モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
第56話
メルエムはめちゃくちゃ強かった。
人型のモンスターといえば、キングチャチャブーやらレーシェンやらが思い浮かぶが、あいつらよりも更に人に近い存在だった。
ガチの念能力者同士の対人戦ってあんな感じなのかな。ちょっと興味が湧くけど、人間相手にガチで念弾を放ったり武器を振ったりなんかできるわけないからな……とても楽しませてもらった。
さて、キメラアントも討伐したことだ。カキンでの協専ハンターたちとの顔合わせも済んだし、その直前にはバトルオリンピアの防衛成功したし、やることはあまりない。
まあ今後のことは後で考えりゃいいや。飯メシ……なんてことを俺は思っていた。
蟻の王の討伐をネテロたちに報告し、流星街に帰ってしばらく経った後のこと。
「ゆ、ユータ様大変です! ネテロ会長が!」
「おん?」
神殿で現人神としていつものように祭り上げられていたところ、信者の一人が慌てて駆け込んでくる。
「ネテロがどーかしたん?」
「か、会長職を辞すると……!」
「え?」
ええ!?
俺はすぐにネテロに電話したが、出ない。
なら副会長のパリストン……には死んでも電話したくない。
と思ってたら、ケータイが振動する。うわ、向こうからかけて来やがった! 無視無視。
リンネに電話してみると、何やら『力不足を痛感したから修業の旅に出る。探さないでね☆』とか抜かしていたとのこと。
いやお茶目ジジイか!
今になって山籠りみたいな真似しやがって……50くらいの時にやったって言ってたじゃん……?
しかも、話には続きがあった。
会長の席が空いたので、ハンター全員で次の会長を選挙して決めろと言うのだ。
へぇー。会長選ねえ。まあ順当にパリストンで良いんでねーの。あいつ副会長だし。
いつ会長選が行われるのかは気になるところだったが、操作系能力で操作された鳩が書類を届けに来た。
それを受けて、ハンターたちも本部ビルに集まり、投票を行うことになる。ゴンたちにも会えそうだ。
ハンター協会会員数の662名中、投票率95パーセント以上でなければ再選挙となるらしい。ちゃんと投票しないとな。
俺は流星街に帰ってきたシャルと一緒に投票に行くことにした。
「突然だよね、ネテロ会長が辞任するなんて。何かあったのかな」
「うーん。こないだの蟻討伐で会った時は元気だったんだけどなー」
「……こないだ? 会った? もしかして、ユータ様が原因なんじゃないの?」
「えー? ……いや、思い当たることはないなー」
もしかして、獲物を独り占めしたのを怒ったとか……? それは悪かったけど……メルエムはちょっとレベチだったし……
いやいや、それだけで会長辞めるか?
うん、やっぱ俺はなんも関係ないな。単なるネテロの心境の変化だろう。
「シャルは誰に入れる?」
「ユータ様で」
「なんでだよ!! そこは普通にパリストンとか十二支んとかにしとこうぜ!?」
俺、選ばれても会長なんてできる自信ないよ!!
ただでさえ流星街の現人神だの天空闘技場のチャンピオンだのでいっぱいいっぱいだってのに……!
「俺はパリストンに入れるから!」
「その人って粘着してくるって愚痴ってた人だよね? 会長になったらもっと面倒になるんじゃない?」
「そーなんだけどさ、あいつが選挙負けるとは思えないんだよなー」
だから、別にパリストンに入れようが入れまいが変わらない。寧ろとっとと終わった方が拘束される時間は少なくて済む。
「ユータ様も大変だね。消そうか?」
「物騒なこと言うのやめてね」
「あはは」
笑って誤魔化してるけど、目が笑ってなくないか……?
