何も知らない鳴坂和人くん(22) 作:スティック/糊
何で年度末近くなると仕事が多くなるんですかね(半ギレ)
仕事が落ち着くまでペース落ちます。
超長いレシートが来た。
別に大きな買い物をした訳ではない。
いわゆる公式のアップデートや損害が発生した場合に掲示される謝罪文やどうしてこうなったのかを事細かに説明された文章群をオタク界隈ではそう呼ぶことがある。
追って連絡するとは言ったがここまでの速度感で話が進むとは思わないじゃん?
和人は夕食を取りながらそのクソ長レシートをAR機能越しに読む。
要約すれば以下の通り。
・本件は該当者に対する特定の機能を逆手に取った内部の者のやらかし。
・本来のシャンフロにはこのようなシステムは実装されない予定だった。
該当システムに接触確認されてたプレイヤーは極めて少ないため、無かったものとして処理を行う。またそれにかかったマーニの二倍の金額を返還対応とさせて頂きます。
リヴァイアサン該当エリア並びにベヒーモス該当エリアの資料は本日正午に実行を行いました。
・最近多発しているプレイヤーに対する強引な囲い込み等の対応について。
現状においては該当プレイヤーが多すぎるため直接的対応は極めて困難であるため、通報システムの導入が近日中に行われます。
現行の「出会い厨」「直結厨」に対しては生理的嫌悪感をほんのり匂わせるオーラを発生させる様になっておりますがその機能の強化、並びに賞金狩人と同系統のNPCの配置を検討しています。
・情報風化の目的として別天律の隕鉄鏡[B]の機能編集を行った使用回数制限アイテム獲得の機会が設けられます。
該当条件は弊社で検討の後、公式HPやSNSで発表されます。
・本件を主導した阿呆共にはこちらの方で制裁を行いましたので法廷バトルは勘弁して頂けると幸いです。
だいたいこんな感じ。
……個人のメールに送って良い企業の謝罪文量超えてるんだよなぁ。
ざっくりまとめると愉悦スイッチ入ったエミヤとそれを甘やかす継久里の図が根底にあったらしいが吹っ切れたし、そこまで気にしてねぇんだよな。
それでもプレイしやすくなったのは有難いんだけども。
シャンフロって出会い厨ヌッコロ機能充実しすぎでは…?
法廷バトルの予定はない。ただし身内を巻き込んだ場合は容赦しない、と言う趣旨の返信を入れておく。
プロプラもコンプラとかそこらへん強化しておくか、他人事ではない話だし。
〇
「こんにちは。眼鏡どう?」
キリトはシャンフロにログインし、散策をしていると一人の女性に絡まれた。
プレイヤーネームはフランシスコ・ザビッ。
途中で途切れているのは仕様なのか…?
「……眼鏡普及委員会会員か」
「え、何その素敵委員会」
「委員長に申請送っとく…」
いつぞやぶりにエマさんに伝書鳥を送る。
あ、流れるように返信帰って来た。
メガネ普及するものは何人いてもいい。
あと、水晶巣崖で蠍狩りのご依頼も来た。
いや、俺委員会に所属してないけども。
「委員会本部はサードレマだそうだ」
「オッケー、後で行ってみる―――って違う!」
フランシスコ・ザビッ氏は当初の目的を思い出したようにツッコミを入れてくる。
「……で、如何様なご用件で?」
「まずは自己紹介からやり直していい?」
「どうぞ」
「私はフランシスコ・ザビッ!気軽にザビ子って呼んで」
「ほんとに普通にやり直したこの人」
メンタルつよつよか…?
「キミを捕捉した経緯は、例の魔法少女」
「どっちだ…?」
「想像にお任せ。私が無理やり聞いたから彼女を怒らないでね」
本当にどっちだ?
