モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第63話

 ハンター協会の会長になって一個得したことがある。それはハンター試験を自由に改正できることだ。

 

 俺が一度落とされたハンター試験だったが、俺の指先一つで魔改造できるだけのものになった。フッ……俺も変わっちまったな。

 

 なんてドヤ顔を披露している暇はない。

 今回のハンター試験は今までと毛色が違う。十二支んのチードルちゃんやミザイストムくんにより、暗黒大陸渡航にあたりできる限り優秀な人物にハンター証を与え味方とするための試験とするらしい。

 内容は主に面接にする、とチードルちゃんは言った。

 

「えーつまんなーい」

「ふざけないでくださいユータさん。会長が戻ってくるかどうかがかかってるんですよ?」

「今の会長は俺……」

 

 言おうとしただけで目からハイライトが消えるチードルちゃん。こ、怖いよぉ。

 

「でも、腕っぷしがある人も必要でしょ? 頭脳面はそっちに任せるからさー、バトル要員は俺が判定したるわ!」

 

 というわけで、ハンター試験としては異例の一部二部体制を取ることとなった。一部はチードルちゃん、ミザイくん主催の面接による頭脳労働班の確保。

 そして二部の俺、ヒソカという武闘派によって戦闘・肉体労働班の確保に動くことになる。

 

「……で、なんで旅団の皆がいるのかな?」

「お前とシャルばっかりズリぃだろうが。俺らだってハンター資格取って暗黒大陸のお宝ゲットしてえんだよ」

「ハンター証あれば仕事もスムーズ。良いことだらけね」

 

 ヒソカの疑問に答えたフィンクスとフェイタン。他の皆も頷いている。

 

「お前らが乗船してくれるんなら百人力だな。試験頑張ってくれ」

「おう。任せとけよユータ様」

 

 ……あれ?

 なんとなくそう言ってしまったが、別にハンター証取らなくても乗船自体はできるよな?

 まあ、ハンターになれば抽選もなく確定で乗れるから、そのためか。

 

 試験は(旅団にとっては)比較的簡単な試合形式のものだったため、旅団メンバーは全員合格となった。

 試験中、ヒソカが隣でずっと勃たせていたが……

 

 また、ビヨンドのところにいた傭兵のミュヘルたちもハンター試験を突破した。

 どんどん頼れる仲間が増えていくな。

 

 

 

 

 ブラック・ホエール1号。

 黒いクジラをモチーフとした、カキンが作り上げた巨船だ。最大20万人ほどを収容できるらしい。

 5層からなり、1層が王族や各国の要人用、2層が各界の著名人や富裕層、3層以下が一般渡航者用の区域とのこと。

 俺は暗黒大陸探検チームのサブリーダー扱いでビヨンドと共に1層に。ハンター協会メンバーは割とバラバラに配置されている。

 

 同乗せずに人類側の大陸に残る者も多数いる。もう大分数も減っているが、更に俺の負担を和らげるべく、各地でハントをしてくれるのだ。シュートたちなんかが筆頭だな。ありがたいね。

 

 ブラックホエール号は馬鹿でかい船であるため、乗船するためには更に別の船に乗り、そこに下ろされたラッタルから登らなければならない。

 すげー。でけー。

 

「…………」

 

 階段を登る途中、視線を感じ、俺はそちらを見る。

 海。見渡す限りの。

 暗黒大陸の先がどうなってるかは知らないが、水平線が見えるってことは暗黒大陸も果てしなく続いているものの、丸い地球の上ってことなんかな。

 いやいや、そういうことじゃない。

 

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 それってつまり、暗黒大陸からってことだよな。

 俺は笑って小さく手を振ってやる。

 

「どうしました、ユータ様?」

「いや、ちょっと挨拶をね。挨拶は大事だ。そうだろ?」

「? はあ……」

 

 楽しみだな。

 

 と、挨拶を済ませながらも俺は第一層に上がる。天空闘技場最上階には負けるが、かなり良い部屋だ。

 

「本当に良いの? 俺がいるから安全、と言いたいけど、完璧とは言えないよ?」

「あなたが行くなら、ぜひ一緒に行かせてください」

 

 にこ、と笑うダウナーおねーさんは、俺が天空闘技場を引退した後、退職してまで俺についてきてくれた。

 一時とはいえハンター協会会長になったし、暗黒大陸探検隊のサブリーダーでもあるからな。仕事は増える一方だし、事務能力の高い秘書が欲しかったところ。身の回りの世話もしてくれるっていうし、彼女の存在は実にありがたい。

