何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

70 / 94
感想誤字報告感謝茄子。


敵情視察.1

 クターニッドのユニークシナリオをクリアし、JGEに集中……するにしても大きなところは殆ど片づけていたので後は他の社員や関係者の仕事だ。

 

 カムラのオーグマー及び新型VRチェアは広報、営業に。

 

 ARスポーツは彬茅及び新興スポーツ協会に。

 

 JGEに関するほとんどの仕事を終わらせて、後は割り振ったところからの質疑に答えながら調整するだけ。

 

 頼むから質問する前に一回はマニュアルに目を通してくれ。

 

 そしてある意味JGEの目的にとても一致しているだろうゼムリアで発売予定の“ゲーム”

 

 これに関しては、俺は殆ど自由気ままにやらせてもらっているので何も言うことはあるまい。

 

 

 気合を入れて頑張りすぎたな?

 

 JGEまで残り1週間超自由時間生まれちまった。

 

 そうなると通常の監修VR機器の確認、プロジェクト:プラモの新規シナリオの開発。オーグマーの拡張機能や便利そうなアプリケーションの開発と言った所。

 

「……そういえばしてなかったな敵情視察」

 

 上記の仕事は蛇足的な片手間で進行を進めているので、ふと“ネフィリムホロウしたことねぇな”と思い立ってダウンロード版を購入してみることにした。

 

 プロジェクトプラモとジャンルの被るネフィリムホロウ、通称ネフホロ。

 

 発売時期は流石にネフィリムホロウの続編には勝てないがより差別化ができる所があるなら調べるのも良いだろう。

 

 故に敵情視察。

 

 初動直感のニュアンスが知りたいので事前情報は無し。

 

 ファーストインプレッションと言うやつだ。

 

 開発に関わると言えば大体自由に時間を使えるのもこの職の良い所だ。

 

 ちゃんとそれに付随仕事はこなした後のボーナスステージみたいなものだけど。

 

 あ、ダウンロード終わった。名前は……豆太郎で良いか。

 

 ではさっそく敵情視察にGO。

 

 

 〇

 

 

 ネフィリムホロウ

 

『突如空から巨人が落ちてきて、スッゴイ色々なことがあって文明が半壊したパラレルな地球』

 

 強化人間的な何かに改造されロボットと融合して駆ける感じのゲーム……と。

 

 

「球体関節系か」

 

 

 目を開いた個体と目を閉じた個体が存在し、前者は敵として、後者は機衣人の素体として存在。

 

 プレイヤーはその目を閉じた個体を確保して着飾ってバトルやでと言った感じ。

 

 ここが最大のポイント。

 

 

「操作方法が阿頼耶識じゃん」

 

 

 阿頼耶識システム、機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズにて登場したそのシステムはナノマシンで神経とマシーンシステム直結して空間把握能力爆上がり☆と言うやつだ。

 脳処理がえぐい変態仕様と言うやつ。

 

 このゲームも中々の変態仕様で、頭の先から足の先まで動かせる関節を制御コマンドとして認識し、足の指を動かすような感覚であり、満足に動かそうとすると人間やめますか入門みたいな感じになっている。

 

 よく言えば超直感的操作。

 

 悪く言えば考えることが多すぎる。

 

 思考の操作パターン割り振りを考えればもっといい感じに動かせるかな。

 

 ゲームのコントローラーは普通だと握り込んでる指のぶん動かせる指の数が少ないので、逆向きに握り方を変えるみたいな。

 

 所謂AC持ち理論。

 操作性が極めて一般受けしないので残るのは極まった変態のみとか言う界隈になるちょっとした蟲毒みたいな雰囲気さえ感じる。

 

 これにシャンフロエンジンぶち込まれて操作性良くなりますよーって言うのが続編の話だったか?

