ブルアカ監禁SS 作:名無し
「…私は、先生にここからいなくなってほしくありません…」
…そう言った、確かにそう言ったのに 私は先生を見送るしかない、見送らなきゃ、いけない
先生は、今日ハナエちゃんの所に行くらしい、そして、きっと…
「……」
それが、最後のチャンスで…
私は、全てを失っても良かった、だから
「先生」
廊下を歩く背中に声をかけた
“セリ…な…?”
振り返る前に抱きついた、ギュッと、強く抱きしめて顔を埋める
少し酸っぱくて、香ばしい匂いがする …
…ああ、これを私だけのものにしたいな ……
…そうじゃない 私のものにするんだった
“……っ…う…?”
「あ、先生、目が覚めましたか?」
“……何、これは…セリナ…?”
「はい、先生だけのセリナですよ!」
“…セリナ…?”
目が覚めて、最初に見えたのは…
いや、何も見えない、目隠しをされている?
身じろぎしようとして、腕が拘束されてる事に気がついた
そして、足も動かない
“……セリナ、これは、どういう事?”
「…私は、ハナエちゃんもミネ団長も大事で、信頼しています」
“…セリナ?”
「だから信じてるんです、2人は立ち直って、きっと2人だけでなんとかやっていけるって!」
“セリナ、私、何言ってるかわからな…”
「先生、私と2人で暮らしましょう、先生に愛してもらうためになんでもしますから」
おかしい、これが、少し前に話したセリナと同じだとは到底信じられない
“とにかく、目隠しを外してよ、拘束も…”
「…良いですよ、まずは目隠しから外しますね」
急に視界が明るくなり、眩しい 何度か瞬きしながら、ゆっくりと目を光にならす
白飛びした世界がだんだん鮮やかになる
“ここは、どこ…?”
見たことのない部屋だ 木で作られたかのような、簡素な造りの家…
「…樹海の奥深くですよ、先生」
“樹海……あ”
かつてミネと探索した事がある
探索ルートを外れたら戻る事が難しいという
地図も何も役に立たないという、あの樹海なのならば…
助けは、絶望的だろう
“ど、どうして…どうしてこんな事を…?”
「…先生、私は先生と一緒になりたいんです」
もしこれが愛だとするのなら、それはどれほど捩れて歪んだ物なのだろうか
セリナの目には、私しか映っていない
セリナが足と手の拘束を解く
ニコニコとした笑顔を向けられる …
きっと、本当に樹海の奥深くに連れてこられたのだ、逃げる手段はもう存在しない
「先生は、約束は破りませんよね?」
“…約束…?”
セリナが紙の束を差し出す …同意書だった、中身を改めて読み込む、最初の2枚ほどは確かに必要な内容だったがそれ以降は…
“こ、んなの…サインしたら、自由を捨てるようなものじゃ…”
それ以降は、完全に管理されることへの同意を求める内容だった
そして最後の一文 [この書を持って、私は鷲見セリナと一生を共にすることを誓います]
…正常な判断力を持っていれば、きっとサインしなかったであろう
“こ、こんなの…!”
「先生、どうしてもイヤなら出て行っても構いませんよ?もちろん安全な場所までお送りします」
“!?”
「……私には、先生にいただいた子がいますので」
“……え…?”
…理解できない
セリナの言動が、全てが
その言葉の意味が、下腹部に手を当てる意味が、その表情が目線が、その目に込められた慈しみが 理解できない…
「…先生、実は先生に薬を飲んで眠ってもらった日があったんです」
ゾワリと、背筋を何かが撫でた
「私も、可能な限り周期を合わせて、その日に…先生はちゃんと眠ったままでしたよ」
「なので、先生には…」
「なんの責任もありませんから」
“……”
言葉が出ない
つまり、だけどまだ、そうと決まったわけじゃ…
もしかしたら、できてない、かも…
頭の中で言い訳をする
呼吸が速くなってる気がする
セリナの目を見られない
「…先生、いいんですよ、私は1人でも生きていけますから」
「私はここから帰ってトリニティに行く事もできます、私なら心配はありません」
「それに、1人くらいなら、私は守れます」
“……セリナ、その、それは…”
「…ふふふ、どうしましたか?先生」
“…ぅ…あ、ぁ…”
“……のこ、るよ…その…少しの間、だけ…”
その間に、セリナが考え直してくれるかもしれない
そもそも、そんな事は起きたいなかもしれない 起きたとしても、子供なんて…
「……♡」
…そう、まだ、わからないじゃないか
(そう、まだわかりませんよね…)
(だから、これから確実に…ですよ、先生)
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