モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
第19話
「取説ある?」
「はい、こちらに」
「ん、ありがと」
運んでくれたスタッフさんを返した後、残ってくれたダウナーおねーさんから受け取った取説を眺める。ゲームの取説読むのってワクワクするよね……
ふむふむ。へぇー。ハンター専用ゲームかぁ。俺ハンター試験落ちたんだけどやっていいのかな? 自称モンスターハンターだからセーフだったりしない?
でもまあ、説明書を見る限りだと水見式のように練、発ができればプレイできるっぽいな。
ゲームの中に入る、脱出するのにもまあまあ時間がかかる、最悪一生出られない。そんな説明がされてる。
加えてプレイ人数無制限とのこと。データのセーブの都合上参加人数は限られるようだけど、他プレイヤーもオンラインで参加している、いわゆるMMOのような形式のゲームのようだ。
プレステ、じゃなかったジョイステって結構ハードとしては古そうだけど、そんなVRMMOモノみたいな機能があるんだ……
いや、練や発が絡んでくるなら念能力か。
俺の『
てことはジョイステは念空間にジャンプさせる装置としての役割なのかも。
「こちらのゲームは100本限定の販売で、再販等は行われておりません。販売価格は58億ジェニー」
「うぇ!? 58億!? やべーな!!」
それは確かにお宝だわ。
「また、大富豪バッテラ氏がゲーム自体に170億、クリアデータ入りのロムカードに500億ジェニーの賞金を懸けられています」
「マジ? 懸賞金があるってことは、今までクリア者出てないの?」
「左様でございます」
つーかそもそも100本しかゲームないし、念使えないとプレイもできないからそもそもプレイヤー数が少ないのか。
多分攻略Wikiとかもないよね。
「このままバッテラ氏とやらに売っ払うのもアリだけど……ゲーマーとしてはプレイしてみたいよね」
「しかし……危険では? ゲームの世界から戻ってこれなくなる可能性がある、と説明書にはありますが」
「面白すぎて戻ってこれないとかだったりしてな」
「もう。僭越ながら、私は心配してるんですよ?」
「それは、スタッフとして?」
「ふふ、どうでしょう」
俺と彼女は笑い合う。
「まあ、真面目に考えるなら、現実帰還のためにアイテムが必要とかかもね。難易度高くてもちゃんとしたゲームなら手に入れることは難しくなさそうだけど」
「ちゃんとしてないゲームかもしれないじゃないですか」
「それはちょっと怖いな」
なんでも、製造元はもう潰れているらしい。まさかバグ塗れだったからクレームの嵐で夜逃げしたとかじゃねぇだろうな。
「でもまあ、死にはしないでしょ」
ゲーム機に念を込めるだけで、死ぬ可能性がある念空間に飛ばすのは難しいと思うんだよねー。放出系能力者の感覚としては。
つーか100本×8人、つまり800人はプレイ人数を想定しているはずだけど、その人数がまともに遊べるだけの広さの空間を念で作り出すことからして相当難しいはず。
かなり大人数で維持してるのか、それとも……まあ、それは向かってから見てみればいいか。
よし、取説通りセーブ用にメモリーカードの取付も済んだし、指輪も嵌めた。
「じゃ、ちょっと行ってくるわ」
「はい、どうぞ行ってらっしゃい」
ひらひら、とダウナーおねーさんは手を振ってくれる。防具を装備し、俺はゲーム機に念を込めた。
ビュン、と体が移動する感覚。やっぱ『
飛んだ先は謎の空間だった。
チュートリアルだろうし、死ぬことはないでしょ。ガンガン進んでいくと、特徴的なヘルメットを被った美人さんが出迎えてくれた。
「こんにちは」
「ええ、こんにちは。お名前を伺っても?」
答えようとして、ふと考える。
ゲームなら、ここで答えた名前がプレイヤーネームとして登録されるのかもしれない。
でもまあ、別に本名(というかユータもとりあえず名乗っただけで本名じゃねえけど)を隠す必要もないし普通に名乗っちゃっていいか。
「ユータだ」
「ユータ様ですね。これからゲームの説明をさせていただきます」
おねーさんから長々と説明を受ける。
すげーややこしくて頭がこんがらがったが、要約するとこうだ。
・プレイヤーの目標は指定されたカードを100種類集めること。
・このゲームでは入手したアイテムがカード化される。
・プレイヤーは『ブック』と『ゲイン』という魔法を使える。
・『ブック』を唱えるとカードを収める本が出現。これにカードを埋めていく。
また本にはクリアに必要な特定のカードのみを入れられる『指定ポケット』が100、どんなカードでも入れられる『フリーポケット』が45箇所ある。
もう一度ブックを唱えると、本は再度ブックを唱えるまで消える。
・『ゲイン』と唱えた場合、カード化されたアイテムをアイテムに戻せる。アイテムからカードに再び戻すことはできない。
またアイテムを入手しカード化した後、本にカードを収めないでいると60秒経過後に勝手にアイテム化してしまう。同様に一度本に収めたカードを本から出して60秒が経過すると、勝手にアイテム化する。
・アイテムには全プレイヤー共通でカード化限度枚数というものがある。アイテムがカードになっていられる個数に上限が決められており、これを超えてアイテムを入手してもカードにはならない。
・プレイヤーが死亡した場合本と指輪が破壊され、中のカードは全て消滅する。
むっず!