一応、絶対やめなと釘を差しておく。
そんなやり取りをしながら、ハンター協会本部ビルに到着。一階ロビーで投票は行われていた。
「おー、凄い行列」
プロハンターって700人弱もいるんだよな、と思ったけど、ちらほら友達や顔見知りがいる。
「クラピーにレオリオ。久しぶり」
「ユータか。ヨークシンでは世話になったな」
「ぷっ。クラピカお前、クラピーなんて呼ばれてんのかよ。可愛い渾名だなオイ」
「……ユータ、その渾名だが」
「レオリオー、勉強は順調なのかよ医大生」
「ああ? バッチリだっての。念覚えながらでもガッツリ勉強したからな。オーラが見えるお医者様よ」
「医療系の能力は貴重そうだな……なんかあったら頼むわ。もちろん金は幾らでも出すぜ」
レオリオは病気の子供を無償で治療して「金なんていらねェ」って言ってやる超カッコいいお医者さんを目指してるからな。そのための資金になるなら、多少医療費が高かろうが惜しくはない。
「いや、お前が怪我や病気するわけねーだろ」
「そんなん分かんないだろ!」
「それは確かに想像し難いな」
「この人が風邪ひいてるところ見たことないよ、オレ」
「お、そっちのアンタはユータのツレか?」
「うん。シャルナークです、よろしく。ユータ様は……師匠だよ」
そのまま、シャルとクラピー、レオリオと話し込む。
ハンターの知人も増えたし、挨拶回りがちょっと大変かもだ。でも、久々に会えるのは嬉しい。
「あ! 皆!」
駆け寄ってきたのは、ゴンとキルアだ。後ろには片腕をあげるカイトもいる。片腕、と表現したが、もちろんマチに付けてもらった方の腕も万全だ。
「よっ、ゴン」
「キルアも! 久しぶり、ヨークシン以来かな」
ゴンたちが再会の話に花を咲かせる中、俺は気になったことをカイトに聞いてみる。
「カイト。この選挙って全ハンターが投票するわけだろ? ジンも来てんの?」
「いや、来ないだろうな。ジンさんはバックれ癖があるからな……不謹慎な例えだが、会長が亡くなりでもしない限りは現れないだろう」
「さすがにその辺は弁えてんのね……」
「ゴンもそれを期待しているところがあったようだが、やはり空振りだったな」
ゴンの目的として、ジンと会うことがあるからな。一方、ジンは自分を父親失格だと思ってるから、ゴンに会いたくないらしい。
全ハンターが投票に来ると分かっているなら、そりゃ来ないか。
しかし、ゴンもこうもあからさまに避けられては可哀想だよな……
…………あ。
「良いこと思い付いた」
「……大丈夫か? ものすごく悪い顔をしているぞ……」
俺は皆に断って一旦その場を離れると、協会本部ビルを副会長室まで上がる。
「パーリスちゃーん」
「わ、なんですかキッショいなあ!」
「たまに優しくしてやったらこれだよ!!」
パリストンは本気で気持ち悪そうに腕を摩っている。き、傷付くよ?
「なあなあ。ちょっとイタズラしようと思うんだけどさ」
「ジンさんになら投票しませんよ?」
「エスパーかテメー!?」
なんで!? なんでバレてんの!?
俺がジンに投票して会長にしてやればゴンに会わざるを得ないだろうし、イタズラにもなって面白いと思ったことが!
こいつまさか心を読む能力か……!?
「あはは、違いますよぉ。ユータさん程度の頭で弾き出す謀略なんて高が知れてるってだけです」
「マジでぶっ飛ばすよぉ!? っていうかやっぱ心読んでんじゃん!?」
「いやいや、心を読まれてるのか、なんて安直に考えるんじゃないかと思っただけですよ! まさか当たっているとは!」
ほ、ほんとムカつくヤツだこいつ……!
「なんでジンに入れたくないんだよ」
「ボクが自分に投票するのがそんなにおかしいですか?」
「え? お前会長になりたかったの?」
ピク、とパリストンの動きが止まる。
「ネテロに構ってほしかっただけで別に会長になりたいわけじゃないと思ってたわ。まー、ネテロが降りた以上、次の会長はお前だとは考えてたけど」
「……フフフ。やっぱり面白いなぁ、アナタは…………」
な、なんだ? なんで急に笑い出した?
やっぱこいつ怖い。
結局、パリストンは自分に入れるつもりのようで、協力はしてくれなかった。
でもアタイ、諦めへん。面白そうだし、ジンを会長に担ぎ上げてゴンに会わせてやるぜ!
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