元宮チアキではなく、“元”チアキ 作:元宮チアキ以外の誰か
チアキも喜んでいることでしょう
掲示板形式がありますが、苦手な人は読み飛ばしていいです
「「…………」」
帰り道。
マコトはサツキと共に静かに歩いていた。
いつもなら何かしらの話題で盛り上がるところだが、何も話すことがない。
いや、正確には『話せなかった』が正しい。
『あれが……ないと……私は……チアキになれない……!』
『チアキは……もう、いない……』
『死んだ……』
『私のせいで……チアキは……私が……殺……』
おそらく、自分とサツキは禁忌に踏み込んでしまったのだろう。
『チアキは死んだ』とはどういうことだ。
今まで一緒に万魔殿で活動してきたのは『元宮チアキ』ではないのか?
正直、パワハラと言ってくれた方がまだ気が楽だったかもしれない。
仕事や人間関係の問題だったならそれを解決すれば済む話だったから。
「チアキの言ってたこと、どういうことだと思う……?」
「さぁ……分からんな」
「考えられるとすれば、姉妹がいたとかかしら……?」
「……情報部にチアキの過去を洗わせる。何があったか確認するぞ」
まったく。同じ万魔殿の仲間を情報部に調べさせることになるとは考えもしなかった。
「……少しぐらい頼ってくれたって良いだろう」
「……そうね」
――
【感想】週刊万魔殿について その12
43:バイニンマン
今週分を入荷しました
20人分 いつもの場所で待つ
44:一般ミレニアム生徒
サンクス、ありがとうございました
45:一般ミレニアム生徒
週刊万魔殿きたああああああああ
46:一般ミレニアム生徒
自校の生徒より他校の生徒からの人気が高い唯一の校内紙
47:一般ミレニアム生徒
これがなきゃやってられん
48:一般ミレニアム生徒
>>46
流石にそれは言い過ぎ
ゲヘナでもイブキちゃんかわいいで読んでるやつかなりいるぞ
49:一般ミレニアム生徒
>>48
でもこの掲示板に居る奴らはそれを目的にしてないですよね
50:一般ミレニアム生徒
それはそう!(開き直り)
51:一般ミレニアム生徒
スタンバってたので早速購入
52:一般ミレニアム生徒
今週号の内容
『イブキ、初めてのシャーレ』
これだけ
今週は全部これ
53:一般ミレニアム生徒
まじか
54:一般ミレニアム生徒
(ゲヘナの生徒会が全員でシャーレに突撃するの時勢的にどうなの?)
55:一般ミレニアム生徒
(気になるけどここはそういう話する場所じゃないので)
56:一般ミレニアム生徒
(それもそうか)
57:一般ミレニアム生徒
あ、おい
【ファミレスのコップ片手にはしゃいでいるマコトの画像】
58:一般ミレニアム生徒
>シャーレをこの手に握ったと宣言するマコト議長<
おい
59:一般ミレニアム生徒
不味いですよ!
60:一般ミレニアム生徒
はいはい、政治の話はおしまい
61:一般ミレニアム生徒
荒れるからね
しょうがない
62:一般ミレニアム生徒
うーん、今週も大文豪、元宮チアキ先生の文章は素晴らしいですなぁ
文学研究会としてはかなり興味深い作品をいつもありがとう
参考資料として丁度良すぎるんだ
63:一般ミレニアム生徒
これだよこれ!読んでて不安になる自分語りコーナー!
64:一般ミレニアム生徒
今週の一言(一言ではない)(めちゃくちゃ辛そう)
65:一般ミレニアム生徒
このコーナーまじで癖になる
66:一般ミレニアム生徒
本人は多分陽気なキャラで書いてるつもりなんだろうなぁ……
可愛いね♡
67:一般ミレニアム生徒
>>66
お薬出しておきますね
68:一般ミレニアム生徒
陽気なキャラに見せかけて文章の節々から自信のなさが見えちゃってるチアキちゃん可愛い
抱いてあげたい
69:一般ミレニアム生徒
感想スレ(チアキ先生ファンクラブ)になってきたな
70:一般ミレニアム生徒
いや、でもまじめな話
鬱とかなってそうで怖いよね
71:一般ミレニアム生徒
他の万魔殿メンバーは褒めちぎってるのに自分のこと一切褒めないの怖い
72:一般ミレニアム生徒
>>70
こないだ風紀委員の子とシャーレで一緒になったけど万魔殿の圧力が辛いって言ってたしワンチャン内部抗争がえげつない可能性がある
73:一般ミレニアム生徒
精神状態を研究する部活やってる私から言わせてもらうと
チアキ大先生に必要なのは癒しと仲間です
74:一般ミレニアム生徒
>>73
これは誰だってほしいのでは……?
