モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第43話

「ふははははは! やってやった! やってやったぞ! 何が天空闘技場の覇者だ、笑わせやがって。隙だらけの大間抜けが!」

 

 ユータに発現した爆弾を『解放(リリース)』により起爆し、ゲーム外より戻ってきたゲンスルーは、開始地点の草原で仲間のサブ、バラと共に高笑いしていた。それもそのはず、最後の懸念であった起爆対象の目前での能力説明が、想像より遥かに簡単に、かつスムーズに済んだのだ。

 

「状況を理解すらできてなかったぜ。お前らにも見せたかったなあ、あの間抜けヅラ!」

 

 事実、ゲンスルーの話を聞いてもユータはぽけーっと聞いているばかりで、事の重大さに気が付いたのは話し終える直前だった。

 まるで警戒心のないユータの態度を思い出し、またゲンスルーは抑え切れないというように笑う。

 それに釣られ、サブとバラも同様に笑った。

 

「やったなゲン!」

「これであとはハメ組の連中を皆殺しにしてカードを奪えば、ひとまず計画通りだ」

「ああ。問題はツェズゲラか。なにしろシングルの懸賞金ハンター。ヤツほど間抜けじゃないだろうからな」

 

 早速、次のターゲットに意識を向けるゲンスルーだったが、その肩にポン、と手が置かれる。全く、サブかバラか? と思う彼だったが、異変に気付く。

 仲間二人は目の前にいる。

 

 では、この手は一体誰の?

 

 目の前のサブとバラは驚愕に目を見開いている。ぶわ、と汗が噴き出す。

 恐る恐る振り返ると、そこには……兜を取り、朗らかに笑うユータの姿があった。

 

爆弾魔(ボマー)捕まえた……なんちゃって」

 

 ひ、と思わず声が出る。

 間違いなく、それは死んだはずの男だった。

 

(馬鹿な、馬鹿な!? ゲーム外からでもゲーム内の対象を起爆できるのは確認済み! 『命の音(カウントダウン)』の解除を!? 除念!? どうやって、この短時間で!? まさかこいつ自身が!?)

 

 ゲンスルーの脳内に駆け巡る様々な可能性。しかしそれは、一番考えたくなかったことが現実である、と目の前の男の言葉により否定される。

 

「あの爆弾、すげー威力だったと思ったら三人でのジョイントだったわけね。食らったのが俺じゃなかったら死んでるわ」

「食らっ、た……?」

 

 愕然とする。

 この男は、つまり、『命の音(カウントダウン)』を除念したわけではなく……真正面から受け止めた上で生存している?

 いや、それよりタチが悪い。

 目の前で笑い話のように語る男には、見せつけるように鎧を脱いでいるその男には、少しも傷やダメージは残っちゃいない。

 

 絶望と同時に、ゲンスルーは自らの考えが間違っていた、と認識を改める。

 

 ユータは警戒心がまるでない?

 違う。

 自分たちは、警戒にすら値していなかった。

 

「う、おおおおおぉぉぉぉぉぉおあああ!!!」

「ゲン!?」

「無茶だ!」

 

 ゲンスルーは自らの能力『一握りの火薬(リトルフラワー)』を発動させるべく、ユータに掴み掛かる。

 が、彼は身じろぎ一つしない。彼の顔と肩をその両手で掴み、ゲンスルーは全力で起爆した。

 しかし、三人でのジョイントの上、能力内容の説明を行うという制約までこなした『命の音(カウントダウン)』とは比べるまでもなく低火力。

 それが、今更ユータに通用するはずもなかった。

 

「げほごほ。ちょっと吸い込んじゃった」

 

 ぱたぱた、と鬱陶しそうに舞う埃とゲンスルーの手を払うユータは、ゲンスルーの攻撃など全く意に介していない。

 

「ッッ〜〜〜〜〜〜」

「俺を殺して、ブループラネットのカード化限度枚数の枠を空けるつもりだったわけね。まー思うところはあるけど、ゲームのルール上そういう選択肢もあるわな……次は三人で来てみるかい?」

 

 サブとバラは自らのメモリを『命の音(カウントダウン)』に割いており、別の念能力を持たない。つまり素手で戦うしかないわけだが、肉弾戦で敵うはずもない。

 ゲンスルーは尻餅を突き、サブとバラも拳を構えはするものの動けない。

 

「終わり? じゃ、こっちもちょっぴり反撃させてもらうぜ」

「待て! 参った! 参ったあああああああ!!」

「え?」

 

 完全に戦意を喪失したゲンスルーは敗北を宣言し、ユータに『闇のヒスイ』を渡した。

 

 

 

 

 『闇のヒスイ』ゲット!

