モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった…   作:レイトントン

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第9話

「装備か……念能力を磨くばかりでそっちにまではあまり意識を向けてなかったぜ。大抵念でガードした方が話が早いからな」

「念によるガードは念による攻撃には極めて有効よね。でも、ああいったモンスターの攻撃を防いだり、有効な攻撃をするにはユータの言う通りモンスターを素材とした武器・防具の方が適しているのかも」

「通常、念による攻撃は念でガードするのがセオリーだが……素であれだけ硬い相手だからな。念より有効な攻撃手段があるならそちらを優先したいところだ」

 

 ネテロたちもまだ暗黒大陸を諦めたわけではないのか、あーだこーだとモンスターたちへの対応策を考えている。

 だが、会話の中に気になる内容が出てきた。

 

「ジグ、モンスターに念で攻撃しちゃまずいことでもあるのか?」

「精孔が閉じてる相手に対して一定量のオーラを纏った状態で攻撃すると、相手の精孔が開くんだよ。まあ、ビックリして開くわけだな。精孔が開きゃオーラも見えるし念を使う準備も整う」

「ただし念による攻撃を素の状態で受けたら、普通無事じゃ済まないわ。でも、あの生き物たちは念による攻撃を素で耐えるくらい防御力が高いみたいね。元々、念による攻撃は人間へ行う方が有効なんだけど。ともかく、下手に攻撃したら念に目覚める可能性が……ユータ? 顔色悪いわよ?」

「べべべべべ別に悪くないけも!?」

「噛んでる噛んでる」

 

 念による攻撃でモンスターが念に目覚める……?

 俺はベンに出会う前の過去を思い返す。

 モンスターたちと裸で戦っていた野蛮人時代。俺は念能力なんて存在も知らなかったが、ネテロいわく、俺の持つ多量のオーラは常に垂れ流されている状態だったそうだ。

 

 そんな状態でモンスターと戦っていたわけだが……全部を仕留めたわけじゃない。

 逃げられたあと、導蟲もフクズクもいないし、千里眼の薬もなかったのでそのまま放置していたケースが幾つもある。

 

 仮に。仮にだ。

 念を垂れ流した状態の俺の攻撃により、モンスターの精孔が開いたら。

 しかもモンスターたちは縄張り意識が強いヤツも多いし、他のモンスターに念を纏った状態で攻撃しまくっていたら。

 

 …………もしかしてヤバい??

 俺のせい!? 俺のせいなのか!?!?

 やばい。やらかした時は早めに謝らないと!!

 

「あっあのー皆さん大変心苦しいのですがちょっとお時間頂きたく候」

「急にどうした」

「いやー、実はちょっとやらかしまして……」

 

 俺が自らの罪を告白しようとした、まさにそんなタイミングだった。

 

 そいつは突然現れた。

 モンハンのモンスターの中でも随一のスピードを誇るそいつの接近に気付けたのは、勘……というより、恐らくこの体の持つ超人的な感覚が捉えた微かな情報を元に、上から襲来する存在を感知したからだろう。

 ハッと上を見上げ、赤い光が目に入った瞬間、俺は声をあげていた。

 

「上から来るぞ! 気を付けろぉ!」

 

 俺の言葉の後、1秒も経たない間に、俺たちの頭上から彗星が降り注ぐ。

 俺はベンとリンネを小脇に抱えて咄嗟に飛び退く。ハンターらしくない動きだったが、不思議とスムーズにこんな挙動ができた。見れば、自らの足にオーラを集中させることまで無意識のうちに行っていたらしい。

 

「おいおい、オレたちには手助けなしかい?」

「信頼だよ信頼」

 

 ネテロたちも、俺の警告を聞いてなんとか躱したらしい。ネテロの言葉に軽口を返しながら、土煙を裂いて現れるそいつを見遣る。

 

「バルファルク……!」

 

 天彗龍バルファルク。

 銀の鱗。赤い龍気を纏う翼。隼を思わせる顔。

 モンハンの長い歴史の中でも指折りの人気モンスターが、その武器である翼をこちらに向けている。

 ……ん? 翼を向け……

 

「退避ィィー!!」

 

 避けた直後、俺たちのいた空間を赤い光が埋め尽くす。龍気を放ってきたのだ。あ、あぶねー。

 

「おいおい……」

「噂をすれば、か」

 

 ネテロとジグが額に汗をかきながら、バルファルクを見据えている。噂をすれば……?

