モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第24話

 中々デカい(特に鼻が)豚だったが、捕まえるのは楽だったな。さーて、ハンターの腕の見せ所だ。

 俺はアイテムBOXの中から、ベン制作の高級肉焼きセットを出現させる。古龍の肉も焼ける特大サイズだ。

 

「へっへっへ……」

 

 この肉を焼く瞬間がよぉ、俺は一番好きなんだよぉ!

 火を付け、豚さんを丸ごと串に刺し、Y字の支柱にセットする。

 例のBGMが脳内に流れ始める。額に汗を浮かべながらも、くるくると串をハンドルで回していく。まだだ……まだ……

 脳内BGMが終局を迎え…………今ッ!!!

 

「ヤッ!!!」

 

 ウルトラ上手に焼けました〜!(裏声)

 完璧だ……完璧な焼き加減。俺のハンターとしての勘は衰えちゃいなかった。

 

「ユータ、何してるの? ブハラさんもう他の人の豚食べきっちゃうよ?」

「はっ、丸焼きにだって味の良し悪しは存在するのさ。それを見せてやる」

「お、アンタ良いこと言うわねー、グルメハンター志望?」

「あ、そういうわけじゃないんだけど……」

 

 そこまで期待されるとちょっと臆する。

 

「さ、おあがりよ!」

「おお……良い匂いだぁ」

 

 ゴンくんにブハラさんと呼ばれた巨漢は、俺の『こんがり豚の丸焼きG』に齧り付く。そして、カッと目を見開いた。

 

「う……う……美味いぞぉぉぉぉぉぉおおおおおおぁ!!」

 

 バクバクバク! ともの凄い勢いで食べ進めるブハラ。ねーちゃんの方はその様子がよほど珍しかったのか、「ちょっと! アタシにも食べさせなさいよ!」と奪い取ろうとするが、ブハラはこれを断固拒否。あっというまに丸々食べきった。

 

「ああー、なんて素晴らしい焼き加減なんだろう。うん、キミ合格。ハンター試験合格でいいよ」

「良いわけあるかぁー!」

 

 ねーちゃんの方の試験官は、丸焼きを一欠片も食えなかった腹いせか、ブハラを蹴っ飛ばした。

 

 

 

 さて、豚の丸焼きはなんとかなったが、問題は二人目。美人のねーちゃんが出した課題だ。

 

「あたしのメニューは……スシよ!」

「す……寿司ィ!?」

 

 終わった……

 寿司って何年も修業が必要な料理でしょ?

 無理や……俺にできるのは形をそれっぽくするだけや……

 

「お? 52番、アンタもしかして知ってる?」

「うん、一応ね……でも寿司なんて握ったことないよぉ……」

「へぇ、ハッタリじゃないみたいね。スシを握るものだと知ってるなんて。豚の丸焼きの技術といい……うん、アンタは別室で作ること! 食べる時もアタシが部屋に移動するわ」

 

 え、別室? なんで?

 あ、そーか! 皆日本人じゃねーから寿司なんて知らねえのか!

 なら尚更クリア不可能なのでは……? 俺は訝しんだ。

 

「さ、奇しくも52番がポロッと溢したけども。スシはスシでもニギリズシを用意しなさい!」

 

 というわけで、俺は寿司作りを始めた。

 が、正攻法で行くつもりはない。先述の通り、寿司をまともに握るには数年、十数年と修業が必要だ。つーかこの近く川しかないし。

 ならどうするか?

 

 ずばり、カリフォルニアロールだ。

 いやいや。カリフォルニアロールは握り寿司じゃなくて巻き寿司だろって? そんなことは分かっている。

 つまりは、マジの鮨じゃなくて、イロモノをお出しして勝負するって話だ。

 

 よく回転寿司とかにあるのはステーキ寿司とか、コーン寿司とかそういうのかな。

 まあ、あとは一応、一貫だけフツーの寿司も出しとくか。淡水魚になるだろうけど……

 

 とりあえず素材……じゃなくて食材を採りに行くかぁ。

 俺が森の中に入ると、俺を尾けてくるヤツらが何人かいるのが分かった。尾けてきていいけど、何採ってるか見ても参考にはならねーんじゃねーかなぁ……

 

「あ! ユータさーん!」

 

 そんな中、ゴンくんはブンブンと手を振りながらこちらに走り寄ってくる。カワイイなこの小僧!

