何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
帰宅
飯
風呂
ゲーム
「流れるようなインドア…」
「私はその3倍インドアだけど?」
「喧嘩売ってる訳ではないよ」
紗音のツッコミをスルーしつつ今日はなんか暴れたい気分なので幕末にちょこっとログイン。
決して昨日遭遇した不審者の影響とかではない。
一人に見つかったと思ったらセカンディルに付くまでに4人に増えてて少し引いたよね。
大蛇ワンキルできなければ大変なことになっていただろう。
紗音は今日もSAOの攻略練習。二層3時間切を目標にするとか。
〇
「Welcom天誅!」
「効かんぞ」
幕末=辻斬・
「げ、こいつ豆太郎だ」
「おいおい、俺はノットランカーのプレイ時間10時間ちょっとの初心者だぞ」
「こんな初心者いてたまるか!」
「ハイ、無礼なので天誅」
ログボ天誅待ちをしていた奴ら数人を適当に切り伏せて表に出る。
フレのアリスとサンラクはログインしていない感じか。
だいぶ寂しいフレンドリストを見つつ、ログイン状況を確認した豆太郎はどうやって暴れようかそんなことを考える。
大体いつもはYuukiを斬ってシズレナに斬られるのがお決まりパターンになっていたので少し持て余すような気分ですらある。
「ども」
「ども―――とでも言うと思ったか天誅!」
「はい、天誅返し」
「な、それは!?」
長屋の並ぶ街並みを歩いていると長髪の武士っ子が切りかかって来たので忘れかけていた気さえする富岳スタイルで対応めーん。
「……めっちゃドロップした」
……手に余るなぁ。
「ッ、漁夫の利天誅!」
「お断り天誅」
「せ、せめて武器は質屋にッ」
「わり、未だに質屋どこか知らねぇんだ」
「この恨みはらさ――」
……これどうすべ。
お、よさげな刀だけ貰っとこ。
―――あ、コレドロップアイテムの近くにいれば人寄ってくるんじゃね?
キリトは落ちていたアイテムを適当に持って街中の適当な橋にアイテムおいて襲撃者を待つことにした。
「気分は弁慶」
弁慶なら錫杖でも持っていたいところではあるが、生憎となんかいい感じの日本刀くらいしか手持ちにない。
さて、誰か釣れないかなー。
「む、鬼若気取りの御仁、天誅致す!」
「はい、お相手天誅」
あ、刀ドロップした。
これは……弁慶チャレンジするか。
説明しよう。
弁慶チャレンジとは!とりあえず100本刀集めようぜと言うその場の思い付きである!1000本は流石に無理!
でも置き場……。
「あ、良い所に虚無僧スタイル発見!」
「げ、見つかったァ!?」
豆太郎は虚無僧笠ってなんか刀突っ込んどくのによさそうだよね、と言う極めてどうでもいい理由で虚無僧に襲い掛かった。
「虚無僧笠置いてくのとキルされるのどっちがいい?」
「あ、笠置いていきます」
「うん、どうも」
相手が極めて素直に笠を差し出してきたので受け取り、再び橋の中央を陣取ることにした。
虚無僧が反撃してきたので容赦なく斬りました。
〇
「キミ、3回目じゃない?」
「負けっぱなしでいられないんだよ天誅!」
ロングヘアーサムライガールに挑まれること3回目。その度にしっかりと刀を手に入れてきているんで中々強いらしい。
……竜宮院流っぽい動きするんだよなぁこの子。
さっきの動きで富岳スタイルの挙動に反応し始めてるから変えるか。
「え、動きがかわっ――」
「覇夜風」
晴天流[花]で切り伏せマース。
「ありゃ、防がれた」
「だんだん慣れてきたぞお前の動きにッ!」
成長するジャンプ主人公かな?
