モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
一仕事を終え、俺たちは座り込む。
「助かったぜユータ。おまえスゲェ怪力だな、あんな巨体を難なく運んじまうとは」
「まーね。モンスターの鱗や外皮は硬いから。パワーでぶち破るのが一番確実なんだよ」
「嫌いじゃねえぜ、そういうストレートな強さ」
なんか照れるなー。
あ、そういえば。
「わり、ちょっと失礼」
「なんだ? トイレか?」
「ま、そんなとこ……ああいや」
グリードアイランドへのログインをこっそり済ませようと思ったのだが、思えば俺が隠れてグリードアイランドを起動しているのは、念が使えないヤツからしたら超常現象だの神隠しだの思われそうだからだ。
ジンは円のことも知っている念能力者だし、別に目の前で使っても構わないのか。
「ちょっとゲームのログインしときたくて」
「ん?」
俺はジョイステを取り出し、ジンに見せびらかす。
「グリードアイランドって知ってる?」
「おまえ……本気で言ってるのか?」
「ん?」
え、どゆこと……?
「……グリードアイランドがどうしたって?」
「え? ああいや、念能力者専用のゲームなんだけどさ。10日ゲームをプレイしないとセーブデータ消えるんだぜ。前プレイしたの1週間前だからそろそろヤバい」
ジョイステにオーラを送ろうとして、ふとジンがジョイステを見つめていることに気付く。
「一緒にやる?」
「……ぶふっ!」
俺が誘うと、ジンは腹を抱えて笑い始めた。な、なんだよぉ。
「あっはっは! ほんとに知らないで誘ってくれてたんだな」
「知らないって、何をだよ」
「オレ、そのゲームの開発者」
びし、と俺のジョイステを指差すジン。
え、グリードアイランドの……開発者!?
「マジか!? すっげー! ジンが作ったのかよあのゲーム!」
「オレだけじゃないけどな。色んなヤツと一緒に作ったんだ」
「レイザーとか?」
「おっ、レイザーに会ったのか? 中々やるな、ユータ」
レイザーってほんとは滅多に会えない人なの……?
普通に岩石地帯にいたけど……
なんてことを考えていると、ジンも顎に指を当てて何事か考えていた。そして思い出したように、ああ。と呟く。
「ユータってどっかで聞いた名前だと思ったが……お前か、Sランクモンスターで周回なんてコトやらかしたのは。鎧が違うから分からなかったぜ」
「やらかしたってなんだよぉ。俺なりに考えた中では最高効率の金策なんだぞ!」
「考えてもフツー実行できねーんだよ。あいつは本来、それなりの腕のハンター数人がかりでギリ倒せるくらいの調整のやり込み要素なんだぞ。全く、バグ野郎め」
あ、そうなの……?
そりゃ悪かったけど、バグ野郎はひどない……?
「で? どうだった?」
「うん?」
「面白かったかよ。
ジンはちょっとソワソワしながら聞いてきた。普段、作ったゲームの感想聞くことがないのだろうか。
ジンの様子を見て、俺は正直に答えることにした。
「超面白いぜ。設定は練られてるし、システムやイベントも作り込まれてるし、ミニゲームも盛りだくさんだし。紛うことなき神ゲーだね」
「……そうかよ」
「ま、かなりムズイけどな。カード化限度枚数分カード独占されててさ。クリアできそうもねー」
「ああ、なるほどな。……良い方法教えてやろうか?」
「え?」
開発者直々のアドバイスだと……!?
