モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
第10話
暗黒大陸から脱出し、早数ヶ月。俺は人類の住まうエリアにまで到達した。バルファルクに巻き込まれた形になったが……
で、ここは流星街という場所らしい。
世界中から廃棄物を捨てられるゴミの世界。
ここには何を捨てても許される。
ゴミも武器も、死体も赤ん坊も。
人間の生命力というか、生存能力は凄いもので、こんなゴミ溜めの中でも人々は生活している。彼らは独自のコミュニティを築き、議会制度を敷いているらしい。
人口もかなり多く、何万人という人間たちがゴミを漁り日々を過ごしている。
そんな場所で俺は何をしているのかというと……
「現人神様! こちらお召し上がりください!」
「信者からの捧げ物でございます」
「現人神様」
「現人神ユータ様!!」
なんか祭り上げられていた……
流星街は排他的な場所だ。
ゴミ同然に世間から見放された人間たちが寄り集まっているから、当然と言える。
だがその分、身内には優しい。こんな環境だというのに、仲間内の絆は強固だ。
が、どこにでも爪弾き者というのはいるもので……
全てを受け入れるはずの流星街ですら厄介者扱いされる一部の人間たちは、独自の宗教を立ち上げ、小さなコミュニティを構築していた。
流星街で生まれた宗教、流星教。
そのまま過ぎるな。
人口800万人と推定される流星街において、その流星教の信者は500人ほど
運が良いのか悪いのか、俺が墜落した現場にはその流星教の信者が何人かおり……
また、天彗龍と称されるバルファルクとともに墜落してきた俺を、神の化身と勘違いしたらしい。
また、俺の対応も悪かった。
流星教の信者以外にも人はたくさんいて、彼らはバルファルクの骸の側に集まってきていた。
流星街はあらゆるものが捨てられる。
この街の住人は、そうして捨てられてきたものを得ながら日々を過ごしている。当然、この彗星龍の死体も糧としたいところのはず。
これだけの巨体だ。バラせば何人分の肉になるか。みすぼらしい格好の彼らがそれを欲しているのは俺でも分かった。
が、彼らが死体に手を出さないのは、仕留めたらしい俺が近くにいるから。明らかに様子を伺っていた。
その中にはまだ小さい子供もいる。
「あー、皆で仲良く分けるんなら、持ってっていいよ」
俺がそう声をかけると、彼らはわっとバルファルクの死骸に集まり、その体を解体しようとする。が、彼らの装備では硬い鱗を剥がすこともできず、やはり右往左往しているようだ。
ベンズナイフを取り、手を貸してやる。
適当に食えそうな部分をバラし、一人一人に渡してってやる。
夜通しの作業となったが、いつの間にか長蛇の列となったここの住民たちは、皆嬉しそうだった。
良いことしたなー、と自己満足に浸っていると、涙を流している老人が近づいてくる。
「おお、なんと慈悲深い方でしょう。自らの獲物を民に分け与えてくださるとは」
「いやあ、そんな……」
「星の龍を斃し、流星の如くこの地に降り立った……あなた様こそ星の化身。現人神じゃ」
「え?」
俺は爺ちゃんに案内されるまま、ゴミ山の間を歩いていく。なんか勘違いしてんな、この爺ちゃん……?
「お爺ちゃんお爺ちゃん、あのね、俺現人神ってのじゃねーのよ。普通のハンター……あ、ハンターではないか……」
ややこしい話だが、この世界のハンターはモンスターハンターではない。
「何を仰る。龍と共に天より降り立つなど只人にできることではありますまい」
「いや、降り立ったというか墜落したというか……」
「まあまあ、細かいことはよろしいではありませんか。何卒、我々のもてなしをお受けくだされ」
「はあ」
話聞いてくんねぇ……
ゴリ押し爺ちゃんに招かれるまま、俺は爺ちゃんの仲間たちが集会するという、なにやら怪しげな雰囲気の建物に連れ込まれる。
なんつーの、粗末な神殿みたいな?
中に入ると、色々な人種、老若男女さまざまな人たちが集まっている。爺ちゃんの姿を認めると、教祖様、と笑顔で走り寄ってきた。
数十人はいる。さっきのバルファルク炊き出しに比べれば少ないはずだが、建物の中に密集していると多く感じるな。
今まで少人数としか関わりがなかったから新鮮だな……
教祖様と呼ばれた爺ちゃんが俺が龍と共に流星のように落ちてきた旨を伝えると、わっと盛り上がり、俺は彼らから猛烈な歓待を受けた。
鎧を脱ぎ大きなテーブルに着かされると、皆の格好にそぐわない豪勢な食事が運ばれてくる。
「あ、あの……俺、現人神ってヤツじゃないんだけど……」
「しかし、あの龍とともに空から降り注いだ流星の化身であることは事実」
「いや、だからね……」
「まあまあ、とにかくお腹も空いておりますでしょう。まずはお食事にしましょう」
確かに、しばらく何も食べてないから、料理を目の前に腹が鳴っている。
飯食いてぇ……
「俺現人神じゃないけど、これ食っていいの?」
「もちろんでございます」
「おー、ありがとう! いただきまーす」
ありがたく飯をいただこうとするが、集まった人々は立ったまま。テーブルを埋めるように並べられた料理に手を付けようとしない。
え、俺一人で食えと?
「あんたたちだって腹減ってるだろ? 俺だけこんな豪華な食事いただくわけにはいかないよ。皆で食べようぜ」
「おお、なんとお優しい……! 現人神様のお言葉に甘えさせていただきましょう。皆、席に着きなさい」
爺ちゃんが号令をかけると、信者らしき人々がテーブルを囲む。
俺の両隣には、信者の中でも一際若く可愛らしいねーちゃんたちが可愛らしく笑みを浮かべて座った。
何がとは言わんが、二人ともでけぇ。この飯にも困りそうな街で、どっから栄養持ってきた。
「現人神様、ご一献どうぞ」
「おー、悪いね〜」
ボディタッチされたりしながらお酌をされる。
可愛いねーちゃんにお酌されんのサイコー!!
はっ、いかん。欲望に呑まれている。
ダメだダメだ、理性を保て俺。
「現人神サマ、アタシがご飯食べさせてあげる。はい、あーん」
「あーん」
だから理性保てェ!!
「ごめんね、さっきから言ってるけど俺、現人神じゃな……」
「まあ、なんて逞しい腕でしょう。こんな腕に力強く抱かれてみたいわ」
「現人神サマ、顔もカッコいいよね。もっと良く見せて?」
「俺の包容力見せちゃうよ! 顔もどんどん見ちゃって〜!!」
俺のバカ!!
言い訳をさせてほしい。
バルファルクの狩猟、それもヤツに掴まって上空に吊るされっぱなしだったのだ。体力的にもだいぶ限界だったんだ。それに、随分長いこと女の子と関わる機会もなかったし……リンネくらいか、会ったの。そんな喋んなかったしな……
ともかく、欲望に抗う意思よわよわな俺はその誘惑に抗えず、歓待を享受した。してしまった。
あ……これ、今更勘違いでしたじゃ済まされんヤツだ……
そう気付いたのは、このスラム街みてーな場所にしてはかなり豪勢なベッドで、裸の女の子たちと抱き合ってる状態で目覚めた後のことだった。
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ねーちゃんたちはモブキャラです。別に原作キャラと関わりがあったりするわけではないっす。ただの美人さんです。