何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
第7層
2層と4層を思い浮かべる回答系。
単純に言えば一問答えるだけ。
キリトに出されたお題は『2号人類初バハムート全艦同時ライブビューイング“対バン歌合戦シュテルンブルームvsCanon”のセットリストをすべて歌唱込みで答えよ』
軽い虐めなのではなかろうか。
キリトはその場に30分伏せた。
「マスター、シュテルンブルームの方は私がやるので」
「慰めになってねぇなぁ…」
どこか何かの概念的干渉を感じさせられるステージエリア()を用意するのは些か鬼畜なのではなかろうか。
なんというか講堂と言うか町の施設のホールを思わせるエリアがなんで存在するんですかね。
ひょっこり出てきたアインスに励まされながらしばらく唸った。
『内容を思い出すのが難しい場合はあちらに記憶媒体も用意していますよ』
図書館にも似たエリアに映像資料確認用のモニターと座り心地よさそうな映画館の座席に来たスペースがあるのはどこか悪意を感じる。
「破棄して」
『ダメです』
「破棄してくれよ!?」
ダメだった。
え、これからここにたどり着くプレイヤーに確認される未来があるの?
アカウント消せば一緒に消えねぇかな……永久に残る?
クソでは?
本人バレしない限り良しとするかぁ…。良しとしたくはねぇんだけど。
なんで妥協したか?
妻の円盤は存在しなかったからですね。
存在してたらUESに凸するところだったぜ……。
スペース的に多分これからも被害者は増えると思う。
後、しれっとリィンもそっちのフラグ踏んでいたようでその映像記録媒体あったから視聴した。
今度ゼムリア行った時教えよう。
でも教えたら俺の黒歴史の存在をゲロることに繋がるのか…?
プレイヤーネーム違うからバレないはず、うん。
でもさ、聖杯転換しないのはズルいと思うよリィン。
あ、現在進行形で増えた。
……敗北した場合でもライブ開催まで行くと記録に残るんですね()
海上の会場でやったの俺だけ…?
お求めはリヴァイアサンの音楽エリアまで?
発売禁止申請させて。頼むから。
他の2号人類がこのエリアを踏むまでは解禁されないしリヴァイアサンに行けば発禁申請できる?
よかったぁ…。
待て、ここで視聴継続できることは一ミリもよくないんだが。
〇
第8層
丸ごとアインスに歌ってもらうこともセーフだったのでは?
え、当初はシュテルンブルームパートも俺がやらんとダメだけど妥協した?
この割烹着マザーAI殴りてぇ…。
講堂にも似たホールで歌唱を終え膝を着いてしばらくメンタル回復タイムを取ってから8層に向かった。
『ここは神代の叡智。かつての人類達の歩みそのものを保管したベヒーモス最大の記録保管施設です』
……無駄な足搔きだとは思うが映像資料こっちに移行しておいてもらいたかったなぁ。
『「この階層に存在するフラッシュメモリーで習得したスキル
フロア中央に存在する戦闘用フィールド的な存在を見つつ、象牙はそう告げた。
スキル習得ねぇ……。
あ、思い出した。
「象牙、これは使えるか」
セツナ・アマツキに[創流の素体]を改造してもらった際に貰った[創流の素体]で作成したスキルの合成やレベルアップを行えるように改造するためのデータだ。
『そちらは……なるほど。セツナ・アマツキからの預かり物ですね。この下の階層クリア後に「R.C.S.」にて使用できるようにしておきましょう』
お、ヤッター。
にしてもここで習得できるスキルのみで中央でバトルか。
なんとなく創流道場を思い出す。
創流幻魔の祖先もバハムートからコロリ転がり落ちたんだったか。
そうなることここが元祖、みたいな感じなのかな。
『ふふ、ココにはスキル作成のための物はありませんよ』
象牙はそんなキリトの思考を先読みしたように自分でスキル作って挑む場ちゃうで、と釘を刺してきた。
まぁ、自分でスキルを探すのも楽しいものだ。
カテゴリーは違うがFF10の最強武器はなんだ論争を思い出すなぁ。
七曜武器が最強なのか自作武器のスロットを考えるのか、みたいな。
俺は何も考えずに七曜武器使うタイプだったけども。
一つの項目は一分か二分あれば楽勝で読み切れるがスキル数膨大だな。
食のカテゴリーから娯楽、政治関係まで。
……政治のスキルってなんだよ。
どうせだったら今習得しているスキルを拡張できそうなスキル欲しいな。
自己バフ掛けられそうなタイプか、剪定系の補助できるやつとか。
料理スキル……使い道あるのか?
