モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第5話

 モンスターを一撃で仕留めるのはまず不可能だろうが、水中戦に移行する前にやれるだけのことはしておきたい。俺はアイテムBOXからリオレウス大剣を引き抜き、力を大きく溜める。そのまま空中で一回転して、真・溜め斬り擬きを叩き込んだ。馬鹿でかい水飛沫が上がり、ラギアクルスがのたうち回る。

 

 さて、問題はここからだ。水中だしこのデカい大剣を振り回すのは中々大変そ……お?

 うん?

 あ、俺のフィジカルやべーわ。水中でも大剣ブンブン振れるわ。サンブレイクの流斬り大剣くらいブンブンいけるわ。あと呼吸も結構保つわ。これならやれそう。

 

 水中戦でクラッチクローとか翔虫使えたら超便利なんだろうなぁ……

 なんて考えつつ、俺は圧倒的フィジカルゴリ押しによりなんとかラギアクルスを制した。

 

「ぶはぁっ!!」

 

 水面から顔を出す。酸素うめぇ。

 

「ベン! ベン! 大丈夫か!」

 

 船はひっくり返され、木っ端微塵になっている。やっぱ素人の造船技術じゃ無理があったか。いや、そうでなくともモンスターにひっくり返されちゃどうしようもない。ベンはよくやったよ。

 

「おーい! ニイちゃん、大丈夫かー!!」

 

 背後から、知らない声が掛けられる。振り返ると、俺たちが乗ってきたよりかなり上等な船……客船というより軍艦のような鉄の船が遠くに浮かんでいた。

 ラギアクルスとの水中戦では気付かなかったが、こんなデカい船が近付いて来ていたのか。最新作にはこんなのが出るのか?

 

「俺は平気だー! それよりー、ハゲたおっさん見てないかー!!」

「誰がハゲだユータぁー!!!」

 

 どうやら無事らしい。あの船に引き揚げてもらったんだな、よかったよかった。

 どうやら俺も乗っけてもらえるらしく、縄梯子を下ろしてもらいそこから甲板に這い上がる。

 甲板にはベンと中年の強そうな男2人、女が1人待ち構えていた。

 中年の2人は相当強そうだが、髭面の男は特に別格だな。気のせいか、背後に観音様が見える気がするぜ。多分こいつがリーダーだろう。

 

「ふうっ! 助かったぜ、陸地まで泳ぐ羽目になるかと思った。ありがとう!」

 

 とりあえず感謝を述べると、髭面の男は豪快に口元を緩めた。

 

「なあに、礼には及ばんよ。それよりニイちゃん、鎧を着たまま水中戦であの馬鹿でかい竜をハントするなんてトンデモねぇな」

「ははっ、まあな」

 

 よかった……侮るわけじゃないが、まだ相手がラギアクルスで良かった。海が赤くなってたりしたらどうしようかと思ったね。

 

「俺はゆうただ、ベンを助けてくれて感謝する」

 

 俺が右手を差し出すと、男は躊躇わずその手を取った。

 

「アイザック=ネテロだ。こっちはジグ=ゾルディックに、リンネ=オードブル。よろしく頼むぜ、ユータ」

「ネテロにジグ、リンネだな。よろしくな」

「しかし、ユータにベン。おまえたち、なぜこんな海域にいる? ここはもう暗黒大陸の目と鼻の先だぜ」

「おー、俺らその暗黒大陸から来たからよ」

 

 ピタ、とネテロたちの動きが止まる。

 え、俺なんかまずいこと言った?

 ベンの方をチラ見するとブンブン首を振っている。あんまりよろしくなかったらしい。

 あ、そういえば暗黒大陸って人が住んでないと思われてんだっけ……そっから来たとか言うヤツ、普通に不審人物じゃね?

 

「へええ……そりゃあ丁度良かった。これからオレたちは暗黒大陸に向かおうと思ってたんだ。良けりゃあガイドを頼めねえか? なあ、頼むぜユータのニイちゃんよ」

 

 ぽん、とネテロの手が肩に置かれる。

 な、なーんだ。ガイドするだけなら余裕余裕。良かった、別に不審人物として牢屋にぶっ込まれたりはしなかったんだね!!

 

 と思ってたが、俺とネテロ、ベンとジグで同室にさせられた。めちゃくちゃ警戒されてるじゃねーか!!!

 

 まあ、客観的に見たらどう見ても怪しいヤツだし仕方ないか。大人しく寝よ。

 

 

 

 

 オレは『武』に生きてきた。

 己を心身共に育ててくれた武。武への感謝として、常に一日一万回は正拳突きを捧げている。

 道場破りだの路傍で強そうなヤツに吹っ掛けるだの、トシの割にヤンチャをしたことも数えきれない。仲間には笑われるか呆れられる始末。

 

 俺は強さを求めている。

 武とは比較だ。俺とお前、どっちが強いか決めようぜ。それを無限に繰り返し天辺を目指す。

 時に、切磋琢磨、高め合い。俺の求める強さには他者が必要だった。

 

 が、今日オレは、オレと違う種類の強さを持つ男を見つけた。

 

 ユータと名乗るその男を見つけたのは、広大な海の中。甲板で暗黒大陸に思いを馳せている時だった。

 

「ネテロ、大きな波が来ているわ! 何かに掴まって!」

 

 リンネからそんな言葉を聞いて、手近な手すりに掴まり衝撃に耐える。

 何事か、と波の来た方向を見る。大きな、それは大きな水飛沫が上がっていた。絶え間なく上がる水飛沫の隙間に、何やら見えるのは細長い影。

 

「ありゃあ……生き物か?」

「竜……だな、ありゃ。そうとしか言えねぇ」

 

 ジグの言う通り、海蛇のような竜が暴れ回っているようだ。ここはまだメビウス湖の水域のはずだが、あれだけの怪物……暗黒大陸からまろび出たか?

 このまま進路に居座られちゃあマズい。かといって、水中戦は分が悪い。

 

 どうしたものかね、と考えていると、件の竜の様子がおかしいことに気付く。

 

「なんだぁ……? 苦しんでるのか?」

 

 海竜は壮絶な悲鳴をあげているかのようだ。

 よくよく目を()()()()見れば、竜と比べて随分と小さな、しかし竜よりも巨大な存在感を持った者が、その身の丈ほどの大剣を振り回していた。

 

 すぐに両者は再び水中に潜る。

 

「馬鹿な、鎧で水中戦だと? 自殺行為だ」

 

 などと言うが、不思議とオレは自らの口から出た言葉が的外れであると感じていた。

 やがて答え合わせをするように、ぷかと浮いてきたのは先の海竜。動く様子はない。仕留められている。

 次いで鎧を着た者が、なんでもないかのように顔を出す。

 

 その姿に打ち震える。

 そうか……武の道だけじゃあねえ。この大自然に身一つで立ち向かう様。この強さは、オレたちより寧ろ——

 

「ネテロ、遭難者がいたの。こっちで引き揚げたけど……ネテロ?」

「おう、悪い悪い」

 

 遭難者は、どうやらあの鎧のお仲間のようだった。

 丁度良い。おまえの強さをもっと魅せてくれ。

 オレは仲間を探している様子の鎧の男に、大きな声で呼びかけた。

 

「おーい! ニイちゃん、大丈夫かー!!」





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