ブルアカ監禁SS   作:名無し

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救護騎士団に閉じ込められたい IF 3

 

“ハナエ、少し良いかな?”


「……先生…?」


“この部屋暗いね、電気つけるよ”


…先生は、どうしてこの部屋に来たのだろう


先生の命を奪いかけた、私が…唯一逃げ込めたこの空き病室に


私は、思う


私を殺しかけた人がいたら…きっと私は怖い、ものすごく怖い


事故でも、そんな人に接するのは…


なのに、先生は笑顔で私に対応してくれる


それはなんでだろう?

 


“…ハナエ、大丈夫、私は元気だよ”


“不安そうな顔をしないで、何も怒ったりなんてしてないから”


「……」


そっか、最初から何も起きてなかったんだ


“ハナエ、大丈夫だからね”


私のことを励まそうと、頭に手が伸びる


「…はい!」


先生の手を掴んで引き寄せて、先生をぎゅっと抱きしめる


“は、ハナエ?”


「先生!良かったです!」


全身で先生を捕まえる、照れたような笑いが聞こえる


…ああ、よかった、絶対に離したくない、2度と私のそばから離れて欲しくない

 


だから次はやり方を間違えない

 


“は、ハナエ…そろそろ離してくれる?”


「……」


“ハナエ?”


セリナ先輩ならどうするだろう?団長ならどうするだろう?


「わかりました!」


パッと体を離す


心が引き裂かれるようだった



…ああ、やっぱり離れたくない、どうすればいいんだろう?

 


先輩のやり方は上手く行ってた、ならそれを真似しよう


私が余計なことをしなければ、全てうまく行ってたのだから


その通りに…だから、準備をしなくちゃ


今は先生を見送って、ちゃんと準備をして、迎えに行かなきゃ

 

 



シャーレに戻って数日、溜め込んだ仕事に、舞い込む仕事忙殺されながらも、毎日を楽しく送っている、なぜなら…


「先生〜!お手伝いにきましたよ!」


“ハナエ!ありがとう!”


当番の子とは別に、この1週間毎日のようにハナエが来てくれる


そしてハナエは決まって甘いお菓子を持ってきてくれる

 


“今日は…プリンか、ありがとう!”


「いえいえ!喜んでもらえて嬉しいです!」


甘くてとろけるプリンを口に運ぶたびに疲れた脳が喜ぶ、すごく美味しい


“(ハナエも料理がこの数日ですごく上達してるなぁ…)”


「……ふふ」


(…ああ、先生がまた…)


“どうしたの?ハナエ…少し顔が赤いけど…息も荒いし”


「あ!は、走ってきたので!」


“そ、そう…?”


「……あ、じゃあお手伝いしますね!」


“(…?)”

 


最初こそ、お菓子をもらうことに疑いの気持ちはあった


薬か何かが入っているのかと考えもした


だけどハナエが自分で作ったというお菓子を食べないわけにはいかない


何より自身の空腹に抗えなかった


それが数日続いた頃だった

 

 


“え?……幽霊?”


“トリニティは教会も多いからね、そういう噂もあるのかな…”


トリニティに夜な夜な人魂が出るという話を聞き、それを解決して欲しいという依頼が来た


よくある話だ、シャーレは何でも屋である、と揶揄われることも少なくない


どんな依頼も無碍にせず受けてきたのだから、この依頼ももちろん受けた

 


“……さて、いやぁ…本当に幽霊がいたらちょっと嫌だな…”


そう思いつつ辺りを探索する


夜間であることもあって、人の気配はまるでない、本当に誰かいるのだろうか


そもそも幽霊なら気配などするわけもないのだが


意外と自分に余裕があることを認識し、ぼんやりと歩いているとふと何か明るいものが横切った気がした

 


“(あれは……)”


…あの高さに浮かんでいる明るいもの、おそらく間違いないだろう


“(ヘイロー…?)”


一気に安心感が溢れてくる


幽霊ならヘイローなんて浮かんでいるはずがない、そう思うと何も怖くない


声をかけようと早足で追いかける


次第にヘイローの形も明瞭に見えるようになり…


“ん?あれって…”


「あ!」


声に反応して振り返ったのは…


“ハナエ!?な、なんでここに…?こんな時間に出歩いてたら危な…おわっ!?”


問いかけの答えの前にハナエに飛びつかれる


“は、ハナエ!?どうしたの!?”


「やっとお呪いの効果が出ました!」


“お、おまじない…?”


頭に浮かんだハテナマークが消える前にハナエに手を引かれる


「こっちに来てください!」


“え、ちょっと!?”

 


ハナエに連れられてたどり着いたのは…


“ここ、誰の家?”


