱が並び、うっすらとやばい雰囲気。

 地震雷火事親父、この世の怖いもん突っ込みましたと言っても信じそうなものである。

 

「っと、こいつだな」

 

 そう言ってヴァッシュは一つの木箱を持ち上げ、封を開けた。

 

「ダチ公にやり損ねたもんだ」

 

 出てきたのは黒い洋弓。

 

 

 アーチャーの弓やんけぇ!?

 

 

「奴が死んだ大戦の前に俺等に作れと言ったもんだ。おめぇさんならダチ公も文句を言わねぇだろうよ」

「有難く継ぐよ」

「継がせる訳じゃねぇ、おめぇさんにくれてやるんだ。――そうだ、アヴァロンから戻ってきたらその弓引いた姿でも見せて貰おうじゃねぇか」

「わかった」

 

 使いこなして精々やつを悔しがらせてやりな。

 そう言って蔵を後にし、またヴァッシュの後ろを歩く。

 

 

 

「ここなら良いだろう」

 

 ヴァッシュに連れてこられたのは半径30m何もない森の中心をくりぬきましたと言わんばかりの、アヴァロンに行くのに最適すぎる所を紹介してくれた。

 

「っと、アヴァロンに行く前に此奴を持っていきな」

 

 そう言ってヴァッシュは懐から一つの鍵を取り出した。

 

「【凱戦門錠[兎]】どっからでもこの国に来るカギだ、たまに顔を出しな。歓迎するぜ」

「うお、絶対なくせない奴じゃんこれ」

「失くすなよ」

「失くさねぇ……はず。怖いからインベントリア入れてくる」

「ああ、俺はこれで戻るぜ」

「ありがとう、ヴァッシュ」

 

 余りにも重要過ぎるアイテムを渡され、PKされても落とさないようインベントリアにしまうことにした。 

 

「行ってきな、ダチ公」

 

 キリトがインベントリアに入るのを確認したヴァッシュはその場に背を向け、兎御殿へ再度足を進めた。

 今夜はうまい酒が飲めそうだ、と。

 

 




・スーパー言い訳タイム(ミニ)

Q.ヴァイアッシュちょろくね

A.礼節を欠いた行動への戒めと友人の面影補正と言うことで


Q.ヴァイアッシュのダチ公is何

A.ユニークモンスターのなりかけた何か
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