モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第70話

「強いな。ユータ様以外では太刀打ちできないだろう」

 

 能力で観戦用の鏡を生み出した張本人であるクロロは、ミラボレアスをそう評した。

 ユータの攻撃が当たったにもかかわらず弾かれる、という現象を、クロロは初めて目撃した。大抵の相手は攻撃すれば一撃で沈み、そうでなくとも多大なダメージを受けることは必至。しかし、紅に染まった龍の鱗は、ユータの攻撃すら弾き返してみせた。

 かつてないほどの強敵。邂逅時の火球が当たっていたらと思うと、肌が粟立つ。

 

 が。

 クロロと、隣で観戦するシャルナークは、ユータについては全く心配していなかった。

 

「ユータ様はまだ近接戦でしか戦っていない。それがお好みだから仕方ないが……本来、ユータ様は放出系能力者。遠距離戦こそが本領だ」

「それに、近距離戦にしてもまだ奥の手を隠しているからね」

 

 後方理解者面腕組信者と化した二名は、余裕の表情でユータの戦いを見守っていた。

 

 

 

 

 突進に引っかかっただけで、骨が軋み、額が割れて派手に血が出る。

 アイテムBOXに手を伸ばした瞬間、ミラボレアスが息を吸い込む。それがレーザーの予備動作だと理解したユータは、回復を中断、回避に移った。

 先ほどまで自分がいた空間を熱線が通り過ぎるのを見て、正解を選んだことに安堵する。

 が、早く回復しないと、今の状態で次の一撃を受けたらお陀仏だ。

 

 回復したいユータだが、ミラボレアスもそれを易々と許しはしない。首を回して、熱線を全方位に振り回す。

 

「うおぉッ!?」

 

 なんとか避けるが、もし喰らったらその部分が焼かれ、切断される。ユータはミラボレアスの首の動きに注目し、レーザーをなんとか全て躱した。

 

「あぶねー、回復狩りかよ。良いタイミング狙って来やがるな」

 

 と敵を褒める間にも、ユータの体から血が滴り落ちていく。

 すぐにでも回復したいところだが、アイテムBOXに手を伸ばせばその瞬間を狙われる。

 だからこそ、ユータは再びアイテムBOXを出現させた。

 

 ミラボレアスは、今度は大きく息を吸い込み、全てを焼き滅ぼす劫火を放とうとする。回復の隙にそれを叩き込めば、勝負は終わるからだ。

 しかし、今回はユータが一枚上手だった。

 

 劫火を放とうとするミラボレアスは、気付く。ユータはアイテムBOXに手を掛けていない。

 

「引っかかったな」

 

 回復狩りを誘発するため、あえてアイテムBOXを出現させたユータは、ミラボレアスの晒した隙を突くべく、大剣を握る腕に力を込める。

 大剣を全力で振り、その鋒からオーラを飛ばす。斬撃が飛び、ミラボレアスの頭部を裂いた。

 

 ミラボレアスが痛みと怒りで吼える。

 今までにないダメージに困惑していた。

 

 圧倒的なフィジカルとオーラを持つユータだが、その得意系統は放出系。

 強化系能力の精度・威力が80%であるのに対し、放出系の技なら威力・精度100%で使用できる。つまり、オーラの放出能力なら、単純な肉弾戦よりも25%強い威力の技が使えるのだ。

 

「これならお前の防御を抜ける」

 

 得意気に笑うユータは、大剣を振り回し、やたらめったらに斬撃を飛ばし始めた。大きなダメージを受けたミラボレアスは、しかし冷静に飛行し、巨体に見合わぬ華麗な動きで回避する。

 しかし、避けたということは、これを喰らい続けるとマズい、ということの証左でもある。

 

 ミラボレアスが回避行動を取ったのを良いことに、その隙にユータは秘薬を服用し、回復を済ませる。

 

