モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
「強いな。ユータ様以外では太刀打ちできないだろう」
能力で観戦用の鏡を生み出した張本人であるクロロは、ミラボレアスをそう評した。
ユータの攻撃が当たったにもかかわらず弾かれる、という現象を、クロロは初めて目撃した。大抵の相手は攻撃すれば一撃で沈み、そうでなくとも多大なダメージを受けることは必至。しかし、紅に染まった龍の鱗は、ユータの攻撃すら弾き返してみせた。
かつてないほどの強敵。邂逅時の火球が当たっていたらと思うと、肌が粟立つ。
が。
クロロと、隣で観戦するシャルナークは、ユータについては全く心配していなかった。
「ユータ様はまだ近接戦でしか戦っていない。それがお好みだから仕方ないが……本来、ユータ様は放出系能力者。遠距離戦こそが本領だ」
「それに、近距離戦にしてもまだ奥の手を隠しているからね」
後方理解者面腕組信者と化した二名は、余裕の表情でユータの戦いを見守っていた。
突進に引っかかっただけで、骨が軋み、額が割れて派手に血が出る。
アイテムBOXに手を伸ばした瞬間、ミラボレアスが息を吸い込む。それがレーザーの予備動作だと理解したユータは、回復を中断、回避に移った。
先ほどまで自分がいた空間を熱線が通り過ぎるのを見て、正解を選んだことに安堵する。
が、早く回復しないと、今の状態で次の一撃を受けたらお陀仏だ。
回復したいユータだが、ミラボレアスもそれを易々と許しはしない。首を回して、熱線を全方位に振り回す。
「うおぉッ!?」
なんとか避けるが、もし喰らったらその部分が焼かれ、切断される。ユータはミラボレアスの首の動きに注目し、レーザーをなんとか全て躱した。
「あぶねー、回復狩りかよ。良いタイミング狙って来やがるな」
と敵を褒める間にも、ユータの体から血が滴り落ちていく。
すぐにでも回復したいところだが、アイテムBOXに手を伸ばせばその瞬間を狙われる。
だからこそ、ユータは再びアイテムBOXを出現させた。
ミラボレアスは、今度は大きく息を吸い込み、全てを焼き滅ぼす劫火を放とうとする。回復の隙にそれを叩き込めば、勝負は終わるからだ。
しかし、今回はユータが一枚上手だった。
劫火を放とうとするミラボレアスは、気付く。ユータはアイテムBOXに手を掛けていない。
「引っかかったな」
回復狩りを誘発するため、あえてアイテムBOXを出現させたユータは、ミラボレアスの晒した隙を突くべく、大剣を握る腕に力を込める。
大剣を全力で振り、その鋒からオーラを飛ばす。斬撃が飛び、ミラボレアスの頭部を裂いた。
ミラボレアスが痛みと怒りで吼える。
今までにないダメージに困惑していた。
圧倒的なフィジカルとオーラを持つユータだが、その得意系統は放出系。
強化系能力の精度・威力が80%であるのに対し、放出系の技なら威力・精度100%で使用できる。つまり、オーラの放出能力なら、単純な肉弾戦よりも25%強い威力の技が使えるのだ。
「これならお前の防御を抜ける」
得意気に笑うユータは、大剣を振り回し、やたらめったらに斬撃を飛ばし始めた。大きなダメージを受けたミラボレアスは、しかし冷静に飛行し、巨体に見合わぬ華麗な動きで回避する。
しかし、避けたということは、これを喰らい続けるとマズい、ということの証左でもある。
ミラボレアスが回避行動を取ったのを良いことに、その隙にユータは秘薬を服用し、回復を済ませる。
そして、再び斬撃を飛ばす。が、ミラボレアスもまた、口からのブレスで対抗。斬撃と火炎がぶつかり合い、空中で相殺される。
「威力はあっちが、手数は俺が上か」
このままでは埒が明かない。
ユータが動こうとしたその時、先んじてミラボレアスが咆哮をあげる。
「メテオか。しかも多いし速いしデカいな」
天を覆い尽くす、巨大な隕石群。ミラボレアスの咆哮により呼ばれたそれらは、一つ一つがユータを擦り潰すだけの大きさを備えている。
それだけの大質量が、凄まじい速度で降り注ぐ。一発でも貰えば致命的、しかもそれが無数にだ。にも拘らず回避は極めて困難と来た。
ユータは避けるのは諦めた。
敗北を受け入れたのではない。
「これがお前の必殺技か」
大剣を地面に突き刺すと、アイテムBOXからハンマーを抜き、持ち替える。
「なら、俺の必殺技も見せてやるよ」
ぐ、と深く構え、落ちてくる隕石に狙いを定める。
打ち返す気であるのは、誰の目からも明らかだ。が、ミラボレアスの鱗を貫通できない膂力で、果たしてそれが叶うのか。
否。ただ振るのではない。
ハンマーの逆の口から、オーラが噴出する。
空を飛ぶのに利用したオーラの逆噴射。その出力を最大にし、ハンマーの背から放つことで、ユータの膂力を超えた極大の威力で振るう。
「フッ!!!!!」
ユータの正真正銘、全力の一撃。
放たれ、隕石と衝突した瞬間、重厚な音を鳴らした。
ハンマーの一撃を受けた隕石は砕け散り、拡散された破片が続くメテオまでも打ち砕いていく。
隕石で埋め尽くされたはずの空は、雲さえ吹き飛び快晴となった。
「あり。一個一個打ち返すつもりだったんだけど……ま、まあ結果オーライ」
その結果に、自身の最大級の攻撃であるメテオを打ち砕いた攻撃力に。ミラボレアスはユータへの脅威度を更に引き上げる。
「驚いているみたいだなぁ。それもそのはず、オーラの放出で勢いを上げての攻撃だ。俺の強化系能力は威力80%。そこに放出系の威力100%が乗って、180%の威力になるって寸法よぉ!」
はちゃめちゃな理論を振り翳しながら、ユータはミラボレアスに突進する。
その姿を見たミラボレアスは、目を見開いた。
ユータはハンマーと大剣をそれぞれ片手に持って、二刀流で扱っていた。
「ゲームじゃないんだ。武器を一本に縛る必要もなかった!!」
シュートに複数の武器を貸して気付いたことだった。片手で扱える武器なら、二刀流にしても構わないじゃないか、と。
本来ならとてもじゃないがハンマーや大剣を片手で使うことなどできない。が、ユータは圧倒的な膂力とオーラの放出により勢いを付け無理やり駆動することで、それを解決していた。
「オラァ!!!」
ハンマーの一撃を頭部にぶち込み動きを止め、大剣の一撃で刺し貫く。
ダメージの桁が跳ね上がった。
が、ミラボレアスもこの程度では怯まない。巨大な爪を突き立て、ユータの体を切り裂く。
しかし、ユータは止まらない。
回復もせず、大剣とハンマーを技術もへったくれもない単純な暴力として、馬鹿みたいに勢いを付けて振るっていく。
互いの体から、夥しい量の血が流れていく。
「ははは! これだけ血を流したのは初めてだ!」
それでも、ユータはやめようとしない。
「楽しいなあ、ミラボレアス! まだまだ続けようぜ。俺とお前、どちらかの命が潰えるまで!!」
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