 よっしゃー。

 ゲンスルーたちはもうゲームを降りる、と宣言したので、独占していたこのカードをもらい、ゲーム外に帰してやった。

 

 これで後はツェズゲラさんの独占カード『身代わりの盾』『浮遊石』と、『一坪の海岸線』『奇運アレキサンドライト』『神隠しの祠』だけか。クリアが見えてきたぜ!

 

 向こうも2種独占してるけど、こっちも『ブループラネット』を独占してる。いや、『一坪の海岸線』の入手を考えると、俺の方が有利だな。

 もうクリア目前まで来てしまったな。ゴンたちと一緒にプレイしたかったのに、上手くいかないもんだ。

 ま、せめてレイザーとの勝負は一緒にやるか。

 

 ということで、ギャンブル都市でスロットを回したりしながらしばらくゲームを楽しむ。ミニゲームも山ほどあって、噛めば噛むほど味がするゲームだぜ。

 一月ほどが経ったころ、スペルでゴンの所有カードを見てみる。すると……

 

「おっ!?」

 

 マジか! もう80種くらい集めてるし、しかも。

 『奇運アレキサンドライト』持ってる……!

 

 入手方法知りたいし、久々に会いたくもあるし。『磁力(マグネティックフォース)』で飛んでくか。

 

 というわけで、ゴンたちの元に飛んでく。実に数ヶ月ぶりの邂逅だ。

 スペルを発動し降り立ったのは……マサドラか。

 

「あれ、ユータ!」

「よっ。ゴン、キルアと……」

「よぉ」

 

 ミルキ、と言おうとして、俺は……爆笑した。

 

「ぷっ、あっははははははははははは!! ミルキお前、痩せすぎだろ!!」

「笑うな! くそ、オレの衝撃吸収まん丸ボディが……」

 

 やべぇ腹いてぇ。

 ミルキの贅肉が取れ、スリムになって高身長超イケメンになってら。

 

「なんでそんなことに? そっちのお嬢さんが関係してるのか?」

「うん、この人はビスケ! すっごい念能力者なんだよ!」

 

 ゴンに紹介され、ビスケという少女と挨拶を交わす。ビスケ? どっかで聞いたことあるような。

 

「こんにちは、俺はユータ。三人の友達で、ゴンとキルアには念を教えたこともある」

「ユータ……?」

 

 ぴく、と少女の眉が上がる。

 

「アタシはビスケ。ビスケット=クルーガー。ユータ、アンタまさかネテロやベンの友達?」

「おー、そうだよ。マブよマブ」

「アンタの話はあのエロジジイとハゲジジイからよく聞いてるわさ。よろしくね」

 

 あー! ビスケちゃんってネテロのとこの!

 名前だけ聞いてたけど思い出せんかったなあ。

 

「よろしく、ビスケちゃん」

 

 頭防具を取って挨拶すると、ピシ、とビスケちゃんの動きが止まる。

 

「アンタ、年齢詐称が過ぎるわね……」

「ヒトのこと言えねーだろババア」

 

 キルアのツッコミに対して、凄まじい速度かつ流麗な動きでのツッコミアッパーカット。それだけで相当な実力者であることが伺える。

 念能力だけじゃないな。武術もかなりの練度で修めているようだ。すごいな。

 

「ユータが年齢詐称? ユータって幾つなの?」

「実は40歳くらいとか?」

「ちゃんと数えてないけど、120歳くらいじゃねーかな」

「な、なにぃぃぃいいいい!?」

 

 ミルキとゴンは大いに驚き、復帰したキルアは「そういやハンター試験でンな事言ってたな……」と顎を摩っている。

 シルバくんやゼノくんと仲良くしているところも見せているし、受け入れやすかったのかもしれない。

 

「ジジイじゃん!?」

「ふぉっふぉっふぉ。そうだぞい」

「取ってつけたようなジジイ言葉だなオイ!」

「そういえば、ウイングさんも『纏』を続けてたら若さを保てる、とか言ってたね」

「いやいや。そりゃ多少は影響するけど、ここまでのは普通あり得ないわよ。この人のは度が過ぎてるわさ」

「テメーもだろ」

 

 今度は口を挟んだミルキがぶっ飛ばされる。

 

「ビスケちゃんはホントは幾つなの?」

「ご……57歳だわさ」

「へえ。まだまだ若者じゃん。俺からしたらだけど」

「うぅ。嬉しいようなそうでもないような……」

 

 複雑な心境を吐露するビスケちゃんであった。




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ゲンスルーたちは288期ハンター試験のアモリ三兄弟状態になってます。いやもっと酷いか。
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