モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第16話

「どうぞ♥」

 

 その男と出会ったのは、天空闘技場217階の廊下でのことだった。

 そいつはピエロの格好をした男だった。なんか変な人おる……と思っていると、突然手に持った数枚のトランプを差し出してくる。

 手品師なのかな? 不審に思いながらも、俺はカードに手を伸ばす。うーん、どれにしようかな……これにしよ。

 

「ん?」

 

 どうやらこのピエロが強く握っているようで、引き抜こうとしたカードはこちらの手には入らなかった。

 ははーん? 力比べがしたいんだな?

 

「おりゃ」

 

 そっちがその気なら、と力を込めてカードを引く。

 バツン! という音と共にカードが勢いよく真っ二つに裂けてしまった。

 やっべ……力込めすぎた……

 

「くくく……素晴らしい♥」

「え……なにが……?」

 

 この人、私物(と思われる)のトランプ破られて喜んでる……怖……

 

「ボクはヒソカ、200階クラスの闘技者さ♣︎ 君もそうなんだろ、ユータ?」

「あ、闘技者だったのか。俺もだよ。あと、トランプ破いてごめんな……」

「構わないよ、奇術師はトランプをたくさん持っているものだからね♦︎」

 

 彼は懐から新しいトランプの束を取り出して見せる。

 ヒソカと名乗る男は自分が闘技者であり、また奇術師であると名乗った。奇術師と手品師って違いあるのかな。

 

「カストロとの試合を観たんだ、その時キミのファンになっちゃってね。是非お手合わせ願いたいなあ♥」

「なるほど、それで廊下で張ってたのか。いいよ、やろうやろう」

 

 トランプ破いた手前、断れないよね……

 

「嬉しいなあ♥ ボクが戦おうとすると逃げる人が多くてね。受けてくれたお礼に、手品を披露しよう♣︎ キミが持ってる半分になってしまったそのカード……スペードのジャックだね?♠︎」

 

 チラっと自分のカードをヒソカに見せないように確認する。言う通り、スペードのジャックだ。

 まあ、向こうも半分になっちまったカード持ってるし、分かるのも当前か。

 

「ならボクの持つ半分のカードも、当然スペードのジャック……キミはそう思ってるだろ♠︎」

「え、うん」

「答えはコレ♥」

 

 ヒソカが見せてきた半分のカード。その柄はジョーカーだった。ええ!?

 

「嘘、マジですげえ!!」

 

 ヒソカからジョーカーを受け取り、俺の持つカードと切断面を合わせてみる。ピッタリ一致したし、やっぱ同じカードだ……なのに柄が違う。

 さっぱり分かんねー、どうなってんだコレ!

 俺がカード破いたのも偶々だし、事前に仕込むなんて無理だよな……?

 

「喜んでもらえて良かったよ♥」

「全然仕組み分かんねーや。次の試合俺が勝ったらさ、手品のタネ教えてよ〜。これ出来たら絶対モテるって」

 

 ダウナーおねーさんに見せて場を盛り上げたい。

 

「そんなに前向きになってくれるとは思わなかった♠︎ 奇術師としてはタネも仕掛けも……と言いたいところだけど、もちろん構わないよ♥」

 

 こうして俺とヒソカとの試合が決まった。

 

 

 

 

『さあさあご覧ください、この超満員を! それもそのはず、本日のメインイベントは互いに200階クラスでも指折りの実力者! 『死神』ヒソカ対『超人』ユータ!!』

 

 示し合わせた日に申請を行い、俺とヒソカの対決が実現すると満員御礼の大盛況となった。解説席も大盛り上がりだ。

 

『ヒソカ選手は200階クラスに到達してから4戦全勝! その内容も圧倒的で、失ったポイントはカストロ選手に奪われた3ポイントのみ! 一方、ユータ選手も2戦全勝! 同じくカストロ選手には5ポイントを奪われていますが、一戦目の残酷なまでの圧倒的な勝利は記憶に新しい!!』

 

 残酷とか言わんといてよ……

 

『なにせ立ち上がってくる相手の服を掴みリング外に投げ飛ばす! ひたすらそれを繰り返して相手の心を折るという残虐ぶりです! 最後は相手選手の心が折れてギブアップによる決着でした!』

 

 残酷だったわ……

 いや、相手が想定より弱くてさ……かといって190階以下の選手よりは強いから、力加減が難しくて転がし続けるしかなかったんだよ……

 それを受けてカストロ戦では必死に苦戦してるよう演技したり、加減しやすいようオーラを飛ばしたりしてたんだ。

 

「くくく、死神と呼ばれるボクもだが、キミも大概らしいね♦︎」

「色々事情があって……」

「キミは殺しを忌避しているようだ♦︎ カストロを殴らないでオーラで吹き飛ばしたのもそのためかい?♣︎」

「まあね。俺が殺すのはモンスターだけだ。人は殺したくないな」

「キミの主義主張は尊重するが、試合は本気でやってもらわないと困るよ?♠︎」

「出させてみな」

 

 くいくい、と手招きで挑発する。こう言っとけばヒールっぽくて盛り上がるだろ……

 ヒソカは邪悪なオーラを発しながら笑みを深める。

 

「ポイントアンドKO制! ヒソカVSユータ、試合開始!」

 

 審判の号令とともに、ヒソカが距離を詰めてくる。そして数発のパンチを放ってくる。掴んで投げ飛ばしてやろうとするが、上手く回避されてしまう。

 パンチは貰ったがダメージはない。

 

「硬いね♥」

「そっちは軽いぜ、パンチが」

「新鮮だな、初めて言われたよ♥ なら、これを使ってみるか……♥」

 

 ヒソカの纏うオーラ量が爆発的に増える。お、練を使ったな。

 

「さあ、こっちに……む♦︎」

「うん?」

 

 なんかほっぺが引っ張られている感じがする。あばばばば。

 

「なるほど、ツレないな♠︎ キミが来てくれないなら、こっちから行くよ♥」

 

 変な感触がするので凝で見てみると、俺のほっぺとヒソカの手が、彼のオーラで繋がっている。

 オーラの糸……縄……?

 と思っていると、先ほどとは比べ物にならない加速でヒソカが飛んでくる。そしてそのまま、オーラで繋がった右拳で俺の頬をぶっ叩く。

 

「ぶへっ!!」

「クリティカル! ヒソカ2ポイント!」

 

 この時、俺は初めて対人戦で痛みを覚えた。ほっぺがビリビリする。

 

「いてて……やるなヒソカ」

「堅+凝にバンジーの加速で殴ってもコレか……♦︎」

 

 すげぇな、コイツ多分今まで会った人間の中でも2番目くらいに強いぞ。

 なんだよさっきの殺人的な加速は。あの縄みたいなオーラが急速に縮んだように見えたけど。

 

「おまえ強いなあ」

 

 人間相手に殴られて痛みを感じるなんて思わなかった。こんだけのオーラ量なら防御力も相当だよな。

 ワンチャン俺の攻撃も防げるんじゃないか?

 

 

 もしかして……強いヤツなら人間って殴ってもいいのか……?




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明言された時以外作中キャラって堅使ってるのか使ってないのかいまいちよく分かんないんですよね
多分消耗が激しいから普段は使ってないんだと思いますが、格上と戦う時は攻防力増加のために使っててもおかしくないっすよね
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