モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第61話

 ふわぁ、と欠伸が出る。

 さすがに寝れないとしんどいな。強走薬センパイのおかげでなんとかなってるけど、昨日だけで数え切れないほどモンスターの狩猟依頼が届いていたからな。

 

 人類領域のモンスター程度ならワンパンだから、一件あたりは時間かからないけどさ。

 あと、新能力も使って時短してたせいもあってか、なんか最近余計に神様扱いされちまってるんだよな……

 

 さて、忙しない中、俺はハンター協会本部ビルの前にいた。今日は会長選の第三回投票結果が出る日だ。

 今回は再選挙になって落選した上位9〜16位の候補は、全ハンターへ呼びかけメッセージを残すことになっているからな。そのため、かなりの数のハンターが本部ビルに集まってきている。

 引退会見で顔が知れ渡りまくっている俺は、お面で顔を隠しながらやってきた。

 

 ジンへの投票呼びかけの結果前回結果は2位だし、今回も良い感じに……

 

 第三回選挙結果

 

 1位 ユータ 422票(半数以上)

 

 ファッ!?!?

 

 ごしごし、と目を擦ってもう一度見てみる。

 ……なんでぇ!?

 下の方まで見てみると、原因が大体明らかになる。前回までぶっちぎり1位だったパリストンの得票数が0となっていた。

 

「ぱ……パリストンあの野郎!!!!!」

 

 やりやがったなアイツ!

 慌てて副会長室まで駆け上がる。

 

「あはは! 喜んで貰えてよかったですよ!」

「喜んでねーんだよボケぇ!」

 

 心底愉快そうなパリストンに出迎えられる。この野郎……!

 

「お前、いつから企んでやがった?」

「最初からですよ。あなたがジンさんに投票するように頼みに来る前からです」

 

 そ、そんな最初から……!?

 

「も、もしかして。あの12票もテメーの仕業か!? 俺を上位に残しておいて、丁度いいタイミングで票を全振りして会長に仕立て上げるつもりだったんだな!?」

「おー、ユータさんにしてはよく考えられたじゃないですか。12票なのは、多分それだけ入れば上位16名には残る程度の票数だからです。十二支んの皆さんが持ってる票も大体知れてますからね」

「で、でも。そうすると残りの票は一体誰が……」

「分かりませんか? 十二支んの皆さんですよ」

「な、何ぃ!!」

 

 慌てて十二支んの票を確認する。

 見れば、皆得票数が0票になっている。ま、マジか!?

 

「なんで!? 俺別に十二支んと仲良くねーけど!?」

「ボクとジンさん、十二支んから嫌われてますからねー。その2人がワンツーでトップ取ったから焦っていたんでしょうね。我々を会長にするくらいなら別の候補の方がいい、とアナタに白羽の矢が立ったんでしょう。引退会見で話題性も上がってますから、その勢いを利用するためにもね」

 

 嘘だろ……

 しかもコイツ、どうやってかその票の動きを嗅ぎ付けて、この絶妙なタイミングで票を俺に全振りしやがったのか。

 や、やられた。完全にパリストンの掌の上だ。主に俺と十二支んが。

 

「今頃チードルさんなんかめちゃくちゃキレてますよ」

「十二支ん可哀想すぎるな……」

 

 つーか、これで俺が会長?

 どーすんのコレ……俺もモンスターハンターで忙しいから会長なんてできねーよ!

 

「じゃあ早速、新会長としてのスピーチをお願いします」

「え?」

「え、じゃないですよー。当然じゃないですか! 新会長に就任したんですから!」

「え!?」

 

 な、なんも考えてきてないけど、スピーチ!?

 無理無理無理!

