モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第33話

 黒龍。その言葉を聞いて、俺は思わず立ち上がってしまった。

 やべーな……モンハン界最強、禁忌の存在……まさかとは思ってたけど、マジでいるのか……

 つーか名前聞いただけで頭がズキズキするわ……

 

「黒龍……ね。見たの、ジン?」

「いいや。だが存在している」

「見てねーのになんで分かるんだよ」

 

 うーん。よく分かんないけど、無意識に口調が荒くなってる気がする。落ち着けー、俺。

 

「オレは元々遺跡ハンターになりたくてプロを目指した。念願叶い遺跡ハンターとしての活動を続け、さまざまな文献・壁画に触れる中で浮かび上がる存在があった」

「それが黒龍ってこと?」

「ああ。ある石碑には、過去、栄華を極めた王国が黒龍により滅ぼされた、といった旨の記述もある。……先人の妄想、あるいはイタズラ扱いされているがな」

 

 ジンは眉根を顰め、大きく息を吐く。

 

「王国の名はシュレイド」

 

 えっ!?

 

「そんな国はどこの地域、どこの年代にも存在しない。存在した記録がない。だからそれを滅ぼした、なんて記述があろうが、御伽噺や空想小説だと思われるのがオチさ。だが、全く違う場所、違う年代の複数の遺跡で、黒龍の存在は記されている。シュレイドがどうかは知らんが、黒き龍は実在するはずだ」

 

 シュレイド王国……俺はもちろん知っている。その城は黒龍と戦う舞台(フィールド)であり、黒龍がかつて滅ぼした国の名前。

 だけど、ジンの言う通り存在しないはずなんだよな、この世界には。なんでそんなことが記された石碑があるんです……?

 

「ソイツを追ってるのか? ジンは」

「求めてるものの一つさ。そいつと渡り合うためにモンスターを狩ってるんだ。ヤツらの素材を元に作る装備はヤツらの攻撃から命を守り、武器はヤツらの皮膚を貫く。国を滅ぼすような龍相手だ。備えすぎってことはないだろ」

 

 ジンのハンターとしての嗅覚に、俺は本当に驚かされていた。

 なんの事前知識もなく、黒龍を狩るためモンスターを狩るという方法に行き着くなんてな。センス半端ねぇ。

 

 しかし、黒龍か。

 アイスボーンでももちろんめちゃくちゃ強かったわけだが、問題は世界観的な強さの方だ。

 曰く栄華を極めた王国を滅ぼしただとか、曰く関わった人間が発狂しただとか、曰くその気になれば世界を数日で滅ぼせるだとか……黒龍の恐ろしさに関する逸話には枚挙に暇がない。

 

 それに、聞いた話じゃ次元を超えての移動すら可能なんだとか。もはやモンスターではない! 神だ! とか言われるレベルじゃないのよさ。

 

 もし現れたら、どーやって倒すかな……

 いや、待てよ。今までずっとソロでやってきたけどさ。

 いるじゃんか、目の前に。もうひとりハンターが!

 

「ジン!」

「なんだ、急に立ち上がって」

「黒龍は一人(ソロ)でやるにはキツい相手だ。もし狩る時は協力プレイしないか?」

「協力プレイて、ゲーム脳かよ。ま、でも意見には賛成だ。連絡先交換しとくか」

「おっけ。あ、あと俺の能力教えとくわ。モンスター狩る時、特定条件で参加できるからよ」

 

 ジンに『神降ろしの儀(ハンターズクエスト)』の詳細を教えておく。

 

「なるほど、モンスター狩りの能力か……しかし制限時間50分とは強気だな。失敗時の強制絶もそうだが」

「まあ、その辺の制約強くしといた方が、能力追加のための調整も利きやすいかと思ってよ。たとえば、参加人数追加するごとに制限時間短くなる、あるいは強制絶の日数が1日ずつ増えてくとかさ」

「なかなかイカれてるな……分かった。緊急時は依頼出させてもらうぜ」

 

 こうして意見や情報を交換しながら、俺はこの世界で初めて見たモンスターハンターと狩猟談義を楽しんだ。

 能力の調整もできたし、ジンと一狩り行くのもそう遠くないかもしれない。

 

 

 

 

 ジンと別れ、ハンゾーと観光を楽しんだ後、ジャポンを去る。ハンターライセンス持ってるとビザの取得とかしなくて済むから楽でいいな。鮨美味かったし……

 