アインクラッドみたくS級食材ってシャンフロにもあるのか?今度探索してみるかな。
んー、でもシンプルに勝つためって考えると運動系が欲しいよな。
既存の動き的なことを考えると格闘技とか?
スポーツ関係は娯楽関係。
……悩む。
とりあえず片っ端から確認するか。
・ニンジャ・アーツ疾風迅雷の書。
ヒーローショー的な方面に振ってあるのか。
主に受け身技が豊富。
・ニンジャ・アーツKAWARIMIの書。
あ、これ面白い。
でも自分で使うのにはなんか構成的に違うな。
・ノーノ・バッティングアーツ
長物をもって殴って飛ばす関係。
……ホームランコンテスト的な事にしか使わなくない?
・マクセル・ドッジアーツ
回避機動系。
ちょっと気になるからちょっとキープ。
・イングヴァルト・ストライクアーツ
これは覚える。と言うかこれで戦える。
拳打・蹴りを中心に戦う打撃技術が中心でそこに魔法を混ぜ込むとか実に好み。
名称がすごくリリカルって思ったけど作ったの誰、ほんとに誰!?
内容すごい誤魔化されてるけど、これリリカルなストライクアーツですやん。
‥…あぁ、イリ
キャスターやったなテメェ。さらっと偽名で混ぜ込んでるし…。
娯楽系の演劇カテゴリーに混ぜてるとかキミさぁ…。
・フィギュアアーツ
機動力、機動力に見せかけた術式系。
使える場が限られ過ぎてる。
水のない所でこれ程の水遁を!?みたいなことしないとつかえねぇよ。
滑った行動で氷系の魔法使えるみたいだけどその前提の氷が必要とか言う…。
・フロンタルダンサー
ダンス的動きを登録することでその自己バフを盛れる…。
地味に使えるのが腹たつぅ。
・シンガーソング・ライダー
騎乗スキル。
……癖つよぉ。
相性問題。使えなくはない、一人マクロスごっこできる。
一応、候補。
その他色々漁った結果、キリトはイングヴァルト・ストライクアーツとフロンタルダンサーを獲得した。
イングヴァルト・ストライクアーツ
プレイヤーの装備履歴を参照し形成される簡易防具。
MP消費式なので燃費はアレだが多少の攻撃は防げるので有用。
拳に魔力をまとわせて放出。
……モンク系に似たようなスキルあるって言ってなかったっけなぁ。
使って見て判断。外に纏うというより内部にため込む感じだろうか。
覇王系だけじゃないんですか…
一種の自分を操り人形状態のマリオネット的な操作を行う変態的機動ができる感じのスキル。
拳にゴーレム的なものを纏って殴ることも可能。
使いどころ増えるなぁ。
こっちは小型の魔力弾を撃ち込む系。
……レイジングハートと組み合わせてぇ…
全体的にMPをアホほど食いそう。
魔法拳士ってところか。
フロンタルダンサー
こっちは事前の調節が要るピーキーな性能だが、基本的には花の魔術師の剪定系スキルと混ぜて使う予定なので今日の出番はないかな。
キリトは獲得したスキルと確認し、舞台に上がる。
「挑戦させてもらおうか」
『健闘を期待しますね』
俺がこれからするのは
舞台に現れるのは戦闘用人形のプロトタイプと呼びそうな存在。
……んー、スキル練習空間って感じがするな。
背丈がアインスとはかけ離れてるから罪悪感は薄め。
そんじゃ、行こうか。
『素晴らしい戦いでした』
スキルの運用テストには少し物足りなかったが、床に倒れている戦闘用人形を見つつ象牙はそう告げた。
俺、後衛職なのになんでこんなに近接系が充実してるんだろ。
『これで9層へ行く権利を手に入れましたが、よろしければこのフロアのとある場所に案内させて頂こうと思います』
「とあるところ」
『はい、征服人形の生みの親、アンドリュー・ジッタードールのラボへ』
……必要性あまり感じないけど行くかな。
あわよくば殴れたらいいんだけど。
〇
キリトは流されるまま象牙の勧めに従いアンドリュー・ジッタ―ドールのラボに転移した。
『やぁ新人類、私がアンドリュー・ジッタードールだ』
そこにいたのは流暢な会話をする男。
「覇王断空拳!」
チッ、ホログラムか。
だが、あのアンドリューは舞台袖から幕を自身で掴んでいたはずだ。
『中々暴力的ではないか。奇天烈な進化を辿るような設計だったかな』
「お前の頭ほどじゃねぇよ」
『はて、私は君とは初対面のはずだ』
オルケストラの意思に混ざっていたアンドリューとは別物、と言う事か?
