モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
何コレぇ? という疑問は尽きないが、取り敢えず今は目の前のジンオウガだ。俺とネテロ、ジグ、リンネの4人で連携して追い詰めていく。ベンは加工屋が本業だから下がっている。
ジグが動くと、ゆったりした動きにも関わらず何人もに分かれて見えてきた。え、分身の術……?
そのままベンズナイフでジンオウガを斬り付けていく。よかった。さっきの足運びは気になるが、ネテロと比べればまだハンターらしい戦い方だ。
しかし、そこは流石、既に超帯電状態のジンオウガ。ジグや俺たち全員を巻き込むように、尻尾を振って攻撃してくる。想定外の速さだったのか、リンネが攻撃を貰ってしまう。
弾き飛ばされ、血反吐を吐くリンネ。結構な深手だ。
「リンネ!」
「まずいな、手当をする暇がない……!」
見たところ致命傷ってわけじゃないが、ピヨってるっぽいな。
「オッケ、じゃあ取り敢えず粉塵撒くわ」
「え?」
俺はお手製の生命の粉塵を撒く。不死虫(っぽい白い虫)とアオキノコ(っぽい青いキノコ)をまじぇまじぇしたものだ。回復効果があるのは自分の身で実験済み。
ばさ、と袋に入れておいた薬が空中に散布され、主にリンネの方に気持ち多めに粉が舞う。
やがてリンネはまだ苦痛が残ってはいるようだが、なんとか傷が塞がり血反吐が止まった。
「は?」
「え?」
「うん?」
ネテロとジグが何故だかビックリしている。いや、前々。ジンオウガ来てるって。
ネテロはそれを謎の観音様で迎撃する。だから何なんだよそれは!!
「あれ、私……」
おっと。こっちはこっちで、リンネが意識を取り戻したようだ。
「粉塵の回復量じゃ全快しないだろうから、回復薬飲んどけよ。俺引きつけとくわ」
「回復薬……?」
「え……忘れてきたの……? そんなことある……?」
古のホットドリンクやらクーラードリンクならともかく、回復薬忘れんなよ!!
まあ、忘れたもんは仕方ない。ポイ、と瓶詰めした回復薬グレートを投げ渡し、ジンオウガの方へ向かう。
ネテロのこれは相変わらず意味が分からんが、使えるものは使うか。俺は観音様の体を駆け上がり、跳び上がるとジンオウガに向けて兜割りを放つ。
ネテロとジグがだいぶ削ってくれていたようで、俺の技がトドメとなった。
「ナイスナイス」
ネテロたちとハイタッチを交わす。
ただ、皆釈然としない様子だ。それは俺もだけど。
「ユータ……幾つか聞きたいんだが」
「ああ、実は俺もだ……」
「あの粉なんなんだよ!!」
「あの観音様なんなんだよ!!」
ということで、暗黒大陸着岸直後にして緊急会議が行われることになった。
「まずオレから聞かせてくれ。もしかしてユータは、リンネのために暗黒大陸のお宝を使ってくれたのか?」
「はん?」
「とぼけんなよ。空気中に撒くだけで周囲の人間の怪我を癒す。そんなもん『新大陸紀行』にも記述がなかったぜ」
「いや……ただの生命の粉塵だけど……」
そんなレアアイテムってわけでもなくね……?
「生命の粉塵って言うのか、アレは。暗黒大陸で手に入れたいものが増えたな」
「いや調合すればいいだろ」
俺が素材さえあれば粉塵が調合できる旨を伝えると、リンネとジグがひっくり返った。
「そ、素材が超希少とか……」
「不死虫はちっこいから探しづらいくらいでその辺に生息してるし、アオキノコもその辺に生えてるぞ」
「えぇ……」
そっか、ならいっぱい集めよ……となんだか空笑いしながらリンネが呟いた。
今度はこっちが質問する番だ。
「あの観音様はなんだよ!! おかしいだろ!!」
「ネテロは念能力者の中でも規格外だからな……気持ちは分かるぜ」
「そういうことじゃねぇ……」
ネテロが言うには、あれがネテロの持つ念能力、『百式観音』らしい。
いくらなんでも狩技とかそういう次元じゃないだろアレは。
こいつらジンオウガのことも知らないっぽいし、回復薬のことも知らないし。ハンターじゃないのか……?
