何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
アンドリュー・ジッタードールは重度のドルオタ。
それがキリトの認識だ。
[ユニーククエスト『征服人形の父と語る偶像』]
なんとなくはいを押してしまったそれは、正しく彼を表すようなワードであることに違いはないはずだ。
『マクロス界のアイドルについて教えて貰おうではないか』
キリトが聞いていなかった判定をしたのか彼は再度そう問いかけてくる。
「その名は、アレかアホからか」
『そうだ』
やっぱ犯人キャスターじゃねぇかテメェ!
俺が神代に関わる要素の大半キャスター案件なんですけど?
「俺もお前自身がどこまで知っているかわからねぇと話を始めることは出来ねぇな」
『ふむ、そうだな…』
アンドリューが話し始めた内容をまとめるとこうだ。
話を聞く限りマクロスはマクロスでもマクロスFのランカ・リーとシェリル・ノームについてだ。
マクロスの歌姫と言ったらリン・ミンメイでは?と一瞬厄介オタクが顔を出しかけるが黙って聞いた。
ランカ・リーとシェリル・ノームの厄介な関係値についてはキャスターが死ぬほど語ってくれたらしい。
アンドリューからするとキャスターは無限おしゃべりマシーンとのこと。
キャスターは「この広い宇宙のどこかに確かに存在していると信じている」と言ったそうだ。
だが、アンドリューに布教しきれなかったもの。
それはアイドルをアイドルたらしめる“歌”について。
まぁ、アイドルと分類するよりは歌姫にカテゴライズする方が無難かもしれない、と言うことは脇に置いておこう。
話が長くなる。
とにかくキャスターが素晴らしい、と連呼し続け終ぞ曲の情報を残して行かなかったことがアンドリューはひどく不満らしい。
で、俺にその部分の補完情報を寄越せという話だ。
……ひどいキラーパスもあったものだ。
「とりあえず、順番に語っていこう」
クエストを受けたからには最後までやり切りたいと言うのがゲーマーの常。
キリトは二人の楽曲に付いて話し始めた。
あ、ホワイトボードもある?有難い。
おさらいを含めた早乙女アルトとランカ・リー、そしてシェリル・ノームの三角関係的な恋愛模様を踏まえながら話していく。
その関係値の分かりやすい楽曲を指す“トライアングラー”から“ライオン”
ランカ・リーの成長過程、そのシンデレラ的ストーリーをまとめるような“星間飛行”から“放課後オーバーフロウ”隠れがちな名曲などとも言われる“Songbird”まで。
シェリル・ノームは通称『銀河の妖精』と呼ばれるほどでその人気は銀河系規模とすら言われ、その中の人気楽曲である“pink monsoon”“ダイアモンドクレバス”“射手座☆午後九時don't be late”“ノーザンクロス”など。
歌詞の掘り下げから考察まで語りに語った。
『なるほど…』
ホワイトボードを何度書いて消したかは忘れたが、アンドリューに「キャスターが薦めるだけの魅力」と言う物の一辺程度は伝えられたのではないだろうか。
うわ、解説で3時間経ってる。正気か?
『で、実際の楽曲が聞きたい』
……キリトが必死に目を逸らしていた部分についてアンドリューにツッコミを入れられた。
「以前ポケットアリアの新譜として追加はしたぞ」
『今私の手元にないのだから意味がないだろう!』
それはそう。
「象牙パワーでどうにかならんのか?」
『いくら彼女とて』
『ふふ、ホールとこちらを接続しました。キリト、貴方が歌えばよろしいではないですか』
「え、嫌だが?」
ぬるっと生えてきた象牙に一瞬驚きつつもキリトは限りなくノータイムで拒否った。
『ここまで説明しておいて生殺しかね』
……ぬん…。
え、歌わないとダメな感じ?
クソわよ!
「あー、歌えばいいんだろ歌えば!」
ただし、バハムート関係でリヴァイアサンでも同時上映とかやめろよ?と象牙に釘を刺しつつ、クエストクリアのため致し方なくキリトは席を立った。
象牙、なんでお前目線を露骨に逸らした。
アルカイックスマイルで誤魔化してんじゃねぇよ?
