モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第11話

 流星街に住み着いて、数十年が経った。

 それだけの時間が過ぎたというのに、俺の見た目は変わらない。ネテロによれば纏ができると老いのペースが遅くなり、長いこと若さを保てるという。そのお陰だろう。

 しかし一部の()()()()()()()信者たちはそうとは思わないようで、若者の姿のままなのは俺が神だからだと余計に信じ込んでいるらしい。

 

 違うの……僕ふつうの人間なの……

 とは言えない。

 ハニートラップに引っかかり、豪勢な飯も食わせてもらっておいて働かないなんて不義理はできない。せめて貰った恩には報いないとね……

 

 ということで、俺は流星教の象徴、現人神として流星街の一角で暮らしていた。

 

 流星街が安全な場所だとはハナから思っていなかったが、まあまあ治安が悪い。ここに捨てられた人間には人権がないらしく、人攫いが非常に多い。

 内地の居住区や俺の住まう辺りは凶暴なモンスターさえ狩る俺の名前が通っているからか比較的安全だが、そうでない区域……ゴミを漁りに出る郊外では子供が攫われることも多々あるそうだ。

 

 だが、治安が悪いながらも人々は強かに暮らしている。今日も子供達はゴミ山の中から資源を漁り、それを取り合っている。

 

 俺の仕事は現人神として信者に崇められることと、流星街にもたまに湧く魔獣や幻獣といったモンスターの狩猟だ。

 

 やはりモンスターから守ってくれる、という目に見える御利益があるのが非常に大きいのだろう。流星教の信者はここ数十年で500人程度から15万人ほどに増えていた。

 教主たる爺ちゃんも寿命でおっ死んじまったので、俺がテキトーに頭と人の良さそうなねーちゃんを次のリーダーに選んだ。今では彼女も立派に信者たちの取りまとめ役をしている。

 

 

 現人神の仕事として流星街に出没するモンスターを狩っているわけだが、暗黒大陸と比べて歯応えがない。

 大抵、弱っちい原生生物か、たまにドスフロギィだのドスバギィだの、正直見分けがつかないあの辺のヤツら。ごく稀にアオアシラとかくらいか。

 まあ、一度だけとんでもないのを相手にしたことはあったが……腕が鈍りそうでちょっと困る。

 

 しかし、それ以外は別に悪くない……というかかなり良い生活をさせてもらっている。女の子にはチヤホヤされるし、美味い飯も食える。加えて、仕事をすれば死ぬほど感謝される。

 信者も、カルト宗教にありがちなヤバいヤツはいないし。

 

 プライベートな時間もちゃんとある。

 一部の信者以外に俺の顔は割れてない。普段は防具を着ているからだ。せっかくだからバルファルクをバラした素材で、信者の中でも器用な連中にバルファルク装備を作らせ、普段はそれで現人神をやっている。

 

 だから度々防具を脱ぎ、影武者に着せて流星街をぶらついている。

 そんな俺だが、ここ最近は特に抜け出す頻度が多い。ハマっていることがあるからだ。それは……

 

 

「うおおおお!! カタヅケンジャー頑張れぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 有志の子供達による清掃戦隊カタヅケンジャー特別上映会である!!!

 今回は応援上映なので、全力でカタヅケンジャーを応援している。がんばえー!

 

 クロロって子をはじめとして、10人くらいの子供たちが集まってゴミ山から拾ってきた『清掃戦隊カタヅケンジャー』のビデオを吹き替えして、教会の施設で上映しているのだ。

 

 いやあ、面白いなぁ……戦隊モノのファンが多いのも頷けるよ。

 俺は正直、初めは侮ってたんだ。まあ、所詮は子供向けの作品だろうと。

 だが見てみると、ピンクとパープル、天才博士の三角関係は目が離せないし、魔黒大王たちの不気味なデザインも秀逸だ。

 苦戦しつつも最後にはカタヅケンジャーが大活躍して終わる爽やかな内容なのも良い。 

 

 そうしたシナリオ自体の良さもそうだが、特に目を見張るのはクロロ少年の演技力だ。声の抑揚から、話し方、息遣いまで全てが高クオリティでお出しされており、思わず引き込まれる。

 

 彼が指導しているからだろう。仲間達の演技力も高く、俺に限らず流星街のちびっ子たち、さらには大人たちから絶大な人気を集めているのだ。

 

 今日の公演も面白かった……次の公演も絶対行こ……

 

 

 

 しかし、次の公演でクロロ少年から、オレンジ役のサラサちゃんという子が行方不明だと知らされる。

 それを探すため、公演は中止するとのこと。それを聞いた公演に集まった人々は、サラサちゃんを探すのを手伝うことを提案した。もちろん俺もやる気だった。

 

 が、必死の捜索も虚しく、後日クロロ少年たちからは残念な知らせが届いた。そっか……悲しいが、この街ではままあることだ。

 

 そこからクロロ少年たちが上映会をすることはなくなった。これもまた残念だが、仲間を失ったんだ、仕方ないことだろう。

 代わりに……彼らはなぜか流星教に入ってきた。

 

 クロロ少年は途轍もなく頭が良かった。まだ12とかそのくらいだろうに、たった数ヶ月であっという間に重役に抜擢された。つーか働きぶりをみて俺が推薦した。

 カタヅケンジャーの件で贔屓にしてた要素が0とは言わないが、誰の目から見てもクロロ少年……いやクロロは優秀だ。

 

 ある日、そんなクロロが俺に話をしに来た。

 

「現人神様、どうかお願いがあります」

「おー、クロロのお願いか、怖いなぁ。ま、言ってみてよ」

「僕たちを鍛えてほしいんです」

「いいけど、逆に俺でいいの?」

 

 そう問うと、クロロは珍しくキョトンとした顔を作った。

 

「ユータ様以上に強い人なんて、この世に存在しませんよ」

「いや、そんなことないんじゃね……?」

「黄金蟷螂の討伐、僕も見てました。その時、まだ8歳でしたけど。あれを見たら、あなたが神だと思う人ばかりなのも分かります」

「あの近くにいたのか? よく無事だったなぁ……まあ、あれは確かにヤバかったけどさ。強い奴が教えるのも上手いとは限らんし……それに俺、その蟷螂みたくデカいの専門だから対人戦は指導できねーよ?」

 

 クロロたちが鍛えたいっつーのは、多分サラサちゃんの復讐目的だろうし、相手は人攫い、つまりは人間だよね……その辺の機微は教えらんねーんだけど。

 

「大丈夫です。念の基礎を教えていただければ」

「念のこと知ってんだ……ん、オッケー」

「それと、ユータ様から僕を次代のリーダーに推してほしいんです。見返りは十分用意します」

「ふーん? 良いよ、クロロなら問題ないでしょ。ただ、信者の人や一般の人を危険に晒すようなことはしないでね」

 

 正直、クロロって俺の億倍頭良いしな……教団の諸々を任せるのになんら不安はない。しかし、こんな子供に頭脳面で負けるなんて、泣けてくるぜ。

 いやでも、ほんと頭良い人が多いんだよ! なんでこんなスラム街みてーなゴミ山でクロロを筆頭に頭良い奴がこんなに多いんだよ!

 

 一瞬、体を鍛える代わりにクロロに俺の頭を鍛えてもらおうかと思ったが、さすがに情けなくてやめた。

 クロロも俺のこと多少は尊敬してくれているみたいだし、失望させたくねぇ……




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いただいた感想の返事が滞ってて申し訳ないっす。
でもちゃんと読んでるしちょっとずつ返してるからね……!
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