「なあ、ネテロたちってハンターじゃないのか?」
「いや? ハンターだぜ、オレたちは」
ほなハンターか……
「じゃあクエスト受けたりするだろ? ギルドからの依頼でさ」
「クエスト、ギルド……? 何のことだ?」
「!?!!??!??」
はぁ!?
ちょ、待て待て待て。理解が追いつかない。
ハンターズギルドをご存知ない……? ハンターなのに……?
「あ、あの……参考までに。あなたにとってハンターとは?」
「なんのインタビューだよ……」
と言いつつ、ネテロは答えてくれた。
財宝やら幻獣やら遺跡やら美食やら、そういった未知の物事を追い求める人たちの総称らしい。
モンスターを狩る人ちゃうんか……
え? え?
それってもしかして……この人たち、ハンターはハンターでも『モンスターハンター』じゃない……ってコト!?
そんな現実を突き付けられた俺は……俺は……
「ゆ、ユータ!?」
泡を吹いて倒れた。
整理しよう。
俺はてっきりここがモンスターハンターの世界だと思っていたが、どうにもそれは正確じゃないらしい。
ただ、先のジンオウガはじめモンハンのモンスターがこの世界に息衝いているのも事実。
ではこの世界はなんなのか?
思い付いた可能性は2つある。
①モンスターハンターの外伝作品
プレイしたことはないが、ぽかぽかアイルー村だのモンスターハンターストーリーズだのという言葉は聞いたことがある。
モンハンのモンスターが出現するのも頷けようというものだ。
②ソシャゲか何かの世界
ソシャゲ等でままあるのが、他作品とのコラボだ。モンハンとコラボした結果、モンスターが世界に放たれたという可能性。
個人的にはこっちの方が可能性が高いような気がする。外伝作品って言っても、本家にあるハンターという役職と名前を被らせるような真似はしないと思うからだ。
「まじかぁ……いや、別に構わないんだけどね……」
も、モンスターがいるのは事実だし……楽しく狩りもできるし……私は一向に構わんよ? ほんとだよ?
ただ、それが事実だった場合、俺の行動は迂闊にすぎるな。完全に世界の異物ムーブかましとるがな。
ネテロたちにも不審がられているだろうし、ミスったな。
まあいい、過ぎてしまったことは仕方ない。今後どうするかが大事だ。
泡吹いて倒れた俺は、しばらくした後何事もなかったかのように立ち上がっていた。
「ネテロ。俺はどうも大きな勘違いをしていたようだ。正直、このままこの大陸を調査するのは危険に過ぎる」
「そりゃあ、オレたちが実力不足ってことか?」
「いや、そうじゃない。不足しているのは装備だ」
回復アイテムもねぇ、防具もねぇし武器もねぇ。そんな状態でハンター(モンハンのね)でもない人間をモンスターがひしめく場所に置いておくわけにはいかない。
「まあ……実際見た方が早いか。とりあえずあの山の上、登ってみるか」
俺たちは山の上に登り、遥か遠くのその光景を目の当たりにした。
原生の超巨大生物たちと、ゾラ・マグダラオスやダラ・アマデュラがバチバチに喧嘩し合っているのを……
「デカすぎんだろ……」
ネテロたちも恐々としているようだ。なんなら、喧嘩の余波で突風がここまで届くようなレベルだからな。
「防具があってもただじゃ済まないかもしれない環境だ。防具やアイテムなしのおまえらを連れ歩くつもりはない」
「だからオレには防具貸してくれてたのか……」
ベンは囚人ってことだったので、防具なんか持ってるはずなかったからな。
「分かったら皆でお家に帰ろう!」
「ちぃ……ここまで来て、って話ではあるが、装備が心許ないのは一理あるな。仕方ねぇ、ここは退くか」
ネテロたちも分かってくれたようだ。このまま俺たちは元来た道を引き返し、船に乗って彼らの大陸まで戻ることを決める。
しかし、トラブルってのは突然起こるもの。
結論から言うと、この後、俺だけは船に乗ることができなかった。
閲覧・お気に入り・感想・評価・ここすき・誤字報告していただいた皆さん、ありがとうございます。
相変わらず感想返しきれてないけど、貰えるのは嬉しいしありがたすぎるぜぇ
自分のペースで返してくんでよろしくぅ