何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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11月下旬.2

 

 和人はその日在宅ワークで頭を悩ませていた。

 

「そっち系の設計はしたことねぇんだよなぁ」

 

 カムラの保養所契約している箱根の温泉街に仮設置したARゴルフが思いのほか好評らしく、最後のパターで入れるグリーンの勾配が欲しいという要望があったらしい。

 

 それを聞いて「フィールド全体的に可変できる施設とか欲しいね」と役員のバカが言い出したらしく、なんか和人が設計するという話になり始めた。

 

 と言うかお前に振った研究費余りまくってるからガッツリ使って研究して。

 

 株主総会怖いから、と言う話でもあるらしい。

 

 ……まぁ、デバイス一つあれば色々作れるタイプだからそんなに研究費使ってこなかったんだよなぁ、ARカメラ関係とか殆ど重村教授持ちの研究費多めだし。

 

 

「専門外過ぎるッ!」

 

「そこまで頭抱えてるの珍しい」

 

「ゴルフは専門外過ぎる」

 

 俺が作れるのゴルフゲームだから。

 

 実際の機械工学的方面少し触れたことはあるけど地形の変動ギミックとか触れてこなかったんですけど。

 

「ゴルフ、ゴルフかぁ……私も専門外」

 

「未知すぎる……」

 

「あ、それじゃ実際のゴルフ場に足を運んでみればイメージつくんじゃない?」

 

「なる、ほど?」

 

 何から始めればいいのか一ミリもわかんねぇ。

 

「お父さんも少し付き合いでゴルフするらしいから話通しt―――」

 

「勘弁して」

 

「ふふ、はーい」

 

 彬茅社長はやめて。

 

 俺の精神衛生上。

 

 和人はいたずらっ子の様に笑う紗音の頬をモチモチしつつ、あまり散らかしている研究費でかんたんに製造できそうな人工芝と金属類を発注した。

 

 ひと先ずは想像でそれっぽいものを一回作ってみよう。

 

 

 〇

 

 

 AR関係のデバイスの試験場としてカムラが新たに用意した場所がある。

 

 そこそこデカい校舎だが交通の便がやや悪く廃校に。

 

 少子高齢化の波に負け統廃合をした廃校を地域貢献の名の元買っちまったのがカムラの試験場。

 

 社員の福利厚生の一環として運動場として再利用する方針と2つある体育館の内の一つは自由にやってくれと和人に投げられた。

 

 カムラの地下、かなりオーグマー関係で魔改造したからなぁ…。

 

 会社の外でやれ、と言う圧を感じる。

 

 車でひとまずその試験場まで移動する。

 

 かつて教職員の駐車場であったであろうところまで車を運ぶが、以前学校の駐車場だったとは思えない仕様となっている。

 

 あ、これ昔作った玩具システムじゃん。

 

 それはかつて和人がまだ高校生だった頃作った出入口の門を自動でオープンにする機構。

 

 車の中にあるICチップ認識地味に苦労したんだよなぁ…。

 

 常駐しているのは定年退職したカムラの社員さんで、ここら辺の日に資材搬入します、と話を通しておく。

 

 あ、はい。体育館に直接搬入しておいてもらえると。

 

 

 和人が足を運んだのは極めて一般的なサイズの体育館。

 

 なんとなく体育館に設備の配置の計画を考える。

 

 一般的な中学校当たりのサイズは1200m2前後だっただろうか。

 

 グリーンのサイズは分からないが体育館の半分くらいのサイズ感があれば大丈夫だろうか。

 

 あ、耐荷重考えてなかった。

 

 んー、ザックリ400人くらいの中学生くらいの重さに押さえておけば大丈夫だろうか。

 

 ……めんどくさいので底が抜けたらその時は補修。

 

 それで行こう。

 

 カムラの社員から体力的に余裕ありそうな人何人か借りときたいなぁ。

 

 組み立てに物理的労力いるんだよね。

 

 あ、ミニエモン作った時に思いついたアシストマシーンのテストでもするか…?

 

 色々と表に出せそうにない情報の塊だからやめておこう。

 

 発注入れておいた量だとちょっと物足りないかな。

 

 と言うかどんな施設想定してるんだ?

 

 まぁ、屋内は確定で体育館規模の空間があれば楽しめるをコンセプトにしてしまう。

 

 どうせバンカーからグリーンにショットしたりしたいんだろうから高低差も考えないといけないな。

 

 開始位置、池ポチャ扱いエリア、バンカーエリア、グリーンエリア。

 

 それをいい感じにまとめようとすると体育館サイズは欲しい。

 

 多少は歩いた方が楽しいんだろうな。

 

 

 

 ……まて、普通にゴルフするとしたら球って200ヤードは飛んだりするよな。

 

 それを体育館サイズに収める…?

 

 実際に打ちARで飛んだという処理をして物理演算的に途中の場所から玉をポップアップさせる?

