モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第22話

 ボン! と目の前のプレイヤーが爆死する。

 下手人である男は、人を殺したその手で、何事もなかったかのように己の眼鏡を上げる。

 

「くくく……」

「機嫌が良いなゲン」

「まあな。おまえらは見れなかったようだが、あいつに触れてキーワードを口にできた」

「おお! やったな!」

 

 パシ、と眼鏡の男、ゲンスルーの背中を仲間のサブとバラ、二人が背中を叩く。

 三人はグリードアイランド内で『爆弾魔(ボマー)』と呼ばれる存在だった。プレイヤーを積極的に殺害する凶悪なプレイヤーキラー……否、殺人鬼だ。

 

「まさか潜伏していた俺たちの気配がバレるとはな……」

「お互い絶はカンペキだったぜ。あいつが異常だ」

 

 サブとバラは、ゲンスルーがニッケス、ジスパーと共にユータと対面した際、近くの木陰に身を潜めていた。

 スペルカードをあっという間に40種集めた猛者。が、不意打ちかつ『爆弾魔(ボマー)』三人がかりでなら倒せるかもしれない。ニッケスらを帰した後、隙を見て襲いかかろうと考えていたのだが、絶による潜伏はあっさりとユータに看破された。

 

「ああ、さすがに焦ったな。が、爆弾さえ設置してしまえばこちらのものだ。問題は能力を説明しなければならないことだが……」

「逃げながら説明するしかないな。アイチューベにアップされてたバトルオリンピアの動画を確認したが、動き自体は速くない。説明を終えた瞬間『離脱(リーブ)』で逃げれば詰みだ」

 

 ゲンスルーたちはユータのプレイ状況だけでなく、どうやってグリードアイランドに来たのかまで調査を済ませていた。天空闘技場のスタッフがグリードアイランドを入手したらしいということで、ユータに優勝賞品として渡されたのだろうことは予想できた。

 つまり、ユータが『離脱(リーブ)』でゲーム外に出たとしても、天空闘技場の自宅に戻るだけ。一方、バッテラからの依頼でプレイしているゲンスルーたちは古城に戻る。

 全く別の場所に飛ぶことになるため、さしものユータでも追ってはこれまいとゲンスルーはほくそ笑む。

 つまり、起動さえしてしまえばゲンスルーたち3人の相互協力型の爆破能力『命の音(カウントダウン)』を解除する術はユータにはないと確信していた。

 

「まあ、まだ泳がせておいて損はないだろう。あの男ならもしかすれば『一坪の海岸線』なんかの全く情報が出てないカードを手に入れるかもしれん」

「でも、あいつ『堅牢(プリズン)』でページ全部守ってるんだろ? 力尽くも無理となればカードは奪えないんじゃねーか?」

「カードは無理でも情報なら聞き出せるはずだ。ゲームは道楽でやっているようだし、随分とお人好しそうだったからな」

 

 既に下準備は終わった。

 後は自分たちでもカードを集めつつ、時が来ればユータを、そしてニッケスたち偽りの仲間たちを爆殺する。

 これで三人はゲームクリアはほぼ確定し、バッテラの報酬500億を手に入れる。

 

「精々情報を集めてくれよ? チャンピオン様よぉ……」

 

 

 

 

 

「全然分からーん!!!」

 

 俺は頭を抱えていた。

 というのも、SSランクカードの『一坪の密林』『一坪の海岸線』の情報が全く手に入らないのだ。

 なぜSSランクを集めているのか。それは、カード化限度枚数が3と少ないからだ。

 

 事の発端は俺が『闇のヒスイ』というアイテムを手に入れようとした時に遡る。

 所詮Aランクのカードなので余裕で入手できるかと思ったんだが、手に入れた後が問題だった。

 入手してもカード化されないのだ。

 

 おかしいな、と思ってスペルやら交換ショップやらで色々調べてみた結果、サブとバラという二人組がカードを大量に所持、独占していた。

 マジかよ……七並べで数字止めるみたいな真似しやがって……

 

 他にもカードを独占しているヤツはいるようで、こちらもカードを独占し交換の交渉をする必要があることが分かった。が、俺はソロプレイヤーだし、カードのポケット数的にランクの低いカードの独占は難しい。そこでSSランクのカードを集めようとしたわけだ。

 

 既に『大天使の息吹』はカードを買い漁り、追加で2回カードをコンプすることで独占した。あとは同じくSSランクのカードを独占すれば有利にトレードできると思ったんだが……そう上手くはいかんなぁ……

