モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
「え? ジグも船乗ってんの?」
俺は三層にいるキルアと電話しながら、驚きの事実を耳にする。
『ああ、
「アルカちゃんは?」
『実家で母親たちと一緒。電話してるけど楽しそうだよ』
随分仲良くなったな。家族仲が良いのはとても良いことだ。
しかし、これで暗黒大陸行きの船に俺、ベン、ジグ、リンネが乗っていることになる。
これはもう……するしかないでしょ。飲み会!
とりあえず一層にいるジグに会いに行くことにする。
「ジグ! 家族皆元気そうだな」
「おお、ユータ。引退会見の前以来じゃなあ」
来ているのは、ジグ、ゼノくん、シルバくんか。ミルキたち他の家族は留守番か。
「一体なんじゃ、あのパフォーマンスと円は……バケモンが」
「いやいや、ゼノくんやシルバくんだって同じ武器持てばやれるって」
彼らも放出系能力者としての実力が極まっている。俺がやってるのって矢をオーラの噴出で加速してるだけだしな……
「今度ジグ借りていいかい。ベンとリンネも呼んでジジババで酒盛りしようぜー」
「おー、ええの」
「ひい爺さん、飲み過ぎに注意してくれよ」
ということで、三層のリンネのところに集まる。
しかし、層の間の移動って手間かかるんだな……手続きが面倒だったぜ。
三層の一般客室、リンネの部屋で、四人で酒盛りを始めた。三人用客室だが、他のハンターたちはチードルちゃんの医療スタッフに紛れており忙しくて帰ってこられないらしい。そこにお邪魔させてもらった。
一層に比べたら狭いが、こんくらいの方が落ち着くってもんだ。
「いやー、この四人で集まるなんて何十年ぶりだろうなぁ」
「誰も死んでないのは奇跡じゃ」
「オレとリンネはハンター協会本部でいつも顔合わせてるけどな」
「そうだねぇ。ネテロもそうだったんだけどねぇ」
リンネは最近、ネテロのことばかり話している。
「大丈夫大丈夫。これからネテロのこと連れ戻しに行くんだからよ」
「大体ネテロが今更修業って……今度は拳で光でも置き去りにするつもりか?」
「光速のパンチか……ネテロならやりかねんのが怖いところじゃ」
「そうだったねぇ。でも、皆と船に乗って暗黒大陸を目指すって、ほんと、昔を思い出すわ……」
リンネの目尻から涙が少し溢れる。
や、やめてよ。なんか釣られて俺も泣いちゃうじゃん。
「懐かしいなぁ」
「あの時はワシもまだまだヤンチャじゃった」
「まだあたしが若くて美しい頃だったねぇ」
「いやいや、リンネは今も素敵じゃんね」
「ふふふ。相変わらず、お口が上手いこと」
「暗黒大陸か。オレも、加工屋としては未熟だったな……」
各々が思い出に浸りながら、この数十年のことを語り合う。楽ぴー。
酒も回ってきたところで、ドンドン、と客室にも関わらず無粋にドアを叩く音がする。
「んお? なんだぁ?」
とりあえず、俺が一番出入り口に近かったので出る。すると、目の前に光る刃が。
「おっ?」
キィン、と甲高い音を立てて、刃が折れる。目の前の男……左目の下に三日月の傷を持った彼は、心底驚いた顔をした。
いやいやー、ビックリしたのはこっちだわ。いきなり刺す〜? 思わず念でガードしちまったよぉ。
思い切り刺そうとしたせいか、衝撃が腕まで行ったらしい。痛みで顔を顰めている。
「おいおいおーい。あぶねーじゃんかよ」
とりあえずソイツの首根っこを捕まえて部屋の中に連行する。
「なんだソイツ?」
「いや、なんかいきなり刺してきた。ナイフで」
それを聞いた全員は、一瞬キョトンとした後、爆笑した。
「あらあら、ユータに襲いかかったの? ナイフで? 度胸のある若者だねぇ」
「オレ以来の勇者だな」
「どこ刺したんじゃ、若いの」
「さ、刺さらなかった。喉を狙ったのに」
「ふぉふぉ。オヌシ程度のオーラじゃ、どんだけ集中しようがユータの垂れ流しているオーラも抜けんわ」
人が刺されそうになったってのに爆笑してら。
コイツら酔ってんなー、俺もだけど。
「まあ座りなさい、若いの」
「い、いえ、その……」
「いいから座れよ」
ヒェッ……
ジグの様子が一変し、同時にベンとリンネも殺気立つ。コイツら全然酔ってなかったわ……酔ってたの俺だけだったわ……
「テメエ、
ジグ、クソ怖え! でもカッケぇ!
口調すらさっきまでとは打って変わって、若い頃のものに戻る。歳食ってもやはりジグはジグか。
その後、ジグは完全に萎縮した青年、ルイーニーから話を聞いた。
なんでも彼はエイ=イ一家というカキンのマフィアの構成員らしい。
なんでも、彼らはゲームのレベル上げ感覚で大量殺人を目論んでいたらしい。
一般人を一人殺すごとに1レベル。念能力者なら10レベル。王子を殺せば50レベル上がり、レベルが上がれば上がるほどオーラの総量が増していくそうだ。
21レベルに到達すると、念能力も得られるとか。
「へえ……ワルだなぁニイちゃん。殺しの数ならオレやベンも負けてねぇが」
「どうする? バラすか?」
ベンがどこから取り出したのかナイフを片手に、器用に回している。相当手慣れたナイフ捌きだ。
「いや、軍に引き渡そう」
ということで、ルイーニーは拘束され、カキン軍に連行されていった。
しかし、エイ=イ一家ねぇ。一般人を躊躇いなく殺そうとするなんて、ヤバい組織だな。
「安心しろよ、ユータ。エイ=イはゾルディック家で潰す」
ジグはやる気満々で、そう嘯いた。
「そっか。まー、ジグたちなら心配要らないと思うけどさ。一応、構成員ぽいヤツらがどこにいるか俺の円で調べてみるわ。数多すぎて絞り込めるか分かんねーけど」
「おう、頼む」
ということで、俺は新たに今の円の内側にも円を広げることにした。
念能力者は反応で分かるだろう。よし、やりますか。
船内に円を広げると、もの凄い人数が動く様が伝わってくる。うげー、酔う酔う。
中でも俺の円に反応した能力者と思われる集団をざっと探す。
やっぱ協会員もいるし、念能力者ってかなりの数がいるなー。探しづれぇ……お?
俺は、本来あるはずのない場所に謎の空間があることを察知する。
二層と三層の間。そこに複数の念能力者の反応。それも覚醒したばかりのお粗末な念の使い手っぽいオーラだ。ルイーニーの話通りだな。
「多分分かった。二層と三層の間、謎の空間があるっぽい。ジグたちなら三人で余裕だと思うけど、俺も行こうか?」
「いや、必要ない」
「分かった」
ジグはゼノくんたちに電話しながら、部屋を出た。
数日後、お爺ちゃんモードに戻ったジグはのほほんとした様子で一層に戻ってきたので、今度はゾルディック家三人と酒を飲み交わした。
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