「じゃ、次は3倍速ね」
「へぁ?―――」
よし。
斬った。
「よっし、これで99本っと」
幕末にログインして1時間弱で99本の刀が集まった。
20本目くらいから虚無僧笠には入りきらずなんか甲冑着てたやつがいたのでその甲冑も刀立てになっている。
こんな短時間にこんなに多くのプレイヤーとバトルできる幕末ってすごいね()
「はい、我こそは牛若丸って人~」
豆太郎は律儀に橋に上ってきたら斬るスタイルを取り、橋の前後で構えているプレイヤーには手を出さずにいた。
頓智を使うように船で上流から攻めてきたプレイヤーもいたがお粗末だったので割とどうにかなった。
そして一つ面白い武器を手に入れた。
【錆光】
クリティカル出せば装甲無視できることができ、失敗すると自壊する。
2,3本ダメにしてコツを掴んだ豆太郎はこれ失敗したら刀狩りしないといけない量が増えるじゃーんと楽しくやっていた。
ずっとクリティカル出せばいい刀って素敵だね(幕末スマイル)
そして、100本目と言えばオオトリとも言える存在。
豆太郎は正直誰でもいいのだが中々乗ってくる人物がいない。
……適当に近くに集まったのスローターしてログアウトでもするかな。
「――――」
名乗り出る相手がいないなら致し方あるまいとメニューバーを操作しログアウトボタンを押そうとした時、前方の人集りが割れた。
周囲から「レイドボス」「レイドボスさん」「一位さん」「彼こそ牛若丸…」などの声が聞こえてくる。
聞こえると同時にみんな斬られてるんだけども。
「迷惑だね…?」
「ああ、場所移動した方がいいのか」
小柄などこか男受けしそうなショタな雰囲気を醸し出す彼、PN:ユラは橋の上に乗った。
豆太郎の返答にそうじゃないと言わんばかりに少し首を振る。
「やろ」
「そういう感じか」
テンポが独特な感じの子だなぁ…VRのセーフティ切っておこう。
「行くね?」
「どうぞ」
彼が構えたと同時に豆太郎も構える。
さてどんな戦法で行くとしようか。
西洋剣があれば二刀流で行くんだけど手元にあるのは刀ばかり。
今構えたのは錆光。
そうだ。
「―――ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」
錆光って薄刀・針とか斬刀・鈍みたいなロマンあると思うんですよね。
「いいね」
そのゲームのランキング一位と戦うって言ったらテンション上がっちまうものだ!
これ終わったら刀語ゲー作ろ。
ウキウキで豆太郎はレイドボスに切りかかった。
頭のどこかでランキング一位と言う単語に引っ掛かりながら。
▽
「サンラク!」
「うぉ、どうした」
「あいつは一体どこだ!」
「あいつ…?」
シャングリラフロンティアではサンラクがルストに詰められていた。
サンラクからすればまるで身に覚えのない恫喝のような状況に目を白黒させている。
「サンラク君、何か覚えは?」
「ビックリするほど無い」
側に居たサイガ‐0もまた彼氏が何かをやらかしたのかと聞いてみるが彼にはまるで覚えがないらしい。
自身の知らぬところで彼が何かしらのてんやわんやとした出来事に巻き込まれているのは慣れきっているのでサイガ-0なりに推理を始めた。
まず、ルストさんが迫ってきているという事。
色恋沙汰ではほぼ100%に近く確率でないだろう。
となると浮かぶのは彼女の十八番であるネフィリムホロウ。
と言うか彼女からネフィリムホロウ以外の話が出てくるとは思えない。
8割ネフホロ、2割シャンフロのロボ関係だ。
シャンフロのロボット関係はリヴァイアサンが解放された今彼女はネフホロをやっている時間以外は大体あそこに籠っていたとサイガ-0は記憶している。
つまり彼女が詰め寄ってきている大きな要因はネフホロに絞られた訳だ。
こういう時は解説の……モルドさんが大体注釈を入れてくれるのだが彼の姿が見当たらない。
珍しい事もあるものだ。
「おそらくネフホロ関係だと思います」
「ネフホロ…?」
「あいつだ、豆太郎のことだ!」
「豆太郎、さん?」
サイガ-0はルストの言葉を反復する。
少なくとも知っているプレイヤーネームではない。
未来の記憶含めて豆太郎と言う有名なシャンフロプレイヤーに覚えはないのでおそらくネフホロのプレイヤー。
名前の響き的に女性と言う線は少ない。
……でもPNって結構雑に付ける人多いんですよね。