 

 なんて考えていたら、俺はいつの間にかハンター協会本部会議場で、多くのハンターの前でマイク片手に立っていた。

 マジかー。

 

『えー、俺も何が起こったかよく分かってないんだけど……ハンター協会の新会長になりました、ユータです』

 

 会場の雰囲気は悪い。すっげえ悪い。

 ただでさえ賛否両論、話題の人物である俺が、しかもいきなり会長だからな。そりゃ認められないヤツだって多いだろう。

 こ、ここは人気取りのマニフェストを掲げるしか道はねぇ。でっちあげろ、俺。

 

『皆さんもこの結果には納得してないと思います。つーか俺が一番納得してない。俺の予定だとジンを会長に担ぎ上げるつもりだったのに……まんまとパリストンに担がれたのは俺だった、ってムカつく話だよ』

 

 横で笑ってんじゃねーぞパリストン。

 

『で! こんな俺が会長に相応しいか、っつーとそんな訳ないよな。一応選ばれたわけだからいきなり降りたりはしないけど、もう俺は次代の会長が誰か考えてあんだよね』

 

 会長に就任して、いきなり辞任を考えている。印象が良かろうはずもないが、別にいいさ。俺は繋ぎの会長として振る舞っときゃいい。

 

『誰ならマジに会長に相応しいか? 皆考えてみてくれ。一人しかいねぇよな。……前会長、アイザック=ネテロその人だろうが!』

 

 俺がその名前を出した途端、会場がざわつき出す。

 十二支んも大いに驚いているようだ。

 

『俺ぁネテロとはダチでさぁ……酒盛りとかもたまーにやったりしてたんだ。なんか修業始めるらしいけど、あいつの強さは俺が一番よーく知ってる。あいつが今更その辺の山に篭って修業しても意味はない。なら、どこにいるのか? ズバリ暗黒大陸だ。間違いねえ』

 

 言い切って、ちょっと不安になってきた。合ってるよね……? 間違ってないよね……?

 でもここで弱気を見せるわけにはいかない。ポーカーフェイスだ。顔に出さず、寧ろ強気にキリッとした顔を作っておく。

 俺の暗黒大陸発言に、ハンターたちの間にも、更に混乱が広がる。

 

『俺は暗黒大陸への渡航経験もあるし、既に渡航の準備は進めてる。パリストン』

 

 名前を呼ぶと、アドリブだというのにいかにも当然のような流れでパリストンが立ち上がり、俺の隣に立つ。こいつこういう有能ムーブかましてくるとこ腹立つな……

 

『パリストンは事務能力とかが優秀だからな。副会長に続投するつもりだ』

『ボクと新会長で、既にカキン帝国とのパイプを繋いであります。ホイコーロ国王も暗黒大陸の資源には、大いに! 興味があるようで、暗黒大陸への渡航にはとても前向きです。渡航後、暗黒大陸攻略のための専門技能を持ったハンターも多数確保しています』

 

 もちろん、元々は別な意図で暗黒大陸行きを目論んでたわけだが……

 上手く使えそうなもんは使う!

 ついでに、俺の元の目的であるミラボレアスのハントも叶いそうだしなぁ……一石二鳥ってもんだぜぇ……

 

『俺のマニフェストはこうだ。カキンと協力して暗黒大陸に渡り、アイザック=ネテロを連れ戻す。そして会長の椅子にもう一度座らせてやる! ……どうだ! 十二支んもお前らも、ネテロ大好きだろ!? いきなり辞めて感情の整理がついてないヤツも多い。納得してないヤツだっているはずだ。またネテロに戻って欲しいってヤツがいるのは、一回目の投票で分かりきってる。お前ら、全員纏めて俺に協力しろ!!』

 

 俺がビシィ! と人差し指をハンターたちに突き出して宣言する。良い子は人に指を向けちゃいけないが、俺は良い子じゃないからセーフだぜ。

 

 ハンターたちは立ち上がり、拍手喝采。十二支んの中では涙を流し、「会長ぉぉぉぉぉ」と叫んで喜んでいるものもいる。俺じゃなくてネテロのことだろうけど……

 

 見れば、協会で俺の次に年長だろうリンネも、小さく拍手している。彼女も、ネテロに会長をしてほしいという意思があったようだな。

 他にも、ネテロを慕う者はやはり多いようで、俺のマニフェストに納得したのかハンターたちは俺を一時的な会長として受け入れ始めているようだった。

 俺自身、俺なんかより会長はネテロが相応しいと思うしな。

 

 俺はマイクを切り、肉声で叫ぶ。

 

「行くぜ! 暗黒大陸!」

 

 会場のハンターたちは腕を上げ、

 うおおおおおおお!

 と雄叫びをあげて同意を示した。




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パリス「ハンター協会の上客であるV5との決裂も気にしないなんて、ユータさんはロックですねぇ」
ユータ「ゑ?」
V5 「(泡を吹いて倒れる)」
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