何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

64 / 94
感想誤字報告感謝茄子


7つの最強種の友達

 花園[アヴァロン]の話をしよう。

 

 アヴァロンは、とある一人の少女とその友人である天津気セツナが生み出した異空間。

 

 荒ぶる始源から逃げるため、力を蓄えるための理想郷。

 

 プロジェクト[Fate]。

 

 いつか現れる[――(運命)]を求めて。

 

 誤算があったとすれば、そこを維持するもののために切り取られた形がおかしかった。

 

 世界の在り方を変える少女の力は、鏡面の様な世界にはひどく歪だ。

 

 最初こそそのあり方の通り、悲嘆に備えた。

 

 花園の住民。

 

 それは確かに本人。向こうの自分との意思疎通も可能だ。

 

 鏡面にいるはずなのに別に動いてしまう。

 

 未来への可能性が増えているはずなのに。

 

 いつしかその歪に友は異を唱える。

 

 

「そろそろ守ってもらうのは終わりだ」と。

 

 

「バカな友の不遜なその横っ面を、ぶん殴ってやる」と。

 

 

「安心しろ」と。

 

 

「この世界は必ずハッピーエンドに向かうのだ」と。

 

 

 正史には存在しえない、その空間。

 

 だが、このAnother storyには確かに存在する。

 

 故に彼らは[――(運命)]を渇望する。

 

 

 甘ったれた過去を超克するために。

 

 

 それでも1人の少女は友を、未来を繋ぐため花園棟に引きこもる。

 

 それが私の正義(運命)だと。

 

 臆病で優しい少女は誰よりもその在り方が崩れることに怯えている。

 

 

 

 〇

 

 

 

「こんばんは。いや、おはようかな。花の魔術師を継ぐ者」

 

「エミヤ」

 

 

 ライブを終えるもその外典は終わりを告げることはない。

 

 キリトは目の前に現れた少女をキャスターと呼ばずに真名で呼んだ。

 

 リヴァイアサンの資料による知識によるものだ。

 

「ちょーっと花園進行よりワールドクエスト先に進んだ結果、花園で知る真実を前借したことに対するお仕置き的なものかな」

 

「何でもありかよ最強種」

 

「ふふ、あっちの私は燻ぶってるみたい。もう止めることなんてできないのに」

 

 [ユニークモンスター:花園のエミヤと遭遇しました]

 

 キリトの視界に映るその文字は、彼女が最強種の一角に位置していることを確かに証明していた。

 

「私も私で抗ってるのかな。私は諦めちゃったけど」

 

「随分とまぁ…」

 

「ここで君を潰すつもりはないの。友の大事な可能性だから」

 

 あくまでこれは奏の試練。

 ちょっとだけ乱入させてもらっただけ。

 

 

 キリトは改めて目の前の少女を見据える。

 

 

 ―――あんときの紗音以上に狂った目してやがる。

 

 

「今日の私はお友達が私の残した可能性にベットするだけの価値があるか。そのテスト」

 

「あなたが未来を証明できるなら、オルケストラに代わって合格にしてあげる」

 

 これは正典じゃないから世界は進行しないけど。

 

「随分とおっかない試験官だ」

 

「私以上にこの世界を愛している者なんていないよ。その表現は嫌い」

 

 

 キリトは最初から全力。

 

 虚偶の聖杯使って持ち得る疑似改宗を全部発動させる。

 

「だせぇから言い訳無し。とりあえず一発殴る!」

 

「まだまだ、遠いよ別の世界の英雄さん」

 

「ちげぇよ。俺は待つ側の人間(魔王)だ」

 

 疑似改宗[斉天]

 

 疑似改宗[天覇]

 

 疑似改宗[深淵]

 

 疑似改宗[夜襲]

 

 疑似改宗[不滅]

 

 

 そして、その舞台に立った時に勝手にくっ付いていたヘッドセット。

 

 [オルケストラの奏者]

 

 疑似改宗[冥響]

 

 

 [称号【六つ星の証明】を獲得しました]

 

 

「悪い魔王さんなら私はこの世界を守るだけ」

 

「連戦特権使ってくるお前の方がよほどラスボスじゃねぇかな」

 

 

「別にこの世界、人類を守るためなら呼称は何でもいいの。それが私の正義だから」

 

「エミヤだからって正義心拗らせちゃったか!」

 

 

「知らない。私は――――何だろうね?」

 

 

 ――――歌え

 

 ――――紡げ

 

 ――――発露せよ

 

 ――――それは正義のためなのだから

 

 

「【星天を照らせ地の朔月(ほしにねがいを)】」

 

 彼女の周りに大きな魔法陣が形成される。

 

 魔力の奔流、そんな生易しいものではない。

 

 まるで周囲から搾り取っている様にすら見える。

 

 

「魔力の貯蔵は足りてる?魔王さん」

 

「言ってろ似非!」

 

 

 おいおい、これじゃあ届くかどうかもわからねぇ。

 

 十中八九これは魔力だけで抑えられてしまう。

 

 

「【天鬼譽奉(テンキヨホウ)】!!!」

 

 

 その一撃は、神代の最大防御にとって防ぐのは容易。

 

 

「2枚ってところかな【七つの大罪(デモンズ・ロウ)】」

 

「まじか」

 

 

 現れた7つの門の二つがその攻撃を吸い込んだ。

 

 俺の知ってる盾と違う!

 

 近接戦殺しに来てるかもしれぇねんだけど。

 

 

「その技、私も好きだよ。一つの完成形見せてあげる」

 

 

 あー魔王引退かなー。

 

 

 ちょっと格が奴の方が上っぽい。

 

 神代からやってるなら俺の方がだいぶ若造だ。

 

 

 ―――でもただ負けるのも癪。

 

 

「【永世冠促(えいせいかんそく)】展開」

 

 

 衛星の様に彼女の周囲を7基の門が展開される。

 

 そりゃ本家が俺よりショボい訳がないよな。

 

 これ防ぎぎれるか?

