モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
俺、キルア、ゴンの三人でゾルディック家に向かうことになった。シャルには旅団のメンバーを集めてもらうそうだ。
そんな戦争に行くんじゃないんだから、と思ったが、キルアの顔はガチだ。
いざとなれば俺が仲裁しないと……
「オレの妹……アルカは、家に囚われてるんだ。持っている能力が凄すぎて」
「凄すぎる能力?」
「ああ。願ったことを何でも叶えてくれる」
「願ったことを? 何でも?」
「そうだ」
「限界は?」
「多分ない」
……やっべ〜。
マジ? どんな制約にすればそんな能力作れんだよ。
「もちろん対価はあるけどな。ともかく、その能力のせいでほぼ幽閉状態なんだよ」
「それは、能力をコントロールできてないってことか?」
「……まあ、その側面もなくはない」
いや、キルアには悪いがそれは簡単には出しちゃいかんヤツすぎる!!
悪どいヤツの手に渡りでもしたら大変だ。アルカちゃん本人のためにもならないだろう。願いを叶えるためだけに利用される……ロクな目に遭わなそうだ。
シルバくんの方にもしっかり話聞いとかないとな……大人として!
「キルアはどうしてアルカちゃんを助けたいの?」
「それは……アルカだって外に出たり、普通に遊んだりしたいだろ」
「んー、そっかぁ」
一応、アルカちゃんの意思を聞いてからにした方が良いと思うけど……今のキルアの言い方だと、アルカちゃんが外に出たがっていると確認したわけでもなさそうだし。
まー、もちろんアルカちゃんが外に出たいと言うならやりようはある。キルアの話が本当ならね。
「なーゴン。家族との交渉でキルアがキレそうになったら気を逸らしてくんねー? 家族の仲悪くなんのって良くねーと思うんだよ」
「キルアが? ……うん、分かった。大丈夫、オレがキレたらキルアは逆に冷静になるはずだから!」
「ゴン怖い!」
この子自分がキレることで場を収めようとしてるじゃん……しかもそれでキルアが止まるって分かってやろうとしてるのが余計にね。
ゴンって意外と計算して無茶してるタイプっぽいんだよな……親父譲りか。
なんてことを話しながらパドキアに着くと、前回同様ゴトーくんが迎えに来てくれた。
「あ、ゴトーさん」
「お久しぶりですゴン君。それにユータ様」
「おひさ。今回も送迎してくれんの?」
「はい。それが私どもの役目ですから」
ゴトーくんに運ばれるまま、ゾルディック邸を目指す。途中、車の中でゴトーくんはコイン遊びを披露してくれた。弾いたコインがどちらの手に入っているかを当てる遊びらしい。
ゴンは過去にやったことがあるそうだ。俺もチャレンジしてみたが、なかなか楽しい遊びだった。
さて、ゾルディック家に辿り着き、ミケを撫で回して遊んでやったりしつつ……邸宅に入る。
前回同様、シルバくんが歓迎してくれたが、キルアはアルカちゃんのことを話題に出した。
「親父。オレはアルカを自由にしてやりたい」
「……キル。家族以外の人間がいる前でその話はするなと言ったはずだ」
親愛はあっても、家族とそうでない人間の区別はキチンと付けている。メリハリは大事だ。
「言っただろ。そういう柵からも自由にしてやりたいんだ」
「ユータ様、ゴン君。失礼しました、少し別室で休んでいていただいても?」
シルバくんに促され、俺とゴンは退室する。
家族内の話だ。他所様に聞かれたくない話もあるわな。
「キルア、大丈夫かな」
「まー、能力が制御できないなら外に出さないのは正直妥当だと思うけどね。強すぎる力は、制御できないと身を滅ぼすってもんだ」
「ユータもたまに制御できてないよね。ドッジボールの時とか」
「言うようになったじゃねーか……」
ゴンに痛いところを突かれてしまったので、そうツッコんで誤魔化しておく。
客室で茶を飲んでいると、中に入ってくる者がいた。
「ゴン、ユータ、来てんなら言えよ」
「あ、ミルキ! グリードアイランドは良いの?」
「ずっとログインしてるわけじゃねえよ。外出が増えたせいで仕事も前より振られるようになったんだ。お前らのせいだぞ」
「健康的でいいじゃーん」
ミルキの分も執事に用意してもらい、三人で茶を頂く。ミルキはお菓子をバリボリと食っていた。また太るぞ。
「で、何の用?」
「キルアがさー、アルカちゃんを連れ出したいんだって」
「はあ? キルが? つーかあいつイル兄に……おっと」
「あー、頭ん中の針は抜いたから気にしなくていいよ」
「なんだ、分かってんのか。そっか、イル兄の針抜いたんだな。で、思い出したわけか……」
