モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第65話

 ツェリードニヒ第四王子殿に呼ばれた俺は、彼の私室を訪ねていた。

 一応、ツェリードニヒ王子に限らずカキンの王族のことは事前に覚えさせられていた。

 ミザイくん曰く、身辺調査の結果ネオンと同じく、人の肉体に興味があることが分かったそうだ。ネオンのようにモンスターの素材や武器防具にならともかく、狩猟そのものに興味を持つとは意外だったな。

 

 ツェリードニヒ王子の後ろには、テータちゃんと、もう一人可愛い女の子の兵士。さらに人の顔をしたキリンのような念獣が一体控えている。

 

「この度はお招きいただきありがとうございます。ハンター協会会長、ユータです」

「こんにちはユータ殿。カキン帝国第四王子、ツェリードニヒだ」

 

 朗らかに笑う王子と握手する。

 ピク、とツェリードニヒの片眉が上がった。何か引っかかることでもあったのだろうか。

 

 その後しばし談笑した後、本題と言わんばかりにツェリードニヒ王子が切り出した。

 

「父上はこの船で継承戦を行うつもりだったようだ」

「はあ。継承戦、ですか」

「中止になったがね。カキン王子内で序列を定め、一位となった者が次代の国王になる、というものだ」

 

 へぇ、中止にねえ。その割には、念獣が後ろに控えたままだけど……

 

 継承戦に関しては、事前に十二支んより聞かされている。準協会員となったテータちゃんを始めとするカキン王子の私設兵たちの多くは、面接の際にカキン王子間での複雑な関係性、つまりは継承戦に関する情報を話した。

 

 こっちも情報を得ていることは知っているだろうに、ツェリードニヒはぼかしている。しかし、王子同士の殺し合いが行われることは事前に把握していた。

 

 それが延期になったのであれば悪くない出来事だろう。と思ったが、ツェリードニヒの念獣はこちらを見つめたまま唸っている。

 こちらを試しているのだろうか?

 

「はは、その割には随分と警戒されていますね」

「? 何のことだ」

「いやだな、私はハンター協会の会長ですよ。ちゃんと見えていますよ」

「だから、何のことかって聞いているんだよ」

 

 あれ?

 ツェリードニヒは話が見えずに機嫌が悪そうな態度を取っているように見える。

 でも、後ろにいる念獣ってツェリードニヒとオーラ一緒なんだけどな。

 

「ツェリードニヒ王子、彼の言うことですが」

「黙ってろテータ。俺が、コイツに、話してんだ」

「……失礼しました」

 

 後ろでは名前を知らない女の子の方からテータちゃんに、「何やってんだよ」と言わんばかりの厳しい視線が行っている。

 

「で、お前には何が『見えている』と?」

 

 あれ、もしかしてこいつには見えてないの?

 

「後ろの念獣はあなたのものでしょう?」

「……なんだと? ネンジュウ? なんだそれは」

「えーと」

「……ほう。オレに見えないネンジュウとやらがオレの後ろにいるわけね」

「ええ、その通りです」

 

 ツェリードニヒは念獣の存在を感じ取ろうと、虚空に手を伸ばしている。

 

「お前ら、見えるか? ボークセンは?」

「いいえ」

 

 女の子、ボークセンちゃんは極めて端的に答えた。

 

「テータちゃん?」

「私も見えません」

 

 位置関係的にツェリードニヒは気付いていないが、ボークセンちゃんに質問した時、テータちゃんの顔が強張ったのを見逃さなかった。この子は見えている。

 が、すぐにツェリードニヒから質問が来ることを予期し、無表情を作った。嘘を吐いたのは……王子はプライドが高そうだし、それを刺激しないためだろうか?

 そこまではいい。が、テータちゃんが嘘を吐いた瞬間、念獣の唸り声と発するオーラが増大した。

 

 俺は立ち上がり、距離を一息に詰めて念獣の突き出した舌を掴む。

 

「めっ」

 

 念獣にそう声をかけオーラを浴びせると、念獣は小さく鳴いて引き下がった。

 

「……!」

「嘘吐いたら発動するタイプね……ツェリードニヒ王子、嘘吐きは嫌いですか?」

「嘘吐きを好きなヤツがいるのか?」

 

 それはごもっとも。

 

「テータちゃんが嘘吐いた、ってのは後々詳しく聞かせてもらうとして……どうやら念獣ってのはホントみたいだな。オレが一番嫌いなのは、嘘吐く女だ」

 

 なるほど。ツェリードニヒ本人の性質が念獣にも大きく引き継がれているわけだな。

 

「絶対に見破ってやるよ」

 

 ツェリードニヒの顔付きが変わった。明らかに何か集中し出した感じだ。

 俺は彼の様子をじっと見つめていて、驚いた。

 