ゲーム好きだから何回か聞き返してメモ取るくらい頑張って覚えたけど、そうじゃなかったらキツイだろ!!
一応、ブックの魔法は一度唱えて本を出してみたりはしたけども覚えるの時間かかったぜ。
「お、オーケーオーケー理解理解。じゃあ早速ゲーム開始といきますか」
「ご健闘をお祈りいたします。そちらの階段からどうぞ」
促されるまま、階段を降りる。
「草原かぁ」
見渡す限り何もない草原。ここがスタート地点ね。
大ボスが出現するなら戦い易そうなところで好感が持てる。
他のプレイヤーは……いるけどいない。
遠くから視線だけ感じる。とりあえず、視線の方向に進んでみるか。何かしら情報を得ないと。
しばらく進むと、懸賞都市アントキバという街に出た。様々なものに賞金や賞品が懸けられており、また月例大会という月に一度、優勝者に貴重なアイテムが贈られる大会も行われているらしい。
恐らく、これに参加すれば指定ポケットのカードがもらえるんだろう。
そんな都市で変な三角メガネ男に勧誘されたりしつつ、スペルカードというのが重要であると聞いた俺は更に北、魔法都市マサドラを目指していた。魔法使ってみてぇ〜!! という欲望を抱えながら。
その途中、荒野地帯。
「……なんか気配するなぁ」
生き物の数も少なそうだし、やるか。
俺は体からオーラを放出し、円を発動する。
これ人がいっぱいいるとこだと使えないからな。こういう荒野なんかは気軽に使用できて良い。
「色々いるな……巨人みてーなのに、トカゲ、マリモに鎧にネズミに馬……お?」
俺の円に引っかかる生物の中に、一際強い力を持つ存在。
珍しいな。暗黒大陸でもないのにリオレイアが飛んでいる。
ただ、個体としての力の差は歴然。例えるなら、暗黒大陸はG級。こちらは村クエか、精々集会所下位くらいだろう。
それでも久々の大物だ。俺は石山を駆け上り、リオレイアの姿を目に捉える。アイテムBOXから弓を取り出し矢を番える。
ギリギリギリ、と引き絞り、狙いを付けて放つ。ただの矢じゃねぇぞ……
俺の膂力をオーラで強化し、さらに矢の羽根からジェット機のようにオーラを噴出。途轍もない加速をもたらす。ちなみにバルファルクからの着想だ。
多分音より速い矢は、一条の光の尾を引きながら天を昇り、リオレイアを射抜いた。
巨体が落下する。……やっべ、下に人いないよね……? 大丈夫大丈夫、さっき円した時はいなかったし。
……念のためもう一回、円しておくか…………
幸い、落下予想地点には人はいなかった。
が、俺の円に、今度は謎の人物が引っかかる。
相当なオーラ量。今まであった中でも指折りの実力者だ。もしかしたらヒソカより強いかも。
円で触れたから、向こうもこっちが気付いてることには気付いてるはず。どうしよ、お互いスルーしといた方がいいのかな。まあ、とりあえずレイアの剥ぎ取りに行くか……
ゆっくりリオレイアの死骸のところに向かうと、そこにはさっき円で感知した男が立っていた。角刈りで糸目の、筋骨隆々とした男。すっげー強そう。糸目キャラは強キャラって相場は決まってるんだよな。
「やあ」
「こんにちは」
「こいつを倒したのは君だろ? 感謝するよ、俺の仕事を肩代わりしてくれて」
出会い頭の挨拶もそこそこに、感謝を述べられる。
「いや、モンスターのハントは俺の領分だからさ。あんたもそうなら、逆に悪いことをした。獲物を横取りしちゃったかな」
「俺の仕事はイレギュラーの排除だ。ゲームに正規のルートで入ってこなかった者なんかを島の外へ飛ばすんだが、手間が省けた」
「あー、やっぱここって現実の島なんだ。じゃないとリオレイアとか入ってこないもんな」
というか、イレギュラーの排除が仕事?
「もしかして、GMさん?」
「ああ、放出系のシステム担当だ。レイザーという」
「おおー! 俺ユータ。俺も放出系だよ。やっぱゲーム機への発で飛ぶのとか、スペルでの移動とか放出系の能力だと思ってたんだよなー」
「おお、分かってるね。GM専用のスペルがあって、それで対応しようと思ったんだが、使わずに済んだならよかった」
「へぇー! 見して見して!」
レイザーは快くカードを見せてくれた。
『
G.Iに不当な方法で侵入した者すべてをアイジエン大陸のどこかへ飛ばす
………………どこかってどこぉ……?
言うまでもない、ランダムってことだよね……
「レイザー、次モンスター見かけたら俺に声かけてよ……俺が狩ってやるからさ……」
「いや、プレイヤーにそんなことをさせるわけには」
「俺もおまえにそんなことさせる訳にはいかねぇんだよぉ!!」
俺の必死の言葉に若干引いていたレイザーだったが、どうにか折れてくれたようだ。レイザーにも『
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ゆうたはゲーマーなのでゲーム関連だとちょっとだけ鋭くなります。まあゲーマー言ってもエンジョイ勢なんだけど