 

「……ま、そういうことなら引き続きよろしくねぇ」

「ええ、もちろん」

 

 その後、ダウナーおねーさんとイチャついてから部屋を離れ、度々『神降ろしの儀(ハンターズクエスト)』をこなしたりしながら、俺はある人物と会っていた。

 

「ベン、どうだ?」

「やはり駄目だな。暗黒大陸の個体のものほど強力な武装は作れそうもない」

「そっかぁ。ま、渡航してからあっちのモンスターを狩りまくればいいだろ。頼むぜ?」

「簡単に言ってくれる……まあ、弟子も増えたし、ハンター協会の人数分くらいなら装備を整えてやるさ」

「ありがてぇ〜」

 

 暗黒大陸に行くならこの男がいないと始まるまい。俺が最も信頼する加工屋であるベンは、暗黒大陸のモンスターを素材に、今の俺の持つような超強力な武器や防具を生み出した実績を持つ。

 暗黒大陸の生物にハンターたちを対抗させるには、やはりその地に住むモンスターの素材で強力な装備を作るのが手っ取り早い。

 もちろん、体や念を鍛えるのは当然とした上での話だけども。

 

「つーか弟子取ってたんだな、ベン」

「武器や防具を作る以外、することもないからな。まさか俺が弟子など取ることになるとは思いもしなかったが」

 

 なんだかんだ、ベンは楽しそうだ。

 街の加工屋で腕の良いヤツの多くは、ベンの弟子らしい。今まで何十人と弟子を取ってきたんだと。

 その弟子たちも多くが船に乗っている。俺が提供する暗黒大陸産の素材を武器や防具に加工してくれるそうだ。

 

「俺は武器や防具作りに専念するよ。ユータはどうするんだ?」

「俺は『円』で警戒かな。暗黒大陸の海や空には強いのがいるし」

「オレたちの船も沈められたしな」

「なっつぅ」

 

 ラギアクルスに沈められたやつね。本当懐かしいなぁ、その縁でネテロやジグ、リンネにも会ったんだよな。

 暗黒大陸時代と違い、念を使いこなす俺は以前とは違う。あの時のように遅れは取るまい。

 例えば円。これを使えるだけで警戒の精度がずっと上がる。目的地までは馬鹿遠いし、気兼ねなく円を展開できるだろう。ブラックホエール号内は……どうしよっかな。一応円の範囲に入れとくか?

 

「お前の円にずっと晒されるのは念能力者には神経削るだろう。俺も集中できないし船内は良いんじゃないか?」

「そーすっかぁ」

 

 上手いことオーラを捏ね回して、試しに船の外だけに『円』を展開してみる。おー、でけたでけた。

 

「……お、早速『円』に引っかかるのが居るな」

 

 ありゃあ……ロアルドロスか。

 丁度いい機会だ。俺はベンに断り、一層の最も高い地点、浮かんだ豪華客船の最上部に陣取る。

 そんで、えーっと……これか。マイクの電源を点ける。

 

『ブラックホエール号に乗船の皆々様、ご機嫌よう! 暗黒大陸探検隊の副総督、ユータでございます。ちょっとした余興がございますので、是非お近くのモニターをご覧ください!』

 

 面倒だが、これも長期間の船旅で乗客がストレスを抱え過ぎないようにするための娯楽だ。

 カキンから依頼されちまったし、そんなに手間でもないからパフォーマンスをすることを了承した。

 

『皆様に安全快適な船旅をお届けするための、私の弓の腕前を披露いたします。船の前方には、なんと大きな水獣(ロアルドロス)が! このままではブラックホエール号が襲われてしまいます!』

 

 なんだこの茶番は……と自分でも思いつつ、カメラがロアルドロスの方に寄る。

 船に対してあの大きさなら襲われてもどうということはないと思うけど……まあいい。

 

『しかし、ご安心ください! 私の弓で、あの水獣を仕留めて見せましょう!』

 

 俺は弓を取り出し、ギュッと引き絞るとオーラの噴出も利用した必殺の一射で数キロ先のロアルドロスを撃ち抜く。

 まだ人類の領海だから、それほど強くなくて助かった。

 

『船は常に周囲を監視しており、私や、私以外にも優秀なハンターが多く詰めております。心配することは何もありません! さあ、行きましょう! 新たな大陸へ!』

 

 まー、茶番を挟みつつではあるが、モンスターを仕留めて道を切り開きつつ、暗黒大陸への船路は進んでいく。

 ヤツと見えるのも近いな……




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きさま! 見ているなッ!
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