 念獣にばかり気を取られていたが、彼はよくよく見れば非念能力者のようだった。纏ができてないし。

 しかし、にも関わらず『見る』ことに集中し出した途端、無意識のうちに目へオーラを集め始めた。

 念について、恐らくは何も知らないだろうに『凝』の域に達している。天才だねー。

 

「ん……念獣とやらは見えないな、やっぱ」

「ツェリードニヒ王子。良ければお手伝いさせていただいても?」

「手伝い?」

「ええ。念の獣、つまりは念獣。念という特殊な能力が使えれば、その姿を見ることができます」

「面白いな。オレにも使えるってことか」

「今、王子は無意識に念の一端を体現しました。オーラを目に集中させることでね。王子なら労せずに念を習得できるでしょう。ちなみに、手っ取り早いがリスクのある方法と地道だが確実な方法、どちらが……」

「手っ取り早い方」

「気が合いますね。上着を脱いで背中を向けてください」

 

 大人しく従ったツェリードニヒに、極微弱なオーラをぶつける。結果、体内の精孔が開き、彼も念能力に目覚めた。

 

「ん……確かになんか変な湯気みたいなのは見えるが、肝心の念獣が……」

 

 そう言って振り返ったツェリードニヒは、俺を見てぽかんと口を開けた。

 な、なにさ。

 

「…………」

「おーい、大丈夫?」

 

 おかしいな……強く当てすぎたか?

 いや、怪我一つ負ってないはずだ。大丈夫大丈夫。

 

「……テータ、ボークセン。外に出ろ」

「ツェリードニヒ王子、それは……」

「良いから出てろ!」

 

 怒鳴るツェリードニヒ。私設兵たちは慌てて部屋の外に出る。

 

「王子、どうされました?」

「……服を脱げ」

「え?」

 

 き、聞き間違いか?

 

「上だけでいいから、とっとと脱げ」

「い、嫌です」

「脱げ!」

「嫌だー! 俺にそんな趣味はない!」

 

 王子ってそうなの!?

 女の子はいつでも手を出せるからって男に走るってことぉ!?

 

「オレにもない! ただ、アンタの肉体を見せてほしいだけだ!」

「あんじゃん! ソッチの人じゃん!」

「違うわ!」

 

 ツェリードニヒはデカい声で否定する。

 んー、でも確かツェリードニヒって芸術(人の肉体)に興味があるとかなんとか。こう、肉体美を芸術的な観点から見ているみたいな、そういう感じなのか?

 ならまあ……いやでもなあ……

 

「そうだな、脱いでくれるなら、アンタがほしいものをなんでもやる。王位継承権でも良い」

「そんなもん貰えんわ!」

「なんだよ……なら宝はどうだ。龍皮病患者の皮膚か? 一角族の頭蓋骨は? オレの持つ緋の眼を全部くれてやってもいい」

 

 いや珍しい人体とかいらな……ん!?

 

「ひ、緋の眼?」

「ああ、それがいいか?」

 

 ま、マジか……こんなところでクラピーの仲間の眼が。ここは俺が取り返しておいてあげた方がいいかもな。

 ホントに脱ぐだけでいいなら良いか。

 

「分かった、緋の眼くれるんなら」

 

 交渉が成立し、俺はシャツを脱ぎ捨て上裸になる。

 それを見たツェリードニヒは……目を輝かせる。

 

「な……なんて鍛え上げられた肉体だ……! そして、巨大で美しいオーラ……!」

 

 ツェリードニヒはしきりに感心したように呟いている。顎に手を当て見る様は、真剣そのものだ。

 なんか、美術の時間に絵のモデルにされてるような気分だな……

 

「……よく理解できた。アンタの域にオレが到達することはないだろう」

「いやいや、まだ若いんだから諦めるには早いっしょ」

「俺は天才なんだ。自分が一番才能があって、自分が誰よりも上で、自分が最も高いところまで行けると思ってた」

 

 すげー自信家だなぁ。

 

「だが、アンタの肉体とオーラは……人でありながら、人が得られる限界を超えている。当然、オレが到達するだろう領域をもな」

「肉体の方は知らんけど、ツェリードニヒ王子はたった今オーラのこと知ったばっかりじゃん? 分かんないっしょ、自分の限界なんて」

「だから、分かるんだよ。天才だからな」

 

 意味分からんけど、なんか凄い説得力だ……

 

「人間の枠を完全に超えちまっている。神だなんだと呼ばれるなんて胡散臭いと思っていたが……いるモンだな、本物も」

「いや……違うけど……?」

 

 ツェリードニヒはなんか一人で納得した。やたら恍惚とした表情をしている。悟りを開いたみたいな顔だ。俺の上裸を見てその表情をしていると思うと、ちょっと引くな。

 まあ……変なヤツだったけど、緋の眼が貰えたし良しとしよう。クラピーに良い報告ができそうだ。




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最終話まで毎日投稿で行きたいけど最近仕事忙しすぎるわね
こういう時匿名投稿だと活動報告で更新遅れ報告とかできなくて不便わよ
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