聞きたい聞きたい。教えて教えて。
「先に言っとくが、『
「え? 俺『大天使の息吹』3枚持ってるけど」
「お前な……ゲーム外に出てフリーポケットから消去されないように『
「うわ、マジか!」
いやでも、そりゃそうだよな……! 普通にミスったわ。
「まあ、『大天使の息吹』をゲットできてるプレイヤーは他にはいないがな。話を戻すぞ。SSランクのカードで今入手されているのは『大天使の息吹』『一坪の密林』のみ」
「え! 『一坪の密林』ゲットしたヤツいんだ! スゲー!!」
「確かにスゲーんだが……『
「運つよつよかよ……」
絶対真似できねぇ。
「ま、SSランクのカードはカード化限度枚数が3、多くて5枚なんだ。その程度の人数ならまだしも、Sランク10枚、Aランク20枚って規模の仲間を集め、かつその全員の指定ポケットに『
「でもさ、フリーポケットに入れてても『聖騎士の首飾り』されてたら攻撃スペル効かねーじゃん?」
「『
はえー。そこまでは見てなかったな。
「それに、通常スペルによる攻撃も可能だ」
「うん? どういうこと?」
「お前が気を付けているのと同じことさ。ゲーム外に出たプレイヤーのフリーポケットのデータは消える」
「……ああっ! 『
「正解」
なるほど。相手プレイヤーをゲーム外に飛ばして、フリーポケットのカードデータもトバすのか。えっげつねぇ。
「バッテラの懸賞金500億の分け前を少しでも多くするため、少人数で集まってる連中には効くだろうぜ。どうやってもフリーポケットに独占カードを入れざるを得ないだろうからな」
「さっすが開発者。そんな手があったなんて。でも、そんな色々俺に教えてよかったのか? 聞いといてから言うのもなんだけど、依怙贔屓じゃね?」
「いいんだよ。オレの作ったゲームだぜ? オレがルールだ」
こいつ、開き直りやがったな。
と思っていたが、ジンはちょっと真面目な顔に戻る。
「カード化限度枚数はオレが決めたルールだ。ハンターの求めるもんだ、普通のゲームみたいに全員が手に入れられるお宝なんて馬鹿げてる、ってな。が、多人数でカードを独占し、クリアを妨害されんのはちょっとな。もちろん、ゲームのルールに則ってプレイするなんざ当たり前。否定する気はないが……オレの作ったルールのせいで楽しめないヤツが出るのが気に食わなかった。それだけだ」
ハンターとしての考えと、ゲーム開発者としての考えの間のジレンマってとこか。
さっきの発言……親としちゃロクなもんじゃない、という自嘲も、ハンターと親という二律背反に苦しめられてきた男の弱音だったのかもな。
……そんなこと考えすぎるのも野暮か。
「なあ開発者様よ。ジョイステにサインもらっていい?」
「おまえ割とミーハーだな……ま、いいけどよ」
マジックを渡すと、さらさらとジンは業界人ぽいサインをしてくれる。おー、なんかお宝度が上がったぞ。開発者のサイン入りジョイステ付きのグリードアイランド。こういう限定版っぽいの持ってるのはオタク心に嬉しいな。
「いやあ、俺以外にもモンスターハンターがいるなんてな。いや、狩ってるヤツはそりゃいたんだろうけど、初めて見た」
「オレだってそうさ。多分、おまえが思っているよりモンスターは少ないし、それを狩る者……いや、狩れる者はもっと少ないぜ」
「そうかな? もちろんモンスターによるだろうけど、俺の知ってる限りでも出来そうなヤツは割といるけどな」
ネテロとか、ジグ、ゼノくんにシルバくんでしょ。ヒソカやレイザーも行けるんじゃねえかな。イルミくんは未知数だけど、雰囲気的には行けそう。旅団のメンバーだってそうだ。
「モンスターによる、か。ああ、そうだな。この泡狐やら雷狼やら、火竜なら一部のハンターなら狩れるだろうさ」
タマミツネにジンオウガ、リオレウスのことかな。
こいつらも十分強力なモンスターたちだが、ハンターたちで狩れないわけではないと。
「だが恐らく、どうしようもないヤツもいる」
「へえ、どんなヤツ?」
「黒龍」
それは確かにどうしようもねえわ!!!
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作者はグリードアイランドはエアプなので()
間違ってるところがあったら教えてくだせぇ