モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

48 / 76
第48話

 ミルキがクイズ大会に優勝した。

 貰えるカードをせびりに行くのもちょっと……と思って悩んでいると、向こうから『同行(アカンパニー)』で飛んできた。

 

「ほい、『支配者の招待状』。最後のカードをゲットするためのイベントアイテムらしい」

 

 ミルキは何でもないことのように、俺にカードを渡してきた。

 

「え、そんな。貰えないよ。それミルキが実力で手に入れたヤツじゃん」

「いーんだよ。そもそもお前に借りてプレイしてるゲームなんだからさ」

「み、ミルキ……! お前ってヤツは……!」

 

 やった! 何はともあれ、これでゲームクリアだ。

 しかし、支配者による招待状か。支配者ってのはどんなヤツなんだろ。

 

 もしかして、ジンだったりする?

 

「ゴン、行ってみる?」

「え、オレ?」

「うん。この支配者っての、ジンかもよ」

「うーん……違うんじゃないかな。ジンはこのゲームの中にいないよ」

 

 何やら確信を持ったような言い方だ。そこをツッコむと、ゴンは自分の本を出し、一番最初に出会ったプレイヤー名を指した。

 ニッグ。これがどうかしたんだろうか。

 

「オレが最初に会ったプレイヤーはキルアのはずなんだ」

「あ」

 

 そりゃそうだ。オレら順番にログインしたもんな。

 

NIGG(ニッグ)GING(ジン)のアナグラムだよ」

「はぁ〜なるほど……」

「気付けたのはキルアやミルキと一緒にプレイできたから。ユータのおかげだよ」

 

 照れるなあ。

 

「なるほど、ジンは居なさそうだな。でも、GMのレイザーはジンの仲間だった訳だろ。支配者ってのもそうかもしれないじゃん。ジンのこと聞けるかもよ」

「あ、そか」

「よし、ゴンに依頼しよう。支配者からカードを貰ってきてくれ」

「うん! ありがとう、ユータ」

 

 ゴンは城下町、リーメイロの城の中に向かった。

 

「指定ポケットカードの3枚、どーすっかな」

 

 欲しいアイテムは幾つかある。アドリブブックとか、黄金るるぶとか。

 でも、3枚かぁ。うーん。

 俺だけの力でクリアしたわけじゃないし、ゴンとキルアとミルキにそれぞれあげるとするか。

 

 

 ゴンが戻ってきた後。遠慮されたりもしたが、レイザー戦で見せた成長へのご褒美だとして三枠を押し付ける。

 結果、ゴンとキルアは『聖騎士の首飾り』と、指定ポケットカードに『擬態(トランスフォーム)』させた『同行(アカンパニー)』を選んだ。

 

「ミルキは?」

「俺はもう少しグリードやり込みたいから残るわ。自力でクリアできてねーし、『一坪の密林』のイベントも気になるし。グリードアイランドのWikiでも作っかな。ビスケも『ブループラネット』のためにゲーム内に残るらしい」

 

 ということだったので、残り一枠は俺が貰うことにした。色々考えたが、悪くない選択肢だったと思う。

 

 しかし、これでゲームクリアか。随分楽しくプレイさせてもらった。

 神ゲーだったぜ、ジン。

 

 

 

 

 指定ポケットカードを集め切り、本を完成させた記念として、ゲーム内では盛大な祭が催された。

 一通り楽しんだ後、俺とゴン、キルアは現実に戻っていた。港からゲーム外に出るのは、何気に初めてだ。

 

「ゲイン!」

 

 『聖騎士の首飾り』をアイテム化し、『同行(アカンパニー)』を元の状態に戻す。

 聖騎士の首飾りはもう使い道はないだろうから、俺の方で引き取った。アイテムBOXの肥やしとなってもらおう。

 

「ユータは?」

「俺は拠点に戻るわ。手に入れたアイテムも使ってみたいし」

 

 ここしばらくゲーム内にいたし、ぼちぼちバトルオリンピアも開催されるだろ。今回は防衛側として出る必要があるだろうし、なんかコメントとかもしないといけないかもだし。

 それに、ここ最近、流星街の方には『神降ろしの儀(ハンターズクエスト)』でしか帰ってない。たまにはしっかり帰って、元気な姿を見せないとな。

 

「そっか……色々ありがとう、ユータ! ユータがいなかったら、オレたちこんなに強くなれなかったよ。ゲームもプレイできなかった」

「いや、ゴンとキルアの実力だよ。ま、ちょっとは役立てたかもしれんけど」

「ユータ、絶対また遊ぼうな」

「おう。連絡先も知ってるし、今生の別れってわけじゃないさ。何かあれば助けてくれよな」

 

 ゴンたちは腹を抱えて笑う。

 さて、別れも済ませた。ゴンは『同行(アカンパニー)』でニッグ、つまりジンのところに飛んでいく。現実世界でも使える『同行(アカンパニー)』はめちゃくちゃ強力だな。

 俺ももっと自由度の高いワープ能力開発しようかな……どんだけ制約付けりゃいいか分からんけど。

 

 さて、ワープ能力が欲しくなる状況ではあるが、流星街にしても天空闘技場にしても、飛行船に乗らないことには始まらない。

 すっかり金銭感覚の狂った俺は、小型の飛行船をチャーターした。

 

 さて、貸し切った飛行船の中で、俺はカードを取り出す。

 飛行船に乗ってる間は暇だからな。早速、読んで時間を潰すとしようか。

 

「ゲイン」

 

 ボン、とカード化が解除され、途轍もなく分厚い本……と呼ぶのも奇妙に思う紙の束が姿を現す。

 

 

 

 手に入れたアイテムは、『人生図鑑』。

 

 

 

 カードNo.93『人生図鑑』

 入手難度:B

 カード化限度枚数:28

 生まれてからこれまで自分が関わってきた人々を全て収録している図鑑。

 登場人物とのエピソードや会話録など思い出満載。

 最終的に数十万頁におよぶことも珍しくない。

 

 

 

 最後の説明から考えても、俺の長い人生で密に関わった人はそう多くない。だからもっと薄くなると思っていたのに、想像よりかなり分厚いな。アコーディオンをくっそ長くしたような。もう本というより、柱みたいになっている。

 

 

 俺がこのアイテムを選んだのは、自分が長生きするだろうと思ったからだ。

 

 ニトロ米を食べて肉体の老化が止まった、ないし極めて遅くなった俺は、ネテロやジグより先に死ぬことは、まあないだろう。

 既に俺の周りでは、俺より後に生まれて、俺より先に死んだ人間が大勢いる。彼らとの思い出を取っておきたい。薄れる記憶だけじゃない、確かな記録として持っておきたい。そう思ったからだ。

 

 『アドリブブック』なんかも飽きの来ない娯楽としては悪くないかと思ったけど、友達の記録が残るこっちの方がいいかな、と思ったわけだ。

 

 

 そう、俺の目的は思い出を振り返り、保管しておくことだった。本当に軽い気持ちで、このアイテムを選んだんだよね。

 割と重要な話が出てくるなんて思ってなかった。

 

 『人生図鑑』の表紙を捲ってみる。

 

『この本はあなた、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の人生で関わった人を全て収録しています』

 

 そこには、見たことも聞いたこともない名前が記されていた。




閲覧・お気に入り・感想・評価・ここすき・誤字報告していただいた皆さん、ありがとうございます。

なんかシリアス……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。