 俺はバルファルクを注視してみる。そして、あることに気付く。

 なんか……体から湯気みたいなの立ち昇ってない?

 見間違いかもしれないし、ごしごし、と目を擦ってからもう一度見てみる。

 

 ダメだ、見間違いじゃねーや。

 オーラ纏ってるわ……

 

 ただのバルファルクじゃねぇぞ……ド級のバルファルク、ドルファルクだ!!

 というのは冗談にしても、ほんとにただのバルファルクではない。念を覚えた強化個体……念習得バルファルクとでも呼んでおくか。傀異克服みたいなもんだとしたら相当ヤバいな。

 

 

 

 そう、俺はこの時必死だったんだ。

 俺のせいでモンスターが念を覚えちゃったと思い込んでいた。冷静に考えれば、原生生物の攻撃で念を習得した可能性だってあったのに。

 カッコつけてベンやネテロたちに「おまえたちは先に船に戻れ」とか言っちゃうし、ちょっとシリアスな雰囲気を出したりもした。

 

 そうして俺は念習得バルファルクとの戦いに挑み……大変なことになった。

 

 

 

「おらあああ!!」

 

 選んだ武器が間違っていた。俺はランスを担ぎ、バルファルクに単身立ち向かっていた。

 龍気を盾で防ぎつつ、カウンターで突きを叩き込む。そこまでは良かった。

 

「お?」

 

 念を習得した影響か、肉質が固くなっていたんだろうか。刺さったランスが抜けなくなった。

 俺は手に力を込め、引き抜こうとしたが、それより先に苦しんだバルファルクは……急上昇した。

 

「え?」

 

 離せばいいのに、悲しいかなハンターとしての性なのか、俺の手はランスの柄をがっちり握ったまま。

 するとどうなるか。

 

「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 俺もバルファルクもろとも、超上空に飛び上がる羽目となった。

 

「たたたたたたたたたたたたたたた高ぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 断じて言うが、俺は高所恐怖症ではない。

 が、幾らなんでも生身で上空数千メートルにいたらビビるわ!!!

 しかもランスから手ぇ離したら真っ逆さまの状態だぞ!!!

 

「あああああああああああああああああ!!!!!」

 

 しかもバルファルクは、なんとそのまま海の方向に全力で飛翔を始める。

 バルファルクの飛翔速度は音速を超えるとかどっかで聞いたなぁ……

 

 って言ってる場合か!!!!!

 

 俺はガチのマジで死を覚悟しながら、必死でランスを伝いバルファルクの体に取り付く。やべぇ、もう陸地が見えねえ! 速すぎだろコイツ!!

 ただ、俺のフィジカルが音速に耐えるレベルの化け物で本当に良かった! 念も覚えといて良かった!!

 

 こうして俺はバルファルクとのお空デートを敢行する羽目になった。

 

 

 

 

 

 数時間後……

 

 

 

 

 数時間後である!!

 ずっと掴まってた俺を褒めて欲しい。

 海で落ちたらヤバいと思い耐え続けてきたが、やっと陸地が見えてきた。この機会を逃したら終わりだ。死ぬ。

 俺は必死でランスをバルファルクに深々と突き刺し、その命を奪う。

 

 バルファルクはブンブンと苦しげに暴れるも、やがて力尽きた。

 

 僅かに残る龍気の残滓が尾を引きながら、俺とバルファルクは見えてきた陸地に墜落した。その様はまさに彗星、あるいは()()のようだったに違いない。

 凄まじい爆音とともに、バルファルクの体が地に叩きつけられ、俺も衝撃で空中に放り出される。

 受け身を取ることすらできず、俺は地面を何回もバウンドしながら転がった。

 

「い、生きてる!? 俺生きてんの!?」

 

 自分で自分にドン引きである。

 

 どうにか落ち着きを取り戻し、俺は周囲を見渡す。

 一言で言うなら、ゴミ山。

 ドキュメンタリー映像とかで見たことあるような、ゴミが山のように積まれた場所だった。

 

「こ……ここどこぉ?」






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暗黒大陸編、完!!
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