何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
JGE翌日、和人はカムラブースでとったアンケートを確認しつつ自宅でのんびりしていた。
オールマイティーに色々なことをこなす和人ではあるが本職は技術顧問。
技術的に行けるかどうかの情報の精査と大まかに必要な時間の算出等である。
新型VRチェアの仕様書等もすでに出来上がっているため、そこら辺の製造の受付は別部署のお仕事。
発注製造、広報そこらへんは会社のお仕事である。
会社の方は休日だと言うのにだいぶてんやわんやらしいが、営業頑張ってクレメンスと言った所。
カムラ以外にもARスポーツ関係も色々な人が体験したらしく、反応は上々。
運営は彬茅主体のARスポーツ協会なので、とぶん投げ。
こういうスポーツもできませんか!と言うアンケート結果もいっぱい。
和人もここら辺ならいけますねーと取捨選択して協会に投げる。
事前に大まかにまとめられているので向こうの方でもやる気がある情報だけがこちらに来るので仕事はしやすいかな。
と言うか昨日の今日なのに仕事早いなぁ…。
「旦那様お仕事?」
「仕事と言うかアンケートに答えた人の反応確認」
「そう言うの見るの結構好きだよねぇ」
お茶が入りました、と門河女中から茶を受け取りつつリビングでぬぼーっとオーグマーを付けながら資料を漁る。
「それで今日、ちょーっとネットサーフィンしてたんだけどコレ、旦那様だよねぇ?」
自然とソファーの隣に座る紗音が空中をスワイプすると和人のオーグマーの画面上に一つのスクリーンショットが飛んでくる。
紗音、オーグマー使いこなしてやがるッ!
なんて感想を浮かべつつ、和人は視界に飛び込んだ画像を確認する。
それは昨日のJGEのとあるARブースのプレイ状況の写真であった。
SNSの投稿で『とんでもねぇカップルプレイうまくて草』と言う文字が添えられている。
「ん、ああ通りすがりの転生者に巻き込まれた」
「その割には中々の―――――うん、くだらない嫉妬だった、ごめんね」
「構いやしないさ」
少し圧をかけつつ迫って来た紗音であったが少し間をおいて冷静になってそのまま和人に抱き着いた。
でっけぇコアラかな?
「一応どなたか聞いても良いかな」
「UESの社員さん。継久里さんから聞いてどんな人物かに気になったそうだ」
「ふーん……」
「これでも一途な質なんですが」
「それは知ってる。それとこれとはまた別な訳で」
……めっちゃヤキモチしていていらっしゃる。
「まぁ、それで手に入れたモノ、と言うと複雑かもしれないが近いうちに遊園地デートに誘っても良いか」
「ん」
「ん、じゃわかんねぇな」
「いじわる」
「それともどっか温泉でも行くか?」
「ふつーのデートも良いと思う」
「それじゃ、来週末行こうか」
「うん」
…妻帯者的にそこらへん気を付けねぇとなぁ。
「可愛い奥さん周囲に見せるのはそれはそれで俺が嫉妬で死にそう」
いっそ貸し切りにしてしまうか…?
和人のめんどくさい部分が顔をのぞかせるが、現実的ではないなと直ぐに取りやめた。
……いっそ自分でテーマパークでも作るか?
でも絶対忙しくなるからなぁ。うん、キャンセル。
「‥…妬いちゃうんだ」
「妬くね」
門河女中は「……珈琲頂きますね」とエスプレッソを入れ始めているようだが、まぁ気にはしない。
「JGEひと段落付いたからなぁ、親族の顔合わせとかしねぇと」
「あ、お父さんいつでも時間作るってよ」
「火力ぅ」
そうやすやすと時間作れる人でもねぇだろと思いながら日程調節のため両親にメッセージを入れる。
時間が決まったら、彬茅社長との飲みが待っているのでその時に時間を詰めればいいだろう。
「あ、今日の晩飲まないかって」
「……行くかぁ」
「じゃ、連絡しとくねぇ」
あの人もフットワーク軽いんだよなぁ。
ARスポーツ関係でもなにかありそうで胃が…。
胃薬探しに中華街でも行ってみるか…?