いや待て、俺の知覚外の魔法少女の可能性も捨てきれない。
キリトが頭を捻っていると、彼女はごく普通に要件を伝えてきた。
「要件なんだけど端的に言うと旦那の紅茶にアーチャー衣装着せたいんだ」
「何故俺にそんな伝手があると?」
「いや、自分の恰好見なよ」
「――ハッ!?」
「ギャグかな?」
そう言えばFateシリーズの衣装続投した。
新作に切り替えとこ。
曰くお前のGGOの衣装、とのこと。
黒い、落ちつく、久々に丈の長いズボンだ…。
「今更切り替えても遅いよ?」
「誤魔化せなかったか」
紹介する分には構わんが、奴のインしている時間帯がなぁ…。
「衣服つよつよフレンズはド深夜ログイン勢だから後で回答で良いか?」
「もちろん。あ、突然凸したお詫び」
「どうも…?ってなんでやねん!」
キリトは詫びの品を確認した瞬間思いっきり地面に叩きつけた。
「え、バニーと巫女服とメイド服が嫌いな男性っていたの!?」
「そうじゃねぇよ!?」
「あ、これはうちの良妻狐が作った奴だから安心して」
「安心する要素とは…?」
えーっと、月の王に無銘に、玉藻の前までいるの?
Fate勢充実してるなぁ…。
そのまま玉藻の前さんに作って貰えばいいんじゃ…?
野郎の服を作るのは旦那以外のを作りたくないと拒否された?
左様で。
岸波二人いる感じなの?
血縁は無いけどお隣さんで幼馴染で、別姓同名で付いたあだ名はザビーズ?
癖が強いッ!
フランシスコ・ザビエルは鉄板ネタなのか。
「冗談はさて置き、
「お、おう」
「ユニーク由来の一点ものだから性能は保証しておくね」
「レアものじゃん」
「ほら、私たち魔術に一家言あるから」
「そう言われると何も言えねぇ」
……え、この世界魔術ってあるの?
「ちなみに魔術は無いよ。時計塔も只の観光地」
彼女はこちらの考えてることを呼んでいるかのようにそう告げた。
ふぅ、心底安心案件。
「お返しに一ついい事を教えてやる」
「…?」
「この世界に褐色金髪ベビーフェイスが店員やってる喫茶ポアロは都内に存在する」
「え゛」
「ガチだぞ」
「え、某死神いるの絶対会いたくない過ぎる」
転生者的にそこは共通認識なんだ。
衣服つよつよフレンズに仕事断られたらちゃんと返すから、と言ったのだがFate組の阿呆が迷惑かけた詫び込とのこと。
返却はいらねぇぜと言われた。
あ、これ仲介手数料なの?リッチ過ぎない?
作業が進展したら連絡するとフレンド登録をしてその場を後にした。
ザビ子氏の依頼を受け、そういえば素材もいるよなぁと思い立ちツチノコハシビロコウ素材回収サービスに連絡を入れると「これからオルケストラに挑むんで今は無理ぽ」との返事。
オルケストラか。
彼はどの√なんだろう。
何らかのフラグに影響されているんだろう。
ちょっと気になる。
深夜に差し掛かる時刻を見つつもイーオンのログインはまだらしい。
また今度の機会にするかなぁ、なんて思っているとVR機器の基本機能であるコールが入った。
このコールはVR機器でフルダイブしている相手に対してのインターホンの様なものである。
『へい、ちょっと面白い生配信始まったから一緒に見よ』
「はいよ」
キリトはログアウトし、現実世界に戻る。
配信タイトルは『オル検証』
「サンラク君推定配信設定ミスって生配信っぽいよ」
「……憐れサンラク」
今度会った時少し優しくしとこ。
あ、衛宮からメール。
『https://XXXXX.com 私これに関しては無実!』
誰も疑っておらんて。
と言うか深夜まで仕事していらっしゃる?
休んでもろて。
・独断と偏見の月組のCP
無名×ザビ子 ザビ男×良妻狐
ちなみにエミヤシロウはいっぱいいる。
Fate組の転生者の数は凄い()
・この世界は平和な世界線なので見た目は子供頭脳は大人な名探偵はいません。
・生配信見つけた紗音さん
「んー、ラッカー塗料どれをどうすればいいの…?検索、検索……新着配信『オル検証』…? あ、ツチノコハシビロコウだ」
・無情にも叩きつけられたコスプレ衣装
イーオンの手間賃として納められた。
その後、義妹に横流しされた。