モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第6話

 本来、暗黒大陸には案内人がいるそうだ。

 門番が召喚する亜人種ってことだけど、亜人種……つまり竜人族なのかな。

 

 けど、今回ネテロたちはお忍びで、暗黒大陸がどんなものか見にきた観光者らしい。観光ってツラかよとは思ったが、深く突っ込むと藪蛇になりそうだ。まあ俺の方としても、案内するくらいだったら全然構わない。知ってる範疇なら。

 代わりに、帰り道には俺とベンも連れてってくれ、と伝えると呆気なくオーケーがもらえた。ベンについて詳しく聞かれなかったのはありがたい。

 こうして俺たちは暗黒大陸へ出戻りする羽目になっている。

 

 ネテロたちは面白いヤツらだ。

 リンネとはあまり話さないからよく分からないが、ジグは暗殺者の家系らしい。ゾルディック家だってよ。家名めちゃくちゃカッケェ。

 暗殺者だけあって、歩く時に音が全くしない。猫みたいなヤツだ。

 同室のベンと意気投合し、ベンの作るナイフをいたく気に入っているらしい。分かる。

 

 ネテロは武道家らしく、日課として正拳突きをしているのだがコレがスゲェ。まず1日1万回やってるらしい。数からしてとんでもない。

 普通だったら多分何時間もかかるだろうに、ネテロはこれを1時間もしないで終える。1秒に何発も正拳突きを放っているのだ。音が遅れてパパパパパパッ! とネズミ花火のように炸裂していてビックリした。ソニックブーム出てない??

 しかも何がヤバいって、ただ正拳突きをしているんじゃないんだ。武への感謝ということで、祈りを捧げた上で正拳突きを撃っている。いくらなんでも見間違いだと思ったが、何度見ても祈ってら。

 速すぎんだろ……バケモンだバケモン。

 

「おっ、なんだ見てたのかよユータ。一緒にやるか?」

「いやいや、俺がその数やったら何時間あっても終わんないって。祈ってから正拳突きでその速さってどうなってんだよ」

「いやあ、このやり方に慣れちまってな。多分、祈らないで放つ正拳の方が遅いぜ」

「??????????????」

 

 何言ってんだコイツ?

 

「何言ってんだコイツ?」

「出てる出てる。心の声出てるぞ」

「いや、意味わかんないし……普通ただ正拳突きする方が速くね?」

「言われてみりゃ普通はそうなんだがなぁ」

 

 ぽりぽりと照れ臭そうに顎をかくネテロ。

 ……よく分からんが、自分で口にしてなんとなく気付いた。多分、普通に鍛えたり効率的に考えてたら、コレは身につかないんだな。そういうのを度外視して、もんのすげえ時間と労力を築き上げた結果身に付いた代物なんだろう。

 ぜってぇー真似できねぇ。でも、ネテロの正拳突きってなんか、ロマンを感じる。こういう、武の極みみたいなのって憧れるよね……

 

「一万回は無理だけど、ちょっとだけやってみようかな……」

 

 そう、別に損するわけじゃないしね。

 俺もネテロに見られながら、見様見真似で何回か拳を突き出してみた。

 

「どう?」

「おう。そうだな……一言で言うと」

「うんうん」

「センスねぇ〜」

「普通にショック!!」

 

 いや分かってたけどね。

 

「いや、格闘センスが全くないわけじゃないぜ。並程度ってとこか。しかしなぁ……オマエさんの身体能力と比べると見合わないというか、追いついてないというか……」

 

 どうやら俺のフィジカルが強すぎて、センスが見劣りするらしい。ヒデぇ話だ。

 ふん。いいもん。俺は武道家じゃないし。ハンターだし。武器と防具とアイテムがあればそれでいいし……!

 

 しかし、モンハンの世界にも武道ってあるんだな。対人戦って概念は無いものだと思っていたけど、やっぱりそういうわけにはいかないのか。モンスターとの生存競争が最優先でも、悪人への対応とかも必要だろうし。

 対人戦……絶対☆裏切りヌルヌル……? うっ頭が……

 

「念能力もまだ素人みたいだしな。纏が雑だぜ」

「あん?」

 

 ネン能力? テン?

 

「何々、何の話してんの?」

「だから、纏だよ。オマエさん、オーラが垂れ流しだぜ。もったいねえ」

「え……いきなりスピリチュアルな話するじゃん……」

「違うわ!! まさか知らねえのか?」

 

 ネテロは念能力とやらについて教えてくれた。

 へぇ……体から立ち昇ってるこの湯気みたいなのがねぇ……

 狩技とか鉄蟲糸技とかあったが、ハンター自身をここまでカスタマイズできる要素もあるなんてな。すげぇな……モンハンの新作!!

 ネテロ曰く、俺のオーラ量はかなり多いらしい。

 

「もう水見式も出来るだろう。やってみるか」

「水見式?」

「念能力には系統があり、得手不得手がある。その傾向を知るための簡易的な判別法だ」

 

 コップに水を注ぎ、そこにオーラを送り込むことで結果が出るらしい。じゃあ水とコップが必要なのか。

 俺はアイテムBOXから水差しとコップ(両方ベン製作)を取り出す。

 

「じゃあやるか」

「待て待て待て」

 

 何故か止められた。

 どうやら、この念じたら出てくるアイテムBOXは仕様ではなく俺の念能力とやらだったらしい。

 えぇ……スキルツリー犠牲にしないとアイテムBOX使えないとか、めちゃくちゃ不便じゃん……どーなってんだよ……

 まあ、念じたら出てくるし、持ち運ぶ必要もないし、イーブンとしておこう。

 

「見たところ、放出か特質系に類する能力のようだが……まあ試しにやってみな」

 

 ネテロに促され、水見式をやってみる。手をコップに翳し、よく分からんけどオーラとやらを送り込むイメージ。

 ふぐぐぐぐ……こんな感じでいいのか!?

 

「……なんも変わんなくね?」

 

 やっぱいきなりオーラを送れとか言われても無理だよぉ!

 と思ったら、ネテロはコップをひっくり返し、中の水を床にぶちまけた。

 

「おいおい、何すんだ……あれ?」

 

 よく見ると、これただの水じゃないな、なんかうっすら赤い。コップが透明のガラスじゃなくて土器だから気付かなかった。

 

「色が変わるのは放出系の特徴だ。やっぱそのアイテムBOXは放出系能力だったか」

「ほう……ホーシュツケー」

「オーラを飛ばしたり、体から離れた状態で留めるのが得意な系統だ」

 

 ふーむ。よく分からんが、モンスターのブレスみたいなことができる……ってコト!?

 ワクワクが止まらねえ。






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感想返信が追いついてないですが、楽しいコメントばかりでめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます。
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