 

 ゼムリアで風の噂程度にしか聞いてないからよくは知らないんだけど。

 

 補助ツール的なノリでVRマシーン側の機能でコントローラー生やすこともやろうと思えばできるんだろうけど、チートで引っ掛かるとかゲーム開発者の恥になりたくないよね。

 

 初期設定でそんなことが出来る訳が……設定のハードウェアコネクション、開発者向け機能、バーチャルコントローラーっと。

 

 随分と奥まったところにバーチャルコントローラーシステム入ってるじゃん、ヒュー。

 

 サードパーティ製の特殊開発でもしようとしたのかね。

 

 ハードウェア開発系ゲーマーに見つかっちまったのが運の尽き。

 

 

 ……まぁ、見てみるじゃん?レトロハードに分類されたあのコントローラーのイメージをするわけですよ。

 

 実際に搭載されていたのは簡単に説明すると、人間工学的キモイ配置された61鍵キーボード。

 

 ボタンの量が10本の指で済むわけがなくて草生える。

 

 うん、これ見ると普通は思考入力頑張ろうってなるわ。

 

 通常操作にはちゃんとチュートリアル……と言っていいのか怪しいものがあるのに対してコレ欠片も説明文ねぇもん。

 

 そもそも操作動作も空っぽ。

 

 作ったのを消し忘れてるっぽいな。

 

 でも消し忘れている方が悪いと思うんだ。

 

 変なアイテム見ると極めて見たくなっちゃうのがゲーマーってもの。

 

 自由に行動割り振りできるなんて嬉しいね。

 

 実際にその動きをしてそれを登録?

 

 モーションは得意分野だから、やるね?

 

 どこまでカオスにしても自由だよな?

 

 やってやろうじゃんネフィリムホロウ!

 

 

 〇

 

 

 あくまで補助機能なので基本は思考入力、そこに阿修羅的な感覚で補助キーを叩く感じ。

 

 もどかしい操作のあと一歩を助けてくれる感じだな。

 

 健全にバチャコンオンリーでも操作できそうだけど。

 

 

 すっかりネフホロのモーション作成に嵌っているとなにか物足りなさを感じる。

 

 なので在野の変人の動きを見てみることにした。

 

 こんな変態的な操作ゲーを満足にプレイしてるやつは実質的な変態だろ(偏見)

 

 そんな中、運よくこのゲームの絶対王者と呼ばれているルストと言うプレイヤーが試合を行うらしい。

 

 

 球体人形、関節の動きやべぇな。

 

 その発想はなかった。

 

 実際の体が柔らかいのか?

 

 ……大人になるとどうにも思考が凝り固まっていけない。

 

 そうだ、ロボとは自由と言うことをすっかり忘れていたぜ。

 

 

 これは……続編移行前に挑まねぇ手はないよな。

 

 

「すまん、ちょっと教えて貰いたいんだが大丈夫か」

 

「え、はい。どうされました」

 

 とりあえず近くにいたガタイのデカい緑と白っぽいジャケットのプレイヤーに聞いてみることにした。

 

「今日始めたばかりの初心者なんだけども、いつか彼女に挑みたいなーってなったらなんか条件あったりするの?ランキング一桁まで上げないとダメとか」

 

「え!ご新規さんですか!?みんな!この人新規プレイヤー!囲んで!」

 

『なんですと!?』

 

「続編発表からの新規参入?」

 

「いきなりランキング一位に挑みたいとかやべぇなお前」

 

「わざわざこんな操作性クソと分かり切っているゲームにようこそ」

 

「おら、お前ら虐めんな。困ってんだろ」

 

 あ、これ限界過疎ゲーでたまに見る光景と言うやつだ。

 

 ここまでの過疎ゲーになると選民意識と言うよりは入門者welcomeに移行するという。

 

 自分が体験することになるとは。

 

「あーうん、続編発表の参入勢。記念に挑んでみたいなーみたいな感じ」

 

「このゲーム操作性クソだけどストーリーとかゲームバランスは良いから。操作性クソだけど」

 

「おい、なんでそこになんで言った」

 

「何でも答えるぞ」

 

「あ、ルストに挑むならあいつログイン中なら誰の対戦でも大体受けてくれるぞ、カジュアルに挑むなら早朝の5-7時。ガチの戦闘するなら17-18か20-23の当たりな」

 

 お、おう。あっさりと挑む方法知ることが出来たぞ。

 

 なんというかベテランばかりなら分かるかな。

 

「それならバチャコン式操作について質問があるんだけど」

 

『…?』

 

 おっと?

 

 観戦エリアと言われる所に居た全員に首を傾げられたな?

 

「え、えっと僕らもそれなりに長い事ネフホロやってるけどバチャコン式?と言うのに覚えがないからちょっと教えて貰っていいですか?」

 

 まさか誰も知らないなんてことはないやろと豆太郎も揃って首をかしげていると最初に声をかけたガタイの良いプレイヤーが聞いてきたので答えることに。

 

「ネフィリムの操作って全身自分の体に武装や関節に当てはめて思考操作に近い操作が基本だろ?」

 

『うん』

 

「複雑な操作方式なら別の手段も用意されてないかなーってメニュー漁ってたらバーチャルコントローラー見っけたからそれについての質問」

 

『…?』

 

 伝わらない?

