モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第72話

 いまや祖龍と化した黒龍にとって、ユータは不倶戴天の宿敵だった。

 以前の世界では、最終的に向こうにも致命傷を与えるも、角を折られるという痛み分けの結果に終わったが、逃げ込んだこの世界にも彼が紛れ込んだことを、黒龍は把握していた。

 傷を癒すため暗黒大陸に潜伏していたが、ユータとの戦いには赴かなかった。

 

 戦えば勝つ気でいる。が、被害が大きすぎる。ただでさえ角を片方折られているのだ。次に失うのは角か眼球か。

 

 幸い、ユータの方から黒龍に襲いかかってくることはなかった。居場所を特定できなかったのか、別の理由があったのかは定かではない。

 このままのたれ死んでくれていれば黒龍にとっては万々歳ではあったが、そう容易くはいかなかった。が、ある時から、暗黒大陸に確かに感じたユータのオーラはなくなる。

 黒龍はしばしの眠りに就き、体力を回復させることにした。

 

 眠りから覚め、暗黒大陸で飛び回っていた時、黒龍の邪眼はそれを視た。

 

 巨大な方舟に乗る、宿敵の姿を。

 

 しかも、向こうは見られていることに気付いているようで、手を振ってくる。

 舐めた態度の敵を視て憤怒に支配された黒龍は、ユータに対抗するための念能力『祖なる龍(ホワイトアウト=ロールバック)』を発現させ、ユータの元へ飛んだ。

 

 暗黒大陸に到着するより手前。敵が自由に動けない海上で叩き潰すためだ。

 

 しかし、黒龍の目論見は外れることとなる。

 

 海上での奇襲により、足場の悪い中での戦闘ならば有利となるはずが、ユータはオーラの放出により空を飛んだ。

 

 体を真紅に染め対抗するも、オーラの放出による遠距離攻撃や、オーラの逆噴射による攻撃力増加といった力業で渡り合ってくる。

 

 遂に奥の手である『祖なる龍(ホワイトアウト=ロールバック)』を使用し、祖龍の赤き雷によって体を痺れさせた上で、地獄の炎も焼き尽くす劫火によって消し炭にしてやった。

 

 龍は咆える。

 己こそが頂点であると。

 そうして、戦闘による疲労もあり、無人島にてしばし勝利の余韻に浸っていると。

 

「よぉ」

 

 聞こえてくるはずのない声。

 ミラボレアスは長い首をそちらに向ける。

 

「よくも殺してくれやがったな? ……なんちって」

 

 ミラボレアスは、生まれてから二度目の恐怖を覚えた。

 

 

 

 

 赤雷が飛来する。が、もうそれを受けるという選択肢は取らないようで、ユータはそれを軽やかに躱していく。

 

「……不満そうじゃねーか」

「ジンさんこそ」

 

 不承不承とした顔でそれを見つめている二人組。十二支んの厄介者、ジンとパリストンだ。

 

「ユータのヤロウ、オレと協力して黒龍を討伐するって話してたのによ。結局一人で挑んじまいやがって」

「いくらジンさんでも、あのレベルには付いていけないんじゃないですか?」

「まーな。分かっているが、簡単に割り切れるこっちゃねーんだよ」

 

 子供のように口を尖らせるジンの様子は珍しいものだった。

 

「おめーが不満な理由は察しが付くけどな」

「言わなくていいですよ」

お気に入りのオモチャ(ユータ)を傷付ける術がなくて困ってんだろ? かといってアイツに本気で憎まれるなんてもっと無理だからな」

「言わなくていいって言ってますよね?」

 

 ジンの指摘は当たっていた。

 パリストンは気に入っているオモチャは壊したがり、またその対象から憎まれたがっている。

 歪んだコミュニケーションを望む男。ネテロやハンター協会、ユータへの対応から、ジンはそのように分析していたし、それは事実として当たっていた。

 

ユータ(あのボケ)に人間を憎むなんて機能は存在してねえよ。そもそも人間を敵だと思ってねーからな。今みたいにちょっかいかけて怒らせるくらいで満足しとけ」

「不満ですが、やむを得ませんね。あの龍のレベルでないとそもそも戦闘にすらならない。況して、死んだとしても生き返ってしまう。搦手で周囲を傷付けることも叶わないでしょう。幻影旅団がガードに付いているのではね」

 

 ネテロのように、協会の審査部に根回しして戦力を削った上で強敵に挑ませるようなことは意味がない。張り合える相手がいないからだ。

 

 下手にユータの周囲に手を出しても、ユータが出張る前に旅団総出で始末しに来るだろう。

 流星教という巨大な宗教組織の象徴であるということが、パリストンにとっては不利に働いていた。

 

「暗黒大陸の生物に期待するしかないですかね。あの龍のレベルがごろごろいるようなら、人類終わりますけど」

「安心しろよ。あの黒龍はその辺にいるようなレベルじゃねえ。裏ボスがいきなり出張ってきたようなもんだ」

「お、さすがグリードアイランド制作者。ゲーマーっぽいですね」

「うるせえよ。ま、暗黒大陸が人類にはまだ早そうなのは変わらないがな。あいつがいるなら、開拓はかなり手早く進むだろ。おんぶに抱っこは癪だが」

 

 暗黒大陸のモンスターをユータが狩り、その素材で作られた装備をハンターたちが身に付けることによって、さらにモンスターを狩る手が増える。

 こうして暗黒大陸に適応し、開拓を進めていく……となれば、やはり暗黒大陸攻略において、最も重要な存在はユータのようなモンスターハンター、それと素材を加工する加工屋と言えるだろう。

 

 幸い、ブラックホエール号には、そのスペシャリスト、それも暗黒大陸を経験済みの猛者がそれぞれ1名ずつ乗船している。

 暗黒大陸での活動については、心配することはない。

 

「……あー、やっぱ壊したいなぁ」

「無理だって言ってんだろ。つーか不用意に発言すんのもやめとけ。信者に自爆テロされても知らねーぞ」

「分かってますけど、それこそ簡単には割り切れないんですよ。ネテロが山籠りしている以上、跡を継いで会長となったユータさんにちょっかいかけたくなるのは当たり前じゃないですか」

「……本当、イイ性格してるよお前は。お前の対象がユータじゃなくて協会だったら、オレが止める羽目になってたんだろうな」

「そうはならないと?」

「だってよ。ユータ……あいつ何しても壊れねーだろ」

「間違いないですねー」

 

 壊そうとしても壊れない。

 少々不満ではあるが、逆に言えばどんなに無茶をしても絶対に壊れないオモチャが手に入った。

 そう考えると、気分が上向いてくるのを感じる。

 

 パリストンは次はどんなちょっかいをかけよう、と楽しげにモニターを眺めた。

 




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ここ数日クソ忙しくて感想返せてなくてゴメンネ
でも感想貰えるのはめちゃくちゃ嬉しいし読んでニヨニヨさせてもらってます
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