 

 ……体育館一面高低差生むタイプの奴作ればいいじゃん。

 

 プレイ人数少なめにすればフィールドの可動回数減らせるし。

 

 最初に同じエリアから開始。

 

 そこから差はついて行くので、ゴルフの基本ルールからカップから一番遠い人から開始になる……みたいなルールだったと思うのでその人が落としたエリアに合わせて地形の変動。それを順番に繰り返していく。それを体育館の半面サイズで繰り返していく。

 

 最後にグリーンまでの短い距離になったら、体育館のもう半分を開放して少し歩いてもらうギミック。

 

 そんな感じにしておこう。

 

 ゴルフって確か芝の深さとか方向とかの微細な調整が欲しい話になってくると思うのでグリーンエリア以外は大雑把にそれっぽい挙動つくようにして、グリーンエリアを安定して同じ勾配を再現しないといけないのが地味に、地味にめんどくさい。

 

 ざっくり仕様書作ってお偉いさん検討してクレメンス・アタックのメールを送る。

 

 資材発注した分の稟議書後出しだけどなんかいい感じに処理してクレメンス、と。

 

 こんな感じに設備組んでみてくれとカムラの人にぶん投げて、そのコースを実現するためのプログラム作成をすればよし、と。

 

 で、実際にゴルフ経験のある奴に試してもらって問題点を考える。

 

 これで行こう。

 

 あ、仕事が早すぎるとメールが来た。

 

 まだ計画だけやぞ?

 試作するための資材と部品は弾いたので規格に適合するもん探してきてね。

 

 来週の会議で審議すると返信来たな。

 

 資材来るのもそんくらいだし最悪隠れ家()に持ち込んでなんかARスポーツに流用できそうなの作ったろ。

 

 フィールド・バットに時間式で高低差付けたら面白いのではなかろうか?

 

 提案書……は、仕事が増えるのでないないしておきましょうねー。

 

 

 〇

 

 

 手が空いたのでここからは自由研究タイム。

 

 和人はミニエモンを置いてある隠れ家()に移動しJGEのスワローズネスト社のクリア景品である3等のスクラップ・ガンマン対応の銃型コントローラー(拳銃型)を取り出す。

 

 スピード・シューティングの中にリコイル、反動が欲しいという意見が見られたので試作。

 

 スワローズネスト社が持っている特許に引っ掛からないシステムを考えてみる。

 

 スピードシューティングは競技であり、プログラミングを考えるんじゃぞと言うものなので実装予定はないが、興味があるので作ってみる。

 

 拳銃のブローバックは結構好きだし。

 

 とりあえずバラしてみる。

 

 なるほど?これが動いて本体が揺れる訳だ。

 

 んーどうせ遊びで作るんだったらライフルぐらいのがっつりとした反動が欲しいんだよなぁ。

 

 反動ってどんなもんだっけ。

 

 ちょっとFloraシステムのGGOエリア行ってくるか。

 

 

 〇

 

 

「で、何が出来たの?」

 

「撃ったら体が後退するレベルの反動マシーン」

 

「怪我するならVRの中だけにして」

 

「うす」

 

 帰宅後、仕事上話しても問題のない事を話しながら夕食を食べる。

 

 本日はカツ定食スタイル。

 

 カツ、30近くなると200g食べるのきつくなるんだよあなぁ。

 

 おろしカツでサッパリいくのが胃に優しい。

 

「あ、金曜日真登香ちゃん遊びに来るって」

 

「了解」

 

「あと、シャンフロで金曜の夜アレがファステイアでイベントやるって言ってるらしいけど聞いた?」

 

「聞いた。バハムート3番艦のベヒーモス召喚イベだろ?」

 

「そこまでは知らないよぉ」

 

 あ、そう言えばwiki更新してなかった。

 

 マルチタスクで飯食いながら更新していく。

 

 マクセルリングマジ便利。

 

「ちなみにどんな施設なの?」

 

「惑星ユートピアのお勉強エリア。9層クリアすると後天的なキャラメイクが出来るようになるらしい」

 

「んーお勉強には興味ないけどキャラメイクはちょっと心揺れるなぁ」

 

「おそらくだが視界系スキルとかの補助みたく動体視力強化とかもできるんじゃねぇかな」

 

「‥…それは気になる」

 

「俺もキリトアバター改修するかなぁ」

 

「え、アレは男の娘スタイルだから美味しいのであって、普通の男の子スタイルになるのは……それはそれであり」

 

「よし、やめておくわ」

 

「えー?」

 

 髪の長いアバターは髪の長いアバターなりの利点とかあったりすることに気が付いてしまったんだよ。

 

「それで今日はシャンフロ?」

 

「んー、GGO」

 

「珍しい」

 

「昨日鉛玉食らって対応しきれなかったのが悔しいから各種弾丸切る練習したくて」

 

「……たまに思うけどVR内で和人君人間やめてるよね」

 

「まだ人間。石仮面被ってないし」

 

「石仮面……?」

 

「後で元ネタのゲーム作っとく」

 

「また流れるようにゲームが作られていくぅ」

 

 それじゃ、私は刀語体験してくるよーと紗音は食器を片付け、部屋に向かっていった。

 

「ジャンプゲーで思い出したが陽務さんの息子に渡ったであろうゲームは楽しまれているのだろうか」

 

 あの時は確か鬼滅の刃風の格闘ゲーム作ったんだっけか。

 

 ストーリーモードも作って置くかな。流石に相手先のVRシステム特定するの悪いから渡したのはアップデートできないけど。

 

 ジャンプ作品攻めていくのもいいなー。

 

 そんなことを考えながら和人も食べ終わった食器を食洗器に入れて洗剤入れてボタンを押して部屋に向かった。

 

 

 この後めちゃくちゃ弾丸切った。




・それはそれとしてVRみんゴルも爆誕した。

 多分プロプラ発売してお祝いのパーティーとかになったら二次会あたりでさらっとお出しされる。

 酔っぱらい共が遊ぶので翌日、酔いがさめた後に「さらっとヤベーゲーム遊ばなかったっけ」とかなる。

・陽務家のゲーマー

 晴天流[幻]は手に入れていないが日の呼吸再現スキルは手に入れてた模様。
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