モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第53話

  NGLの前で、ネテロとモラウさんというハンターと合流する。

 

「ネテロ! 久しぶり、ハンター試験以来か?」

「おお、久しぶり。オヌシはいつでも元気じゃの。なんでも、もう蟻とやり合ったとか」

「おー、強かったぜ。ネテロとトントンくらいじゃねーかな?」

「フォフォ。それは良い。対等な敵と戦うなぞいつぶりかの」

 

 穏やかに笑うが、ネテロの目が鋭くなる。

 武人気質だものな……

 

「アンタがユータさんか。オレはモラウってもんだ、よろしく頼むぜ」

「モラウさんか。ネテロが連れてきてんだから腕前は信用できるな、こちらこそよろしく」

「ハッハッハ! 会長を呼び捨てでオレをさん付けすんなよ! モラウで良いぜ」

 

 確かに、二人からすれば違和感があるのかも。遠慮なく呼び捨てさせてもらうことになった。

 

「あ、ノヴ。早速で悪いんだけど、一個頼まれてくんない」

「なんでしょう?」

「げん……俺の弟子にカイトの腕くっ付けられる能力のヤツがいてさ。もう切られてからだいぶ時間経ってるからできるかどうかは怪しいけど、そいつも俺みたいに連れてきてほしいんだよね」

 

 というわけで、ノヴにマチを連れてきてもらう。いやー、便利すぎるなこの人の能力。入り口さえ作っちゃえばワープし放題かよ。

 

「この人の腕を付ければいいの?」

「おう。頼む」

「まあいいけど。腕持ってて」

「はいよ。だいぶ時間経ってるけど、くっ付きそう?」

「オーラで止血してたみたいだし、大丈夫」

 

 カイトは失血死しないため、オーラで腕を保護していたようだ。それが良い方向に転がったようだな。

 

 カイトの腕を、マチが『念糸縫合』でくっ付ける。

 

「おお……ありがとう。まさか腕まで戻るとは。望外の結果だ」

「いいからホラ、報酬を寄越しな。5000万」

「それで良いのか? 安すぎるな……ユータの紹介だからと、遠慮する必要はないぞ」

「いいんだよ。入金、早く」

 

 怪訝そうにカイトはマチの口座に入金するが、マチは難しそうな顔をしている。

 多分「5000万って安いの……?」と思っているんだろう。分かる、俺も金銭感覚がおかしくなってるからな。

 でも、正直俺もマチほどの技術で5000万はフツーに安いと思う。

 

「マチ、そのままゴンとキルア、カイトを連れて近場の街まで行ってくれるか? そこにモラウとノヴの弟子がいるらしいからさ」

「良いけど。ユータ様はどうするの?」

「蟻を狩る」

「……そ。見たかったな、久々の本気のユータ様」

「ごめーん」

「良いよ。キルアたちに話聞かせてもらうから」

 

 ということで、マチがキルアたちを連れて行ってくれた。

 

「さて、俺らも行きますか」

 

 

 

 

 仕事は簡単だ。

 俺とモラウで索敵し、ノヴの能力で移動し、俺とネテロで狩る。

 

 索敵は、人間の数が減ったNGLでは極めて簡単だった。少なくとも外に出ている兵隊アリは俺の『円』ですぐに居場所を特定できたからだ。

 『円』ではカバーし切れない洞窟やら建物内やらはモラウの『紫煙拳(ディープパープル)』で索敵できるし、これも便利能力だな。

 

「向こう1キロほど先に2隊。逆方向に2隊。それ以外はいないな」

「オマエさんを警戒してるんじゃろうな。円で触れたし、早くせんと逃げられそうじゃ。巣の方にも向かいたいが、先に駆除しておくかの。ユータ一人、ワシら三人で分かれてヤるぞ」

「オーケー」

 

 早速、円で感知した蟻の兵隊たちのところに移動する。

 

 やはりあの猫人型はかなり上澄みだったようで、立ちはだかる兵隊アリたちの実力はヤツに比べると大きく劣っていた。

 

 たまに念を使うヤツもいたが、まるでお粗末だった。まともに能力も開発できておらず、ただ身体能力が僅かに向上しただけか、無駄だらけの能力ばかり。

 

 チーターみたいな蟻はまあまあ速かったが、猫人型ほどじゃない。

 

「ネテロ? こっちは終わった」

『手際が良いのぉ。この調子でどんどん削りながら巣を目指すか。王が産まれるまであと二ヶ月と専門家は見ている。女王も身重でそう遠くへは逃げられんだろうしの』

「ノヴみたいな能力なんてそうそう発現しないだろうしな」

 

