モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第38話

 ヨークシンのオークションは明日から。でも、既に街は相当賑わっているし、ヨークシンは今まで見た都市の中で一番都会だ。

 色んな店があるなーと冷やかしていると、目の前の女の子と目が合う。

 

「ねえアナタ、そのお面、もしかして雷狼の?」

 

 女の子は俺に話しかけてきた。隣のコワモテおにーさんは顔を顰めている。こっちを睨まないでよぉ。

 

「うん? ああそうだよ。使ってる素材は別のモンスターだけどね」

「わあ、やっぱりモンスターの素材を使っているのね。凄い凄い! 他にも同じようなものを持ってたりするの?」

「まあ、色々ね。モンスターの素材は武器や防具にすることが多いかな」

「そうなんだ、見てみたいわ」

 

 ちら、と隣のコワモテを見てみると、目を伏せてお願いしてくるのが分かった。止められると思ったが、寧ろ彼女の要望を叶えることを優先しているようだ。

 

 刃が付いてるものは危ないから、トビカガチ素材の弓を見せる。

 

「わあ……! 飛雷竜の素材を使っているのね! 爪に毛皮に鱗……いいなぁー!」

 

 このお嬢様っぽい女の子は、意外にも品を見る目があるようで、ベンが作成時に使った素材を的確に言い当てていく。

 

「ねえ、これ売ってくれない?」

「悪いけど、友達が作ってくれたモンだからさ。素材調達したのは俺だけど」

「まあ、あなたハンターなの?」

「飛雷竜みたいなモンスター専門のね」

「じゃあじゃあ、モンスターの素材をもっといっぱい持ってるの!?」

「そりゃもう、いっぱい持ってるさ」

 

 俺が自慢げに言うと、女の子はさらに食い付いてきた。彼女はモンスター素材収集家だとのこと。なんか最近どこかで聞いたような……

 記憶を掘り起こそうとしていると、モンスターの話をぜひ聞きたいと、夕食に招待されてしまった。

 

「でも、オークションには友達と来てるんだよね。悪いけどそっち優先かな」

「そう言わず、ぜひ本日だけでも」

 

 コワモテの人は必死に頭を下げてくる。苦労人ぽくて可哀想だな……まあ、オークションは10日もあるんだ、1日くらいいいだろ。つーかまだオークション始まってないし。

 キルアに電話し、今日の晩飯は少女、ネオンたちといただくことに決める。

 

 ネオンたちはノストラードファミリーというマフィアの関係者だった。聞いたことあるな、と思ったら、護衛の中にはクラピカの姿が。そうだ、クラピカの勤め先だったな。

 高級レストランなのでスーツに着替えさせられた。顔出しすると天空闘技場チャンプなのがモロバレだったが、幸い遠目に見られるだけで話しかけてくる人はいなかった。やっぱ客層が良いな。

 

「クラピカ、こないだぶり」

「こんなに早く再会するとは」

「クラピカ、客人と知り合いか?」

 

 ダルツォルネさんは、俺への態度に若干眉を顰めながらクラピカに聞いた。

 

「クラピーとはダチなんだ。一緒にハンター試験受けた仲間だもんな」

 

 ダチアピールのためのあだ名に、クラピカは若干不服そうだ。

 

「そうか……クラピカ、少しいいか?」

 

 ダルツォルネさんはクラピカに何やら一言二言伝えている。どうやら、何やら俺との交渉が失敗した時仲介するよう指示しているらしい。うっすら聞こえてきてる。

 

 ネオン、そして護衛のダルツォルネさんと会食する。

 

「私ね、最近気になってるモンスターがいるの」

「どんなヤツ?」

「えっとね。電竜っていう蝶の羽根みたいなカラフルな翼を持ってる、電気を纏った竜なんだけど」

 

 ネオンはモンスターの素材に強い興味を持っているようで、今はライゼクスの鮮やかな色合いの素材を欲しがっているらしい。

 俺が素材を持っていることを伝えると大層興奮し、ぜひ(とんでもない額で)譲ってほしいと頼み込まれる。武器と違い俺が自力で集めただけのものなので了承すると、大層喜ばれた。

 

 ネオンが席を外したタイミングで、ダルツォルネさんから相談を受ける。

 

「ユータ様。あなたが天空闘技場の覇者であり、我々の遙か上を行く実力者と見込んでお願いがあります。どうか、ネオンお嬢様の地下競売の護衛をしていただけませんか?」

「え、なんて?」

「お嬢様の護衛をお願いしたいのです」

「うーん……まあ別にいいけど、それってダルツォルネさんやクラピカたちの仕事じゃないんですか?」

「……実は、込み入った事情がありまして」

 

 ダルツォルネさんは何枚かの紙を渡してくる。

 何やら詩のようなものがツラツラと書かれている。なんかこう……良いな! 俺の中の厨二心が騒いでいる。

 

『何もかもが値上がりする地下室

 そこがあなたの寝床となってしまう

 仮面の狩人を招きなさい

 それが何より死神を遠ざけるから』

 

 他にも四行の詩が並べられているが、どれも全く同じ内容だ。

 

「なんです、これ?」

「とある筋から手に入れた、占いです。的中率はかなり高い。十老頭にもファンがいるほどに」

「ふぅん……ジューロートーねぇ」

 

 何それ……重労党?