 

 キリトの【繋ぐ七つの大樹(ローアイアス)】は花園6枚の現世3枚の9枚。

 

 威力換算したら抑えきれる気がしない。

 

 

 そう考えれば、斬ればいい。

 

 

「随分と懐かしい」

 

「お前の残したもんちょっと弄らせて貰ったよ」

 

 

 ちょうどラボに良いもんあったんだ。

 

 『王賜剣一型(EX.コールブランド)

 

 これはこっちのヴァッシュに真化してもらった。

 

 故に現在の名称は『甦機装:ヴァイスアッシュ『王賜剣真型(EX.キャリバーン)』』

 

 形なきものを斬ることだけに特化した聖剣。

 このシャンフロでは聖剣とは勇者武器を示すものだから、ある種紛い物。

 

 それでも、神代(遺物)を斬るには十分!

 

「ふーん、じゃこれ耐えたら友の悪あがきに付き合ってあげる」

「責任重大で手が震えちまうね」

 

「おいで」

「その傲慢を俺が斬る!」

 

 あー、サブジョブに赤い弓兵入れときゃもうちょい手数が増えたんだけど。

 

 でも盾持つだけでステータス勝手に変わるのはちょっと便利で不便。

 

「二門ッ!」

「流石、最速の剣士」

「最近ちょっと負けそうなんだわ」

 

「情けないね」

「――だけど負けてやる道理はねぇの」

 

 

 武器を盾に切り替える。

 

 

「【永世冠促(えいせいかんそく)】全門開放」

 

「【繋ぐ七つの大樹(ローアイアス)】!」

 

 

 [規定耐久観測、条件達成]

 

 [称号【最大防御(ディフェンスホルダー)】を獲得しました]

 

 

「運も実力の内ってやつかな」

 

「悪運は割と強い方でね」

 

 

 【繋ぐ七つの大樹(ローアイアス)】は砕かれた。

 

 一枚残らず全部。

 

 繋ぐ七つの大樹を最大出力で使うための『円卓(友の集う場所)』の耐久値も結構持ってかれた。

 

 HPは残り1。

 

 幸運値は3桁のままだからこそ食いしばりが出来たらしい。

 

 

「うん、私が正しいと証明するのもまた愛だよね」

 

 

 キリトは何かに固定されるように動けないまま、頬に口づけをされる。 

 

 

「俺の愛を受け止める場所は奥さんだけで埋まってんだよ」

 

「ふふ、知らない。欠片くらいは認めてあげようかな」

 

「勘弁してくれ」

 

「また遊んであげる。アインスもまたね」

 

「次は私も殴る術を用意しておく」

 

「あまり期待しないで待ってるよ」

 

 

 そして、認識できない何かゆっくりと押しつぶされていく。

 

 視界の暗転する最中システムウィンドウが更新される。

 

 

[冥響のオルケストラ―――1人の研究者の思いは叶えられた]

 

『error:花園のエミヤの介入により[外典:夢舞台]が不完全に終了しました』

 

『検討:花園のエミヤの介入により―――error』

 

『結論:[外典:夢舞台]達成。規格外進行のためワールドストーリーの進行は行われません』

 

[ユニークシナリオEX「あなたと広げる旋律歌」をクリアしました]

 

[ご参加、誠にありがとうございました]

 

[称号『外典を語る』を獲得しました]

 

[称号『シュテルンブルームの太鼓判』を獲得しました]

 

[称号『最上偶像(トップランクアイドル)』を獲得しました]

 

[頭装備『偽りの仮面』を獲得しました]

 

[アイテム『世界の真理書「冥響編」:外典』を獲得しました]

 

[アクセサリー[即席舞台]を獲得しました]

 

 

[load......]

 

[装備アクセサリーが上限を超えるため取り外し可能な[別天律の隕鉄鏡[B]]をインベントリに格納します]

 

[「エミヤの義」が付与されました]

 

[該当部位にアクセサリーを装備することが出来ません]

 

 

 

「あ、そうそう。あの[別天律の隕鉄鏡[B]](アイテム)、バハムート全艦のモニターに放送申請されてるの。やったね」

 

「―――は…?」

 

「つまり、あのライブみんなが見たってこと♡」

 

「ミ゜」

 

「ふふふ」

 

 

 こいつキャスターよりタチが悪い愉悦部員。否、部長クラスだ!?

 

 何とも楽しそうな顔しやがって。

 

 

 絶対殴る。

 

 

 キリトの視界は完全に暗転した。




・アクセサリー枠がつぶれるお話。

 まぁ、いつものこと。

 アクセサリー枠(9)内訳

・格納鍵インベントリア
・リュカオーンの夜
・クターニッドの環
・ジークブルムの天
・ウェザエモンの斉天(2枠)
・ヴァイスアッシュの闘
・オルケストラの奏者
・エミヤの義

 外せないねぇ![別天律の隕鉄鏡[B]]の席ないねぇ!

 でも一枠は霊穴整えて貰えば空く()

・エミヤの義

 ユニークモンスターの祝福の類。
 左腕が褐色に変化している。

 赤い弓兵のパワーが上がるよやったね()

 でも付与したのが今作の愉悦部部長なので…

・りっちゃん「創久理...?」
 創世「へーこう言う選択」
 りっちゃん「創久理...?」
 創世「何よ」
 りっちゃん「外典など聞いていない!」
 創世「ちゃんとありますぅ」
 りっちゃん「説明しろとっ!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。