 

「おー、ゴンくん。どした?」

「お願い、スシって何なのか教えてよ! クラピカがちょっとだけ知ってたけど、結局どんなものかは分からないんだ」

「オレにも教えてよ、ユータ。つーか料理とか作ったことねーし、このままじゃこんなことで落ちちまいそうだ」

「その……すまない。我々にも教えていただけると助かる。自らの学びの浅さをさらすようで情けないが」

「オレからも頼むぜ、ユータ! クラピカはこう言うけどよ、もし次に進んだ時にゃ、こっちからも教えられることもあるかもしれねーだろ? 持ちつ持たれつで行こうぜ」

「おっけー。あの人にも、作り方教えちゃいけないとは言われてないもんね」

 

 俺はゴンくん、キルアくん、クラピカ、レオリオさんにざっと寿司の握り方を説明してあげた。

 

「へぇー。魚の切り身を酢飯にねぇ。なら魚を獲ってくるか」

「いや、多分試験官さんも本格的なスシを求めてるわけじゃないと思うんだよね。それじゃ料理人の試験だしさ」

「ゴンの言う通りだ。素材はなるべくオリジナリティのあるものが良いだろう。ユータの話では海の魚が一般的なようだしな」

「まー、作り方も分かったわけだし楽勝だろ。サンキュー、ユータ」

「良いってことよー。じゃ、お互い良い寿司握ろうぜ」

 

 そんな感じで皆と別れ、食材を集め……ようとして、ふと考える。

 キョロキョロと目的の人物がいないか探してみると、目立つ格好をしているからすぐに見つかった。

 

「おーい、ヒソカー!」

「ん、ユータ♣︎ どうしたんだい?♠︎」

「いや、もしかしたらヒソカも寿司知らねーかと思ってさ。ゴンくんたちにも教えたし、ヒソカにも教えとこうかなって」

「おや、いいのかい?♦︎ ボクは助かるけど、キミはライバルを増やすことになるんじゃないの♠︎」

「だってさー、この試験割と理不尽じゃない? ちょっとした反抗心ってヤツかな。別に教えちゃいけないとも言われてないしさ」

「ふーん♣︎ なら、お言葉に甘えようかな♥」

 

 よし、憂いもなくなったし、俺も寿司握るかぁ。

 そうだ、今回豚捕まえたし……あのねーちゃんも食いたがってたし、そういうのもアリか。

 

 

 

 

「よっしゃ完成! 審査員のねーちゃん、寿司食いねぇ!」

「威勢がいいわねー。あと審査員じゃなくて試験官だから」

 

 適切なツッコミを貰いつつ、俺は作った寿司をお出しする。

 

「こっちはまともな魚の鮨で……こっちは?」

「さっき豚の丸焼き作ったろ? 同じ豚捕まえて作った、豚トロ寿司さ!」

「へぇー! 面白いじゃない! あたしもあの丸焼き一口でいいから食べたかったのよねー!」

 

 ヘヘッ! と頭防具の上から鼻の下を擦る。我ながらテンションがおかしいな。

 審査員、じゃなくて試験官のねーちゃんは俺の寿司を食い始めた。

 

「んー! この豚トロ美味しい! ブハラの言う通り、焼き加減が絶妙ね! シャリの握り方は雑だけど、素人が作ったにしては全然アリ! オッケー、合格!」

「っしゃあ!」

 

 思わずガッツポーズを取る。まーじで嬉しい。

 

「つーかアンタ、他の受験者何人かにも作り方バラしたでしょ!」

「だ、ダメって言われてないしぃ……」

「まあいいけどさ。観察力洞察力もそうだけど、持ってない知識を持ってる人とツテを繋ぐのもハンターの才能! アンタの口を閉じさせなかったのはそういう理由よ」

 

 はぇー、なるほどねぇ。

 試験官って色々考えてんだなぁ。

 

 観察眼っていうヤツなのか、俺が作り方を教えたゴンくんやヒソカたち以外にもなんとか寿司っぽいものを作り出し、合格している人はそこそこいた。

 

 合格者たちを眺めていて気付いたが……あのスキンヘッド、忍者っぽいがまさか日本人か……?

 ここはニンジャ流アイサツで確認してみるか……

 ドーモ、294番=サン。モンスターハンターです。

 

 …………やっぱ普通に挨拶しとこ……スルーされたら悲しいし……

 

 話してみればスキンヘッドの男、ハンゾーはノリも良くて話しやすいヤツだった。

 

「ハンゾーってどこ出身?」

「ジャポンだ。水と自然豊かな国だぜ」

「ジャポン……! そうかそうか! いやー、もしかしてと思ってたけど、実はおまえの母国に行ってみたくてさー! 今度ゆっくり話聞かせてよ!」

「お! いいねぇ、良ければ案内させてくれよ!」

「マジで? 試験終わったら連絡先教えてな!」

 

 いやー、また一つ楽しみができた。久々に日本文化に触れたいものだ。




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ハンゾーとの口論もなく、メンチさんご機嫌のため審査基準もユルくなってます。
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