なお、飲み会は極めて穏便に進んだ。
……コレってもしかして、日程調節するのにもう一回食事会発生しない?
引っ越しの予定?近々用意して頂いたマンションに引っ越しを考えてます。
一軒家も用意した?
―――スゥ、やりスギィ!
〇
更に翌日。
ゼムリアからの来場者アンケートもドン。
カムラとゼムリアのアンケートに関してはそのまま送ってくれとは言ったが量が、量がすごいッ!
ゼムリアのプロジェクトプラモのアンケート一部抜粋すると。
・懐かしの夢をありがとう(有名漫画家氏)
受け入れられているようでヨシ。
あ、機体の監修はゲーム内でも弄れますが素体に関してはプラモメーカーにお願いします。
・ちょっとストーリー作成に興味がありまして(有名シナリオライター氏)
ゼムリアと相談してクレメンス。
・鉄血世界線もお願いします(泊まるんじゃねぇぞ氏)
順番、順番に作ってるから(震え声)
・コックピットだけじゃなくて合体したい(金持ち氏)
シンプルな操作性な着ぐるみ感でよろしいか?
・出資何処(金持ち氏)
ゼムリアと相談してクレメンス。
・マクロス!マクロス!(俺の歌を聴けェ!氏)
ワルキューレとかデカルチャー実装せんとですか。
・VR内でサーキット、本格的に作りませんか(有名自動車メーカー営業)
……やべぇの釣れた。
そこらへんは追々…。
・時間内でいくつ戦艦潰せるかとか興味があります(心は天パ氏)
ニュータイプさん!?
・早くリリースして(一般アースノイド氏)
物理的に時間かかるのはどうしようもねぇのよ
……ガンダムとかマクロスの民混ざってんなぁ。
とりあえず反応は上々。
オーグマーについても反応は悪くない。
重村教授、これあんたの仕事ちゃうんか()と心の中で文句を言いつつアンケート用紙を確認しつつ、のんびりと業務を進めていく。
そう言う機能もありやなー。
本人は呑気に仕事しているが、その余波を食らったカムラ社員はてんやわんやとしている、訳ではなかった。
「入社数年目の社員ともなるVR発表当初よりよほどマシだ」と、きわめて冷静に業務は進んでいった。
〇
キリトは2日ぶりにシャンフロにログインした。
今日は伝書鳥攻撃なしでヨシ!
……ログインするたびに高確率で伝書鳩攻撃食らっていた方が異常なのでは?キリトは訝しんだ。
2日前花園を攻略?したわけだが、これから俺が備えなければいけないのはエミヤ戦。
そう考えると、まず探さないといけないのは象牙か。
[
その機能を聞きに花園にでも行くか…?
攻略してキャスター消えた訳じゃないしなぁ。
さて、どうしたものか。
ディプスロは「ちょっとSAO攻略RTAの練習してくる」とアインクラッドに潜りに行ってしまった。
50層くらいまでならソロで俺も走れるが、STLの加速ありきの力業だからなぁ…。
普通にプレイしてる分には健康上ストップがVRマシーンの方で制限かかるようにしてあるし。
……ソードスキル進化させるか…?
と言うか二刀流の剣も強化しておきたい。
晴天流の奥義派生広げておきたいしなぁ。
……悩んでも仕方ない、迷った時は体を動かす。
創流おじさんの道場にでも行ってみるか。
パッとスクロールでセカンディルまで飛び、道場に向かったのだが…。
「おぅ、まじか」
創流おじさんの道場出禁!
目の前に現れたシステムウィンドウに現れたことを要約すると道場破り成功したんならテメェにはいらんよな^^と言う事らしい。
……無常!
「さて、困った」
気軽に挑める相手と言えば後はリィンか?
