モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
「ユータのジジイ、蘇ってから明らかに優勢になりよったな」
一度死んだ男。ユータは復活を果たした。恐慌の中、画面を見ていた者たちは驚愕した。揉める観戦者たちの後ろの物陰で、黒い塊と化した男は、死にかけながらそれでも確かに動いていた。
そして炭となった男は、箱から丸薬を取り出すとそれを飲み下した。
するとどうだ。数秒もしないうちに、バリバリと黒ずんだ体は蛇の脱皮のように剥がれていき、中から綺麗な肉体が現れた。
『ふう』
ふうじゃないが。
奇跡の復活を果たしたユータは、そのまま自らを殺した龍の居場所へ再び飛翔した。
最早考えるのも馬鹿馬鹿しい。心配して損したわ、とゼノは嘆く。
「あのジジイが死ぬわけなかったんじゃ……ワシの心配は完全にムダ。バカなことをしたわ」
「親父、珍しく狼狽えていたな。良いものが見られた」
「忘れんか馬鹿モン」
「ふぉふぉ。ユータが死ぬわけなかろ」
ゼノを揶揄ってはいるが、シルバも内心では戦々恐々としていた。まさかユータが倒されるとは、とユータの死に疑いを持っていなかった。それだけ、画面越しに見ても規格外の炎だった。
が、ジグは少しも動揺を見せなかった。それこそ暗黒大陸の時代からの、長い付き合いだからだろう。
「しかし、あの白い姿になった龍は強いぞ」
「いかにユータ殿でも……いや、待て親父。ユータ殿のオーラを見ろ」
「……ム。先ほどまでより強い……!?」
明らかに、纏うオーラの量が増えている。
「目算だが10パーセントは増えているようだ」
「嘘じゃろ……まだ上があるんかい。ドン引きじゃ」
「ユータは……あの男は暗黒大陸の覇者じゃ。一部地域じゃがの。よぉ見とれ、あの大地で頂点に君臨する生物が、どんなものかをのぉ」
ゾルディック家最年長の言葉を前にして、シルバとゼノは居住まいを正し、改めてモニターを注視した。
俺がハンマーで殴り、ミラボレアスが爪で切り裂く。
俺がランスで刺し、ミラボレアスが牙を剥く。
俺がヘビィボウガンで撃ち抜き、ミラボレアスがブレスで燃やす。
ターン制バトルのような、お互いの体力を削り合う真正面からのぶつかり合い。祖龍となったミラボレアスはさらに強くなった。が、俺も負けちゃいない。
『
一乙した後、一時的に顕在オーラの放出量が1.1倍になるというもの。
つまり、俺はさっきの1.1倍強い。
……なんかビミョーな表現だな、1.1倍だと。いや、クソ強いのは分かるんだけど、語感的にね。
そこはド派手に4倍だぁーッ、とか言いたい。
しかし、語感は悪くとも効果はテキメン。
先ほどまで一撃モロにくらう度に秘薬を飲まざるを得なかったが、凝のおかげもあってダメージはかなり軽減されている。もっとも、そう何発も喰らうわけにはいかないことには変わりないが。
結果。僅かに、だが確実に、俺の力がミラボレアスを上回っている。
赤い雷が俺を狙うが、オーラの放出による高速移動で回避する。あれだけは喰らえないからな。スタンしたら劫火が来る。
だが、劫火はかなり隙のデカい技だ。ゲームならともかく、今の状態で素で撃たせるほど俺はのんびりさんじゃねーぞ。
赤い雷以外に、ミラボレアスが俺を一撃で殺すだけの
そう思いたいところだが、そう易々と進ませてくれないのがこの宿敵だ。
俺が赤雷を嫌がっているのを見て取ったか。ミラボレアスは咆哮を上げ……その体に赤い雷を帯びた。
……まーじで?
赤雷を纏った爪が振り回される。
「うおおおおおおおおッ!?」
やっべえ!
掠ったらスタン! イコール一乙!
オワタ式かよ……!
「面白ぇ! オーラの放出量も上がってんだ、機動力だってさっきとは違うぜ!」
俺は惜しみなくオーラをバンバン湯水のように放出し、超高速移動で赤雷を全て避ける。
こえーこえー。でも、見えてるぜ。
あの赤雷を纏われちゃあ近接攻撃はできねーな、感電しちまう。俺はボウガン二丁持ちで弾をマシンガンのように連射する。
オーラ量が増えている分、一発一発の威力もさっきまでとは違う。ガンガン祖龍にダメージを与えていく。
このまま行けば俺がかなり有利だ。ミラボレアスにも、遂に疲労の色が見え始めている。
お互いラストスパートだな。
少し距離を取り、一息吐く。
恐らく、次の接触がこの戦いの決着となるだろう。
向こうもそれを察したのか、大技の準備にかかったようだ。ミラボレアスの体の赤雷の瞬きが激しくなっていく。
これは……範囲攻撃の前兆か!?
「チッ!」
全力で飛んで、遥か上空に逃れる。
ちょっと過剰かとも思えるほどの距離だが、今更侮れる相手じゃない。そして、それは正解だった。
ぐ、と溜めた雷を放ち、ミラボレアスの赤い雷が、一瞬で球状に広がる。
無人島全てを覆い尽くすほどの雷。俺もギリギリのところでなんとか逃れたが、こんなの地上じゃ回避不可能だろ。
あっぶねぇ……まだバチバチ音してるよ。
雷が収まったらトドメを……と考えていた俺の視界に、遥か下方、無人島を更地にしたミラボレアスの顔が映る。
その口の中には、全てを焼き尽くす獄炎が蓄えられていた。
なるほど……!
雷で俺を遠ざけ、劫火で仕留めるって腹か!
「やっぱ最後は最強の技で来るわけね……!」
ミラボレアスとはかなり離れている。接近して、ぶん殴って劫火を止められる保証はない。
なら、ここから撃ち抜くしかない。
俺は弓を構え、矢の代わりに大剣を番える。
ギリギリギリ、と弓を引き絞り、大剣にありったけのオーラを込める。
「最後の勝負だ」
ミラボレアスの、極大の劫火が放たれる。
「貫けェェェェェっっ!!!!!」
俺もまた、全力を込めて大剣を射った。
お互いの最高火力のぶつかり合い。
視界を赤で覆い尽くす、全てを焼く劫火。
俺の放った一撃が、それと衝突した瞬間。
視界が晴れた。
炎を蹴散らし、正確に放たれた大剣は……ミラボレアスの首に、突き刺さる!
その剣はミラボレアスを無人島の地に縫い付ける。そして、ミラボレアスは力なく崩れ落ち……白い体は、元の黒に戻っていく。
俺は確信した。
「ッ……うおおおおおおおお!!!」
ミラボレアスを、討伐したと。
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もうそろそろ最終回です。