「あいつは先週サンラクと対戦した後ネフホロでのログインが観測されていない、どこだ、どこに連れて行った!」
「え゛そうなの?」
「ああ!現在進行形でモルドにネフホロの方を捜索してもらっているがまるで手掛かりがない!」
「俺も知らん」
「そんなわけあるかぁ!」
「だから知らねぇって!」
サンラクはルストに胸倉……は服が無いのでハシビロコウヘッドのマスク下…も改修の結果丈が短くなっているので掴めず、くちばし部分を掴んで左右に振られている。
「あ、サンラク君、その豆太郎さんと戦った後の彼の様子とか覚えてないんですか?」
ルストさん一度ストップしてくださいとサイガ-0がストップをかけたことで左右のシェイクは止まった。
「えーっと、あいつと戦った後?――――ア゜」
「なんだ、何を思い出した、言え!」
「ゆら、揺らさないでくれ!」
「ルストさん?」
「――ッ、いったんやめる」
再度サンラクをシェイクし始めたルストはサイガ‐0の圧ですぐにやめた。
やめたがいつでも再開できるようにくちばしを掴んだままである。
「あ、あのあとあいつGHプレイヤーってことが分かってその後GH: Cでマッチした。それ以降は知らんぞ」
「‥……行け、今すぐGHとやらで豆太郎探してきてくれ」
「え?」
「豆太郎見つけてきたら最大限何か協力する」
「お、おぅ?」
「サンラク君レッツゴー」
「げ、鉛筆お前まで?!」
「いやールストちゃんに恩売れる機会って少ないから行ってきて。団長命令」
「ぐっ……でもあいつ他に幕末とシャンフロもやってるみたいでな」
「ふむ。じゃ、レイちゃん幕末。サンラク君GH、私がシャンフロを探そう」
「……何考えてんだペンシルゴン」
「んー、ルストちゃんがそこまで執着するってことは相当なPS持ちってことでしょ?」
「まぁ、俺もネフホロで負けたしな」
「……ますます気になる!あわよくばこちら側に引き込みたい人物だね。シャンフロやってるとか超好都合!」
‥…なんか良からぬこと考えてそうだ、なんてサンラクは考えながら渋々従うことにした。
「レイ、GHでフレンド欄探してからすぐ俺も幕末に向かう」
「はい、わかりました!」
「じゃ、ルストちゃんは私と豆太郎探しに行こうか」
「…ん。助かる」
「ソロでレイドボスを倒した奴が居る?!」
「え、ええ。にわかには信じられませんが突如橋の上で100本の刀を集めるという行為を行い、100本目にしてレイドボスさんを下したことからその人物は“弁慶”との異名が付いたそうです」
「……プレイヤーネームは?」
「その、豆太郎さんとおっしゃるそうです」
「……あいつオールマイティーすぎるだろ…」
「それで、その、あちらに―――」
「おのれ豆太郎!この恨み晴らさでおくべきか…っ!」
「京ティメット、やられたのか」
「3回負けたそうです」
「なんで僕がいない時にそんな楽しいイベント開いてるんだよぉ!」
「あ、ゼッケン」
「先ほどログインして弁慶橋の乱の存在を知ったそうです」
「で、本人は?」
「レイドボスさん倒した後ならいけるだろうと漁夫の利天誅を図るプレイヤーを粗方始末してログアウトしたそうです」
「……今日、捕まりそうにねぇな」
「みたい、ですね」
「しばらく幕末で時間潰して適当にシャンフロの方で見つからなかった報告と行こう」
「え、私たちもシャンフロで捜索した方が良いのでは。――ッ天誅です!」
「ちょっとログアウト前にひと暴れしてからだな!」
・電脳世界最高適正系主人公()
「久々にいいバトルが出来た(満足)」
ログアウト後ウキウキで刀語ゲーの制作を始める(自宅用)
なお掲示板界隈では色々な方面で放火魔のごとく色々なものを燃やしていることに気づいていない。
・2層クリア2h33m55sの嫁。
「刀剣系のゲーム?え、それ日本刀に分類するの?日本で作った刀()は何でも日本刀?スッゴイとんでも理論。完成したらやるね!」
・ネフホロ一位さん
「シャー!(威嚇する猫並みの不機嫌)」
・鉛筆
「面白そうな人材いるんだねー」
・(動詞)
「(ま、豆太郎さぁん!早く、早くログインしてくださいッ!)」
・レイドボスさん
フンス、フンス!(興奮が隠しきれない)(しばらく温めてた辞世の句が言えた)
・バグ銀
「へー、私もレイドボスくん斬りに行こっと」
ハイテンションレイドボスを本気出すのにいい対象、とかくらいにしか思わない当たり実にバグ。裏ボスとの呼び声も。