でもあいつ今プロプラに熱中してるしなぁ。
「何に困ってるのかな?」
「ゲッ」
「こらこら、美人なお姉さんに向かってそれは無いんじゃないかな。……もしかして幕末プレイヤー?」
道場前で腕組んで頭を捻っていると背後から声をかけられる。
その声の主はアバターで一発で分った。
少しし視線を上げてプレイヤーネームを確認しても、うん。
シズレナだ。
「あー、うん。プレイ時間10時間に満たないタイプの幕末プレイヤーダヨー」
「へぇー?じゃ、遠慮なく天誅!」
「ここシャンフロォ!」
幕末脳が過ぎませんかねぇ!?
ロクな会話もなく即天誅の姿勢、あまりにも幕末脳!
「ッ!」
「この反応は豆太郎君!」
「ワタシマメタロウチガウヨーッ!」
「この反応速度で動ける刀使いって弟弟子か豆太郎君くらいじゃないか?」
「え、何それ怖い」
なんでこの人一合相対しただけで正体看破してくるの!?
こわぁ!
「いやー、サクッと道場破りしたら再入場禁止してて困ったんだ」
「同じように出禁くらってる奴なら一定ラインの技術があるとでも!?」
「それがピンキリでさぁ。ドロップアイテムは美味しいんだよ?」
ナチュラルボーンPKじゃねぇか!?
「その中でも祭囃子君は中々よかったよ、レベル差で負けちゃって……お姉さんすっからかんなの!」
「え、えぇ……そんだけPKやってるってことは
「ああ、あのなんか無常ってくらい強いNPCでしょ?楽しかったなぁ」
ナチュラルボーン戦闘狂でもあったか。
いや、そうでもなければ幕末長時間プレイとかしねぇよ。
祭囃子氏やべぇな、おい。
「それでなんかそのバウンティハンター?とか言うのと楽しくやってたら祭囃子くんが突っ込んできてね。ちょっと前にリスポーンしてこっちまで走って来たって訳!」
「せ、戦闘民族が過ぎるだろ」
「暴れるのはVRの中だけだからセーフ!」
限りなくアウトだろそれ。
「と言う訳でやろうか?」
「流石にPKしたくはないんですけども」
「えー」
まぁ、バカ程強いプレイヤーと戦える機会って少ないしなぁ。
一応パクられると困るものをインベントリアにぶち込んで、適当にインベントリアの中で眠っていた刀を取り出す。
「HP8割戦くらいにしておきましょうか」
「物足りないけど……まぁ、よしとしようか」
〇
……ステータスの暴力で勝った。
こちとらLV.149ぞ?
なんか知らぬ間に上がっててビックリなんだけども。
「ステータスも侮れないね」
「まぁ、カンスト一歩手前なので」
「よし、私は敗者。何が欲しい?」
「そういうシステム?」
「私の唇は安くないんだけど、敗者だから仕方ないな」
「要らん」
「えー!」
最近遭遇する女性ェ…。
「適当にドロップしたアイテム……はデスペナですっからかんになったんだった。どうしよ。初期刀いる?」
「要らん……あ、剣士的に聞きたいんだが」
「聞く聞く」
「道場破りしたなら晴天流持ってるだろ?」
「習得方法分からないあれね。見たから大体覚えてるけど」
「アレを派生させるならどうする?」
「そう来たかぁ」
でもいいよ、考えてあげる。
そう言い、彼女はまた構えた。
「受けて覚えてね」
と。
〇
戦闘狂の考えた晴天流の派生()を活用するプランを手に入れた。
なんで素のプレイヤースキルでまともに斬り合えるんですかねこの人()
新技作っちゃうぞーとなんか燃えてた。
キリトもキリトで別の方面の技にひらめきを覚えたので捗るなぁ、と満足していると創流道場から一人の男が現れた。
「え、どういう状況?」
「あ、祭囃子君!」
「祭囃子ってお前か」
そこから出てきたのはサンラクであった。
・JGEスレにてSAOを知った紗音さん
「別物とは理解してるけどそれはそれとして中途半端なものがお出しされてないかチェックはしておく」
リリース時期に合わせて鳴坂家SAOでウォーミングアップ開始予定。
多分最速で駆け上がる人。