象牙の確実なコメントが出てくるまで動きません。
アンドリュー、聞きたければ象牙をどうにかしてくれ。
キリトは素面ではやってられないとルビーの聖杯機能を使用しサクッとチェンジ。
さらに念を入れて偽りの仮面も装備。
んで、手元に楽曲データがある分のみ歌った。
ただ歌うのも癪なのでスキルテストもしつつ、だ。
『ふむ、やはり私の最推しはシュテルンブルームだがなかなか良いものだ』
なので、征服人形の基本歌唱プログラムとして配信をしておくことにした、とアンドリューは続けた。
「……おい、アインス。お前何時ぞやの――」
「追加楽曲ですね!」
「アインス、お前しばらく甘味なし」
いや、なんでそんな驚くような表情を?
……マクロス楽曲はジャス〇ックとかに登録されてなかったからセーフと言うことにしておこう()
『ついでに征服人形が歌唱時に二号人類のマナに干渉し力が増すという機能アップデートも行った』
むしろその機能の方がメインでは?
キリトは訝しんだ。
『ともあれ、長年の疑念は晴れた。感謝しよう。ほんの礼だ。あとアインスにも』
アンドリューはそう言ってキリトに向かって何かをスワイプした。
[ユニーククエスト『征服人形の父と語る偶像』をクリアしました]
[称号『偶像を語る』を獲得しました]
[称号『アンドリューの理解者』を獲得しました]
[征服人形の機能が拡張されました]
[ジョブ〈
[転移ポイント『B-3:ジッタードールラボ』が解放されました]
『これで君は征服人形の基礎機能を扱えるようになったはずだ』
…………とんでもない爆弾ジョブぅ。
『私が権限を与えても管理しているのは征服人形だからな。アインスに聞いて事務所に向かい手続きを行ってくれ』
「あ、はい」
『以上だ、また気軽に遊びに来ると良い』
キリトはマクロスFに付いて3時間語って歌を歌ったらとんでもないヤバいジョブを手に入れた。
……征服人形と通信できるようになってる。
戦闘の時にコミュニケーションが楽になったね、ってなるかぁ!?
アインスはジッタードールに勝負服を貰った?
アイドル衣装だね。
俺は前世の記憶が確かならフィギュア化してるような造形だね()
バフ能力アップ?さようで。
〇
なんか疲れたと象牙に頼みキリトは外に出た。
またここら辺に来れば転移させてくれるらしい。
「今日はなんか歌ったなぁ…」
「そうだねマスター」
色々情報を手に入れることはできたけども。
なんかシンフォギア的戦闘スタイルになって来た気がするなぁ……。
俺、バッファーですよね?
征服人形の事務所?とやらには後日行くとして今日はセーブポイント更新して寝よう。
ファステイア近くなのでファステイアの宿目指して歩き始めるがふと気が付く。
ファステイアの宿の場所覚えてねぇ、と。
そうなるとラビッツに飛んだ方がいいだろう。
後で征服人形の事務所?とリヴァイアサンで発禁申請を行うのだから新大陸側の方が都合がいいだろう。
「あ、
そう言えばしばらく買っていなかった。
ラビッツの店で購入しよう。
となると鍵の方でラビッツに行くかな。
キリトがインベントリアから『凱戦門錠[兎]』を探していると声が掛かった。
「あなたはCanon様!」
……?
「
キリトは自身の現在の姿を思い出す。
……素面ではいられないとCanonの偽りの仮面を装備して聖杯機能でアバター変えていたな、と。
「つきましては―――」
キリトは全力でその場から逃走した。
なんかやべぇのに見つかった!?
・キリト氏
7層までは頑張って素面だった。
・一瞬入れようとした要素
『空前絶後のぉ、超絶怒涛のアイドルオタク!シュテルンブルームを愛し、征服人形に愛された男!』
『『エルマ型』『シンシア型』『ミオン型』『リリエル型』……全ての征服人形の生みの親!』
『好きな楽曲は数知れず、征服人形に関するすべてをそこに置いてきた男!、征服人形最重要情報の暗証番号1571、情報閲覧端末は今、素後そこに置いてある。2号人類、今がチャンスだ。もう一度言おう。1571!『シュテルンブルームファーストミニライブの歌唱合計秒数』で覚えてくれたまえ!』
『全てをさらけ出したこの私はぁぁアンドリュー、ボコッ、ジッタ!!ドォォォォォル!!』
『ジャァスティス!』
『シュテルンブルームを推せ!』
かつて親しい者に対する挨拶()としてキャスターに吹き込まれた概念。
入れる所がないので没になった。
・Canon様親衛隊
ファステイア周辺にいたのは親衛隊員S氏
アバターはゴリマッチョの騎士。
即掲示板活用で発見報告を流した。