モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
第50話
「ユータ様、面会の希望者が来ております。アポイントメントがありませんが」
すっかり俺の秘書と化したダウナーおねーさんから、俺に会いに来た人がいると伝えられる。
武器の手入れを中断する。
「え、なんて人?」
「パリストン様という……ユータ様、ここは251階です。窓から出ようとしないでください」
逃げたくもなる。一体何の用だ、アイツ……嫌な予感しかしない。
あとこの部屋の窓、251階だけありそもそも開閉できるタイプじゃなかったわ……
「やだ。追い返して」
「かしこまりました」
「酷いなーユータさん。せっかく遊びに来たのに」
「なんで居んだテメー!!!」
どっから涌きやがった!
パリストンはあはは、と笑って誤魔化す。いや不法侵入!!
「ハァ……まあ、もう入って来ちゃったならいいや。茶でも飲む?」
「ユータさんの、良い意味で軽いところ美点ですよね」
「いやキモいわ! フツーに答えろ、茶はどーすんだよ!」
「では紅茶で」
おねーさんを下がらせ、使用人に紅茶を用意させながらパリストンに向き合う。
煽ったり褒めたり、相変わらず何考えているか分かんねーヤツだな……
「で、何の用?」
「ユータさん、暗黒大陸に興味がお有りで?」
「なんで知ってんの……」
俺は、黒龍が居るのは暗黒大陸だろうとアタリを付けていた。俺が気が付いたら暗黒大陸にいたからだ。別の次元に行ってたらお手上げなので、それは考えないことにする。
それに、黒龍を狩るついでに、人類領域に生息するより遥かに強いモンスターたちを狩ることもできる。
だから暗黒大陸については確かに興味津々だったけど、なんでコイツ嗅ぎつけてんのぉ……?
「ダメですよユータさん、ハンターなんですからネットで検索なんかしちゃ。ハンター証で電脳ページを捲れるのはそうですが、大した情報載ってなかったでしょ?」
「てめー、ハンター証から履歴漁ったんか!? 職権濫用だろ!!!」
良かったよ、エッチなサイトとか覗いてなくて!
「そこはボク、協会の副会長ですから! ユータさんに星を与えるための素行調査ですよ!」
「いらねーって言ってんだろ!」
「あはは」
なにわろ。
「で? 俺が暗黒大陸に行こうがパリストンには関係ねーでしょ?」
「ユータさんは知らないでしょうけど、暗黒大陸への渡航にはV5直轄運営の外来渡航許可庁への申請が必要になるんですよ」
「し、知ってるよ」
調べた時、電脳ページに書いてあったのは薄っすら覚えている。むずかしーから読み飛ばしちゃったけど……
「へえ、よく調べられて偉いですね!」
「ブッ飛ばすぞ!!」
「じゃあこれは知ってますか? 申請を行うためには、V5各国の外務省で申請申し込み手続きをする必要があるんですよ。
「へ、へぇ……」
「そこまでしても申請が通る保証もない。通ったとしても『調査』に参加できるのは何年後かも分からず」
「あ、あー分かってる分かってる。ダイジョーブ」
頭がフットーしちゃうよぉ。
なんだよ申請のための申請って。めんどくせ……もう泳いで行こうかな……
「ボクに付いてくれば、その辺の手間はスキップできますよ?」
「行きまぁす!!!」
こうして俺はパリストンの罠にかかった。
なんか協専?のハンターとやらの溜まり場に連れてこられ、色んなヤツと顔合わせさせられる。コイツらも暗黒大陸行きを目論んでおり、パリストンはナンバー2で、トップは別にいるらしい。
誰なのか聞いたが、パリストンは教えてくれなかった。協専ハンターたちもだ。
「ユータは天空闘技場のチャンピオンか。もちろん強いんだろうが、暗黒大陸で格闘術が役に立つのか?」
「安心してください。ユータさんの本業はモンスターハントですから。それに放出系ですし、ゴレムさんに載せたら最強じゃないかな?」
ゴレムは、
具現化されたパワードスーツみたいなゴレムの装甲にはロマンを感じる。
「カッチョいいな! 乗ってみたい乗ってみたい」
『試し撃ちもしてみたいし、乗ってみるか?』
「あはは、アジトを更地にしたいならどうぞご自由に」
傭兵隊長のミュヘルに全力で止められた。
パリストンめ、余計なことばっか言いやがって……空に向けて撃つとか、やりようはあるだろ!?