 過労死しそうな党派だな……

 

「お嬢様自身は占ってもらってはいませんが、これら四枚の占いの対象は全て、お嬢様と同じく明日の地下競売に参加予定の人物です。占いの内容にある『寝床となる』、つまり眠りに関する内容は死や病の暗示である可能性が高いのです。四行目の『死神』という単語もそれを裏付けている」

「地下競売に危険が潜んでるかも、ってことですか?」

 

 ダルツォルネさんは頷く。

 

「三、四行目の内容から鑑みて、仮面を付けたハンターの存在が死の回避に重要なのは明らかです。初めはお嬢様の参加は見送り、会場にはプロハンターであるクラピカに仮面を付けさせ向かわせようと思ったのですが……街中に、条件を満たしたあなたが現れた。お嬢様も好ましく思っているようですし、天空闘技場のチャンプと身元もハッキリしている。ぜひご協力をお願いしたい。もちろん、報酬金もご用意いたします」

 

 提示された報酬金の額を聞いて驚く。

 ただのマフィアじゃないのかな……?

 

「持ってますねぇ」

「恐縮です」

 

 競売は明日の夜9時からとのこと。

 ゴンたちと飯食ってからでも間に合いそうだな。

 

「会場に入るのはお嬢様、私、そしてアナタの3人です。それ以上の人数は入れません。9月1日のオークションが終了するまで、ネオンお嬢様の安全を確保する。いかがですか?」

「構わないけど、元々ネオンを参加させないつもりだったなら、今回もそうした方がいいんじゃないすか? 予算教えてくれれば俺が落札してきますよ?」

「それが……お嬢様は競売を大変楽しみにしていますので。それに、占いを回避できる方法があるなら、それが最も良い方法なのです」

 

 どうやら、ダルツォルネさんは相当占いの内容を信用しているらしい。

 

「なるほど。オッケー、引き受けますよ」

「恐縮です」

 

 いざとなればネオンと一緒に『神降ろしの儀(ハンターズクエスト)』で飛べば安全確保は簡単だ。

 ということで、ネオンの1日(数時間)護衛を任されることになった。

 

 

 

 

 というわけで9月1日。

 ネオンの護衛として、またも黒スーツで地下競売の会場入りする。

 

「仮面はどうします、ダルさん」

「ダル……ごほん。付けておいてください。事情は私から説明しますので、入場の身体検査の時だけ外していただければ」

「了解っす」

 

 ということだったが、心配せずとも仮面を付けた人は俺の他にも四人いた。しかも念も使えるみたいだ。

 これなら俺だけ浮いたり、ツッコまれることもなさそうだな。

 仮面を外し、身体検査を受けようとすると……スタッフらしき黒服の顔色が変わった。サングラス越しだけど。なんかどっかで見た覚えがあるな、この人。

 

「ん? アンタもしかして……」

「あー! ちょっとシツレイ! あなた裏に来てもらえますか!?」

「えっと」

 

 ダルさんを見ると、騒ぎにしたくないのか頷かれる。

 そのまま裏に連れて行かれる。……グラサン黒服のウボォーに。イメージとは合わないが、案外きっちり着こなしている。

 

「なんでここに居んだよユータ様!!」

「ウボォーこそ。あと、さっきのシャルナークだよな? 二人ともいつの間にオークションのスタッフに転職したん?」

「馬鹿か! 変装だよヘンソー!」

「な、何ィ!? なんで!?」

「オレたちゃ盗賊だぜ? 地下競売のお宝全部掻っ攫うために決まってんだろ」

 

 ドヤ顔するウボォー。

 こいつら……さすがA級首。わっるいこと考えるなぁ……




閲覧・お気に入り・感想・評価・ここすき・誤字報告していただいた皆さん、ありがとうございます。

今更ですが、ハンター世界の住人にはモンスターの呼び名を、別名というか漢字部分だけを丸ごともしくは一部だけ使って呼称させています。
ジンオウガだったら雷狼(竜)とか。
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