 そして、再び斬撃を飛ばす。が、ミラボレアスもまた、口からのブレスで対抗。斬撃と火炎がぶつかり合い、空中で相殺される。

 

「威力はあっちが、手数は俺が上か」

 

 このままでは埒が明かない。

 ユータが動こうとしたその時、先んじてミラボレアスが咆哮をあげる。

 

「メテオか。しかも多いし速いしデカいな」

 

 天を覆い尽くす、巨大な隕石群。ミラボレアスの咆哮により呼ばれたそれらは、一つ一つがユータを擦り潰すだけの大きさを備えている。

 それだけの大質量が、凄まじい速度で降り注ぐ。一発でも貰えば致命的、しかもそれが無数にだ。にも拘らず回避は極めて困難と来た。

 

 ユータは避けるのは諦めた。

 敗北を受け入れたのではない。

 

「これがお前の必殺技か」

 

 大剣を地面に突き刺すと、アイテムBOXからハンマーを抜き、持ち替える。

 

「なら、俺の必殺技も見せてやるよ」

 

 ぐ、と深く構え、落ちてくる隕石に狙いを定める。

 打ち返す気であるのは、誰の目からも明らかだ。が、ミラボレアスの鱗を貫通できない膂力で、果たしてそれが叶うのか。

 

 否。ただ振るのではない。

 

 ハンマーの逆の口から、オーラが噴出する。

 空を飛ぶのに利用したオーラの逆噴射。その出力を最大にし、ハンマーの背から放つことで、ユータの膂力を超えた極大の威力で振るう。

 

「フッ!!!!!」

 

 ユータの正真正銘、全力の一撃。

 放たれ、隕石と衝突した瞬間、重厚な音を鳴らした。

 

 ハンマーの一撃を受けた隕石は砕け散り、拡散された破片が続くメテオまでも打ち砕いていく。

 隕石で埋め尽くされたはずの空は、雲さえ吹き飛び快晴となった。

 

「あり。一個一個打ち返すつもりだったんだけど……ま、まあ結果オーライ」

 

 その結果に、自身の最大級の攻撃であるメテオを打ち砕いた攻撃力に。ミラボレアスはユータへの脅威度を更に引き上げる。

 

「驚いているみたいだなぁ。それもそのはず、オーラの放出で勢いを上げての攻撃だ。俺の強化系能力は威力80%。そこに放出系の威力100%が乗って、180%の威力になるって寸法よぉ!」

 

 はちゃめちゃな理論を振り翳しながら、ユータはミラボレアスに突進する。

 その姿を見たミラボレアスは、目を見開いた。

 

 ユータはハンマーと大剣をそれぞれ片手に持って、二刀流で扱っていた。

 

「ゲームじゃないんだ。武器を一本に縛る必要もなかった!!」

 

 シュートに複数の武器を貸して気付いたことだった。片手で扱える武器なら、二刀流にしても構わないじゃないか、と。

 本来ならとてもじゃないがハンマーや大剣を片手で使うことなどできない。が、ユータは圧倒的な膂力とオーラの放出により勢いを付け無理やり駆動することで、それを解決していた。

 

「オラァ!!!」

 

 ハンマーの一撃を頭部にぶち込み動きを止め、大剣の一撃で刺し貫く。

 ダメージの桁が跳ね上がった。

 が、ミラボレアスもこの程度では怯まない。巨大な爪を突き立て、ユータの体を切り裂く。

 

 しかし、ユータは止まらない。

 回復もせず、大剣とハンマーを技術もへったくれもない単純な暴力として、馬鹿みたいに勢いを付けて振るっていく。

 

 互いの体から、夥しい量の血が流れていく。

 

「ははは! これだけ血を流したのは初めてだ!」

 

 それでも、ユータはやめようとしない。

 

「楽しいなあ、ミラボレアス! まだまだ続けようぜ。俺とお前、どちらかの命が潰えるまで!!」




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また、ありがたいことに推薦をいただきました。右肘に違和感さんありがとうございます!!
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