 

「『道標(ガイドポスト)使用(オン)! NO.2!」

 

 一応、もう一度試してみたけど、やっぱソウフラビ(ココ)だよなぁ……

 でも街で聞き込みしても全然情報が出てこねぇよぉ……

 くそ、こんな時グリードアイランド攻略Wikiがあれば。

 

 あとできることといえば、他プレイヤーへの聞き込みか。

 ゲンスルーたちは指定ポケットの状況的に知らなそうだし、それ以外に知人が全くいないので、『衝突(コリジョン)』という会ったことのないプレイヤーの元へ飛んでいくスペルを使ってみる。

 

「わっ。な、なんだぁ!? なんだ君はぁ!?」

「こんにちは! 俺ユータ、『衝突』のスペル使って飛んできたんだけど……あんたのお名前は?」

「も、モタリケ……」

「モタリケさん、俺割と最近ゲーム始めたばっかなんだよね。良かったら情報交換しねぇ?」

 

 しかし、モタリケ氏を筆頭に会ったことのないプレイヤーはほとんど全く進められていないプレイヤーばかりだった。

 恐らくマサドラまで気軽にスペルカードを買いにこれる程度は攻略できるプレイヤーは、マサドラで知らないうちにすれ違い出会った判定になっていたのだろう。

 他プレイヤーからの情報も期待できそうにないな。

 

「仕方ねぇ、まずは他のカードから集めるか……」

 

 ランクAのカードは集めるのが楽だし、Sのカードもそう難しくはない。この調子で行けば90種以上が集まるのにそう時間はかからなそうだ。

 ただなぁ……SSは情報すら手に入らないし、独占されているカードはあるし……

 

「カードを賭けてバトル仕掛けるとかしかないかなぁ」

 

 それに乗ってくれるかも分からないが、現状それくらいしか思い浮かばない。

 まあバトルと言ってもケンカに限らず、早食い対決とかじゃんけん対決とかでもいいけど……

 

 

 

 

 とりあえずのんびり70種ほど集めた段階で、一度現実に戻りハンター試験を受けに行くことにした。

 

「『離脱(リーブ)使用(オン)!」

 

 現実へ帰還し、おねーさんにハンター試験受験のためしばらく空けることを伝える。

 続けて、去年のバス運転手のおっちゃんに連絡を取り、今年も受験することを伝えるとナビゲーターの居場所を教えてくれた。

 

 しばらく流星街と天空闘技場を行ったり来たりし、たまにデータ保持のため一瞬だけグリードアイランドに戻りながら一月を過ごした頃、ハンター試験の時期がやってくる。

 

 ナビゲーターにも話は通っていたので、スムーズに会場へ。

 会場の入り口は定食屋で、ステーキ定食、焼き方を弱火でじっくりと指定することで個室に案内された。

 それが会場直通のエレベーターになっていたのだ。ステーキ定食を食べながら待っていると、やがて地下道のようなところにエレベーターが到着する。

 

「おお〜」

 

 数十人の受験生たちが既に到着しており、おのおの思い思いの方法で待機していた。

 その中に見知った顔を見つける。

 

「ヒソカ! 久しぶり」

「その声は……ユータか♥ 君もハンター試験を受けに?」

「あ、わりーわりー防具着たままで。うん、友達に勧められてね」

「その防具は変装のためかい?♠︎」

「それもあるけど、実用も兼ねてるよ」

「それはいい♥ しかしキミが試験に参加するとなれば、退屈はしなくて済みそうだ♣︎」

 

 ヒソカは楽しそうに笑う。

 しかし、ヒソカと話していると、なんだか周りが遠目にこっちを見ている気がする。

 ちゃんとブラキ防具着ているし、顔バレはしてないと思うんだけど……

 

 やがて何百人の受験生が集まると、ジリリリリ、と鳴り響く音。燕尾服を纏った優雅なおじさんが現れ、ハンター試験開始を宣言した。




閲覧・お気に入り・感想・評価・ここすき・誤字報告していただいた皆さん、ありがとうございます。

ハンターハンターの劇場版をアマプラで初めて観たのですが(ラストミッションの方)バトルオリンピア実施時の天空闘技場が舞台だったとは……割と設定が異なってるけど許してね
次は緋色の幻影の方観てきますわ
モンハンの実写も資料として一応見るべきですかね……実写は地雷臭強すぎて観たくねぇよ……
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