 さて、次はどこ行こうかな。流星街には普通に帰るのに加えて能力で度々帰ってるから、いまいち離れている感じがしねーんだよな。天空闘技場戻るか。しばらくダウナーおねーさんとも顔を合わせてないし。

 

 というわけで、帰って来ました天空闘技場。

 バトルオリンピア優勝者である俺はこの塔、そして周辺の街ではバチクソ有名人なので、例によってジンオウガのお面で変装している。

 だ、大丈夫大丈夫。ゴトーくんには声でバレたけどさ。一般人にはそう簡単にバレないよ。ほんとだよ。

 

「おっ?」

 

 天空闘技場の一階でエレベーターに乗ろうとしていると、なにやら騒ぎが起こっているのが見て取れた。

 気になって近くにいた知らないおっちゃんに話しかける。

 

「なんか騒がしいけど、どったの?」

「なんでも、とんでもなくつえーガキが3人もいるらしい。いきなり50階スタートだってよ。チャンプ以来じゃねえか?」

「へえ! じゃあそいつらからフロアマスターも現れるかもな」

「はは、さすがにそう簡単じゃねえだろ。チャンプの才能と実力は桁違いだ」

 

 そ、そう? でへへ、照れるぜ。

 でもまあ、おっちゃんには良い情報をもらった。俺はダウナーおねーさんに電話する。

 

「もしもし? ついさっき戻ってきたよ。……うん、ただいまー。あ、いきなりなんだけどさ、ちょっとお願いがあって。うん、今日1階から50階にいきなり上がった有望な子供たちの情報知りたくてさー。うん、うん……おー、あんがとー。あ、あと今日の夜、部屋来れる? 夕食でもどう? ジャポン土産があるんだけど……そうそうジャポン酒。よく分かんないけど一番高かったヤツ。……おっけー、じゃ後でねー」

 

 話が脱線してしまったが、気になる新星たちの名前を聞くことができた。できたが、まさかの三分の二が友達か……

 ゴンとキルアが天空闘技場に来ているなんてね。あと一人は知らないやつだ。ズシって名前らしい。なんか重そう。

 

 ダウナーおねーさんに頼んで、50階クラスでゴンとキルアの試合の組み合わせを教えてもらった俺は、キルアの試合を見に行くことにした。相手がズシという同じく一発で50階に上がったやつだからね。

 まあ、キルアなら並の相手なら楽勝だろうな……と思ってたんだけど、相手の道着の少年を見て考えを改める。

 

 弱っちいけどオーラ纏ってるな。修業中の念能力者か。

 キルアなら問題ないと思うけど、あいつ念知らないからな……

 

 年齢を考えれば当たり前だけど、ズシくんは念なしの実力の方も修業中のようだ。キルアとは大きな開きがある。

 けど、纏を使っている分、防御力はキルアに勝る。二発目の手刀を当ててもまだズシくんはピンピンしている。ポイントはキルアに入ってるけどね。

 

 このままじゃ負けると思ったのか、ズシは構えを変えた。そして、練を使いオーラ量を増加させる。

 ほー、なるほろ。ルーティンてヤツかな?

 特定の動作で練を発動する、と覚えこんで成功率を上げる、みたいな。

 キルアも、オーラが見えずとも肌で感じ取ったのか、大きく後退した。

 さすがに練で殴られたらキルアがヤバい。止めるか、と思っていると、

 

「ズシ!!!!!」

 

 隣から馬鹿でかい声が響く。驚きそちらを見ると、眼鏡の男性が立ち上がり叫んでいたようだ。

 ズシくんの……お師匠さんとかかな? 纏が超滑らかだし。

 彼は俺の視線を感じ取ったのか、こちらを見ると、「いや、失礼しました」と頭を下げた。

 

「いえいえ、分かりますよ。あのまま続けたらケガさせちゃいますからね」

「ええ。練はまだ使うなと教えていたのですが」

「まあ、試合ですからね。それも同年代との。熱くもなりますよ」

 

 眼鏡のおにーさんは、俺のフォローに小さく笑った。

 ちなみに試合はキルアの圧勝だった。が、その顔にはありありと不満が表れていた。




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ウイングさんとビスケちゃまとかゴンとキルアの師匠ガチャURすぎる
あとクラピカの師匠のイズナビも
……いや師匠枠に優秀な人しかいねえ!!
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