75:一般ミレニアム生徒
でもよお、こんなに万魔殿のことが好きそうなのが伝わってくる文章を書けるのに自分のことあんまり好きそうじゃないのなんか複雑な事情抱えてそうだよな
どうか自分をいたわってほしい
――
「ふむ……」
先生はシャーレで『週刊万魔殿』の過去号を読み漁っていた。
個人の性格を把握するうえで、本人が書いた文章を読むのは非常に有効だ。その点、『週刊万魔殿』はほとんどがチアキによる文章で構成されており、実に貴重な情報源である。
読めば読むほど、チアキの輪郭が鮮明になっていく。
まず感じられるのは、彼女が万魔殿を心から愛しているということ。他のメンバーの趣味や性格について細かく書かれており、記事を読み進めるだけで万魔殿のメンバー像が自然と浮かび上がる。彼女が組織内で信頼されている様子も伝わってきた。
先生はこれらの情報を踏まえて、表計算ソフトを活用した個人情報ファイルを更新していく。このファイルには生徒一人ひとりのプロフィール、連絡先、部活動の内容といった基本情報に加え、雑談やSNSから得た趣味嗜好のデータまで細かく記録されている。
__気持ち悪い趣味だと言われたらそれまでだが、楽しいのだから仕方がない。
先生はそう割り切る。この役職――シャーレの先生として、多種多様な生徒と接する日々は、まさに天職と言ってしまっていいだろう。
複雑な感情を抱えた人々が絡み合い、繰り広げる人間関係のドラマ。それを観察し、分析することが、先生にとっての「
閑話休題。話を『週刊万魔殿』に戻そう。
チアキが書いた記事は一見すると明るい文体で彩られているが、よく読むとその実、驚くほど暗い。表面上はポジティブなトーンを装っているものの、自己評価を下げながら他人を褒める文面が目立つのだ。
「……重症だな」
先生はそう呟いた。この文章はどうみても自己否定の表れだ。
得られた情報を基に、脳内に万魔殿とその関係者の人間関係の相関図を作り上げていく。
__相変わらず気持ち悪い特技だとは自覚しているが。
脳内の相関図を眺めながら、先生は自嘲的な笑みを浮かべた。
そこに出来上がったのは、万魔殿のメンバーがチアキを大切に思っているという関係性だ。しかし、当のチアキ本人はそれを理解していない。いや、自己肯定感の低さゆえに、自分を認めることができていないのだろう。
その心の闇が、いつか周囲に影響を及ぼす危険性もある。万魔殿という組織は、かつての感覚で言えば国会とか政府にあたる、ゲヘナを導くための重要な存在だ。そこに心の中に爆弾を抱えた少女がいる状況は、放置していいものではない。
「アロナ、ちょっといい?元宮チアキの情報を、なんでもいいから集めてきてほしい」
『はい!わかりました!アクセス可能な情報から、チアキさんのデータを抜き出します!』
先生はアロナの声を聞きながら、次にどう動くべきかを考えていた。
――
922:バイニンマン
【速報】週刊万魔殿、休載
再開時期は未定とのこと
923:一般ミレニアム生徒
>>922
え???
924:一般ミレニアム生徒
生きる意味を失う
925:一般ミレニアム生徒
マジで言ってる?
926:一般ミレニアム生徒
……チアキ先生に何かあったんじゃないか不安になりますねぇ
他校の生徒会だから情報が簡単に回ってこないのが辛いぜ
ガシャの結果ですがタイトルの通りです
チアキを知ってしまったのでもう書けません
本作はここで打ち切りとなります
次回作にご期待ください
嘘です