というわけで、しばらく協専連中と遊んでいた。主にマリカとかマリパとかで。ペコテロもゲーム好きなようで、だいぶ仲良くなれた。あとはウサメーンがイボクリというオーラを使った手遊びを教えてくれたので、それを極めたりもしていた。
変化系有利な遊びだよな。放出系なのに、俺は割と得意だった。まー、できても意味なさそうだけど……
そんなある日のこと。
「んお?」
「どーした、ユータ?」
「わり、ちょっと出てくる」
頭の中に『
「キルアからか。しかも、緊急クエスト?」
俺の能力における緊急クエストは、文字通り緊急性の高い依頼を指す。依頼人のオーラの揺らぎによって判定されているようだ。詳しい仕組みは俺自身にも分からないけど。
狩猟対象は『猫人型のキメラアント』
キメラアント……ああ、他の生物を食って、子供がその特徴を得る蟻だっけ。名前を知ったのは後からだが、実物は暗黒大陸で見たことがある。
猫人型かあ。ドラちゃんみたいな感じなのかな……いや、アレはネコ型ロボットか。
まあいいや、とりあえず行ってみるか。
能力を発動し、対象のいるエリアに飛ぶ。転送地点はランダムだが、今回は運の良いことに依頼者であるキルアの目の前だった。
キルアはだいぶ憔悴していた。隣には気絶しているゴンがいる。敵にやられたのか?
「キルア? 大丈……」
「ユータ、頼む! カイトを……カイトを助けてくれ!」
カイト? 誰だ?
が、キルアの鬼気迫る様子から、今が一秒一刻を争う状態であることはすぐに分かったので、余計な質問はやめる。
「分かった。任せとけ」
ぽん、と涙を流すキルアの頭に手を置き、俺は『円』を展開する。
数百メートルほど先に、対峙する二人の人影を見つける。人影、とは言うが、片方は猫耳や尻尾が生えているのが分かった。
それと、相当強力な念の使い手であることも。
「あいつか」
ターゲットと対峙している、隻腕の人間が恐らく『カイト』だろう。円で触れた感じ、猫型キメラアントとの力量差はかなりのもの。
とっとと行かないと殺されちゃうかもな。
「待ってな、キルア。すぐ終わるから」
俺は両足に凝でオーラを集中させ、地面を蹴った。
一息に、対峙する二名のところに辿り着く。一人は、猫耳の……男? 女? 人間に近く見えるが、関節部分や大腿部分を見るに、人ではない。
もう一人は、帽子を被った、片腕、長身痩躯の男。手にはステッキのような武器。念能力か?
二人とも俺の円に触れたからか、こちらを強く警戒しているようだ。
俺は帽子の男に話しかける。
「やあ、初めまして。あんたがカイトか?」
「あ、ああ」
「俺はユータ。キルアの友達だ」
「お前が……キルアの言うことは本当だったか」
「コイツは俺がやる。下がっててくれ」
ぐる、と今度は猫の方に目を向ける。
「人間に近い姿だな。喋れるのか?」
「お前は……何だ?」
汗を浮かべながら、キメラアントは問いかける。
その姿は、人とほとんど変わらない。
こんなデカくなったキメラアントは見たことがない。また人語を解するものも。
こいつらの女王、もしかしなくても人間を食ってるな?
「モンスターハンターだ。お前を狩りにきた」
なら、放置してはおけない。
祝50話!
たくさんの閲覧・お気に入り・感想・評価・ここすき・誤字報告ありがとうございます。
ここまで続けられると思っていませんでしたが、間違いなく読者の皆さんの応援のおかげでございます。ありがとう!!
頑張って完結させるぞ!!!