ミルキはなんだか難しそうに腕を組んでいる。
「悪いけどオレはパパ派だから」
「まー、ヤバい能力の制御ができないのに連れ出すのはまずいよな」
「だろ? それにパパはあいつの力をめちゃくちゃ警戒してんだよ。まあ、その一方でコントロールしたいとも考えてはいるみたいなんだけど」
「おー、さすがシルバくん野心家だね」
まあ、なんでも願いが叶うとなれば制御下に置きたくもなるか。
なら、キルアの方の交渉は難航しそうだな……
「よっし。ミルキ、ゴン。キルアとシルバくんとこに突撃すんぞ」
「ええ!? ヤダよオレが怒られんじゃん」
「オッケー。
「ゴンおまえぇ!」
というわけで、ミルキの首根っこを掴みながら二人のいる部屋に突撃、バーン! とドアを開く。二人とも驚いた顔で固まっている。
「お二人とも議論が盛り上がってるようだけど、まずはアルカちゃんの意思を聞くのが大事なんじゃないかい?」
「ユータ殿。しかし……」
「まあまあ。シルバくんさえ良ければなんだけどさ、考えがあんだよね」
ぼそぼそ、と耳打ちすると、シルバくんは驚きで目を見開き、また腕を組んで考え始める。まー、彼からしたら難しいよね。ゆっくり考えてくれりゃいいさ。
「アルカちゃんが外に出たくないのに無理やり出してもしょうがないし、まずは話聞こうぜキルア」
「……分かった」
ということで、キルアとシルバくんはアルカの下へ。俺はキキョウちゃんたちのいる防犯カメラルームへと移動した。
あれがアルカちゃんか。幽閉されてるって聞いてたからどんな環境かと思ってたら、玩具とかは沢山与えられているみたいだ。もちろん、だからって良い環境と言えるわけじゃないけど。
けど、なんだ? なんか既視感があるような……
いや、アルカちゃんには絶対会ったことないはず。気のせいか?
「あら! お久しぶりですわ、ユータ様。ミルキの件、本当にありがとうございました」
「ミルキの?」
「ええ。ミルキが自ら部屋から出た時や痩せてしまった時は心配しましたが、外に出てより多くの仕事をこなすようになったんです。ユータ様が連れ出してくれたおかげですわ」
「いや、あれは多分ビスケのお陰じゃないかな……」
痩せたのってビスケズブートキャンプがキツかったかららしいし。
「キキョウちゃんはアルカちゃんのことどー思ってんの?」
「……難しいことですわ。あの子の持つ能力は底が知れません。一歩間違えれば……ああ、考えるだけで恐ろしい」
キキョウちゃんは自らを抱くように腕を組む。
「けど……あの子だって私の娘。私に似て、キルのことがとっても大好きなんです」
複雑な心境か。
キキョウちゃんはキルアを特に溺愛しているようだが、イルミくんやミルキだって愛しているし、それはアルカちゃんにも情がないわけじゃないようだ。
「なら、シルバくん次第かな……」
「え?」
「なんでもないよ」
映像では、キルアがアルカちゃんと話している。
兄妹ひさびさの再会。キルアとアルカちゃんは抱き合い、幾つか言葉を交わしている。
しばらく経つと、キルアとアルカちゃんがしりとりを行っている間にシルバくんがこっちに戻ってきた。
「どうする? シルバくん」
「……ユータ殿に言われた通りのことを、キルアにも伝えました。そうなるなら、私としてももうアルカを閉じ込めておく必要もない」
シルバくんの言葉に、キキョウちゃんが驚きの顔を見せる。
「あなた! それって……」
「選択はキルアに委ねた。オレたちは見守ろう」
シルバくんは以降、黙って腕を組んだまま、画面を凝視している。
やがて、遊び終えたキルアが、アルカちゃんに質問する。
『アルカ。ここから出たいか?』
『え? うーん……あんまり考えたことなかったなあ。お兄ちゃんがいれば、あたしはそれでいいの!』
『……そっか。そうだな。そうだよな』
キルアはアルカちゃんの頭を優しく撫でる。
「キルったら……すっかりお兄ちゃんになって……」
感動しているキキョウちゃんは置いといて……
『ナニカ』
キルアがそう呼んだ瞬間、アルカちゃんの顔が変わった。目と口が真っ黒に変化する。
『あい』
彼女はそう返事をした。
二文字だがやけに耳に馴染むフレーズ。そして、その雰囲気。
「あ、アイちゃん?」
暗黒大陸でかつて俺が拠り所としていたラッキーガール、アイちゃんに雰囲気がとても似ている。
ど、どういうこと……?
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メインヒロイン(?)来た! これで勝つる!