その“誘い”を受けたのはほんの気まぐれだ。
それはとある昼下がり。太陽系第二惑星、すなわち金星の文明を攻め滅ぼしたばかりで、このときの俺はすこぶる機嫌が良かった。
ことに、俺の悪い仲間である未来サイボーグ怪獣:ガイガンの暴れ方と来たらどうか。
「感動させていただいた……Mハンター星雲人とかいうゴキブリの小間使いしてることだけは前から気に入らないが、その華麗かつ残忍な破壊行為には心から敬意を表するよ、ガイガン」
俺の心からの尊敬、リスペクトの念に対し、ガイガンもまた丁重に答えてくれた。
「誉め言葉と受け取らせていただきます。しかし……」
と、ここでガイガンは言葉を区切った。
「とてもひとりでは出来ないこともございます」
……ほう、どんな?
俺が続きを促すと、ガイガンはサングラスを持ち上げながら言うのだった。
「キングギドラ先生、友人としてお願いしたいことがあるのですが……一緒に地球に『地球人の子供』を採りに行ってはいただけませんか?」
「地球人の子供?」
ええ、とガイガンは続ける。
「ヒト型種族の中でも『地球人の子供』は他の星系にはなく、この太陽系――地球で採れる『地球人の子供』は他の銀河のどこにもない特別な固有種です。もしそれが手に入るならキングギドラ先生……わたしの生涯において最高の破壊行為をお見せすることが出来ます」
「普段ガイガンがどこから獲物を仕入れてるのか知らないが……地球の固有種というならモスラ辺りから直接譲ってもらえばいいだろう?」
至極真っ当な俺の指摘に対し、ガイガンはいたって真顔で答えた。
「貴重すぎる地球人類の子供……モスラはひとつも譲ってくれません」
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」
俺は肩というか三つ首を竦めて答えた。
「譲ってくれないものを採りに攻め込もうって誘ってるのか? それって『侵略』って事だろうッ!?」
如何にもな俺の反応に、ガイガンは断固とした決意でもって答える。
「採るのはわたしです……あなたは首をぶらぶらさせながら引力光線を撃ちまくってくれるだけでいい」
「ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア」
言ってわからぬ悪友に、俺は敢えて丹念に言い聞かせてやった。
「……いいかい? 俺は健全な少年少女のための宇宙超ドラゴン怪獣なんだぜ? 社会的に少しは有名なんだ」
しかも!
と、ここで俺は敢えて付け加える。
「資料によれば、地球人は子供が成長して成人するまで20年以上と書いてあるッ! 育てている親御さんたちの日々のご苦労はとうてい想像できない……ッ!!」
……まあ、数万年、ともすると数億年近く生きてる俺たち怪獣にとっては20年なんてちっぽけなもんに過ぎないのだが。
とはいえ、それでも、だとしても。
ガイガンは堂々と言ってのけるのだった。
「“密漁”をします」
「だから気に入った」
すかさず応じる俺の答えに対し、ガイガンがクチバシに浮かべたのは、いつもどおりのニヒルな笑みだ。
ガイガンは言った。
「
……かくして次なる標的を見定め地球侵略に乗り出した俺たち、宇宙超ドラゴン怪獣キングギドラと未来サイボーグ怪獣ガイガン。
意気揚々と乗り込んだところまではよかったものの、ゴジラやモスラ、アンギラスなどをはじめとする地球怪獣連合軍から総出で迎え撃たれる羽目になり、コテンパンに叩きのめされることになるのだが、それはまあ別の話である。