 瞬間移動能力の開発はかなりムズいらしいし。

 

「まあ、人の被害を抑えつつじっくり行くか」

 

 途中、明らかに捨て駒と分かるような蟻たちから何度か急襲を受け足止めをくらいつつも、ガンガン進んでいく。

 蟻の巣が肉眼で捉えられる地点に到着する頃には、それなりの数の蟻を削ることができた。

 

 が、少し計算が狂う。

 

「これ、もう王が産まれてるんじゃね?」

 

 俺がそう思ったのは、巣の周りを覆う膨大なオーラを見てのことだ。あの猫人型を以てすら比較にならないような莫大なオーラ。円でもないよな、アレ。

 

「ユータ? ……笑ってるのか?」

「ん? おお、ごめんごめん。不謹慎だな」

 

 俺が口元を隠した瞬間、それは来た。

 閃光が俺たちの下まで届く。これが特殊な『円』であることを理解した俺は、すぐに追撃が来ることを予期した。

 

「おっと」

 

 モラウの首元に突き付けられた手刀を掴む。

 1匹の蟻が、目の前まで接近してきていた。これだけの距離を一息で詰めるとは、とんでもなく速いな。過去最速だ。

 

「挨拶がまだ済んでないぞ、蟻の王。挨拶は大事だ。だろ?」

「……成程。そなたが人の王か」

 

 違うけど……

 ノヴはすぐに俺の邪魔になると判断したのか、ネテロとモラウを連れて能力で退避した。有能な男だ。

 

「俺はユータ。モンスターハンターだ」

「余はメルエム。蟻の王だ」

「お前を狩る」

「そなたを喰らう」

 

 俺とメルエムの戦いは、そうして始まった。

 

 今回はじっくり準備期間があったので、防具もしっかり着用している。猫人型の時とは比にならない戦力だ。

 が、それを以てしてなお、メルエムは決して楽な相手ではないと思える。それだけ、オーラの量も質も桁違いだ。

 

 動きも速いことだし、俺が選択したのはマム・タロト素材の双剣。

 更に『周』で切れ味を強化し、メルエムに斬りかかる。

 メルエムは軽い身のこなしでそれを全て躱し、俺の腹に蹴りを一発くれる。衝撃で数メートル後退させられる。いってぇ……

 やっぱ人型だと攻撃があてづれーな。それを差し引いても、メルエムの身のこなしは大したものだけど。

 

「……余に攻撃を避けさせるとは」

「全部躱してカウンターかよ。たまんねぇな」

 

 やばいな……

 笑みが漏れる。

 

「そなた、笑っているな?」

「……いや、ふざけているわけじゃないよ?」

「余裕を持っているのは事実であろう。今の一蹴りで感じ取った。認め難いことだが、そなたの地力は余より上だ」

「降参するか?」

「冗談はよせ。余は種の頂点……余が屈することは即ち、蟻という種が屈することに等しい。到底認められぬわ」

 

 それに、と今度はメルエムが笑う。

 

「地力で優るだけで、もう勝ったつもりか?」

 

 彼はすう、と息を吸い込んだ。次の瞬間。

 メルエムの存在が消えた。

 

「!?」

 

 あり得ない。瞬きすらしていない一瞬で、目の前からメルエムが消えた。

 俺やノヴのような瞬間移動? それにしては全く予備動作もない。

 なら、メル・ゼナのような身体能力に裏打ちされた高速移動か? 名前もちょっと似てるし……いや、なら俺の目に捉えられないはずはない。

 

「馬鹿な……消えた……?」

 

 メルエムの行方が分からないまま辺りを見回していると、背中に衝撃。

 

「がはっ!」

 

 重い攻撃を貰う。

 『堅』はしていたが、凝によるガードも間に合わないまま、モロに食らった。骨に響く。ダメージは大きい。防具を着てなかったら危なかった。

 

「ふう」

 

 殴られた方に、メルエムが姿を見せる。

 いきなり消えて、いきなり現れた。なんだ、これは。念能力か?

 

 オオナズチのような姿が消える能力……?

 それにしては気配すら感じなかった。

 

「不可思議、という顔だな」

「まあな。でも、念能力者の戦闘ってそんなもんだろ」

「ふ、剛気なことだ。……普通なら先の一撃で死んでいるはずだが。そなたは本当に人間か?」

「当たり前だろ。それ以外の何に見える」

「鎧の内は化生の類かと思ったが、違ったようだな。どちらにせよ、最上の敵にして最上の馳走に違いはない」

 

 すう、と息を吸い込んで、メルエムの存在が再び消える。

 この能力やべーな……




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このメルエム……強いッッ
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