 

 あと色んなプレイヤーが綺麗に声を合わせての見ると学校の教師的な気分になる。

 

 教員免許は持っとらんぞ?

 

「えー、メニュー開いて」

 

『はい』

 

「設定、下から二番目の環境設定」

 

『はい』

 

「ハードウェアコネクションの開発者向け機能」

 

『はい』

 

「そこの検索タブにバーチャルコントローラーと英語で入力。キモイ形の61鍵盤のコントローラー出てきたやろ?それ」

 

『うわ、ほんとにでてきた!?』

 

 ……え、知らんかったの?

 

 知覚的配慮とかの関係で鯖癌事件以降のハードウェアアップデートしていれば拡張機能としてそのメーカー独自のバチャコン用意しているところがあってそこもまたゲームを漁る時の楽しみでは…?

 

 シャンフロにはそんなもの無いけど操作性がめちゃくちゃ複雑なSF系の作品には結構搭載されているイメージあったんだけど。

 

 俺のやってる市販のゲームの絶対数が少ないから何とも言えないな。

 

 一応、プロプラにもこの機能は積んでる。

 

 多くのユーザーがハンドル在りきのコックピットにするだろうから使われる未来なさそうだけど。

 

「んで、それの中身が空っぽで自分なりに組んでみてなんか物足りなくてランキング一位の動きを見てみようってなったんだけど」

 

「おいおいおいおい!とんでもねぇイースターエッグ仕込まれてるじゃんか!?」

 

「クソ環境の救世主か!?」

 

「俺ちょっとネットに流してくる。えっと――豆太郎!良いか!」

 

「あ、うんええけど」

 

 ……なんか謎の祭り的盛り上がり始まったなぁ?

 

 他にこのバチャコン式操作してる奴が居れば運用どうやっているかとか聞いてみたかったんだけど。

 

 誰も居なそう。残念。

 

 まぁ、レトロゲーに逆行しているような感じの操作性だもんなぁ。

 

 ……このクソコントローラー修正させてくれねぇかな。

 

 市販ゲーやると自分で作るならこう、って思考に行きつくのが悪い所だ。

 

「おいおい、ネフホロ末期になってこんなとんでもない操作方法確立されるとかやべぇな」

 

「あ、モーション登録式だから自分で動き作らんとクソだぞコレ」

 

『そう甘くはねぇのかネフホロ!』

 

 シンクロ率やべぇな、ネフホロ。

 

 

「それはそれとして新時代のネフホロ操作編み出した豆太郎に挑みたいんだけど対戦しない?」

 

 そして新しいものを見つけたら挑んでみたくなるのもまたゲーマー。

 

 豆太郎に勝負を挑むプレイヤーが現れた。

 

「あ、おま、ずるくね」

 

「俺!初期ネフィリムまだあるから機体のギャップないし。いけるぞ」

 

「あ、そうだ初心者だ!?」

 

「あー、うん。俺も一度対人戦して見たかったからお手柔らかに」

 

 さ、挑もうぜ包囲網に鹵獲された豆太郎はカバディの様になっている周りから一番最初に提案してきた人の勝負を受けることにした。

 

 

「受けてくれるか!よっしゃ、一番ネフィリムに近いもん探してくるぜ!」

 

「最新式で良いぞ。どこまで機体の幅あるのか気になるから」

 

「お、そうなら遠慮はしねぇ!早く行こうぜ!」

 

 

 さてはて、対人戦的動きはどうなるのか。

 

 初期機体であるネイキッドノービスに乗り込み……溶け込みと言うか融合しながらネフホロの対人戦に思いを馳せた。

 

 

 数分後。

 

 

『Winner ネイキッドノービス!』

 

 

 ……あるぇ?




・敵情視察

 初期装備vs少し前の接近特化環境装備ネフィリム。

 設定鍵の方でSyGさんもテクで暴れていたのでセーフ理論。

 KZTは途中で補助機能面倒になって普通に思考入力的操作でバトってた。

 ネフィリムの基本セオリーなど全く知らないので自由に動けることを察した瞬間人じゃない球体人形的変態機動で既存のネフホロユーザーの口をあけっぱなしにした。

 ネフホロマジ自由()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。