モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第3話

 ベンに話を聞いたところ、なんでも彼は別の大陸からやってきたらしい。ベンのいた大陸には多くの人が住んでおり、一方この大陸は暗黒大陸と呼ばれる未開の地だということだ。

 新大陸の間違いじゃない? と聞いてみても、そう呼ぶ者もいなくはないが通称は暗黒大陸だという返事は変わらなかった。

 暗黒って何? 何なの? 怖いよぉ!

 

 まあそれは置いておくとして、ベンは刀鍛冶であると同時に犯罪者だったそうだ。なんの罪なのかは頑なに教えてくれなかったが、さっきのイカれきった様子を見るに快楽殺人鬼かなにかだろう。

 服役中に一定の技能を持つ受刑者の選抜があり、お眼鏡にかなったベンは船に乗せられこの未開の大陸に放り込まれたとのこと。

 なんでもこの地にはベンのいた大陸にはないお宝がわんさと眠っているらしく、それを手に入れてくれば無罪放免とされるそうだ。

 

 ベンは無罪放免に興味はなかったが、お宝とやらを手に入れてこっそり元の大陸に戻ろうと考えていたらしい。したたか〜。

 あのナイフはどうしたのか聞くと、こっちに着いてから作ったとのこと。装備品のことといい、手先が器用なヤツだな。

 

「悪い、少しいいか」

 

 俺がベンの作ったゴア・マガラ装備を着用して悦に浸っていると、おずおずといったように彼は声をかけてくる。

 

「なに?」

「アンタ、一体何者だ? この暗黒大陸に人間が住んでるなんて聞いたことがない」

「別に不思議じゃないだろ。人が住んでないなら、なんでお宝がここに眠ってるって知ってるヤツがいるんだよ」

「200年ほど前にドン=フリークスという人物がいたって話だ。そいつが書いた『新大陸紀行』という書物に宝の話が載ってたらしい」

「誰だそりゃ。つーかやっぱ新大陸なんじゃねえか!」

「言っただろ、200年前の人物の著書だ。今は知ってるヤツは皆、暗黒大陸と呼んでいる。尤も、その存在を知る者すら限られているが……」

 

 いまいち納得いかないが、まあいいか。

 200年前の著者ねえ。読んでみたい気もするけど、この世界の200年前ってどんな感じなんだ? まさか石器でモンスターをぶん殴ってたりしないだろうな。

 ……あ、俺もそれやってたわ。原始人丸出しだわ俺。

 

「話を戻す。なぜこのような物騒な大陸に住んでいるんだ?」

「何故って言われてもなあ。気付いたらここにいて、その日暮らしをテキトーに繰り返してる」

「……答える気はないか。まあ、たまたま今会っただけの、しかも自分を殺しにきた相手だ。仕方ないか」

「そんな悪し様に捉えんなよ。つーかなんでいきなり俺を殺しにきたわけ? 現地人なんてめっちゃお宝の情報持ってそうじゃん。頭パッパラパーなの?」

「い、いやな。なぜかこの沼地に立ち入ってから殺意が溢れ出し、自分でも抑えきれなくてな……」

 

 あー、なるほど。なんかまずい成分がこの沼地には蔓延してるのかも。だからモンスター同士も殺し合ったりしてるワケね。なんか尻尾が二股に裂けた変なヘビもいるし、やっぱ危ない場所なんだな、ここ。米を取りにくる時以外は近付かんようにしとこ。

 にしても、そうか。この場所のせいで殺人衝動に駆られたわけね。ちょっぴり同情。

 

「まあ、実際には俺もお宝の情報なんて持ってないけどな。この辺に生息してるモンスターを狩って日々を生きてるだけの男だよ、俺は」

「だけ、とはとても言えないだろう。暗黒大陸で一人悠々と生活している男を。……モンスターとは、外にいる強大な幻獣たちのことか。あんな強大な生物をハントしてるなんて、凄腕の幻獣ハンターなんだな。ダブルとか、トリプルハンターだったりするのか?」

 

 うん? なんだ幻獣ハンターって。キリン専門のハンター?

 まあ、凄腕のハンターってところは合ってるけども。いやギルドに認知されてないからハンターと呼んでいいのかさえ分からんな。

 ぶっちゃけ俺も記憶ないし、勘違いしてもらえるならそのままにしておこう。

 

「まあ、そんなとこだ」

「なるほどな……あれだけの身のこなしも頷けるな。名前を聞いてもいいか?」

「うっ」

 

 名前……自分の名前覚えてねえ!

 でもそんなこと言えない! 変な人だと思われそうだし!

 

「ゆ……ゆうただ」

 

 思わず世界一(多分)有名なハンターの名前を口にしてしまう。

 ハチミツください。

 

「ユータ? 珍しい名前だな」

「ま、まあな。カムラの里とかユクモ村とか、その辺の出身なのよ」

「カムラ? ユクモ? 聞いたことがないな……まあいい。ユータ。おまえがここに住んでいるというなら、オレに協力してくれないか?」

「協力?」

「ああ。オレが元の大陸に帰る方法を探す。ついでにお宝が見つかれば、それもいただく。手伝ってくれるのなら、今後もおまえのために武具や防具を作り続けることを約束しよう」

 

 ベンはそう言って、胡散臭い笑みで握手を求めてくる。

 こいつ……さらっと条件なんざ付けやがって。俺を殺そうとしたことを流そうとしてないか?

 

「いやいや。おまえに装備を作らせたのはおまえが俺を殺そうとしたから、その詫びって話だっただろ。何恩着せがましいこと言ってんだよ」

「ちゃんと詫びにその鎧と武器を作っただろう!」

「まだまだ作ってもらうもんが幾らでもあんだよ! おら、キリキリ働け殺人未遂!」

「くっ……なぜオレがこんなことを。いや、魅力的な素材であることは確かだが……」

 

 ブツクサ言いながら、今度は大剣を作り始めるベン。ただしなんだかんだ刀鍛冶だけあり、装備を作るのは好きなようだ。楽しそうに作業している。

 にしても、帰る方法か。船かなんかで来たんだろうが、別の大陸まで渡る船なんてそうそう作れるもんじゃない。まさか海を泳いで渡るわけにはいかないだろう。少なくとも、俺にアテはない。

 加えて、暗黒大陸のお宝ねぇ……それらしきものは見たことがない。強いて言えばモンスターから取れる素材くらいか?

 

 やっぱお宝って言うくらいだから金銀財宝とかか? いや、モンハンの世界ってあんまそういったお宝の価値が高いって印象はないな。やっぱ貴重な素材とかなんかなー。

 でもわざわざ海を渡ってまで狩猟しにくるなんて、そんな珍しいモンスターがこの地にはいるのだろうか。

 

 珍しいモンスターといえば古龍が思い浮かぶが、古龍はこの地でもあまり見かけない。一度クシャルダオラらしき龍を遠目に見かけたくらいか。

 やはり天災のような力を持つモンスターだけあり、容易く姿を見せる存在じゃないのかもしれない。

 アマツマガツチとか生で見てみたいけどな。そんで、希少な素材を使って武器や防具を作るんだ。ある意味それもお宝だよな。ぜひゲットしたいところだ。

 

 俺は沼地で穫れた米とモンスターの肉を頬張りながら、まだ見ぬお宝に想いを馳せる。米うめー。

 






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