モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第17話

 ユータと戦い初めて数分。ヒソカはユータの力が期待と違っていたことに失望を感じ始めていた。

 

 身体能力やオーラ量は自らと比べるべくもないほどに上。最高の速度に最高のオーラを乗せての打撃が、モロに入ったにも関わらずまるでダメージを受けちゃいない。

 だが、はっきり言って対人戦闘技能はお粗末。隙だらけだし足運びも杜撰。オーラの扱いは上手いが、対人戦における技術は稚拙そのものだ。

 

(固い壁を相手に殴ってるみたいだ……♦︎)

 

 手応えのなさ。自らの最大火力に近い攻撃でもダメージはほぼない。残るは硬を使った攻撃か、『伸縮自在の愛(バンジーガム)』をより効果的に使うくらいだが……果たして目の前の怪物にそれが通用するのかどうか。

 

 そんなことを考えていると、目の前の男がぼそりと呟く。

 

「おまえ強いな」

 

 男の視線がヒソカを貫いた瞬間、ヒソカは己の体が自らの言うことを聞かず、後退するという事象に初めて遭遇した。

 原因ははっきりしている。目の前でゆらりと構える男のせいだ。

 

「行くぜ」

 

 ビュン、と凄まじい速度でユータが接近してくる。そして腕を突き出し拳をくり出してきた。

 

(凝……速い!)

 

 ユータは凝で足にオーラを集中させ、地面を蹴ることで移動速度を高めていた。ヒソカはそれを目で捉え、その移動方法ゆえにユータの拳が纏うオーラ量が、足に比べて随分と少ないことを理解する。

 

(これなら凝で受け……(いや)

 

 ぞわ、と悪寒がヒソカの全身を襲う。

 受けはせず、伸縮自在の愛(バンジーガム)まで使い全速で回避。ユータの拳は空を切る。

 

 ボッ!! と暴風がヒソカの背後を吹き抜ける。客席まで届いた風は、観客たちの帽子や持ち物を飛ばしてしまう。

 

 今のを受けていたら死んでいた。

 

「くそ、当たんねー」

「当たったらまずいからね♠︎ なるほどなるほど。理解したよ♥」

 

 ヒソカは認識を改める。

 これはいつもヒソカが求めるバトルではない。

 

(一撃受けたら即(ゲームオーバー)……思っていたのとは違うけど、これはこれで面白い♥)

 

 だが、それなら別の楽しみ方をするまで。

 ヒソカは自らをノーマルだと自称する。

 が、こういったゲームに近いバトルが嫌いな訳ではない。

 

 それからユータは速度でヒソカに攻撃を当てようとするが、避ける、避ける、また避ける。

 まるでダンスを踊るように。

 

伸縮自在の愛(バンジーガム) ♥」

「うおっ」

 

 また、逃げるだけではない。ヒソカは隙を突いて天井とリングの石板を伸縮自在の愛(バンジーガム)で繋ぎ、ユータが石板に乗った瞬間に縮める。

 足場を畳返しのようにひっくり返し、ユータの隙を作る。反撃が来ないだけの隙を作った上で、今度は硬による蹴りで攻撃。

 

「うおっ」

「クリーンヒット、アンドダウン! ヒソカ2ポイント!」

 

 これでヒソカは4ポイント。あと6点を獲れば試合上は勝利となる。

 

ユータ(ヤツ)の攻撃を全て避け、天空闘技場(ココ)のルールに則って勝つ♦︎ ダメージが入らない以上、これが現状のベストかな♣︎)

 

 ヒソカは戦略を組み立て直し、ユータへの対抗策を練っていく。

 

「なるほど……そういう技ね」

 

 しかし、ユータもただやられていた訳ではないようだ。目に凝でオーラを集め、ヒソカの伸縮自在の愛(バンジーガム)がどういうものか把握したらしい。

 

伸縮自在の愛(バンジーガム)って言うんだ、コレ♥」

「ガムだったのか……ゴムだと思ったんだけど」

「どっちもアタリ♠︎」

 

 能力はバレたが、ある程度の能力者相手に使用していれば当然のリスク。ヒソカは気にしない。能力の性質がバレても致命的な類の能力ではないからだ。

 ヒソカには自信があった。能力がバレても自らの対応力でカバーする自信が。

 しかし、ユータも考えていた。ヒソカに攻撃を当てる方法を。

 

「審判、質問。武器の使用はオーケーなんだよな? 隠してたヤツとかは使ってもいいの?」

「ああ、認められている」

「オーケー」

 

 確認をした上で、ユータはにやりと笑う。

 ユータの隣に大きな箱が現れる。

 

(能力……箱……? 直前の会話から考えると、武器を取り出す類の能力か♦︎)

 

 ヒソカの予想通り、ユータは箱の中から何やら玉を取り出した。そしてそれをヒソカの方へ投げる。

 避けようとするヒソカだが、玉は彼の体に接触する遙か手前で炸裂し、眩い閃光を放つ。

 

(目眩まし……!? まずい!)

 

 ヒソカは天井に保険として付けておいた伸縮自在の愛(バンジーガム)を発動、上に逃れようとする。が、バツン、とガムが切られる感触。

 

 ユータは凝でヒソカの隠を見破っていた。

 閃光玉と同じく取り出した太刀で、オーラのガムを切り裂いたのだ。

 

 が、これがヒソカが攻撃を避けられなかった理由にして、彼の命が助かった第一の理由でもあった。

 そして、第二の理由。

 

「腹ね」

 

 ユータの声が聞こえたのと同時、ヒソカは己の腹を硬で守り、また同時にガムをクッションにするため展開した。

 

 直後、閃光により閉じた視界の中、腹部に凄まじい衝撃。

 ヒソカの体は後方に吹っ飛び、客席の柵に直撃。リング外に倒れ伏す。

 

「クリティカルアンドダウン! ユータ3ポイント!」

 

 審判の声が遠くに聞こえる。ヒソカは血反吐を吐きながら、仰向けに転がり己の状態を把握しにかかる。

 

(内臓や骨があちこち破損し(こわれ)てるな……♦︎ 向こうは目への凝で拳のオーラ量が減っている上、こっちは硬とバンジーで防いでこのダメージとはね♠︎)

 

 立ち上がることができない。どころか、すぐに処置しないと死にかねない怪我。

 しかし、奇術師の顔から笑みは剥がれない。

 

(次はボクももっとレベルを上げておくよ♥ そうしたら、もっと楽しいバトルになりそうだ……♥)

 

 ズタボロで、しかしそれでもある一箇所は元気なまま、ヒソカは敗北した。

 

 

 

 やべえ!!

 一応予告してからパンチしたけど、予想以上のぶっ飛びっぷり。

 加えて血反吐吐いてる……し、死んでない……よね……?

 

 審判がKO、俺の勝利を宣言する中、慌ててヒソカに駆け寄る。粉塵したら許してくれ!!

 アイテムBOXから生命の粉塵を取り出して撒こうとした俺だったが……仰向けに倒れ血を吐くヒソカの様子を見た時、あることに気付く。

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

 なんでこいつこの状況でおっ勃ててんだ!?

 怖ェよ!!!




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ドッキリテクスチャーくんも活躍させたかったけど無理でした。
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