「端的に言うとオルケストラの亡霊にあんたの意識が混ざってシュテルンブルームと対バンさせられた恨み」
『……今、なんと言ったかね』
「恨みパンチ」
『そんなものはどうでもいい、シュテルンブルームと対バン……君は確かにそう言ったね』
恨みパンチをどうでもいいと言いやがったよコイツ。
舞台裏でも思ったが、こいつは熱狂的なシュテルンブルームのファン、と言うやつらしい。
「確かに言ったよ」
『 す ば ら し い ! 』
うぉ、声でっか。
キリトのうっすい反応とは裏腹にアンドリューは興奮を抑えきれないように声を荒げた。
『ふむ、キミは実に素晴らしい!原因は分からないがシュテルンブルームのライブを現代にて行う事に成功したと言う訳だ。観客は、動員数は!』
「会場には征服人形のみ。あと、別のお前がバハムート全艦放送しやがったせいでだいぶ肩身の狭い生活を送ってるんだが?」
『別の私、実にGod Job!!』
殴りてぇ!
まるで反省する気ありませんよコイツ!
……逆説的に考えればそれくらいのぶっ飛び具合じゃないと残滓になれない説が存在するという事か…?
『それで、セットリストは!出演メンバーは!』
「アインス、こいつ殴れねぇの?」
「無理」
『―――おや、アインスではないか。と言うことは君はあの友の後継者と言う事か』
テンションを上げ続けるジッタードールを死んだ目で見ているとキリトの影に隠れていたアインスに問うが、実に無慈悲な回答が返って来た。
ジッタードールもアインスの姿を見てスッと冷静なテンションに戻った。
『そうか、キミが後継者か』
アンドリューは少し考えるようなポーズを取りながら言う。
『あのバカの後継者と言うことは……あのバカの布教しかけたグループにも覚えがあるということだね』
「……?」
『マクロス界のアイドルについて教えて貰おうではないか』
……本人に聞いてクレメンス。
キリトは死んだ目になりながら神代は一体どうなってたんだよと少し明後日の方向を向いた。
明後日の方向を見ているのにシステムウィンドウは目の前に表示されている。
[ユニーククエスト『征服人形の父と語る偶像』を受注しますか]
……受けるかぁ。受けなくてもいい気もするなぁ。
キリトは虚無りながら『はい』を押した。
・B-3第七層 視聴覚エリア
下の階層の人の執念がこんなエリアを生成することになった()
普通にシュテルンブルームの過去のライブ映像を視聴することが出来る。
お求めはリヴァイアサン音楽エリアにて。
映像出演者がリバイアサンの音楽エリアに行くと発禁申請できるぞ()
・キリトのスキルどうなってんの
フラッシュメモリー使い過ぎるとスキル習得に影響が出るとか原作にありましたがキリトにもがっつりそれは現れている。
今の所、花の魔術師と赤い弓兵、シールダー系のスキル類の中で花の魔術師系以外のスキル習得がかなり少ない。
今後連結でまとめればスキル習得にも可能性は()
・バグ銀氏
「え、この中から探すのめんどくさいなぁ…今度ヴァン君とのデートを誘う口実にしよう。象牙さん私帰るね!」
・RTA紗音さん
「最速で行けば2時間ちょっとで第一階層クリア行ける」
・???
「何故ログインしてこない豆太郎!」