「借りたお家です!先生と暮らすために」


“え?”


カチャリと金属の音、そして腕への重量感…この重みには覚えがある


手に視線を落とすと…


“……な、なんで手錠…?”


「先生が逃げないようにしないといけなくて…」


“こ、今回は誰が…セリナ?ミネ?”


「先輩たちは関係ありません!私が、先生が欲しいんです!」


“は、ハナエが…!?うわっ!?”


手錠ごと引っ張られ、家の中へと引き摺り込まれる

 


こうなっては間違った方向に進む生徒を止めるしかない


“ハナエ、こんな事ダメだからね!?”


「……」


ハナエがこちらに振り向く、そしてビンタを浴びせられる


頬が熱い…耳がキーンとして何も聞こえない…


“……え…?”


「…大丈夫ですか?」


不思議そうに顔を覗かれる、なんでこんな顔をしてるんだろう、叩いたのは、ハナエなのに

 


「先生、もう叩きたくないので、いうことを聞いてくださいね」


“…ど、どうして…?こんな事…”


「私、先生が欲しいからって、言いましたよ?」


“で、でもこんなやり方…”



ハナエが腕を振り上げる


それに反応して咄嗟に防御姿勢をとった…衝撃は来ない


「…ダメじゃないですよね?」


“…だ、ダメ…だよ…”


顔を守っていたから、背中を叩かれる


叩かれた部分がすごく熱い、同じ問いかけ、同じ答え、同じ痛み


それを何度か繰り返して、ハナエが顔を守っていた腕を掴んで無理矢理どけさせる


「ダメじゃないですよね?」


“…ぅ……あ…”


「ね?先生」


…恐怖の余り、小さく、本当に小さく、首を縦に振ってしまった

 


ニッコリと笑ったハナエは上機嫌に手を引いて家の奥へと私を案内する


「先輩達のやり方は正しかったです、でも私は上手くできなかったので…」


「だから、真似してみたんですけど…ちゃんとできてますね!よかったです!」


“…ぅ…”



「先生にかけたお呪いもちゃーんとききましたし!」


“…お呪い……お呪いって、何…?”


「先生に私を食べてもらうおまじないです!」


“…私が、ハナエを…?!”


「はい!」


何を言ってるんだ?食べる?ハナエを…?


頭の中でグルグルと回っている何かが、急にどこかまとまり始める


“まさか、あの…お菓子って……”


「はい!私の体の一部が入ってます!」

 


そう言ってハナエが自身の服をはだけさせる


首筋のおびただしい数の傷、ガーゼなどでよく見えないが、それなりに深い傷跡も有るのだろう


“うっ……”


思わず吐き気がする、セリナですらここまではしなかった、何がこうした?


何があのハナエを変えてしまったのか?


「これで先生は私のことを忘れられません、なので…たとえ肉体が切り離されても、一生一緒です!」


“は、ハナエ…こんなの…”


頬に衝撃が走る、そして後頭部から床に倒れ、強く頭を打つ


視界が明滅する、考えられない、認識ができない


「…ま……な…で…言うんですか?先生?」


手錠を引かれ、無理矢理体を起こされる


ハナエは私のことを抱きしめて、頭をそっと撫でる


「…わかりました、今はまだわからなくていいので、ゆっくりわかりましょうね」

 



撫でられているからか、体温を感じているからか、優しい声からか


それとも恐怖か?安心か?痛みか?何かわからないのに、私の目からは涙が溢れて止まらない


大の大人が声を殺して泣いているのに、ハナエは満足げに頭を撫でる


…もう、私の中の抵抗の意思はポッキリと折れてしまった

 

 

 



そこからはスムーズだった、結局手錠は片手につけられただけで特に拘束はされていない


その家の中では手錠はあれど自由に動けるのだ


食事は毎回3食運ばれてくるし、おやつもでてくる、本もたくさんあるし、何より基本はずっとハナエがいる

 


…逃げる事は難しいのだろう


この手錠は脅しだ、私の寝室には鋼鉄製の支柱がある、それに繋がれれば、ベッドで横になることもできない


トイレにもお風呂にもいけない


その恐ろしさを私はよく知っている、そして何より、ハナエに叩かれることの怖さを知っている

 


ハナエはセリナよりも容赦が無い、だから…できれば、叩かれたく無い


お菓子や食事を拒否するたびに叩かれる、この中にハナエが入っていると思うと食べられない


だけど食べなければ叩かれる、逃げ出せば叩かれて拘束される


…そうだ、もう逃げる事はできない

 


「先生、私を受け入れてくれて、ありがとうございます!」


…私は、ハナエの思う通りにしか生きられない
私はもう、この檻からは決して出られないだろう

 



…IF END3

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